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Last-modified: 2017-10-04 (水) 23:32:26

個人名付きのため注意。

 

 私は覇王家にお仕えするメイドです。前回出てきたミルラ様贔屓のあの方とは別人になります。それ故ややこしいので私は本名と簡単な経歴を名乗らせていただきます。
 私の名はルル、メイドLVは11、年齢は秘密です。白暗夜家にいた際はマクベス様にお仕えしていたのですが……正直良い環境ではありませんでした。
 人使いは荒いし嫌らしい目で見てくるし、非常にストレスの溜まる主人で……その為ガロン様からここでの配置移動を提案された際は真っ先に飛び付きました、同僚達も一緒です。
 その際、私達の代わりにあの方は非力なので力強い男性の部下を雇って差し上げると喜ぶと進言して置きました。

 

 そしてこの覇王家へとやって来たわけですが前とはうってかわって素晴らしい環境になりました。主人であるエフラム様も奥方様達もお優しく気遣って下さいます。
 今日の仕事は家の外周の清掃です。因みにこの覇王家は兄弟家の分家に当たり家も敷地内にございます。それ故にエフラム様のご兄弟である兄弟家の方々も良くやって来ます。

 

ミカヤ「こんにちは、メイドさん」
ルル「ご機嫌麗しゅうございます、ミカヤ様」
ミカヤ「もー、そこまで固くしなくて良いわよ……て言いたいけど仕事だから仕方ないか」

 

 この方は兄弟家の長女ミカヤ様、エフラム様の姉君でありエフラム様を幼い頃から見守って下さった大恩ある方と聞かされているため私達も敬意を払います。

 

ルル「本日は如何なる御用でしょうか?」
ミカヤ「用というか、働いている貴女が見えたから挨拶させて貰ったのよ」
ルル「そうでしたか、ミカヤ様にお声かけ頂き、光栄でございます」
ミカヤ「光栄だなんて、私はそんな大した人物じゃないわよ。
    貴女達が来てくれたお陰で、色々背負ってるあの子の負担が減って助かっているわ、これからも、よろしくね」
ルル「承知いたしました」

 

 私達一介の使用人にも気遣って下さる、エフラム様の姉君なだけありあの方も慈悲深い方です、とそうする内に………

 

エイリーク「あの、宜しいでしょうか?」
ルル「これはエイリーク様、ご機嫌麗しゅうございます」
エイリーク「ええ、ありがとうございます……えぇと、確かルルさんでしたよね」
ルル「その通りです、エイリーク様に名前を覚えていただくなど光栄の極みでございます」
エイリーク「そんな……」

 

 この方はエイリーク様、エフラム様の双子の妹君であの方に最も近しく、また、最も大切にしている方、そして彼女も、私達を良く見てくださる素晴らしい方です。
 因みに私達は皆汎用モブメイドなので大体似た姿になっています、違いと言えば髪色の濃淡やアクセサリー等ですね。
 私は右に赤いリボンを着けていますがそれで気付いて下さるのは覇王家の人達や白暗夜家の人達、他は彼女や数名の方のみです。

 

ルル「それでは、本日は如何なる御用でしょうか?」
エイリーク「あ、はい、リオンがEドリンクの改良を行いその試作が完成したので兄上にお渡ししに来たのですが」
ルル「そうでしたか、エフラム様は御在宅ですので、案内致しましょうか?」
エイリーク「あ、大丈夫です、離れの配置は解っていますから、ルルさんもお忙しいでしょう?」
ルル「私としては当然の職務なのでお気になさらずとも」
エイリーク「そうですか……それでは、お願いしますね」

 

 そして彼女を案内するなかお話を頂いたり労いのお言葉を頂いたりしました。
 余談ですがお優しさと凛とした美しさ、そしてカリスマを持つ彼女はメイド達の中でも非常に人気でソチラの気を持つ者達に置いては「お姉さま」と呼んで密かに慕っているようです。
 私? 私はノーマルですので、慈悲深く素晴らしい方と思っていますがそこまでは見ていません。

 

リーフ「ヤッホー、メイドさ〜ん!」
ルル「……何の御用でしょうか?」
リーフ「いやー、仕事大変そうだからさ、せっかくだからちょっと休憩しない?」
ルル「結構です、私は今は仕事をすることに充実してますので」
リーフ「そんなツレナイ事言わないでさ」

 

 馴れ馴れしく話し掛けて来るこの男はリーフ、この男も兄弟家の一員でエフラム様の弟です。ですが、今の様にヘラヘラしながらしつこくナンパしてくる態度に私達の評判はすこぶる悪い。
 以前にも対応に慣れない見習いがしつこく話し掛けられ泣いてしまったほどです。

 

リーフ「ねぇ、少し位良いじゃないかぁ」
ルル「お断りします、掃除の最中なので邪魔するなら去って下さい」
リーフ「そんな〜、僕は君と仲良くしたいだけなんだからさぁ」

 

 そういいながら嫌らしい目で迫ってくる葉っぱ、はっきりと言って怖気が走りました。

 

ルル「いい加減に……しろ!!」シュ!
リーフ「(特効)コノヒトデナシー!!」

 

 余りの気持ち悪さに崩れた語気と共に投げつけたのはクリスナイフ、魔物特効の筈のこの武器で特効を受けるとはやはりもう人外の域に入っているようですね、効果がありそうですから今後は全員にクリスナイフの配備をされるよう進言してみましょうか?
 因みにこの男の言動にはエフラム様からも謝罪と自衛の為の攻撃の許可を頂いています。
 また余談ですが葉っぱの行動で涙した見習いメイドはこの時エイリーク様にお救い頂きそれ以降、あの方を慕っております。
 あの方も白暗夜のカミラ様の直臣にして恋人のルーナさんのお義母君、あの方本人が認めればあの方にお仕えすることもできるでしょう。

 
 

 それから葉っぱ撃退の報と装備の進言を行ったところ労いの言葉と共にあの方の頭撫でを頂き、気持ちよさと共に更なる忠誠を誓いました。

 

エフラム「メイドたちにも苦労をかけているだろうから、俺からも労った方がいいのだろうか」
サラ「そうね、きっと喜ぶわ。色々な意味で……」