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Last-modified: 2017-10-24 (火) 22:17:41

セイン「お邪魔いたします、エリンシア弁当店のものです」
シレーネ「あら、ありがとう、待っていたわ」
セイン「おぉ! なんとお美しいお方だ、遅れて申し訳ございません、このセイン、貴女の為に愛のお弁当をお届けにあがりました!」
シレーネ「え……その……」
セイン「もしお時間がありましたらこのあとゆっくりと愛を語らいたいものですが……」
シレーネ「そ……その、ごめんなさい、そういうの、ちょっと困ります……」
セイン「! あぁ……なんということだ、俺の思いが貴女を困らせていたなんて……
    ならば潔く去るのみ、申し訳ございませんご婦人、このセイン、このままお暇させていただきます」
シレーネ「え? ……ええ」
セイン「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ございません、ですが今後ともエリンシア弁当店をよろしくお願いいたします」
シレーネ「……………」
ヴァネッサ「姉さん、お弁当、届きましたか?」
シレーネ「え、ええ……」
ヴァネッサ「? どうしました?」
シレーネ「あんなナンパな人も……いるのね」
ヴァネッサ「ナンパって、また葉っぱでも来たんですか?」
シレーネ「いえ……そうじゃないんだけど……」

 

セイン「さて、今日のバイトも終わった、しかしあのご婦人は残念だったなぁ。
    それでも断られてしまった以上、騎士として潔く退くのが当然なんだけど。
    さて、どこかに俺の運命と言える女性はいないかな………ん?」

 

 視線の先では、マリータとタニアが談笑している。

 

セイン「おぉ! なんと美しいお嬢様方だ!」
マリータ「な、なんや!?」
セイン「驚かせて申し訳ございません、俺の名はセイン、リキア地区の最も情熱的な男と言えば俺の事です!」
タニア「最もバカな男……の間違いじゃねえのか?」
セイン「ぐぅ……冷たい貴女も素敵だ……」
マリータ「なんや、けったいなアンちゃんやなぁ」
セイン「あぁ……ここで貴女方のような美しい方に出会えた運命を感謝し、その御手に口付けをお許し頂けませんでしょうか?」
タニア「うぇえ!? いきなりそんな!」
マリータ「ちょい待ち、それってウチもか?」
セイン「その通りです、貴女もまた、可愛らしく素敵な方です」
マリータ「でもウチ、貧乳やで?」
セイン「何を仰います! 胸というものは女性の魅力を引き上げる一要素に過ぎません、大きければ確かに成熟した色気を表しましょう。
    ですが小さくても貴女の清純な美しさを引き上げる要素となるのです。断言いたします、貴女はとても魅力的です!!」
マリータ「な……ふゎ///」
セイン「? どうしました?」
タニア「あー、なんと言うかさ、こいつ、胸が小さいせいでクラスの奴に粗雑な態度とられたりして、地味に傷付いてんだよな」
セイン「なんと! そんな事で女性を差別するなど、男の風上にも置けません、俺なら決してそんな事をしないのに!!」
タニア「そ……そうか、だからまぁ、そんな風に男に優しくされたの、案外始めてなのか?」
セイン「そうでしたか、俺でしたらいくらでも愛の言葉をお伝えでしますのに。
    それでですが、せっかくお会い出来たのです、そこでお茶でも……」
タニア「えーと……その……」
マリータ「あー、それやけどな、タニア……仲良い男いるで?」
タニア「な!? 何で、別にあんなやつ……ただの幼馴染だ!///」
マリータ「別にオーシンのこととは言っとらんよ」
タニア「な!?」
セイン「なんと! そのように愛し合っているのであれば私のの入る余地などありません。
    ならば不肖、このセイン、お2人の想いを応援させて頂きます!」
タニア「べ、別に愛しあってなんて……」
マリータ「なんと言うか、端から見る分にはおもろいなこのアンちゃん」

 

キィン!
セイン「……ムッ! 何奴!!」飛んできた矢を槍で弾く
マリータ「な、なんや!?」
ゲブ「ぐふふふ……そこのお前、命が惜しければその女達を置いていけ」
セイン「何を言っている! 貴様などに可憐なお嬢さん達を渡せるか!」
ゲブ「ふん、今のワシは葉っぱやシャナンより評判は上よ、お前みたいな奴より良くしてやれるわ」
マリータ「いや、それどんぐりの背比べやから、あんたが評判最底辺レベルなんは変わりないで」
ゲブ「喧しい! 大人しくワシについて来るんじゃ!!」
セイン「そうは行かん、彼女達には指一本触れさせはせん!」つ 鋼の槍
ゲブ「ぐふふふ……ワシに槍で挑むとは愚かな奴め、ここで叩き潰しそのまま連れて行ってくれるわ」つ 銀の斧

 

 戦いはほぼ互角であった、武術の腕ならセインの方が上、だがこれを武器相性が引っ張った、大振りになりがちな槍をゲブが避わし懐に入ろうとするも素早く槍を引戻し防ぐ、互いに焦りが見え始めた時

 

ゲブ「貰った!」
セイン「!」

 

 隙を上手く突いたゲブが強い一撃を当てる、直撃は避けたもののダメージが入り、間違いなく動きが落ちることで不利になるだろう。

 

ゲブ「ぐふふふ、散々手こずらせてくれたがこれでワシの勝ちじゃ!」
セイン「くっ!諦めて、堪るかよ!」
???「セイン、受け取れ!」

 

 突然聞こえた声と共に受け取った物、それは銀の剣だった。

 

セイン「むっ!これならやれる!」
ゲブ「な、何!?」
セイン「でぇい!!」critical×2
ゲブ「アー!!」

 

セイン「ふぅ、なんとか勝ったか……」
ケント「全く、何をやっている」
セイン「おぉ! ケント、我が親友よ、剣、助かったよ」
ケント「ああ、全く、斧相手には不利なのは常識だろう、何をやっているんだ?」
セイン「い、いやー……槍の方が格好良いだろ?」
ケント「そんなことを言っているが、また、剣を忘れたんだな」
セイン「ぐ……流石親友、良く解ってる」
ケント「本当に、お前は相変わらずだな、まぁいい、それより後ろの方達が用がある様だぞ」
セイン「え? おぉ! お嬢様方、ご無事でしたか?」
タニア「あ、ああ、アタシ達は大丈夫」
マリータ「ありがとうな、アンちゃん」
セイン「良かった、貴女方の美しい肌に傷が付いていたら俺の心が潰れてしまいました」
マリータ「それよりアンちゃん怪我しとる見たいやけど大丈夫か? 」
セイン「このようなもの、かすり傷です、ご心配には及びません」
マリータ「でもウチらを守ってくれたからやし、これ、使うて」つ 傷薬
セイン「おお、なんと有難い! このセイン、感激で心が飛び上がりそうです!ありがとうございます」
マリータ「ほんまに大袈裟やな、でもありがとうな。
     ウチら悪いけど、もう行くわ、大分時間経ったし、遅くなるとオカン達心配するから」
セイン「そうですか……確かにお母様方を心配させては行けませんね。
    貴女方とお話出来たこの時間は俺にとって至福の一時でした、ありがとうございます」
マリータ「そこまで言われるとテレるもんがあるな……
     あ、そうや、ウチはマリータっちゅうねん、覚えてな、セイン」
タニア「アタシはタニアってんだ、まぁ、今日は、ありがとう」
セイン「……なんと! お2人とも素敵な響きのお名前で、ご縁がありましたらまたお会い致しましょう、タニア姫、マリータ姫」

 

タニア「ひ、姫って……柄じゃ無いんだけどなぁ」
マリータ「でもまぁ、面白いし、以外とええ人やったな」
タニア「まぁな、同じナンパ師なのに葉っぱ見たいに気持ち悪くねぇし」
マリータ「あの軽さはマイナスポイントやけど、友達として付き合うんならええんやない?」
タニア「まぁな……」

 

セイン「ぐぅ! 傷が痛む……」
ケント「なら早くその傷薬使えば良いだろう」
セイン「いや、せっかく美少女からのプレゼントと思うと勿体無くて……」
ケント「相変わらずお前は……貰った本来の用途を果たさない方が失礼だろうが」
セイン「く……そうだな……あぁ……癒されて行く」
ケント「やれやれ……」
セイン「ケントはこれからどうするんだ?」
ケント「特に予定は無いから、もう帰るだけだな」
セイン「そうか、リンディス様と愛に満ちた生活で、羨ましいよ」
ケント「そうか……セイン、これから夕食でもどうだ?」
セイン「む……お前は帰らなくて良いのか?」
ケント「久しぶりにあった相棒と食事を共にするくらいあの方は気にしないさ」
セイン「そうか……でも男と2人か……」
ケント「だがそうじゃない場合お前1人だろう?」
セイン「ぐぅ……そうだな、たまには親友と旧交を暖めるのも良いだろうな」
ケント「そうだな、店は流星軒で良いか」
セイン「おお! それはいい! 店主のアイラさんはそれは美人だからな!
    で……でも、結婚してるらしいし……く、美人にお会いできるだけでも幸せだ!」
ケント「馬鹿いってないで行くぞ」
セイン「わ、解った!」

 

終わり