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Last-modified: 2017-11-10 (金) 23:10:06

レプトール「……この来年度計画書の案は、どういうことだ?」
ブルーム「見ての通りです、父上ーーいいえ、社長。
     最早、電力事業は縮小する他にありません」
レプトール「伝統は……町の電気を守ってきた誇りと責任はどうなる!?」
ブルーム「……言いたくはありませんが、ルーテ電力は磐石です。
     カムイ・グループ及びベグニオン・グループと提携したことで、隙も無くなりました。
     そして、葉っぱが無ければ発電できない、という、長期的視点で見た場合の欠点も、女帝婿の協力により、人数で補えることが証明されました。
     それと同時に、女性から問題視された異臭も解決しています。
     加えて、電気が通っていなかった辺境への簡易発電機販売により、非常時にも簡易版である程度の対応が可能であると示しました。
     断言いたしますが、最早、フリージ電力に、勝ちの目はありません。
     彼らとことを構えるというのは、後ろに居る両グループに、グランベル・グループが敵対することを意味する恐れもあります」
レプトール「……だが……しかし……」
ブルーム「ここで退かねば、損失が増す一方です。現在の契約者に電力を供給できる最低限度まで、規模を縮小しましょう」
レプトール「…………最大の事業を放棄してからの、代案はあるのだな?」
ブルーム「はい。概要は来年度計画書の次ページに記載しています」
レプトール「ふむ……………………正気か?」
ブルーム「現状における最善策と自負しています」
レプトール「しかし……うむ……むう……」
ブルーム「腐リージのノウハウを活かしたサブカルチャー産業への進出。
     これが、我々に取りうる、最善であると考えます。
     腐ったものでなくても仕事なら描く、という者を採用することについては、ヒルダに承認は得ています。
     創作活動で下地のある彼女らにアニメーションやCGの技術を修得させ、FETVを正式に我が社へ吸収合併するのです。
     あの会社は、ここ最近、特に業績を伸ばしている一方で、雇用条件が劣悪です。社員はむしろ、この話に飛び付いてくるでしょう」
レプトール「今の社長は切るか?」
ブルーム「いえ、社員の扱いこそ悪いですが、交渉などの経営手腕は確かです。今までの契約等も、全て彼が単独で取っています。
     代理経営者として、今後も活用すべきかと」
レプトール「なるほど……製作する物のシナリオの担当者は、ティニーが出演する作を書いた者か?」
ブルーム「気に入られたのですか?」
レプトール「ふん……どんな形であろうと、孫娘が活躍することを喜ばぬ祖父など居るものか」
ブルーム「姪の活躍を喜ばない伯父も、ですよ。
     それと……シナリオを一手に引き受けている男についてですが、他社に流れぬよう、首輪を着けるべきかと」
レプトール「手はあるのか?」
ブルーム「奴は、貴族になることに強い執着を抱いています。功績次第で騎士爵位を、とチラつかせれば……。
     更に、ラインハルトの妹であるオルエンが彼と懇意にしており、身分差さえなければすぐにでも……だという噂です」
レプトール「……実現性は高い、か。このまま電力事業に固執するより、余程、な……」
ブルーム「社長、ご決断を」
レプトール「…………即断すべきだとは、分かっている……だが、少しだけ考える時間をくれ……」
ブルーム「分かりました。ですが、仰ったように、我々には時間がありません」
レプトール「ああ、分かっているとも……」

 

シグルーン「……関係各所との交渉は順調です、電力事業はこれで盤石かと」
サナキ「うむ、分かった」

 

マーシャ「かっこいいですよねえ……いかにもできる女性って感じで」
タニス「まあ、いかにもと言うより実際にできる方だからな」

 

シグルーン「あら、もうこんな時間ですね……帰りましょう、明日は休みなのでアイク様に朝まで愛してもらわなくては」
サナキ「だ、だから私を引っ張っていくのはやめろと言うのに!」

 

マーシャ「……オンオフの切り替えができてるっていうやつでしょうか、あれは」
タニス「言うな……行動力があるだけに突っ込みきれんのだ」