67-289

Last-modified: 2017-11-29 (水) 23:24:57

ヘクトル「……バレンシアに高校なんかあんの?山と森しかない印象なんだが」
アルム「僕の村には中学の分校までしかないけどリゲルまでいけば高校もあるよ。毎年定員割れだけど…農業科があるんだ」
セリカ「ミラ様の神学校もあるのよ」
アルム「まぁ…田畑継いだり漁民やったりする分には高校まで進学しなくても別にいいんだけど。都会に出てって職に就きたいって人は高校行く人もいるね」
セリカ「ちなみに大学は無いわ。そこまで行きたいなら他所の区に行くしかないわ」
アルム「正直うちの区も平民の所得はそんなに高くないし、高校はどっちかっていうと貴族向けかも。ベルクトがいっつも、わはははは!俺はバレンシア高首席卒業だ!将来の区長になるべきエリート様だ!ふふん!…みたいに威張ってるね」
セリカ「でもちっとも活かせてない気がするわ。都会の真似しようとして背伸びする田舎者まるだしって感じで」
アルム「田舎は田舎でいいものだって思うんだけどね」

 

ベルクト「わはははは!俺はバレンシア高校首席!お前ら高校すら行かない底辺とは違うのだ!」
グレイ「んなこと言ったって…畑耕したり猪追っかけたりするのには別に困んねぇし」
ベルクト「ふふん。負け惜しみかソフィアの田舎者共。わがリゲルにはなんと高校がある。まさに学問の都!大都会!」
クリフ「でも大学は無いんだよね?」
ベルクト「う…ぐっ…べ、別に無くても困らん!些細な事だ!」
グレイ「いや、だから俺らも別に困ってないから、そんな事で威張られてもなあ」
デューテ「そーだよー学校とか勉強とかめんどいしいらなーい」
ゼト「君はせっかく紋章町全体でも5位以内に入る頭持ってるしやればできる子なんですから…」
ベルクト「だまらっしゃい!学歴は大事だぞ!俺のバレンシア高卒業がどれだけ凄いかわからんのか!」
ルカ「ふふふ、ご立派ご立派。大学行ってないのは貴族としては微妙ですがねえ。それこそ田舎貴族なら充分なんでしょうかねえ」
ベルクト「うわあああああああんよくもバカにしたな覚えてろー!」
ロビン「今日も撃退されたな」
グレイ「あいつ…何がしたいんだろう…」
クリフ「単に威張って自慢したいだけでしょ」
クレア「トラキア中に次ぐ低偏差値高で首席って自慢になるのでしょうか?」
クレーベ「その中で一番というのはそれなりに立派な事だろう…人に自慢するのは考え物だが」

 

ベルクト「うわぁぁぁあ!! あいつら俺を馬鹿にしやがって!!
     だが見てろ、俺はバレンシア高主席のエリート、ましてや現区長ルドルフは俺の伯父上、故に次期区長は自動的に俺だ。
     そうなったらあんなやつら………俺をコケにしたことを後悔させてやる!!」
ルドルフ「ベルクトよ……」
ベルクト「お、伯父上!?」
ルドルフ「随分騒いでおったな」
ベルクト「も、申し訳ございません……その……」
ルドルフ「まあよい、そしてお前の意気込みも聞こえていた。だがその上で言わせて貰おう」
ベルクト「?」
ルドルフ「儂は、この地位を身内贔屓で譲る気はない」
ベルクト「なっ!!」
ルドルフ「この地位は全てのバレンシア区民の上に立つもの、その肩には彼らの人生が乗っていると言っても過言ではない」
ベルクト「……………」
ルドルフ「その権力は彼らの幸せの為振るわれるもの、感情のまま扱えば不祥事にて罷免された前区長リマの二の舞ぞ!!」
ベルクト「そ……それは……では俺でなくば、誰がいると」
ルドルフ「現状に置いて候補は何人もおる。
     我が部下の中でも人格者と知られるジーク、かのリマの子ながら評判の良いコンラート、領主として名高いクレーベ……そして……」チラ
ベルクト「?」

 

 ベルクトは気が付かなかったがルドルフの視線の遥か先、そこにはアルム村があった。

 

ルドルフ「この様にお前以外にも候補は何人もおる、それでもお前がこの地位を望むのならば、人々を想い、そして学べ。
     精進せよ、今の様に地位や身分に囚われ、差別を繰り返すような喪のに譲る気はない」
ベルクト「は……畏まりました……」