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Last-modified: 2017-12-21 (木) 22:43:48

フィヨルム「なんでみんな厚着するんでしょう…冬の息吹は心地いいのに」
ノノ「とりっくおあとりーとお♪」
サーリャ「ふつーの女の子よ」
フィヨルム「…涼やかでいいですね。うん」
ヘクトル「おっしゃ、走り込みでもするか」
フィヨルム「あら、あの人もまわし一つで。でも…ちっとも涼やかじゃない…暑苦しい…お肉付きのいい体でだらだら汗かかないでください!」
ヘクトル「うお!?んなこと言ってもよ。運動すりゃ汗かくって」
フィヨルム「痩せて!」
ヘクトル「無茶言うな」

 

フィヨルム「寒々しい格好なのに暑苦しい…矛盾するこの二つを内包する不思議な人。あなたは何者なんですか?」
ヘクトル「なんだこないだの奴か。いや、何者って言われてもただの横綱だが」
フィヨルム「その裸同然の格好で寒中水泳や雪山登山ができますか?」
ヘクトル「やりたくはねえが…兄貴たちとの修行でやった事はあるな。気合がありゃなんとかなるわ」
フィヨルム「好物は?」
ヘクトル「鍋」
フィヨルム「なんでアイスじゃないんですか?」
ヘクトル「いや、アイスも好きだぜ。つーか食い物は大抵なんでも好きだ」
フィヨルム「なるほど…じゃあ次は…」
ヘクトル「ち、ちょっと待った待った。さっきからなんなんだ?」
フィヨルム「いえ、ニフルで暮らせるかどうかいろいろ聞いてみようかなと。おめでとう。合格です。真冬でも裸同然のあなたなら大丈夫」
ヘクトル「………どういうこっちゃ?」
フィヨルム「……紋章町の最北端。土地の大半が北極圏に入るニフルは夏でも雪に覆われる永久凍土と氷河ばかりの土地、冬なら零下50度まで下がります」
ヘクトル「…よくそんなとこで暮らしてるな…」
フィヨルム「はい…ですので…ちょっとだけ他のとこの人には厳しく感じるらしくって」
ヘクトル「そりゃそうだろ」
フィヨルム「ですので!……他所からお嫁さんやお婿さんに来てくれる人がさっぱりさっぱり」
ヘクトル「ちょっとまて…まさかお前…」
フィヨルム「はい、強靭な体と露出度を持つあなたならニフルで暮らしていけます。どうぞよろしく」
ヘクトル「よろしくじゃねぇ!? なんでそうなる!?」
フィヨルム「え、もしかして寒々しい私はタイプじゃないんですか!?寒中水泳やアイスよりこたつや鍋の方がいいんですか?」
ヘクトル「…大抵の奴は寒中水泳より鍋の方が好きだろ…」
フィヨルム「ムスペルの方がいいですか?結婚するなら私よりスルトって事ですか?金髪お嬢ちゃんより灼熱髭親父の方がいいんだ…ショック…」
ヘクトル「なんでそうなんだ!?やめろバカ!?ホモネタからやっと解放されたってのに!?…つーか俺、結婚してるんだけど」
フィヨルム「別にかまいませんよ。お嫁さんも一緒に連れてきても。ちなみにどこの出身です?」
ヘクトル「二人ともイリア」
フィヨルム「近い!ナカーマ。イリアとシレジアはうちの国に近い雪国。親近感感じちゃいます」
ヘクトル「そ、そういやあいつらも冬に強かったっけ…」
フィヨルム「と、言うわけですのでどうか。お見合いしましょう。どうぞ。これ、連絡先と日取りです。では待ってますので」
ヘクトル「ちょっと待てや!?誰もするとは言ってな…行っちまいやがった」

 

スルト「ぬう!あの小娘…あのメタボに目を付けおったか」
ロキ「ですわねえ。ド辺境で婿不足に悩んでるとかなんとか」
スルト「それはこちらも同じ事。赤道直下。夏は四十度を超え、火山まみれの難所ばかりのうちも来たがる者は少ない…
    ならば!レーヴァテイン!…あの小娘にあの暑苦しい男を渡してはならん!」
レーヴァテイン コクコク
スルト「くくく…見よ。あの汗臭さとむさくるしさを。傍にいるだけで気温が3、4度あがりそうなあのムサ男ならば我が国の熱さにも耐えられよう。
    見ておれ小娘!貴様のやることなすこと全部邪魔してくれるぞぐはははははははは!」
ロキ(ほんにあそことの確執は長いわねぇ。なんでも対抗したがるんだから)
スルト「と、いうわけでお前のキュートさであのメタボをちょっくら婿にしてこい。悔しがる小娘の顔が目に浮かぶわ!」
レーヴァテイン コクン タッ
ヘクトル「世の中にはわけのわからねえ奴がいるもんだな…帰って飯でも…」
レーヴァテイン ぎゅっ
ヘクトル「…いきなり手掴んでくるお前は誰よ」
レーヴァテイン「…結婚」
ヘクトル「…は?」
物陰ロキ(ああやっぱり。コミュ障のあの子にまともな逆ナンなんてできるはずないわ…)
レーヴァテイン「王様の命令。だからこっちに来て私と結婚」
ヘクトル「いや、わけわかんねえぞ!?」
レーヴァテイン「拒否るなら斬る」
ヘクトル「ちょっと待てや!?なんだそりゃ!?つーか緑属性の俺、めっちゃやばいじゃん!?」
レーヴァテイン「移動も1、逃げることは不可能」
ヘクトル「ぎゃああ!?わけわかんなくて怖え!?」

 

ヘクトル「って、事があってよ…フロリーナが空からの先導で助けてくれたんだが…どう思うよ」
エフラム「いいんじゃないか。二人とも結婚すれば」
ヘクトル「…いやお前、今の話をどう聞けばそういうふうになるんだよ」
エフラム「お前に興味関心があり、好意があるのだろう。受け止められ受けいれられるのならお互い幸せになれるぞ。俺はみなの好意が嬉しいし愛しい」
ヘクトル「お前、ほんと懐深いのな……」

 

ロキ「…ってなわけでしてぇ」
スルト「ううむ…となるとこちらで上手く見合いでもセッティングするかか?」
レーヴァテイン(顔真っ青)「…」トビラバタン
スルト「おお帰ったかレーヴァテイ…ン?」
レーヴァテイン(顔真っ青)「…」スタスタスタ
トイレトビラバタン〉
ゲボロッシャァァア〉
スルト「!??」
ロキ「!!?」
レーヴァテイン「ううう…」
ロキ「ど、どうしたの?いきなり万屋の中華娘の中の人ネタなんて…」
レーヴァテイン「そんなんじゃない…あいつ…汗臭が……元々酷かったけど……追い回してるうちにどんどん酷くなって…その上、最後に転んで…思いっきり奴の体に…顔を」ウップ
ロキ「ああ、走らせた上に炎の熱で余計に汗が吹き出しちゃったんでしょうねえ…」
レーヴァテイン「スルト様の加齢臭よりきつい…」
スルト「えっ!?」
ロキ「あっちの冷気は寒がらせない程度で汗も止まる、こっちは汗が吹き出して匂いでアウト。コレ大分こっちが不利ですねぇ…」
スルト「…ねえ、そんなに加齢臭酷い?」
ロキ「今さらですかぁ?」
スルト「」
レーヴァテイン「うう…」酢昆布モチャモチャ

 

ヘクトル「そ…そんなに臭う…か?リンの奴にも汗くさいっていわれるけどよ」
フロリーナ「そにゃこちょないれしゅよ?」
ファリナ「噛み噛みじゃん。無理にフォローするよりはっきり言った方がいいわよ。臭っせーわ。超汗臭いわよ!稽古の後は風呂入って消臭スプレーでもかけい!」
ヘクトル「自分じゃわかんねーんだけどな」
ファリナ「そりゃ自分の体臭だもの」
ヘクトル「屁よりマシじゃね?」
ファリナ「きったねー事言うな!あんたデリカシーの無さは葉っぱに次ぐレベルなんだからちゃんとしなさいよね!」

 

リョウマ「ぬうう……これはどうしたものか」
ヘクトル「おうどうしたんだい会長?」
リョウマ「白夜相撲に巡業をしてほしいと二か所から申し込みがあったのだが…どちらも同日同時刻を希望してて譲らんのだ」
ヘクトル「どことどこよ?」
リョウマ「にふるとむすぺる也」
ヘクトル「…何考えてるんだあいつら…」

 

フィヨルム「なんでうちに呼んでお客さん集めようってタイミングをぴったり被せてくるんですか!」
スルト「ぐはははははははは!お前らの好きにはさせてやらん!だいたいそんな寒々しいところに行った観光客が風邪引いたら気の毒だろうが!」
フィヨルム「そっちなんて熱中症になりかねないでしょう!汗親父!脇の下臭いくせに!」
スルト「…なんで知ってるの?嗅いだ事あるの?」
レーヴァテイン「……想像がつく…」
ロキ「……ふぅ…」
スルト「あれ、お前らどっちの味方?」