オリジナルの設定とかあるけど今回に限ってだと思って軽く読んでもらえると嬉しいです。
夜の帳がすっかりおりた頃。
ある部屋の明かりだけが寂しげに灯っていた。
ロリルフレ「姉さん、入ってもいい?」
姉ルフレ「あら…まだ起きてたの?」
ロリルフレ「姉さんが心配で…」
姉ルフレ「そんな気を使わなくていいのに。中学生は早く寝なさいな」
ロリルフレ「姉さんこのところ博士論文の執筆で忙しいみたいだし、せめて夜食でも…」
姉ルフレ「ふふ、ありがと」
ルフレの姉はペレジア大学の博士課程でペレジア史を専攻する大学院生だ。
そして博士号取得のために連日遅くまで論文の執筆に取り掛かっていた。
ロリルフレ「姉さん」
姉ルフレ「うん?」
ロリルフレ「私、姉さんを誇りに思う」
姉ルフレ「あら、どうしたの急に」
ロリルフレ「だって、ペレジア史専攻でペレジアを批判する論文を書くのってかなり勇気がいることだと思う」
姉ルフレ「まあ批判だけじゃないけどね。史実から学ぶべきところを見つけてそれを未来に生かすための論文よ」
ロリルフレ「でもペレジア地区政府からかなり反発があったって…」
姉ルフレ「あんな奴らの言うことに私がへこたれるとでも思った?」
事実、自分がペレジアの過去の行いを批判しイーリスの肩を持つような論を展開することに対し反発する市民は少なくなかった。
ロリルフレ「でも、私知ってる。ちい姉さんが結婚したときに姉さんが一人で泣いてたこと」
姉ルフレ「……!!」
ロリルフレ「ペレジアの一部の人間がイーリス出身のクロムと結婚したちい姉さんを悪く言ってたことに、姉さんは心を傷めてた…」
ロリルフレ「だから姉さんはペレジアとイーリスの関係が改善するように研究者の立場から頑張ろうってしてるのよね」
姉ルフレ「そうね。誰だって家族を悪く言われるのは辛いから」
ロリルフレ「ちい姉さんやクロムとは違う面から頑張る姉さんを私は応援してるから。でも無理しちゃだめよ」
姉ルフレ「ありがと。私もあなたのことを応援してるわ。さ、中学生は早く寝なさい」
ロリルフレ「うん…。姉さん、おやすみ…」
姉ルフレ「あの子も妹ちゃんも、いつの間にかあんなに大きくなっちゃって…」
姉ルフレ(でも、妹ちゃんが結婚したとき『妹に先を越された可哀想な姉』って言われてたことに気づいていないみたいで良かったわ…。
私は好きでフリーでいるのに、周りの人間は勝手なものね…)
ルフレは上の妹が結婚したことに喜びを感じると同時に自分に向けられる心無い視線に一人の女性として傷ついていた。
姉ルフレ「さあ、今日の分まで書き終えて早く寝ましょ」
僅かな痛みを抱えながらルフレは今日も筆を進めるのであった。