ナギ「……………」
竜王家長女ナギは珍しく起きており、庭をぼんやりと眺めていた。チキを産んで10年、それ以前からもあまり下界に来なかった母ナーガが来訪し、彼女に起こされたからだ。その際軽く説教を受けた。
『竜王家長女として、そしてもう(ダキュンダキュン)歳にもなるのだからもう少しシャキッとしなさい』
『チキも好い人を見つけたけど、貴女はどうなのかしら?』
言われたときは眠さを堪えなんとか返事をしたものの本能である睡眠欲はどうにもならない。
そもそも妹であるチキ(大人)は勿論母ナーガも割と眠り癖があり更に出無精である。これも血筋と思いつつ再び襲ってきた睡魔に流され自身の寝床である石棺に入る。
眠りに墜ちる前に思い出した母の言葉『好い人』 自身は妹達の様に恋に生きるよりこうして好きに眠った方が幸せだ。
しかし……もし自分が好きになり自分等を好いてくれる人がいるのなら、それはどんな気持ちだろう?
そんなときふと1人の男性が思い浮かんだ。かつて自分の夢遊病の最中出会い、こんな自分を面倒見てくれたり家族にも呆れられる荒唐無稽な寝言を真剣に聞いてくれた人。
ナギ「アイク……さん………zzz」
その呟きを最後に再び寝息がたつ。それから暫くの後、彼女を乗せた石棺が振動の後、浮き上がる。
彼女特有の夢遊病だ、そして部屋を出、普段なら宛もなくふらふらと飛び回るのだが、今回は何かを目指すかの様に真っ直ぐと飛んでいた。
神将家
エルフィ「これは……」
カゲロウ「これは何とも奇っ怪な……」
サナキ「何故家の前に石棺があるのじゃ?」
リアーネ「ふしぎ……です」
アイク「これは………」
ワユ「? どうしたの大将?」
アイク「以前似たような物を、見たことがある気が……」
ナギ「……………」ヒョコ
レテ「な!!」
アイク「お前は……」
ナギ「……ぁ……これって運命?」
サナキ「突然何を言っているのじゃそなたは」
ニュクス「あら、竜王家のナギじゃない?」
ナギ「あ……ニュクス……さん」
セルジュ「この方、知ってるの?」
ニュクス「まぁ、昔からそれなりに関わりがあるのよ」
アイク「俺も前に会った事があったな」
ニュクス「また、夢遊病でここまで飛んで来たの?」
ナギ「ええ……多分……」
シェイド「夢遊病で……って、色々ぶっ飛んだ話ねぇ……」
シグルーン「それで、先程の運命とはどのような意味なのでしょうか?」
ナギ「その……ぇえと……」
アイク「以前もこうして移動していた彼女と話した事が会ったんだが……久しぶりだが元気だったか?」
ナギ「は……はい………///」
サナキ(おや?)
ニュクス(これは……)
彼女の様子を見て、少ししっかり話してみようかと思ったところ
くぅ〜〜
突然響いた所謂腹の虫の音、丁度夕食時の為イレースかエルフィかと思ったのだがよくみると目の前の女性が恥ずかしそうに俯いていた。
考えて見れば朝からひたすら眠り続け、母に起こされていた時も眠さが勝って何も食べずにいたのだ。
セルジュ「これから夕食だけど……一緒に食べていかれます?」
ナギ「え……でも……」
ニュクス「良いじゃない、普段寝てばかりで顔を会わせない貴女と久しぶりに会えたんですもの、皆で話をしましょう」
サナキ「そうじゃな、私もそなたと話してみたいこともある、せっかくだから寄って行くとよい」
シグルーン「お家への連絡なら大丈夫です、弟さんの家の妹さん達にお伝えしたから連絡言ってますよ」
ミスト「相変わらず抜かり無いよね」
ナギ「そ……それでは……」
それから、彼女は食事をご馳走になりながら嫁達に色々聞かれ、自分でも自覚しきれていないものの感じている想いを話した。
その後、竜王家からの迎えに連れられ帰宅した、その際………
ナギ「また……来ても良いですか?」
その問いにアイクはしっかりと頷き、他の者達も歓迎の言葉をかけた。ただし、次はしっかり起きて歩いて来いと釘も刺されたが。
それから、彼女の起床時間が少しだけ伸び、他の弟妹を驚かせた。
ナーシル「安心してナギを任せられる相手が見つかってよかったよ、アイクなら大丈夫だ」
ユリウス「あとはさっさと話がまとまって嫁にでも行けばいいよ」
クルトナーガ「話が急すぎるような気も…」
ユリウス「でも実際、あんな放っておけば一日中寝ているような人を任せられる男なんてそういないよ?」
イナ「それは…確かに」