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Last-modified: 2018-03-16 (金) 22:51:10

レーギャルン「まーすたー、もっろつおいのくらさーい!」

 

紋章町のとあるbar、ムスペル第一王女・レーギャルンは今日も今日とて深酒していた。自棄を起こしている理由は言わずもがな、愛する妹と例のピザの事である。
先日、3月14日、ホワイトデー。レーヴァテインはバレンタインカレールーを渡しており、当然ヘクトルからお返しを貰っていた。丁度その現場にレーギャルンは居合わせ、影から見ていたのである。

 

ヘクトル『ほれ、白夜の上手い饅頭の詰め合わせ。家族で食えや』
レーヴァテイン『ん………』

 

一見すれば感情の見えにくい反応であるが、姉であるレーギャルンには判る。あれは確かに『満更でもない』反応であったのだ。

 

レーギャルン「らんでなのレーヴァテイン、あんら腐ったピザのどこがぁ!!………あうぅ」

 

叫びなが立ち上がるレーギャルンであったが、酔いのために崩れ落ちそうになる。その時、後ろから伸びてきた腕が彼女を支えた。

 

ヘザー「あらあら、女の子が一人でそんんなに酔ったら危ないわよ?」
 〜 〜 〜 〜
ラドネイ「はい、お水どうぞ」
レーギャルン「んぐ、んぐ……ふう、ありがとうございます」

 

自分を助けたヘザーとその連れのラドネイ。二人に諭されたレーギャルンは落ち着きを取り戻し、現在席を共にしていた。

 

ヘザー「それにしてもあんな風に酔うなんて、何か悩みでもあるのかしら?良ければ相談に乗るわ」
レーギャルン「実は………」

 

教師もやっているヘザーの人柄故か、初対面にも関わらずレーギャルンは悩みを吐露する。父が妹にハニートラップをさせている事、その対象の男がアレである事、妹が何故かそいつになつき初めている事……

 

ラドネイ「でも横綱って好い人だって評判ですよ?お金だって稼いでいるだろうし…」
レーギャルン「お金じゃ無いんです!それにあんな不潔で好色で自堕落な男が好い人な訳がありません!!」

 

突如として激昂するレーギャルン。その頑な様子を見て、ヘザーは彼女がヘクトルに直接会った際に悪印象を持つような事をされたのだろうと見当付けた。
そして彼女の悩みを解決するには、その誤解を解くのが手っ取り早いとも考え付く。幸い、自分の知り合いの中にヘクトルに詳しい人物がいる。

 

ヘザー「(しょーがない、気が進まないけどアイツに力を借りるか)落ち着いてレーギャルンちゃん、ここは彼に詳しい人に話を聞くというのはどうかしら?」
 〜 〜 〜 〜
ヘザー「こいつが横綱をよく知るビラクよ」
ビラク「ガチホモです」
レーギャルン「ど、どうも」

 

ヘザーが呼び出した青いツナギが似合いそうないい男は、以前ヘクトルに恋慕し追いかけ回していたという。この時点で色々とツッコミ所満載だが、今はヘクトルの話をする時間なので、とりあえずスルーし、彼の話に耳を傾ける。

 

ビラク「まずアンタの印象の不潔で好色で自堕落って所だけど………全く以てその通りなんだZE!」
レーギャルン「やっぱり……」
ビラク「嫁さんに何度も何度も叱られてるのに全く直らない辺り、そこら辺は多分もうどうしようも無いZE!」
レーギャルン「やはりそういう男なのね…」

 

まさかのマイナス印象全肯定であった。眉間に皺を寄せるレーギャルンを横目に、ヘザーはビラクを小突く。

 

ビラク「まああの匂いも俺からしたらご褒美……OUCH!?」
ヘザー「ちょっと、アンタ彼の事好きなんじゃなかったの!?」
ビラク「好きな相手だからこそ出任せは言えないんだZE!…それに勿論良い所も沢山あるんだZE!」
レーギャルン「良い所……?」
ビラク「まず基本的に誰に対しても分け隔てないZE、例え盗賊だろうと悪人じゃなければ優しくしてくれるんDA。それでいて悪党は絶対許さない熱い心を秘めているんDAZE!!」
ビラク「そして何より、自分が守ると決めたものは例えいくら自分が傷付こうが絶対に守りきる鋼の意思が一番の魅力なんだZE!!」
レーギャルン「鋼の意思……ですか?」
ビラク「家族…嫁さん…仲間……あの逞しい背中に守って貰える人達が羨ましいZE……」
ヘザー「アンタは襲い掛かる側だったものね」
レーギャルン(そういえば……外身の汚なさにばかり目が行って、内面については全く考えてなかったわね……)
ビラク「他にもあの弛んだ腹が最高にセクシ」
ヘザー「あ、そういうのは良いです」
ビラク「そっちが呼んだのに酷いZE!?」

 

語りが変な方に向かい出したビラクをヘザーが止めている間に考え込むレーギャルンに、今度はラドネイが話かける。

 

ラドネイ「あの、差し出がましいですけど、少し妹さんに委せてみるのはどうでしょうか?」
レーギャルン「あの子に?でも……」
ラドネイ「私にも兄がいるんですけど、ヘザー姐さんの恋人になるって言った時はかなり反対されたんです。
     その時私の事を心配してくれるのは解るけど、もう子供じゃないんだからちょっとは信用してよって思って」
ラドネイ「妹さんが横綱さんを見極めるまで待ってあげてもいいんじゃ無いかと思うんです」
レーギャルン「………そうね、結局選ぶのはあの子次第だものね」

 

先日のホワイトデーのレーヴァテインの嬉しそうな顔を思い出す。あの子はまだまだ子供だが、もう立派に女の子なのだ。
とりあえず、帰ったらレーヴァテインとお話してみよう、そう思うレーギャルンであった。
 〜 〜 〜 〜

 

「ねえレーヴァテイン」
「姉上…どうかした?」
「ヘクトル氏の事、どう思う?」
「……わかんない…アイツとは命令上の付き合いだから」
「そう……」
「でも………アイツと遊ぶの、以外と楽しい……かも?」
「ふふ、成る程、ありがとう」

 

 〜 〜 〜 〜
レーギャルン「……と、言う訳で、取り敢えずは行く末を見守る事にしました」
ヘザー「お悩み解消できたみたいね」
レーギャルン「ええ、思っていたよりも悪人では無いようですし、妹の判断に委ねて見ようかと」
レーギャルン「それに……もしあの子の心や胃腸や喉を傷付ける事が有れば、ケシズミにしてやればいい話ですしね」フフフ…
ヘザー「…そ、そう(汗)」
レーギャルン「あ、いっそのことニーウ突き付けて脅してやればヤツのだらしなさも少しは矯正できるでしょうか?」フフフ…
ラドネイ(こりゃ横綱の受難はもうしばらく続くな…)

 

レーギャルン「それにしても、あの子が恋愛か…もうそんな歳なのね…」フゥ…
ヘザー「あら、羨ましいの?」
レーギャルン「ええ少し…今まで身内が幼い妹と暴走しがちな父と怪しいトラブルメーカーだったので、恋愛なんてする余裕は無かったですから」
ヘザー「成る程成る程……なら私達と付き合ってみる?」
レーギャルン「はい………はいぃ!!?///」
ヘザー「貴女は美しく優しいとても魅力的な女の子ですもの…」ソットテヲカサネ…
ヘザー「勿論、貴女が良ければの話だけれど」ミツメテニコリ…
レーギャルン「そそそそそんな!?//いきなり言われましても!!?//……って後ろ後ろ!!」
ラドネイ「<●><●>」

 

ラドネイ「まあレーギャルンさんがキレイで素敵な女性っていうのは同感です、妹の為に奔走してるのも個人的にポイント高いですし。
     私含めて3人で…になりますけど、貴女が良ければ何時でも歓迎しますよ」
レーギャルン「あ、ありがとう………あの、それならそのコブラツイスト解いてあげても…」
ヘザー「ラドネ…ちゃ……ギブ…ギブ……」ギリギリ
ラドネイ「それとこれとは別問題なんです!!」フンッ

 

 〜 〜 〜 〜

 

レーギャルン「只今帰りました」
レーヴァテイン「あ…姉上……お帰り。
        !……もしかして、何かいい事…あった?」
レーギャルン「ええ、素敵なお友達が二人もできたの」
レーヴァテイン「素敵な………好きな?」
レーギャルン「ふぇ!?//別にヘザーさん達とはそんなまだ!!?//」
レーヴァテイン「なるほど……お相手の名前はヘザー……」
レーギャルン「こ、コラ!お姉ちゃんをからかうんじゃありません!//」
レーヴァテイン「……♪」

 

こうして無事にムスペル王女姉妹の火種は、一応無事に取り除かれたのでした。
〜END〜

 

おまけ

 

レーヴァテイン(あれ…ヘザーって名前…どこかで?)

 

レーヴァテイン「 」
紋章町ガイドブック『危険人物No.2“ヘザー” 危険度:★★★★☆(女性限定)
ガチ百合であり、美女美少女を見るとナンパしてくる危険人物。時には強引な手段に出ることも。もし絡まれた際は兄弟家のL女史を囮にして逃走するのが効果的』
レーヴァテイン「護らねば…姉上を…護らねば…」ブツブツフラフラ

 

ロキ「あら?スルト様ぁ、この紋章町ガイドブック、2014年版ですよぉ?」
スルト「ああ、それBOOK・OFFの100均コーナーで適当に買って来たヤツだからな」
ロキ「ガイドブックはそれじゃあ意味ないでしょう」ハァ

 

火種は、どこで生まれるかわからない……
To be continue……?