69-21

Last-modified: 2018-04-07 (土) 09:54:16

今日も長閑なアルム村、ただ今日はなにやら騒がしいようで…」
ライデン「………!、おいアレ」
ベック「なんだあの美人!?」
ダロス「あんな別嬪さんウチの村に居たっけ?」
村を歩いていたのは見たこともないような美女であった。
純白の日傘に紫の落ち着いた色合いのドレス、ふわふわの銀髪に見え隠れする切れ長の瞳と、このド田舎に似つかわしくない清楚なお嬢様といった印象の女性である。
田舎村特有の嫁不足に悩まされているアルム村男衆はあんな美人が何処から来たのか等の疑問も放り投げ、樹や建物の影からジロジロと美女を観察する。
\パキッ!/
アルフォンス「あっ」
美女「…?」クルリ
そんな時、見物客の一人だったアルフォンスが小枝を踏みつけ音を鳴らしてしまい、慌てる彼の方に美女が顔を向ける。
アルフォンス「あ!?ええとその……いいお天気ですね!!?」
美女「………(ニコッ♪)」手フリフリ
アルフォンス「うっっっ!!??」Critical!!
自身に向けられた華麗な微笑みにアルフォンスは一撃ノックアウト、心臓を抑えて倒れ伏す。
アルフォンス「妹や隊長からじゃ絶対に見られない……女性ってあんな優しく穏やかに笑えるんだ……」カンルイ
ベルフ「しっかりしろ!くっ、傷が深い…」
トーマス「衛生兵!衛生へーーーい!!」
愚民どもが救護活動で慌てている間に、美女はマイペースに歩き去って行ったのであった。

 

次の日、当然の如く村中が例の謎の美女の話題で持ちきりであった。
ベオウルフ「にしても本当に美人だったよなぁ」
ヴォルツ「世界ひろしと言えどあのレベルの別嬪さんはそう居ねえぜ」
フェルグス「清楚なお嬢様って感じで、この辺りに居ねえタイプだったからな」
ヒサメ「でも何処の方だったんでしょう、この辺りの方ではないですよね」
ロドルバン「あんな美人、一目みたら忘れないもんな」
シーザ「…そういえば今日は村長を見ないな?」
ラディ「例のお嬢様に見とれててたのが嫁ズにばれて、スケルトンみたいになるまで搾られたそうだよ」
クレア「わ、わたくしと言う者がありながらどこぞの娘に夢中など……」ワナワナ
グレイ「物珍しさで補正掛かってるだけだって、一番はクレアさ」
空気の読めないロビン「でもそんな美人なら見てみたかったなー」
クレア「あ”?」ギロリ
ロビン「ごめんなさい!!!」ドゲザッ!
とまあ村中の男どもが色めき立つ中、その状況を眺めながら心の中でほくそ笑む者がいた。
クリフ(フフ……にしても、本当に誰一人気付かないとはなぁ)

 

クリフは最近悩んでいた。幼馴染み5人は相手を作ってイチャイチャしているのに、何故自分には何もないのか、と。
今まで胸の奥底で燻っていたこの思いが、この間の祭(68-453)で目の前でイチャつかれたのをきっかけに表面化したのである。
エコーズに際して中性的な美少年になったし、ユニットとしても優秀だし、現にこの間の第二回総選挙でもストーリーの本筋に関わらない割にはいい線行っていた。なのにこの有り様だ。
女子にあまり興味がないクリフでも、流石にこうも幼馴染達と差をつけられてしまうと、色々と思う所があるのであった。自分には価値や魅力が足りて無いのか、と。
そんなある日、たまたまつけたTVでやっていたアニメで、自分によく似た声の青年が女装して超美女になってチヤホヤされていた。これを見たクリフはピンと来た、来てしまったのだ。
それからクリフは女装の為に勉強しまくった。ファッション、化粧、女性らしい仕草……元々小柄で色白で線の細い中性的な容姿であったことも相まって、秀才クリフはこれらを次々と習得していった。見事な才能の無駄遣いである。
そして昨日、今まで学んだ事を全て注ぎ込んだおめかしで村に出た。その結果がこの喧騒であった。
クリフ(でもこれだけ注目されちゃうと、今度からは身バレにもっと注意しないとね)
ロビン「あれ、お前なんか楽しい事でもあった?」
クリフ「別に…昨日読んだ本が面白かっただけだよ」
味をしめたクリフは『次』のコーディネートを構想しながら、顔に喜色を滲ませて自分の起こした村の喧騒を満足気に眺めるのであった。

 

アルムスケルトン「…ゼヒューゼヒュー」
マルス「うわ、ほんと体中の水分が消え果てるようにしか見えない」
リン「どんだけ絞られたのよ…」
アルムスケルトン「……ひゃ…ひゃく…から先はかぞえて…な…い…」
マルス「その大半はシルクなんだろうなあ…」