72-500

Last-modified: 2019-07-08 (月) 00:05:22

前回:72-489 異界間通信、原作寄り異界サイド
今回:三傑異界エイリークと原作寄り異界ラーチェル+??

 
 
 

ルーテ「……回線断絶。復旧は、しばらく不可能ですね」

 

エイリーク「……良かったのですか、なんて、聞くまでもありませんでしたね」
ラーチェル「…………ええ、聞くまでもなく、これで良いのですわ」
エイリーク「出会ってから、たった10日とはいえ、あなたは私の友人です。肩を貸す程度しかできませんが……」
ラーチェル「お気持ちだけ受け取りますわ。もちろん、遠慮でも強がりでもありませんわよ?」
エイリーク「…………はい。本当に、強くて誇り高いのですね、あなたも」
ラーチェル「……思い出してしまうので、やめてくださいます?」
エイリーク「だって、あなたもこちらのラーチェルも、不意打ちやうっかりでもなければ弱みを見せてくれませんもの」
ラーチェル「…………心の友がイジメっ子ですわ」
エイリーク「もうすぐお別れなのですから、心残りは作りたくありません。次に声が聞けるのは、いつになるか分かりませんし」
ラーチェル「その衝動は仕舞っておいてほしかったですわ……!」

 

サラ「そう。……もう帰ってしまうのね。残念」

 

エイリーク「サラさん!?」
サラ「こんにちは、エイリーク義姉様。ちょっとそのヒトとお話ししに来たわ」
ラーチェル「…………サラ……なるほど、あなたが」
サラ「ええそうよ。初めまして、わたしが何もしなかった異界で、兄様に選ばれたヒト」
ラーチェル「そうですわね。初めまして、この異界でエフラムに選ばれた方達の代表者」
サラ「大変だったわ。兄様ったら、わたしたちのこと、未だに『守るべき者』扱いだもの」
ラーチェル「わたくしからすると、あのエフラムが複数の幼女と結婚した、なんて、人生最大級の驚きでしたわ」
サラ「あら、そう?」
ラーチェル「ええそれはもう。驚き過ぎて、思わず杖でポコポコしようとしてしまいましたわ」
サラ「……そっちの兄様、苦労してそうだわ」
ラーチェル「こちらのエフラムも、話す機会はありませんでしたが、苦労していそうですわね」
サラ「まぁその分、わたしもあなたも苦労しているでしょうし」
ラーチェル「おあいこですわよ、きっと」
サラ「そうね。きっと」
ラーチェル「ええ。きっと」
サラ「……どうしようかしら……聞きたいことは大体さっきの通信と今ので聞けてしまったし……」
ラーチェル「盗み聞きは感心しませんわよ?」
サラ「なぁに? 兄様みたいなこと言うのね?」
ラーチェル「そうですわ。エフラムみたいなことを言うのです」
サラ「…………あと何年かしたら、わたしも兄様の隣に立つから」
ラーチェル「よろしくお願いいたしますわ。どうせ、こちらのエフラムも無茶ばかりしているでしょうし」
サラ「そちらこそ、そっちの兄様のこと、放さないようにね。もしかしたら、そっちのわたしが動き出すかもよ」
ラーチェル「離れて差し上げませんし、受けて立って望むところですわ」
サラ「……その調子なら、動かなかった『わたし』は、何かする前に諦めるでしょうね。安心して良いわ」

 

ラーチェル「……………………あなた、ロプト教団、というところの子ですわよね?」
サラ「そうよ。そっちのわたしは多分、暇潰しを探して、どこかの修道院を適当に転々としているんじゃないかしら」
ラーチェル「では、戻ったら会いに行って差し上げますわ!」
サラ「…………一応聞くけど、なんで?」
ラーチェル「エフラムの隣に立つ女に、泣いている子をどうして助けるのか、聞きますの?」
サラ「バカね……そんなことしたら、兄様とあなた、2人まとめて自分のモノにしようとするわよ? 『わたし』のことだから、絶対に」
ラーチェル「迎え撃って受けて立って望むところですわ!」
サラ「……本当に、バカ……」
ラーチェル「バカバカ言い過ぎではなくって!?」
サラ「これは、そっちのわたしも苦労しそうだわ……」
ラーチェル「一人前のレディに育てて差し上げますので、ご安心を!」
サラ「……そう……そっか……。うん。……バイバイ……またね、姉様」
ラーチェル「ええ。すぐに、あちらのあなたを迎えに行きますわ」

 

エイリーク「もう良いのですか?」
サラ「……聞きたいことはとっくに聞けたし、勝手な約束までされたもの。もうお腹いっぱいよ」
エイリーク「そうですか……良かったですね、サラ」
サラ「……普段は『さん』付けなのに、こういう時は呼び捨てで頭を撫でる辺り、双子よね」
エイリーク「はい。双子ですから」
サラ「………………はぁ……敵わないわね」

 
 
 

異界ラーチェルとサラ様の会話は、副音声まみれなのでフィーリングでお願いします
「わたし」と「『わたし』」の使い分け等も一応

 

次回、エピローグ