さくら、もゆ。-as the Night's, Reincarnation-

Last-modified: 2023-07-18 (火) 21:06:26

【さくらもゆ あずざないつりーんかーねーしょん】

ジャンル幾千の夜を越え想い繋ぐ、魔法幻想ADV

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発売・開発元FAVORITE
対応OSWindows 7/8/8.1/10
発売日2019年1月31日(PC版)
2023年2月22日(PS4,スイッチ)
定価9,800円(税抜)
判定なし

概要

有限会社フェイバリットが運営するアダルトゲームブランド「FAVORITE」から発売されたノベルゲーム。

シナリオライターは漆原雪人氏。代表作は同ブランドから発売された『いろとりどりのセカイ』シリーズ。


システム

ゲームとして発売された本作ではあるが、選択肢は少なく共通ルート終盤の三つのみ。

また、ルートが分岐する選択肢はそのうちの一つである。

マップ移動等の要素もなく、画面下部に表示される文章を読み進めるタイプのため、デジタルノベルに近い作品と言える。


特徴

ジャンルに魔法という言葉があるように、ファンタジー要素のある世界観。

「夜の国」という独自の世界観とそこから織り成される優しい物語が特徴的。


あらすじ

ーこれは"魔法少女"のための物語だ。
遠い昔。
幾人かの特別な女の子たちー"魔法少女"が人類の未来を救ったという。
その闘いは熾烈を極めた。
誰もが傷つき。
誰もが泣いて。
誰もが祈った。
ごく当たり前にすぎる"戦いの物語"がそこにはあった。
しかし……。
傷つき。
泣いて。
祈っても。
少女らは誰に感謝されることもなく。
誰に賞賛されることもなく。
……誰に、知られることもなく。
それでも"戦い"は、無事に終わった。
"人類の未来を守るための物語"を、これ以上ないハッピーエンドに導いた。
そしてそれからおよそ十年後の現在。
……春。
さくら咲き乱れる出会いと別れのその季節。
かつて人類の未来を救った少女たちは、今はもう"魔法"を忘れーごくふつうの少女として生きていた。
誰もが当たり前に遭遇する、ごくごくふつうの当たり前な困難に、頭を抱え、迷い、生きる道を探してた。
そんなある日。
さくら舞い散る、春の中。
「……お願いします」
少年、奏大雅は、もうひとつの春と再び出会ったー
「お願いします。どうか私を、魔法少女に戻してください」
これは"魔法少女"のための物語……。
なんかでは、ない。
これは、幸せを探し出すための物語。
これは、あなたの人生のための、物語。
さくらもゆ"夜"の中……。
もう二度と、君が悲しまなくてもいいようにー
さあ、引き金を引け。
たったひとりの君を救うため。
俺は。
俺は何度だって、散りゆくのだとー……
公式サイトから引用

キャラクター

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&bold(){奏大雅}

主人公。

&bold(){クロ}

大雅の相棒。あるいは家族。特別な黒猫が、大雅の友人になるために人化した。

人の姿になるとまっしろになる。

人見知りな性格で、大雅以外とは目を合わせられず、まともに話もできない。

眠る前に大雅と電話で話すのが日課で、いつもは素っ気ない態度ではあるが、電話で話すときだけはほんの少し素直になれる。

好物は、猫だけどチョコレート。

&bold(){柊ハル}

幼馴染みで転校生。元魔法少女の女の子。

身よりはなく、施設暮らしだったが、里親に引き取られ街を離れていた。

本来は人見知りをしてしまう性格だが、大雅の前以外ではそんなそぶりはいっさい見せない。

ある目的を叶えるため、魔法少女に戻りたいと願っている。

&bold(){杏藤千和}

幼馴染みで大雅のひとつ後輩。元魔法少女の女の子。

現在は、街の古いカフェを経営する父親と一緒に暮らしており、放課後は父親のお店でウエイトレスとして働いている。

よく大雅に意地悪されており、嫌いと言っているが昔から大雅のことが大好き。

&bold(){夜月姫織}

幼馴染みで同級生。元魔法少の女の子。

街の一番大きな神社で巫女をしている。食いしん坊であり、早食いでもある。

お腹が空くとなぜか方向音痴になり、よく迷子になっていたりする。

&bold(){冬月十夜}

人型に変身できる特別な子猫。「ゆめのねどこ」に姉と共に住んでいる。

さみしがりで人見知り。内向的な性格だが大雅に対してだけは少し生意気。

&bold(){陽向行あさひ}

人型に変身できる特別な猫。十夜の姉で性格は冷静沈着。

小説や映画、絵画など、人間世界の文化に触れることを好んでいる。

少し中二病で、オタク向け作品も好き。

&bold(){ナナ}

参禅町の夜に住む誰か。あるいは列車の精霊。あるいは、神さま。

一見、無口無表情だが、一度心を開いた者には意外なほどよくしゃべる。

家代わりにしている古いSLから外へは出られない。

カップ麺が好き。

&bold(){兎蛙あず咲}

智仁の姉。元魔法少女の女の子。弟の智仁とは真逆で内向的。

大雅たちとは違う、遠い学園に通っており、あまり出会うことはない。

&bold(){兎蛙智仁}

主人公、奏大雅の親友。のんびりとした性格で誰にでもやさしい。

音楽好きで、将来の夢は音楽そのものになること。

ひどい面倒くさがりで、いつも学校をさぼることばかり考えている。


評価点

シナリオ

  • ルートロックがあり、ハルルートは3番目、クロルートは4番目固定となっている。
    • ルートロックのある作品は、グランドルートの評価が高いが、他はあまり高くないということがありがちである。しかし本作は、グランドルート以外も評価が高い。
      • 一部から、普通の個別ルートでも、他作品のグランドルート並みの感動があると言われている。
  • サブキャラクターの話。
    • サブキャラクターがメインで展開される話も評価が高い。特に姫織ルート序盤の十夜のストーリーは、グランドルートや他のメインヒロインのストーリーを押さえて最も泣けたという人も少なくない。
  • 伏線回収もしっかりとある。
    • 重要な文章に傍点が振ってあったりと、分かりやすく匂わせている物も多く存在しているため、伏線かどうかは人によって変わってくると思うが、中には初回プレイだけでは伏線とは気づきにくいものもしっかりと存在している。

      また、伏線の量が膨大な数あるため、傍点が振ってあるものも回収する頃には忘れてしまう可能性もある。
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  • ミスリード等のトリックがある。
    姫織ルートでは、姫織が主人公のことを殺そうとしているのではないかといったミスリードが存在している。
    衝撃的な内容にミスリードさせることによって、物語に引き込ませている。
  • また、そういうことだったのかと思わせるトリックも存在している。共通ルート序盤に奏大雅は左利きと分かるが、クロルート序盤で奏大雅は右利きという言葉が出てくる。

    一見矛盾しているが、実際は右利きの人物は、主人公とは違う奏大雅だということが後に分かる。

世界観

  • 世界観は幻想的で美しい世界観だが、相当作り込まれており、雰囲気も評価の高い作品となっている。
    • 大人になると見えなくなる夜のイキモノたちや、魔法がある、おとぎ話のような世界観でありながら、サブタイトルのreincarnation(輪廻転生)のような複雑な要素も入っており、非常に引き込まれる舞台設定になっている。
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  • タイムトラベル要素やパラレルワールドが存在する。
    • 複雑でありながらも面白い要素である。

キャラクター

  • 主人公、メインヒロインは勿論だが、サブキャラクターにもしっかりと魅力が詰まっている。
    • 立ち絵のあるキャラは、ほぼ全てのキャラが何かしら活躍している。

音楽

  • ボーカル曲、BGM共に評価が高い。
    • ボーカル曲は、2ndOPが2019年のTwitterベストエロゲソング投票で1位を取っている。
    • BGMは量・質ともに優れている。他のフルプライス作品の2倍ほどのBGMが用意されている。

グラフィック

  • 世界観にマッチしたグラフィック。
    • どれも気合いが入っているが、特に夜の国の背景は、美麗な仕上がりである。

賛否両論点

  • テキスト
    • 相当人を選ぶテキストになっており、人によってはプレイを断念するほど。
    • 同じ言葉が何度も出てきたり、遠回しな表現をしたりと、少し詩的な文章でもある。
    • ただ、このテキストが好みの人がいるのも事実であり、人を選ぶが刺さる人には刺さる文章になっている。
    • 公式サイトや体験版で文章の癖は分かるので、見ておくことをおすすめする。
  • 複雑過ぎる世界観
    • 複雑であるため、頭を空っぽにして楽しめる作品ではない。
    • どちらかというとじっくりと味わう作品になっている。人にとっては辛いが、だからこその世界観の良さでもある。
  • プレイ時間
    • 音声をしっかり聞くと、だいたい60時間から70時間くらいかかる。プレイ時間が長くプレイしづらい。
    • 逆に言えばそれだけこの世界に浸っていられるので、世界観が強みのこのゲームにおいてはメリットにもなりえる。
  • 主人公やヒロインの行動
    • ネタバレになるため下記に伏せるが、人によっては苦手な行動をしている。
    • 体験版の範囲でその片鱗は見えるので、体験版のプレイをおすすめする。
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  • 主人公やヒロインが自己犠牲の精神を持っている。
    • 全てのルートでこの要素が入ってくるので苦手な人にはとことん合わない。
    • ただ、合えば感動的になる要素であるのは間違いない。
  • 鬱要素
    • 同ブランドの『ハッピーライヴショウアップ!』や『星空のメモリア』等に比べて重い展開が多く、人によっては合わないと思われる。
    • ただその重い展開があるからこその感動もあるため、絶対に捨てることの出来ない要素ではある。

問題点

  • バックログジャンプがない
    • バックログは見られるため文章は見えるが、任意の場所に飛べない。この機能を多用する人にとってはだいぶ辛いと思われる。

総評

評価の高い作品だが、人を選ぶ要素があるので、体験版のプレイは必須レベル。

ただ、もしも刺されば頂点になりえるレベルの名作。

余談

  • 2023年2月22日にPC版の修正パッチが配信された。