ちなちな

Last-modified: 2023-01-05 (木) 22:32:10

「「ど、どうしてこうなったの!?」」

自室の中で吉川ちなつの叫び声が響く。
幸いにも今日は休日で家族がみんな出かけていたおかげで、この事件に気が付かれることがなくてホッとする。
改めてちなつは自分の向かいに座る人物に視線を向ける。
そこにはおそらく自分と同じ表情をしている吉川ちなつ本人が座っていた。
ピンク髪のツインテールに幼さの残る顔つき、まだ未発達の胸に低い身長と何度見ても自分と違いがないくらい瓜二つである。まるで鏡の前に立っている気分に逃げたいと思うが、残念なことに目の前にいる自分は鏡に映っているのとは逆のため虚像ではない。
ちなみに鏡でもなければ、双子の姉妹というわけではない。正真正銘、どちらも本物の吉川ちなつ本人なのである。

「どうして・・こんなことになっちゃったんだろう?」
「わ、私に訊かれてもわからないよ」

深いため息を吐きながら、ちなつたちはこうなった経緯を思い出す。

というよりも、彼女たちもなぜ自分が二人に増えたのかわかっていない。だが、原因と思われることには心当たりがあった。それは昨日のことだ。
ちなつは、恋心を抱いている先輩の船見結衣と恋人同士になりたいと日々、アプローチを続けていた。しかし、自分も結衣も女性だ。女同士で恋人同士になる人は世界にも沢山いるが、だからといって女性全てが同性での恋愛が良いというわけでもない。同性同士の恋愛でも気にしないちなつと違って結衣はノーマルの人間だ。故に、ちなつがどれだけアプローチをしても結衣にとって自分は可愛い後輩という関係でしか見ていない。
例え恋人関係になることが不可能でも、ちなつは恋する乙女だ。相手と関係を変えることは無理でも、つい想像してしまうこともある。
恋人関係になっている関係を想像するときもあれば、夜の性行為をしているときも想像してしまう。

「も、もし先輩とそんな展開になったらああああああ!!!」

想像したら恥ずかしくて顔が真っ赤になり、ベットの上でごろごろ転がってしまう。

「先輩と・・か」

嬉しさもあるが、それ以上に大変なことに気づいてしまった。それは彼女がそういった経験をしたことがないことだ。まだ中学生であるちなつが性行為など経験しているなどありえないことだが、考え過ぎで思考が固まっていたちなつはそんな普通のことが考えられなくなっていた。
次第に不安になり顔が真っ青になる。

「も、もし結衣先輩とヤる時に、下手糞って思われたら愛想つかされるかも!?」

悪くありえない想像がどんどん膨らんでいき、徐々にネガティブ思考へと変わっていく。

「こ、こうなったら誰かにお願いするしか・・!?」

などとバカな考えに陥ってしまうが、そんなこと頼めるはずもなく、仮に頼めたとしても変な目で見られるのは確実。それよりも、頼める相手など彼女の周りにはいない。

「どうしよう・・・こんなとき・・練習相手してくれる相手がいてくれたらな・・」

夜も遅くなり、眠気が襲ってきた。ウトウトし始める彼女は眠気に勝てず目を閉じながらそんな言葉を呟き眠りの世界へと旅立っていった。
そして朝、目が覚めたら二人に増えていたのだ。

「やっぱり・・寝る前にあんなこと呟いたから?」
「普通なら、漫画みたいだと笑いたいけど現実に起こってるしそうなのかな」

というかそれしか思い辺りがない。
これ以上考えても、訳が分からなくなると思った二人は、自分が二人に増えた現実を潔く受け入れた。
そして頬を朱く染め、どこかそわそわしながら相手を見つめる。相手も同じポーズでこちらを見る。交差する二人の視線。

「ね、ねえ・・私が今何をしたいかわかる?」
「たぶん・・。わ、私も同じことを考えていると思うから・・」
「じゃ、じゃあ・・やってみていい?」
「うん・・その願いが叶ったから二人に増えたんだしね・・」

確かに、自分相手なら遠慮なく好きなように相手を犯すことが出来る。だが、いくら自分が相手でも恥ずかしいものは恥ずかしい。顔を真っ赤にした二人は意を決して服を脱ぎ、生まれたままの姿へと変わった。

「い、いくね?」
「う、うん」

お互いに緊張しながらゆっくりと距離を縮めた二人は、腕を伸ばしてもう一人の自分を抱きしめる。

「「ひゃん!!」」

重なる肌の感触につい声を上げてしまう。変な声を出してしまったがために、二人の顔はますます真っ赤になる。チラッと、相手の顔を見ると、潤んだ瞳をして顔を真っ赤にした自分の顔が視界に映る。その相手の姿にドキッと心臓の鼓動が強くなる。
ゴクリと唾を飲み込むと、二人は身体を密着させたまま顔をゆっくりと近づける。瞳を閉じ、柔らかい唇同士を押し付け合った。

「「んっ・・」」

初めてのキスをして、ちなつたちが最初に思ったことは柔らかいという単純な感想だった。プルンと弾力のあるピンク色の唇の感触を感じながら、優しく何度も短いキスを繰り返す。
少し落ち着いて来ると、今度は一気にステップアップして勇気を振り絞り舌の先っぽだけ口から出し、密着している相手の唇を舐める。
唇に付着していた相手の唾液を舐めとり、舌を口内に一旦戻してその味を堪能する。同じ自分の唾液のはずなのに、別の自分からとった唾液と考えただけで身体が熱くなってくる感覚に陥る。
するとまるで麻薬のように、もっと欲しいと思うようになる。
身体が熱くなったことで興奮状態になっているちなつたちは、先ほどまでチロチロと舌を伸ばすだけがやっとだった人間とは思えないほど大胆に舌を勢いよく伸ばす。柔らかい相手の唇に舌をねじ込み、歯茎を舐めたりして、口を開けさせると小相手の中に舌を侵入させる。

「「んんっ・・ふっ・・はぁ、んちゅ・・ちゅるっ、くちゅ・・・ちゅ・・ちゅっ・・んあ・・!!」」

口内に入り込むと、我慢していた獣の如く舌をがむしゃらに動かし色んな箇所を舐め唾液を採取し始める。ちなつが行動するともう一人のちなつも同じように行動する。
相手の口内を荒していると、何度も相手の舌とぶつかり気づくと勝手に舌が絡まり合ってしまった。

「「んちゅ・・くちゅっ・・!!ちゅっ、んっ・・はあ・・んはっ・・ちゃぷ・・!!」」

舌を絡ませながらも唾液を啜り、吸いつくす。
口から吐きだされた生暖かい息が顔にかかり、自分の匂いが鼻孔に入ってくる。
身体の熱がさらに上昇し、下半身から液体が流れ出てくる感覚に気づく。
気になった二人は、顔を離すと同時に視線を下に向ける。

「う、うわぁ・・これっておしっことかと違うのかな?」
「どうだろう?私そっちの知識全然ないからわからないよ。でも、凄い匂いがするね」
「うん。私の唾液も美味しかったけど、私から出てるこの液体も舐めたら美味しいのかな?」
「試してみようよ!」
「うん!!」

若いからこそ、気になったことがあると知らずにはいられない。同じ人間のため、二人のちなつは同じ考えを抱き、どうやって舐めればいいか考える。普通に顔を近づければ舐めれるのは確かだが、もう一人の自分と一緒にするなら、やりにくくなる可能性が高い。だからといって、自分のを舐めようにもそこまで身体が柔らかくないため不可能。
腕を組んで考えるちなつたちは同時に閃く。

「「良い方法思いついた!!」」

思いついたが吉日。自分同士なため、同じアイディアを思いついたと確信している二人は一切の会話をすることなく身体を動かす。
そして上下に重なる感じで69の態勢になる。この体勢なら二人一緒にできて、尚且つやりやすい。
あまりにも素晴らしいことに気づいたがために、もしかしたら自分は天才なのではないか?っと酔ってしまう。
早速、相手の秘所に顔を近づける。

「わぁ!ピクピク動いているよ!」
「それにさっきからおしっこみたいな液体が流れ出てきてる!!」
「「じゃあ、舐めてみよっか!」」

興味津々に観察した後、いよいよ本番。顔を近づけ、舌を伸ばす。まずは膣入り口周辺の濡れている箇所を舐めてみる。
一舐めすると身体がビクッと痙攣する。

「「あん!」」

声を上げ驚きの表情を浮かべる。

「なに今の!?舐めただけなのに身体中に衝撃がはしってきた!?」
「それにこの液、とっても変な味がするね!」
「なんだろうこの味?苦みがあって美味しくないのに不思議と嫌にならない味だね」
「もっと舐めてみようよ!」
「うん!!」

再び二人は舌を伸ばして秘所を舐める。今度は膣口に舌を突っ込んでみた。

「「んんんんんんんんんんんッ!!!」」

今度は身体中に電流が流れるかのような感覚に襲われた。先程よりも強烈な刺激に二人は恍惚の表情を浮かべながら舌を動かす。
膣内に入った舌からは愛液の味がくる。
我慢できなくなった二人は口を秘所に押し付けると勢いよく吸い始める。

「「んじゅううううッ!!・・・じゅるるるるぅ!!」」

口内にはどんどん愛液が吸い込まれていき喉を潤していく。しかも、秘所を刺激されていることで愛液がどんどん流れてくるため、膣内の愛液が空になることはなくちなつたちは満足するまで愛液を飲み続けた。

そして・・・

「「んんんんんんんんっ!!?」」

休むことなくくる快楽の波に耐え切れず、二人は絶頂を迎える。大量の愛液が一気に流れてくる。その勢いに耐え切れず、口を離すと、外に噴射した愛液はちなつたちの顔や身体にかかってしまう。
愛液を出しきった二人は、一気に疲労に襲われ並んで床に倒れてしまう。

「「はぁ・・はぁ・・!!」」

身体中から異臭を漂わせながら、顔を見合わせる。

「これが・・性行為ってやつなのかな?」
「たぶん・・。思ったよりも大変だね」
「うん。これじゃあ先輩とヤるときに途中リタイヤしちゃうよ」
「そうならないためにも、今のうちにきっちりと練習しよう!!」
「そうだね!!」
「「じゃあ・・」」

ニコリと笑い指を絡ませ合いながら、二人は相手の顔を見つめ、

「「私が上手くなるまで、付き合ってよね!」」

同時にそう言うと、二人は抱きつき合ってから唇を奪い合った。

その後、二人に増えたちなつがどんな人生を歩んだのかは誰も知らない。