アレサ ARETHA the SUPER FAMICOM

Last-modified: 2024-03-03 (日) 19:29:29
発売元やのまん

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開発元日本アートメディア
発売日1993年11月26日
定価9,800円
書換ニンテンドウパワー
1998年8月1日/1,000円/F×4・B×4
セーブ3箇所
判定良作
ポイントGBからSFCへ
全方位バトル

概要(SFC版I)

『アレサ』シリーズはGB版が3作品発売されており、SFC版にも進出した。

SFCの性能を駆使しGB版から表現力が大幅に向上しており、全方位バトルという独自性の強い要素も取り入れられている。

特徴(SFC版I)

  • ストーリー
    • アリエルは毎晩夢にうなされていた。それは、城が戦火に巻き込まれるという内容である。
    • 本作は序章から始まり、その数年後にファングとともに壮大な本編が始まる。
登場人物、ネタバレあり
アリエル
  • 主人公の女の子。フォーセットの森で祖母のセアラと暮らしている。10才の誕生日から大きな転機が訪れる、祖母セアラから母の形見ゴールドリングを授かり、ニネヴェにお使いに行くところから想像もつかないような冒険の幕開けとなる。
  • 良識があり魔法を得意とする。
祖母セアラ
  • アリエルの祖母でありアリエルと森の奥で暮らしている。
  • 南のニネヴェの道具屋ランゼル、アーマとも交流があり顔が広い。
ジャック
  • アリエルの幼い頃からの友達だが、序章では調子に乗って懲らしめられる。本編最初にではモンスター図鑑をくれるがそれ以降は出番がないのは惜しい。
ファング
  • 序章でもらったタマゴから孵化したドラゴンの子供。セアラに『チャッキー』と名付けられそうになるがファングと名付けられる。
  • 普通に人語を話すが、人々は特に驚いたり怖れたりはしないでくれる。
  • 無尽蔵に炎を吹く事が出来る。物語が進むにつれ成長して行き能力も大幅に向上していき、グラフィックにも反映されている。
エフライム
  • 謎に包まれた老人。かつては王宮魔道士であり天才と呼ばされていたが突然行方をくらます。
  • 目的のために手段を選ばない。序盤でアリエルを騙くらかして品物を奪い、セアラとも因縁がある事を仄めかす。後に砂の城でもレイラとザイハルトからも敵視されている。
ドール
  • アレサシリーズ皆勤賞の人気キャラ。本作では水晶の中に閉じ込められていたがアリエルに助け出され共に冒険をするようになる。
マードック
  • ニネヴェ村の道具屋ランゼルの知り合いであり、武器屋を経営している。旅に同行するのは序盤のみであるがそれ以降はシナリオの方で協力してくれる。
カイル
  • 正義感の強いまっすぐな剣士。旧アレサ神殿でアリエルを助けてくれてから彼とは長い付き合いになる。
ダラハイド
  • 謎の多い剣士。芝居がかったキザな言動だが紳士的なところがあり、作中ではアリエル達が密航がバレて簀巻きにされるところを助けたり、その後も旅に同伴したりしてくれる。
シリア・ミネア・マリー三姉妹
  • 旧アレサ神殿で窮地に陥ったアリエル達を助けてくれる。アリエルが囚われた際はマリーは壁を壊して助けてくれており、シリアは目的が砂漠にある事を占ってくれていたりする。
  • また、中盤では短い間であるがプレーヤーの選択に応じていずれか一人が参戦してくれる。戦い方もそれぞれ異なる。
ザファン侯爵
  • 帝国の重役であり、色々な策を弄してアリエル達を苦しめて来る。ドールを洗脳したりエフライムの娘エルダの死体を弄びぶつけようとしたり、更にはセアラの自宅を襲撃して監禁しているなど多岐に渡る。
  • ドールを洗脳した際は、カイルも「ドール!気でもちがったか!?」と取り乱しており、その直後にドールが襲い掛かって来るがカイルはドールの攻撃に耐えながら必死で説得をする。その甲斐あってかドールは正気に戻るがカイルは重症に陥り、応援に来たアナスタシアに連れられて民家で療養して、その後EDにも登場せず。次回作ではカイルとドールで修行の旅をする。
トラサコ
  • 獣人。森の中で罠にかかっていたところを助けたら行動を共にするようになる。人語も話せるが平仮名がカタカナになる仕様。妖精の国で暮らすのが夢である。
ゾッピール
  • 毛むくじゃらのユニークなキャラ。口癖は「ッピ」
ワーウィック
  • 各地の船を襲う海賊。腕っぷしも相当なものでありカイルでさえもを簡単にねじ伏せる程である。船が海の怪物に飲まれた際は脱出をするべく主人公達と共闘を申し出る。
アナスタシア
  • バシム子爵に両親を殺された過去を持つ。今はワルザックの砦から牢屋からに囚われの身である。
レイラ
  • 砂の城で初登場。ザイハルトとともに謎の老人を追っている。当初はアリエルと敵対していたが後に本当の使命に目覚め共に戦うようになる。
ダラハイドについてネタバレ
  • 実はヴァンダール帝国のダラハイド・ガデルエ伯爵であり、終盤で再登場して打ち明ける。「…もう、会うこともないでしょう!」と言うが…
  • マテリアは登場しないが、世界観もGBと繋がっており通貨はPERAで、ハロハロの町が出てきたりする。
  • 魔王ハワードは本作でも次回作でも一切登場しないが、作中ではかつて猛威を振るった魔王として触語り継がれていたり、ダラハイド(2回目加入)がハワードソードを装備していたり僅かに関連性を見せる。更にその後の作品では…
  • 戦闘システム
    • 本作の戦闘はエンカウント方式でドラクエ型のフロントビューのような構成となっている。
    • 手番が回ってきたキャラはアイコンから、攻撃、魔法、道具、防御、逃走などを選択する仕様である。
    • レベルアップした際は、各パラメータの差分が表示される。
    • 魔法の習得はレベルを上げただけでは覚えてくれない。これは、戦闘中に魔法を使用しておけば勝利後に新しい魔法を覚える事がある、という仕様である。
  • 全方位バトル
    • この作品の戦闘には前後左右の概念があり、「挟み撃ちにあっている」「多数の敵に取り囲まれている」などのシチュエーションが表現されている。
    • 敵が表示されるのは現在向いている方向のみ。方向LRボタンでスクロールが行える仕様。1画面ずつで合わせて4画面で1周。
    • 序盤のうちは普通に1画面のみであるが、ゲームが進むにつれて4画面も出て来るようになる。
    • 他の3つ分の画面外の敵は、ゲーム画面右上の枠にMマークで表示される。
    • この手の仕様は珍しく、他社では『Wondrous Magic?』『グランヒストリア』くらいである。
  • モンスター図鑑
    • 今まで倒した敵の画像と解説文が表示される。
  • ミクストフォーム
    • 倒した敵に応じてソウルを落とすが、それらを合成して武器や防具を作り出す魔法を扱う人が各地に点在している。
    • 使用するソウルの数に応じた料金がかかり、さらに人によって合成可能なソウルを扱う最大値が設定されているため、基本的には先に進むにつれて徐々に強力な装備が解放されていく仕様になっている。
    • 使ったソウルの属性に応じて、完成する装備の修正値が変化する。
  • 相談コマンド
    • 仲間と会話をすると一枚絵グラとともに次にすべき事を教えてくれる。
  • 名前の変更は自由
    • 現在パーティーにいる仲間のみ自由に変更できる。
      • 空白によるデフォルトがないため忘れたら困る点、後に変な名前で再開するという悲劇もあったりするのでそのあたりは自己責任で行う事。
    • やのまん作品で色々と取り入れられている仕様であり『[[SONG MASTER』や『FEDA:The Emblem of Justice]]』でも採用されている。
  • 乗り物
    • 道中では船や飛行手段が手に入る。飛行シーンは回転拡大縮小機能を活用して奥行き感を表現。

評価点(SFC版I)

壮大な世界観

  • やはり個性豊かなキャラクター達であらゆる場所で活躍するのがアレサの魅力の一つと言えよう。素材も良く細部まで作り込まれて世界観を見事に表現している。
  • 多彩なマップ
    • 森や洞窟は勿論、砂漠、海底、火山帯など、多彩なダンジョンが出て来る。
    • 更には、遠景による奥行き感、エフェクトには半透明+波打ちなどの演出も加わりより臨場感が向上。
  • 歩行システム
    • 本作では8方向は移動はせずに、斜め入力をしてもジグザグ移動はしないのだが、地形に当たっても少しくらいなら自動で迂回してくれるので引っかかることなくスムーズに移動できるので便利である。
  • 相談コマンド
    • キャラクターの一枚絵がアニメーションを交え表示される。大きなグラフィックも相まって会話している感がある。
    • 次への目的地も教えてくれるのでゲームに詰まる事はないようになっている。
    • Yボタンでショートカットも用意。即座に相談コマンドに移れる。
  • 文章
    • 漢字が使われており、重要なワードには赤や青の色が付いた文字で強調してくれる。
    • 小さな文字サイズでも漢字を使っていたのがGB版アレサの特徴だったが、この時期には文字サイズも大きくなり他のゲームでも普通に漢字が使われるようになっていた。時代がアレサに追い付いたというべきか。
  • アイテム
    • 消耗品と装備品に分かれているのは快適である。装備出来るキャラも区別し易い。
    • 解説文まで1つ1つ用意されている。ただし、戦闘中には説明文は出ない。

全方位バトル

  • 本作独自とまでは行かないが全方位バトルは非常に珍しく独自の臨場感があって面白い。
    • 全体攻撃の際はスクロールをしながら魔法の演出が行われる仕様で、ド派手かつスピーディーである。
  • 戦闘曲は多彩でザコ戦で2曲、ボス戦で3曲用意されている。

賛否両論点(SFC版I)

  • どこでもセーブ可能
    • 便利ではあるが、これにより緊張感は損なわれるという意見はある。
  • パーティーメンバー全員石化で全滅
    • ゲームボーイ版アレサと違い、戦闘でパーティーメンバー全員が石化すると一般的なRPG同様全滅扱いになった。
  • 主人公が魔法使いという立場
    • 主人公であるアリエルは杖を武器として魔法と使うというポジションであったためか剣類の武器が装備できない。
    • 王女になってからも戦い方が変わるわけでもない。

問題点(SFC版I)

ゲームの構成について

  • OPは飛ばせない
    • 2分くらいのデモがあるが、台詞の早送りも出来ないのでどうしても待たなければならない。
    • ちなみにその冒頭で出て来た人物達は本編でアリエルが後に戦う相手なのだが、OPで後ろ姿を見たきりなのでプレーヤーもアリエルも覚えてはいないだろう。
  • アイテムの上限が厳しい
    • 薬は上限50個まで、アイテムは60個まで、防具は30個までである。
      • 個数は全部合わせての個数であり、例えばポーション30個とメラジン30個持ったら60個であり、それ以上は持てなくなる。
      • 武器・防具を外す際はアイテムが上限だと「持ち物がいっぱいです!!」と言われる。
    • アイテムの整頓は出来ない点、合計所持数も表示されないのは不便なところであり、終始やりくりに悩まされるのは必至。
    • このあたりも次回作で改善される事になる。
  • 宝箱
    • アイテムがいっぱいだと「これ以上、持てないわ!!」といわれるが、中身は言わないので、クスリ・アイテム・装備どれを捨てるべきかも分からない。
  • 序盤の森
    • 序章で小人を追いかけるイベントあるが、特に目印もないためイベントが起こる場所はひたすら歩き回って探し当てるしかない。
  • 期間限定のダンジョンが多い
    • 一度行ったら二度と来れないダンジョンも多いので宝箱を取り逃したら難儀である。
  • イベントで仲間が外れる際に起こるゲームオーバー
    • ザイハルト戦で、ファングだけが生きている状態で勝ってしまうとイベントの後に街中で即ゲームオーバーになってしまう。これはファングが離脱した後に残されたキャラが全滅している計算になるからである。

戦闘バランスについて

  • 相手のダメージが表示されない。
    • 『SONG MASTER』ではHPが全て丸わかりだったのに対し本作は逆に分かり辛い事になっている。一応、攻撃した際のエフェクトに応じて効いているかどうかの判別は可能。
    • このあたりは不評だったのか次回作では普通に数字が出るようになっており敵の残りHPに応じて青黄赤と光るようになっている。
  • 魔法の習得
    • 普通にレベルを上げるだけでは魔法を覚えてはくれない。これは、戦闘中に魔法を使っておく必要があるからである。
      • このあたりは作中では誰も何も言わないので分かり辛いところである。
    • 次回作では普通に覚えてくれるようになる。
  • 状態異常が厄介
    • 特に序盤早々コーズ山では、毒(ヤマトゴキブリのエメイン)を受けたり更には石化(ガルダのリトス)まで飛んでくる。
    • 回復アイテムもキュアポイズンは150PERAと現時点では高めであり麓のディル村には売ってないのでかかったら大変である。石化は戦闘不能でEXPも入らず戦闘後に治る事もないが宿屋で治るのが救いである。
    • ボス戦はあるように思わせて実は無く、最悪リセマラでセーブロードでどうにかイベントをこなし宿屋まで逃げ帰れば詰む事はないがとにかく厄介なところである。
      • ストーリー上でも敵がここまで猛威を振るう理由も無く、とても序盤でやるような事ではない。
    • 以降は万能薬みたいなのが600PERAで買えるようにはなるが、今度はアイテム欄の圧迫に悩まされるところである。
  • 戦闘中のやりとりに欠ける
    • 会話も一切なく、ラスボスは第一形態のみで変身はしないのは寂しいところである。
    • GB版では実装されていたのでSFCでも取り入れて欲しかったところである。
  • 誤字脱字
    • 子爵とのやり取りの際に返り打ちとあるが、返り討ちとするところである。

総評(SFC版I)

  • アイテムの上限や戦闘のダメージ非表示など色々と不便な点も見られるものの、SFCの性能容量をふんだんに活用してグラフィックなどの素材も非常に作り込まれており更には全方向バトルなど斬新な要素も加わり、アレサの世界観は大きく広がった作品と言える。

余談(SFC版I)

  • サウンドトラック『アレサ~魔法人形のレクイエム』が存在する。これはGB版とSFC版に関連した内容となっている。
  • 『トリネア』
    • モンスター図鑑でサーラを見ると、トリネアのサラとは関係ないとある。
    • この、トリネアとは同社から数週間前に発売されたアクションゲームの事である。ちなみに、ダメージに応じて青黄赤と点滅する仕様は後述するアレサIIにも採用されている。
  • 全方向バトルという概念はとても珍しい
    • 実は本作のおよそ丁度1ケ月後にも、アスキーから『Wondrous Magic]]』が発売されており採用されている。こちらもアイコン仕様、アイテムの上限が60など色々と共通点もある。
      • CMでも「迫力の360°バトルシステム」と謳われている。ただCMでアリエルと思わしきビキニアーマーの女性は何故か剣を使っている。GBシリーズのマテリアと混同したか?
    • もっと後にはバンプレストから発売される『[[グランヒストリア>GRANHISTORIA ~幻史世界記~』でも似たような取り組みが行われている。こちらも本作とはまた違った魅力を打ち出して来ている。