戦極姫 ~戦乱の世に焔立つ~

Last-modified: 2023-12-28 (木) 21:08:31

【せんごくひめ せんらんのよにほむらたつ】

ジャンル本格戦国シミュレーションAVG

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対応OSWindows XP/Vista/7
発売元げーせん18
発売日2008年11月20日
定価8,800円(税別)
配信2011年1月7日/7,190円
廉価版新装版:2011年11月25日/4,800円
判定なし
KOTYeでの判定2008年の次点
ポイント統一感のない武将達
笑えるのから深刻なものまでバグてんこもり
パッチさえ当てれば普通に遊べる

概要

  • 後にシリーズ化される18禁戦国シミュレーションゲーム『戦極姫』シリーズの初代作品。
    • 2009年度クソゲーオブザイヤー据え置き機&携帯機部門において栄えある2冠を達成した『戦極姫 ~戦乱に舞う乙女達~?』の始祖として有名である。

特徴

  • 戦国時代の武将が女性化されており、戦国乱世の日本を統一することが目的のSLG。かの戦国SLGの名作『天下統一』のシステムにエロゲ向けの修正を加えて流用している。
  • シナリオが用意されているのは島津・毛利・織田・上杉に加えて2周目以降に使える武田の5家。プレーヤーはオリジナルキャラの軍師・天城颯馬となってそれぞれの家に仕えるのだが、立場は家によって様々(島津と毛利は君主と幼なじみという関係、織田と上杉は単純に軍師として雇用されたという関係)。
  • 1度シナリオをクリアすると群雄モードといって、シナリオの無い他家でもプレイができる。この場合は天城は登場せず、他家の君主としてプレイする。イベントはない。要するに普通のSLGと変わらないモード。
  • 侵攻度合いによってメインヒロインのシナリオやエロシーンが見られる仕様。「政略」に「面会」というコマンドがあり、ここで会うことによって基本ヒロインではない固有女性武将のHシーンが見られる*1
  • 高い威信値とそれに見合うだけの石高*2、そして山城(京都)を抑えれば将軍就任でトゥルーエンド。威信値が低いままに全国統一を果たせばノーマルエンドとなる。

問題点

  • グラフィック
    • 複数の原画師によって描かれているが、物の見事に統一感がとれていない。
    • 上手な絵ならまだいいものの、どう見ても低レベルな絵が含まれている。例を上げると柴田勝家の扱いがひどい。
    • このため据え置き機版では問題があった絵師が担当していた武将が物の見事に別の絵師に差し替えられている*3
    • ただし、当該の絵師自体が悪いというのではないため、グラフィッカーに問題があったといえる。
    • その一方で美少女とまともでないキャラが同じ空間にいる光景はカオスすぎてバカゲーテイストな面白さがある。
    • 1および2には智猫と呼ばれる、人語を喋る猫がマスコットとして主人公として付いてきているのだが、1の場合は顔の作りがリアルで却って不気味だった。こちらも据え置き以降は親しみが持てる外見へと改変が加えられている。3以降は姿を消した。
  • バグ
    • 笑えるところから言うと、告白する美少女(明智光秀)の背後にハゲのおっさん(丹羽長秀)がいるシーン。これは単純にキャラの消し忘れである。
    • 深刻なところでは、本多忠勝が、シーンを進めていくうちに自然消滅してしまうというバグ。
    • その他にもWin版では色々なバグがあるが、気軽にパッチがあてやすいPCということもあって、軒並み改善されている。
  • システム
    • ベースが1989年(ADVANCE版では2002年)なのに、操作系はほとんど変えていないので不便なところがある。
    • 具体的には自由にセーブ・ロードができないこと。特にロードする際に1度タイトルに戻らなければならない点はストレスが溜まる。
    • 「女に会う」コマンドは、実行してみるまでイベントが起きるかどうか確認できない。ゲームの成り立ちが成り立ちなので仕方がないが、いかにも取って付けた風になっている。
    • SLGが分かっていること前提にシステムが作られているので、チュートリアルがないなどエロ目当てのプレーヤーには不便な面が散見される。
    • 非ノベル系エロゲーは全クリアに時間がかかる。ノベルゲーと違い、既読スキップで中途の展開を飛ばせないからである。しかも国獲りSLGなので1度クリアしたからといって、経験値や資金が引き継がれるという訳でもない。仮にチートしたところでクリアが容易になるだけで約束される訳ではない。攻略サイトを見て、答えを知れば事足りるノベルゲーとは違い、プレーヤーにもセンスの良さが要求されるからである*4。しかも、序盤さえ乗り切れば消化試合になるのではなく、展開によっては終盤に詰む可能性もある。手軽にシナリオを見たいプレーヤーからすれば相反する仕様であり、それらのプレーヤーにフォローに欠いていたからもしれない……もっとも、げーせん18の技術から考えると配慮した結果、最悪の展開になったとも言えなくもないところが怖いところであるが。
      • なお元システムである『天下統一』発売当時は「ある程度勢力が大きくなると個別撃破と言う名の消化試合」な(当時の)『信長の野望』と違って「天下分け目の関ヶ原がある(同規模に勢力拡大したCPU大名が存在する)」と言う賞賛意見もあった。しかし戦国そのものを楽しむ『天下統一』と違い本ゲームはHシーンを見ることが目的のエロゲーなので最後になって詰んだらと考えると…。
  • シナリオ
    • 織田家のキャラをうまく生かせていない。
ネタバレ
  • 織田家は尾張統一以後は光秀以外の愉快な仲間たちが登場しなくなってしまうので、キャラを生かせるも生かせないのへったくりもない。もったいないというよりはライターの手抜きである。
  • シナリオにおいて主人公以外の男性がキャラが登場することはあまりなく、目立つのは毛利家の志道広良ぐらいで島津家みたいに男性キャラが登場しないこともある。
  • しかし、武田家の場合は信玄と幸村がメインで、他の武将達は触り程度にしか登場しないのであるが、天城颯馬が祐筆(書記)という軽い立場にありながらも、典厩という武田家の有力親族でありながら公の場に姿を見せたことがない人物の言伝を使うという形で望外の発言力を持つことに不審を抱いた幸村が調べてみると、天城颯馬とは仮の名で、その正体は武田信玄の兄(史実では弟)である武田典厩信繁だったという驚天動地な展開を迎えることを比較してみると、やっぱり差が歴然としている。単純にライターの力量の差なのだろう。
  • その他
    • 現代日本から戦極姫の世界に召喚された女子高生が武将として仲間になるが、召喚された理由というのが、実はげーせん18の過去作のヒロインの娘で、ファンサービスのために召喚されたという、意味不明すぎるもの*5。もっとも、彼女のHシーンも意味不明過ぎて抱腹絶倒する代物だったりする(褒め言葉)

賛否両論点

  • 初代天下統一のゲームバランスや、シンプルな操作性がそのまま。下手に変えていないのが幸いして、非常に歯ごたえのある戦国SLGが楽しめる。要は形を変えた天下統一ADVANCEを遊んでいるようなもの。
    • 裏を返せば、「天下統一ADVANCEに美少女の要素をくっつけてぼったくった」ともいえるので、手放しで喜べることでもないのだが。
  • 織田家のシナリオに他作品のパロディが多い
    • キャラクター自体はツンデレ気味の織田信長と真面目人間の明智光秀をはじめ、人というよりはクリーチャーな柴田勝家文字通り猿な豊臣秀吉、数ある歴史ゲーの中でも最も優遇されているといっても過言ではない丹羽長秀など、良くも悪くもキャラの立った人材が揃っている。
      • 公式の人気投票では信長が4位、光秀が5位。2人合わせると投票全体の16.5%を占めており、かなり健闘している。決して不人気なわけではない。

評価点

  • 天下統一からの変更点は、年齢の概念が無くなったこと*6、年度制からターン制に変更されたこと、大雪や凶作、疫病などのマイナスなイベントが削除されたこと、武将の能力値の変更である。
    • 天下統一の場合、1年に行動できるのが春夏秋冬の4回だけでまごついているとあっと言う間に武将の寿命を迎えてしまうのでやりにくかったが、年度が廃止された事によってやりやすくなった。
      • ただし、自然死しないということでもあり、解雇もできないので無能武将をリストラしたい時にはわざと戦死させる*7という『HARAKIRI?』まがいのことをせざるをえなくなった*8
  • 幼なじみの4姉妹に挟まれて気軽で楽しいエロラブコメが味わえる島津家、心優しい幼なじみを皆で仲良くもり立てる毛利家、武田信玄と真田幸村との間の緊張感が心地よい武田家など、各家のシナリオは悪くない。それなりに楽しめるレベルである。
  • 修正パッチだけではなく、内容を拡張するスペシャルパッチも配布している。

総評

  • 「(前略)様々な点でクソゲーとしてあるべき基本を抑えたその様は見事なものである(中略)システムも普通のPCゲーから持ってきた分、ゲームとしてはそこらの下手なものよりよっぽど遊べると、総合的にはむしろ良作とすら言えた。(後略)」(2008年KOTYエロゲー板総評より)
  • コラとしか思えないぐらいに頭身・塗りやデザインが異なるキャラ並んでいるのはカオスであり、笑えるものや深刻なものまでバラエティに富んだバグを備えているなどクソな部分もある。
    • 尤もキャラデザのちぐはぐさと言う点は、クロスオーバー作品である『スーパーロボット大戦』は勿論の事、単一作品でも[[TCG*9や[[TCGと同じノリの作品((『クイーンズゲイト』はクロスオーバー作品だが『クイーンズブレイド』は単一作品である。))もあるので今ではそれほど可笑しくもないが。
  • 同時に勢力によっては、という前置きはつくもののシナリオも悪くはなく、なによりも戦国SLGとして普通に遊べるどころか非常にやりごたえのある戦闘も楽しめるといった長所もある。少なくともゲームとしては成立しているので、単純にクソゲーと断罪するには無理がある。これよりクソなシナリオやシステムのゲームなど、いくらでもあるのだから。

その後

  • 前情報では危ぶまれたものの、プレイをしてみれば意外に悪くはない出来や、当時の大本命であった『闘神都市III』がやや不評だった事もあって、それなりに好評だったようである。
  • 「昨今貴重な皆が笑って話せるクソゲー」であり「愛すべきクソゲー」として、KOTYe大賞最有力候補であったが……その後に悪夢よりもおぞましい何かが控えているなど、思いもよらなかった?*10

    形はどうあれWinで好評だったからこそ、移植という話が出たのだろうと思われるが、更なる惨劇?を生むとは想像だに出来なかった。だが、これはまた別の話である。
    • 余談だが、プレイした事のない人にはPC版と家庭用版を混同している人がかなり多いと思われる。このWikiの家庭用版のページでも、なぜかPC版にしか使われていないCGが張られている。
  • 『3』以降は安定した進化を重ねていき、安定したブランドになったと思われていたのだが、2015年に発売された当時の最新作『6』で大コケして評価は一変した。他にも2016年作品の『戦御村正 ‐剣の凱歌‐』は過去最悪の満足にプレイ出来ない未完成作品*11だったということもあり、予断を許さない。
    • 『6』では屑野郎と言う言葉だけでは言い表せない二人目の主人公、榊月冴の存在によって1作目でも成し得なかったKOTYe大賞を受賞する事態となった。システム面も武将である彼を引き立たせるためか、初期は強い武将と僅かな兵さえ居れば無双可能な大味バランスになっていて評価が悪かった*12
      • この月冴と彼に関わってしまったヒロインへの苦情が非常に多かったためか、強化版*13の扱いを見てもわかるように、公式から存在を抹消される事態になった。
  • この暴落から運営も勢いが衰え、ゲーム製作や経営困難となったのか『戦極姫7 ~戦雲つらぬく紅蓮の遺志~』を最後に「システムソフト・アルファー」は2020年1月1日に日本一ソフトウェアの子会社「株式会社システムソフト・ベータ」へ事業と開発を承継すると発表。
    • 2019年9月27日発売予定だった『真§戦極姫』は紆余曲折あり、継承と事業継承に伴い、2021年に発売中止が通販サイト等で報じられた。事実上のゲーム事業撤退で戦極姫シリーズは幕を下ろした。
      • 現在は『現代大戦略シリーズ』の開発に完全移行していった。

余談

  • 公式サイトにある武将解説の「史実を読む」の部分が、Wikipediaからのコピペ
    • Hシーンのある女性武将はともかく、一部の男性武将はシナリオにも絡みもしなければ、特にこれといったイベントもなく*14存在意義が分からない。設定は用意されているが、無駄。
  • 公式の人気投票を開催していた。
  • 本作のオープニングテーマ「火群-ほむら-」を作曲したクサノユウキ氏は、本作がゲーム音楽作曲のデビュー作であった。
    • 家庭用版のKOTY受賞で本作が有名になってしまったことには、スタッフ一同「不本意」であり「ショック」であったとTwitterで述べている。
    • 一方でその汚名返上をしようと長期シリーズ化が実現したのも事実であり、今では「いい思い出」であるとも語っている。

*1 ただし、特殊な条件なキャラもいる。
*2 2300万石から3000万石ぐらいの間。威信値が高ければ要求される石高が減る。
*3 同時に織田信長や長宗我部元親など、むしろ上手な部類の絵師も差し替えられている。何があったのだろうか?
*4 これは戦国SLG特有の問題なので、この点でクソゲーと見なすかどうかはゲームではなく、プレーヤー側の問題になる。少なくても家庭用版太平洋の嵐のようにシステムがそのものが腐っているというわけではない。
*5 げーせん18のゲームをプレイするのは戦極姫が初めてというプレーヤーも多いと思われる。
*6 まぁエロゲーなので、武将(ヒロイン)達の年齢層が限られているうえ老化させるわけにもいかないので。
*7 方法としては無人の城に強襲を選択。
*8 天下統一もこの点は同じ。だが不評のため、その後のシリーズでは解雇できるようになったにもかかわらず、こんな所までなぞってしまっている。
*9 原作は1999年
*10 ただしKOTYeそのものが、ここで挙げた「悪夢よりもおぞましい何か」がきっかけで設立されたものであり、同作が大賞に選ばれるのがほぼ既定路線だったため、この「大賞最有力候補」というのは実際には後付けに等しいものである。
*11 数多くのパッチを定期的に出したが改善しきれず、新作品(購入ユーザーは無償交換予定)として出すことを決定
*12 月冴に辟易としていた多くのプレイヤーにとって、さくっとクリア出来るようになっていたのである意味評価点でもあるが、そもそも彼が関わるシナリオが異常に多い上に、見ていて頭がどうにかなりそうなものばかりなのでやり込みたがる人は多くなかっただろう
*13 『3』以降恒例となったパワーキットのようなソフト。シナリオ、イベントが増加してシステムが改善される。
*14 例外的に長宗我部元親だけは「男の娘」なのでヒロイン扱い。