※シリーズでシステムに共通部分が非常に多いゲームなので、分割元の評価点や問題点は残しています。
DAIVAシリーズ
【でぃーう゛ぁ しりーず】
発売日 | 機種 | タイトル | 判定 |
1986年11月 | PC88 | STORY1 ヴリトラの炎 | 不安定 |
1987年2月 | FM77AV | STORY2 ドゥルガーの記憶 | |
1987年1月 | X1 | STORY3 ニルヴァーナの試練 | |
1987年4月 | MSX | STORY4 アスラの血流 | |
1987年3月 | MSX2 | STORY5 ソーマの杯 | |
1986年12月5日 | FC | STORY6 ナーサティアの玉座*1 | |
1987年6月 | PC98 | STORY7 カリ・ユガの光輝 | |
2003年12月11日 | Win | ディーヴァ・クロニクル*2 | |
2005年12月23日 | Win | ディーヴァ全シナリオセット*3 |
シリーズ概要
宇宙を舞台としたスペースオペラSLG。惑星戦のアクションゲームパートと星系開発及び艦隊戦のウォーシミュレーションパートを内包しており、メーカーは「アクティブ・シミュレーション・ウォー」というジャンル名を自称していた*4。
なお、FC版は対象年齢やハードウェアスペックの関係からSLGパートが簡略化されている。また、PC98版はSLGパートのみとなっている。
タイトルである「ディーヴァ」はサンスクリット語で「神」を意味する言葉「デーヴァ」(Deva)が元となっており、本作の随所にヒンドゥー教や仏教などをモチーフとした描写が数多く見られる。*5
シリーズの特徴
- 開発に関しては1カ月に5回コマンドを実行することができ、領有する惑星への投資や税率変更、艦隊の建造・編成・強化・移動を行うことができる。惑星のパラメータが上昇すれば月毎の収入が増え、防衛力が上昇すれば敵による惑星戦での侵略を阻止することができる。
- STORY6は開発フェイズがなく、星間移動モードのみになる。艦隊の生産については本星に接触することで生産する艦船を選択することで生産を行う。赤で表示されている惑星に止まると惑星戦が発生し、敵艦隊に攻撃されている自軍の惑星(赤青点滅で表示)に止まると艦隊戦が発生する(放置すると敵軍に占領されてしまう)。
- 惑星戦は「ドライビング・アーマー」と呼ばれる人型兵器で惑星の制圧を目指す。STORY1からSTORY6ではドライビング・アーマーを操縦しての横スクロールシューティングで、機種によって補助装備等の仕様が異なる。自機のカラーリングは1P側は青で、2P側は赤になっている。また各惑星には重力値が設定されており、ドライビング・アーマーのジャンプ力と移動速度が変化する。
- STORY7では惑星戦はアクションゲームではなく、シミュレーションパートの一部となっている。惑星上の建造物に対して、艦砲射撃を行ったり、ストーミーガンナーやドライビング・アーマーを降下させたりすることで制圧を目指す。
- 艦隊戦はSTORY6までは全て共通しており、艦を配置後、敵艦隊と撃ち合い、敵か味方いずれかが全滅するか撤退するまで繰り返される。撤退のタイミングは3ターン毎に得られ、敵が撤退する場合もある。艦隊戦に勝利すると参戦した艦隊のモラルが上がり、撤退するとモラルが下がる(なお、FC版にはその要素はない。)。
- 艦が全滅した場合、その艦隊は登録抹消となる。敵艦隊を全滅させると情報が得られる場合もある。
- なお、STORY6において艦隊戦・惑星戦で敗北した場合は制圧した惑星と生産力を大幅に減らされ主星に強制送還させられる。
- 各機種で共通の目的は敵の本拠地である「ナーサティア双惑星」を攻略すること。ただし、条件を満たさないとたどり着くことができない。
- 条件を満たすためには後述のストーリーによる横のつながりを利用したイベントを発生させる必要がある。
シリーズとしての評価点
- 共通の世界観設定を持7つのストーリーで構成された作品であるが、当時の機種間に互換性がなかったのを逆手にとり、各ストーリーが違う機種でリリースされるという特殊なマルチプラットフォーム形式でリリースされた。
- パスワードを用いて自分が育てた艦隊を他機種に援軍として送り込むことも可能。
- 偶然にも今日のソシャゲーのフレンド関連のシステムに通じているともいえる。
- 各機種のストーリーはそれぞれ横のつながりを持ち、他機種版の主人公がゲーム中のイベントシーンに登場する事がある。これはゲームをクリアするうえでも非常に重要。
- 7人の主人公が織りなすクロスオーバーストーリーは当時としては非常に完成度が高く、つながりが完全にわかった時の感動はかなりのもの。
- パスワードを用いて自分が育てた艦隊を他機種に援軍として送り込むことも可能。
シリーズとしての問題点
- ストーリーの全容を完全把握するためには全機種を遊ぶ必要があるが、そのハードルが当時は極めて高かったのが痛い。
- 実際のところ「カリ・ユガの光輝」以外は外伝みたいなものであり、一応単体の話としての決着は付くが、言い換えれば中ボス倒して終了と言う意味である。
- 逆に言えばPC98ユーザーにとってはギリギリのところで問題点にならないかもしれない。
シリーズとしての総評
規格が乱立されていた当時のパソコン業界*10を逆手に取った壮大なクロスオーバーストーリーは今見ても完成度の非常に高い作品ではあるものの、やはりそれを楽しむハードルが高すぎるのが最大の問題点。
しかしその壮大な構想をこの時期に結実させ世に送り出したというだけでもこのプロジェクトはゲーム史に残るといっても過言ではない。
今なら後述のDL版(エミュ版)の存在によりWindowsパソコン1台で全てのシナリオを堪能する事が可能なので、当時は不完全燃焼だった人もこの機会にもう一度挑戦してみると良いだろう。
シリーズ余談
- 東京書籍よりゲームブック形式のコミックスが発売されている。ただし作画担当者はSTORYによって異なる。また、勁文社からSTORY6の主人公マータリ=シュバンの部下であるミリス=シャイナを主人公としたゲームブックも発売されている。
- 徳間書店の雑誌「わんぱっくコミック」では本作のコミカライズが連載されていた。しかし連載中はSTORY7が未発売だったためネタばれ防止措置として最終話でクリシュナ=シャークがストーリーの真相を語る部分では台詞のほとんどが空白になっている。
- MIABOOKSよりファンブック「ディーヴァ・ファンブック」が発売されており、主人公7人のストーリーを一本にまとめた小説が掲載されている。上述の通りストーリーの把握が難しい作品のため、内容を把握したいならこれを読むのが一番手っ取り早いかも知れない。他にも当時としては珍しかったウォーシミュレーションゲームの開発に踏み切った経緯や7機種の並行開発と言う冒険の顛末、当時のゲーム開発の環境なども(総じておちゃらけたノリで)記されており、内容はなかなか豪華。
- STORY5の主人公「アクショー=ビア」は当初は「アクシュー=ビア」という名前であった。変更された経緯は不明だが、パソコン誌やT&EPRESS誌上において「悪臭=ビア」などと揶揄される投稿もあり、これらが影響を及ぼした可能性も否定できない。
- STORY7は80286以降のCPUを搭載しているマシンではさまざまな異常動作が発生する。これは元々80286以降のCPUでの動作保証をしていないため。
- 現在はプロジェクトEGGより7機種のストーリー全てを集めたWin版パッケージ『ディーヴァ・クロニクル』と再販/価格改定版に当たる『ACTIVE SIMULATION WAR DAIVA CHRONICLE RE:』が発売されている。また、各機種ごとの作品も個別にプロジェクトEGGよりダウンロード販売されている。
- ただし、『ディーヴァ・クロニクル』に関しては生産数が少なかった影響もあってか凄まじいプレミアが付いていたものの、2019年9月22日に前述の『~DAIVA CHRONICLE RE:』の販売が開始されたことで、現時点では入手そのものは多少ハードルが高い程度になっている。
『~DAIVA CHRONICLE RE:』は2022年10月時点でProjectEGGの公式から定価購入が可能
- ただし、『ディーヴァ・クロニクル』に関しては生産数が少なかった影響もあってか凄まじいプレミアが付いていたものの、2019年9月22日に前述の『~DAIVA CHRONICLE RE:』の販売が開始されたことで、現時点では入手そのものは多少ハードルが高い程度になっている。