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ブラッド・メルドー / Brad Mehldau

Last-modified: 2016-12-01 (木) 11:56:34

僕は革新的なものが好きなんだ。それも仰々しいものじゃなく、クワイエットなものが。語り口は静かで、微妙なニュアンスを大切にし、それでいて水面下で密かに革命的な要素が進行しているような……。(Jazz Life 4.1998)

 
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ブラッド・メルドーはアメリカのジャズ・ピアニスト、キーボード奏者。90年代半ばにジョシュア・レッドマン・カルテットのメンバーとして知られるようになり、次いでピアノトリオでメジャーデビュー。セロニアス・モンク的なメロディック・ディベロップメント、感情表現に長けた豊かな和声/リズム表現、クラシックピアノからアイディアを得た両手奏法によるジャズピアノの語法の拡張など、90年代以降のジャズシーンに大きく貢献した。レディオヘッド、ニック・ドレイクなど、20世紀後半以降のポピュラーミュージックを頻繁にカバーしていることも特徴と見なされている。

 
 
編集履歴
 

バイオグラフィー

1970年8月23日アメリカ合衆国フロリダ州ジャクソンビル生まれ。
80年代後半にニューヨークにあるニュースクール大学に入学。フレッド・ハーシュ(p)、ケニー・ワーナーらに師事し、在学時よりジミー・コブ(ds)のバンドに所属。同じバンドに所属していたピーター・バーンスタインや彼の盟友ラリー・ゴールディングス、影響を語っているケヴィン・ヘイズ、ジェシー・デイヴィスら同世代とアップ・タウンのジャズクラブ、オーギーズなどで活動を共にする。
92年、スペインに1年ほど滞在。同地出身のホルヘ・ロッシー、マリオ・ロッシー兄弟とピアノ・トリオを組むかたわら、ペリコ・サンベアートのカルテットにも参加。
フレッシュサウンド・ニュータレント・レーベルでロッシー兄弟との共同名義でデビュー作を録音。帰国後の93年、ホルヘ・ロッシーの紹介でラリー・グレナディア(b)を迎えたピアノ・トリオを結成(マリオ・ロッシーとグレナディアの間にはアヴィシャイ・コーエンも参加した)。同時期、8ヶ月ブライアン・ブレイドとクリスチャン・マクブライドと共に在籍したジョシュア・レッドマン(ts)のカルテットの演奏が評価され、メジャー・レーベルと契約。

 

スペインからの帰国後は94年にダウンタウンにオープンしたスモールズの出演者、ジャムセッション参加者のコミュニティに関わり、バークリー音楽大学やイスラエル、スペイン、南米出身者と多く親交を結ぶ。カート・ローゼンウィンケル、マーク・ターナー、ジョシュア・レッドマン、アヴィシャイ・コーエンらの録音参加がそれである。

 

以降トリオ、ピアノソロを中心に立て続けにリリースする。特にプロデューサー、マット・ピアソンの企画により90年代中盤からスタートした「アート・オブ・ザ・トリオ」シリーズは5作に渡り、彼の個性と評価を確立させた。
96年より、薬物療法のため西海岸のロサンゼルスに移住。同地のクラブ、ラーゴでのジョン・ブライオンとの邂逅は後に000年作品”Largo”に結実する。
2005年ジェフ・バラードがドラマーとして加入。2002〜04年頃のホルヘ・ロッシーが母国スペインに帰国した時期には、レギュラーバンドでの活動よりもマーク・ターナーを加えたカルテットでのヴィレッジ・ヴァンガード出演や、ピーター・バーンスタインとのカルテット、ピアノソロなどサイドマン、コラボレーション的な活動を行う。
2009年から2011年には、2シーズンに渡ってロンドンのウィグモア・ホールのジャズ・コンサート・シリーズの責任者に抜擢される。
2012年よりマーク・ジュリアーナ(ds)とのエレクトロニクス・ユニット、メリアーナを結成、現在に至る。
今はベジタリアン。妻はジャズ・ヴォーカリストのフルーリーン。

作品

リーダー作

リーダー作

コラボレーション

コラボレーション

発言

音楽観

僕は革新的なものが好きなんだ。それも仰々しいものじゃなく、クワイエットなものが。語り口は静かで、微妙なニュアンスを大切にし、それでいて水面下で密かに革命的な要素が進行しているような……。
(98,4 Jazz Life)

 

歌詞の内容やシンガーが肉声を使ってそうやってフレイジングしているかに興味がある。その雰囲気をピアノにどうやって移し変えるかが、僕の挑戦課題でもあるんだ。
(01.7 Jazz Life)

 

テーマティック・インプロヴィゼーション


大抵の場合、僕が自分のソロでやっているのは、曲の冒頭のメロディをもとにそのメロディ的内容を固めることである。ビル・エヴァンスにこのアプローチの規範は求められない。一人の先人はモンクだが、ハーモニー的にはこれといって似ていない。
The Art of the Trio 4 ライナーノート

 

ラリー・グレナディア、ホルヘ・ロッシーについて


JL:あなたの音楽はとてもユニークで、他の誰とも違う独創性がありますよね。どうやってそういったスタイルを確立したんでしょうか?
BM:それはホルへとラリーによるところが大きいんだ。僕たちは常に自由でいたい、ということを絶対の大前提にしている。他の誰ともそういう演奏はできないんだよ。たとえば"Fのブルースを演奏しよう"と言った時に、普通のFブルースの進行で演奏し出されたら、僕はもう自由でいられなくなるだろう。僕たち3人は、"ブルースに対して3人で何ができるか"という風に考えるんだ。決して"ブルースではどう弾かなくてはならないか"という考え方はしない。ブルースでも循環でもスタンダードでも、とにかく演奏が始まったら、決まりごとにはとらわれずに、自分たちが自然に向かう方向に従うんだ。

 

JL:3人は同じポイントを目指しているわけですね
BM:というより、僕らは、"いかなる特定のポイントをも目指さない"ということを決めている、と言えるだろうね。ルールを一切決めず。ただ自分たちに即興的に沸き起こってくることのみ忠実になる、ということなんだ。(00.6 Jazz Life)

好きな音楽

ビートルズ、ブラームス、コルトレーン(99,11JL)
グループとして
マイルス・デイヴィス・クィンテット、ジョン・コルトレーン・カルテット、オーネット・コールマン(00.6JL)、レディオヘッド

作曲家として
ウェイン・ショーター、シューベルト、ポール・マッカートニー(00.10)、バッハ、ベートーヴェンやブラームス、ショパン(00.6JL)シューマン
演奏家として(ピアノを歌わせることができるから)
キース・ジャレット、テディ・ウィルソン、ハンク・ジョーンズ

影響源

準備中

評価

パット・メセニー


あまり多くの人が興味を持たないような分野かもしれないけれど、ブラッドのメロディック・ディベロップメントは素晴らしい。彼は長時間に渡るアイディアをつなげる能力を持っていて、美しいストーリーを伝えることができる。そうした顕在的なメロディック・ディベロップメントは、過去数世代におけるジャズ・ミュージシャンの間でもあまりファッショナブルとされるような要素ではなかつた。でも、そうしたブラッドのプレイを聴くことは、私にとって最高の贅沢なんだ。 (06 11 Jazz Life)彼ほどソフィスティケーションの備わったハーモニーのセンスを持ったミュージシャンは本当に長いこと出現していなかった。(Jazz Life 2001.2)

 

守屋順子


このトリオ、やたら空間がたっぷりあるが、それは、ホルへ・ロッシィ(ds)とラリー・グレナディア(b)によるところも大きい。彼らもブラッドと同様、こういったスタンダード曲でも、決して決まりきった4ビートのベース・ラインやシンバル・レガートを刻まない。ふたりは、ビートの位置と単位をはっきり示す、という基礎的な役割はとうに超越して、とにかく"空気感""空間"を作る、ということを最も優先しているように思う。それに乗って、ブラッドのラインは小節線の区切りを越えて自由に伸び縮みし、ベースやドラムの上を気ままに浮遊しているかのようである。ところが彼のフレイズそのものはまるでカミソリの歯のように鋭いキレがあるから、その対比がまた独特の、ぎりぎりのバランス感を生じさせている。
(00,3 Jazz Life)

 

「ビル・エウァンス(p)やキース・ジヤレツト(p)と比較されることを、断固として拒否する彼が、“これはモンクにインスパイアされて書いた曲です"と嬉々として説明していたのが興味深かった。パッと聴いた印象では彼とモンクは似ていないが……。わたしは、彼らの共通点は"構成感覚"とでもいうべきところにあるのではないかと思う。前にも書いたように、ブラッドはフレイズ、パターンといった通常の単位では即興を捕らえていない。しかし、“メロディ"ということには大いにこだわっている気がした。彼はテーマのメロディを断片化して、即興のあちらこちらにちりばめる。それはとんでもないキーに転調されていることもあるし、左手に出てくることもあるが、とにかく、常にテーマをほのめかし、曲全体に統一感を持たせているのである。テーマのメロディを一旦ばらばらに解体し、それをインプロヴィゼーションの中で、再構築していく。これはまさにモンク的手法の発展なのではないだろうか。」(00,3 Jazz Life)