クエスト/GA/ウッテン・スー

指揮官
ふぅ・・・このところ急に冷え込んできたな。
アヴァロンも冬になったかな？
　
指揮官
はぁ・・・寒い寒い。
部屋に戻って着替えよう。
　
ウッテン・スー
はい、どうぞ。指揮官。
　
指揮官
お、ウッテン・スーか・・・
この上着は？
　
ウッテン・スー
こんな日にそんな薄着で出るなんて。
私たちの大切な指揮官なんだから。
もし倒れたら、みんなを率いるの？
　
指揮官
ははっ・・・。あれ？
自分だってタイトスカートじゃないか？
キミが倒れたら、キミを崇拝するみんなが傷つくぞ。
　
ウッテン・スー
ハハッ。言うよねー指揮官様も。
大丈夫。最近これまでになく絶好調だし。
風邪なんてまったく無縁よ。
あ、だからってバカじゃないから。
　
指揮官
そんなこと信じてたのか・・・
けど近ごろ寒くなってきたな。
いったいどうなってるんだ？
　
ウッテン・スー
あら、指揮官様は知らなかったの？
　
指揮官
何を？
　
ウッテン・スー
『冬潮』よ。
アヴァロンでは、
温度が急低下して10～20日ほど続くことがあるの。
それを『冬潮』って呼ぶのよ。
　
ウッテン・スー
今回の冬潮はずいぶん早いわね。
大雪になるかもよ。
　
指揮官
『冬潮』かあ・・・
大雪になったら、いろいろできなくなるんじゃない？
　
ウッテン・スー
ええ、普通だったら、
みんなほとんど冬潮の間は活動しないの。
吹雪になったら避難しないといけないし。
あ、でも今はみんな基地の中だから、そんな心配ないけど。
　
ウッテン・スー
家があるっていいものよ。
指揮官様。
　
指揮官
ふふっ、そうだね。

指揮官
・・・ウッテン・スーの言うとおりだ。
このところ、温度が異常に下がっている。
そのせいで基地の活動も一切中止だ。
　
指揮官
でも、することがなくて退屈だな。
普段はどれだけヒマでもこれほどじゃなかった。
目標がなく、ボンヤリするためにボンヤリしてる。
　
指揮官
ん？　庭にいるのは・・・ウッテン・スー？
　
ウッテン・スー
ふむ・・・
『冬潮』がまた来たわね。
今度はどうなることやら・・・
　
指揮官
ウッテン・スー、
何をしてるの？
　
ウッテン・スー
あら、指揮官様。
天気を観察してたの。
雪が降るかなって。
　
指揮官
今回の『冬潮』か。
結果は？
　
ウッテン・スー
今回の冬潮では雪が降らないかもしれないわ。
基地の活動を中止する必要もなくなる。
若くて活力あふれる女の子を部屋に閉じ込めておくのは、
よくないことよね。
　
指揮官
そうかな？
暖かい部屋にフカフカのふとん。
それからこたつも。
これもすごく幸せだよ。
　
ウッテン・スー
そうね。
寒がりで低血圧の女の子達にしてみたら、
こたつの中は天国ね。
　
ウッテン・スー
でも私にとっては、
雪が降ってる方がいいわ。
雪の上なら、走り回ってもケガしないから。
　
ウッテン・スー
それに、しばらく雪合戦もしてないし。
ほんとに雪が降ったら、
仲間たちと雪合戦をしたいもんだわ。
　
指揮官
そっか・・・雪合戦。
それもいいアイディアだな。
冬潮の間も楽しめる。普段やらないことができるってわけだ。
　
指揮官
望みは薄いけど、
雪が降るのを楽しみに待とう。ウッテン・スー。
　
ウッテン・スー
うん！

ウッテン・スー
あははは・・・・・・
はは・・・・・・
　
指揮官
Zzzz・・・・・・
ん～朝っぱらから、
広場にいるのは誰だ。
　
指揮官
！！！
ゆ、雪が？
　
ウッテン・スー
あぁ・・・ほんとに雪になるなんて。
冬潮って予測できないわ。
いつの間にかあの時みたいに・・・
　
指揮官
ウッテン・スー、おはよう。
　
ウッテン・スー
あら、指揮官様。
おはよう。
私の観測は外れたみたい。
基地に来てから前みたいにはいかないわ。
　
指揮官
明日の天気を100%当てられる人なんていないよ。
それに、そんなことができたら、
楽しみがなくなるじゃないか。
　
ウッテン・スー
それもそうね。
誰も完璧な予測ができないから、
みんな期待して、挑戦する。
それが楽しみよね・・・
　
ウッテン・スー
指揮官！　くらえっ！
　
指揮官
うわっ！　何だ！
雪玉・・・？
　
ウッテン・スー
記念すべき初めての雪合戦よ。
指揮官様、
今なら降参できるわよ。フフッ。
　
指揮官
誰が降参するか、えいっ！
　
ウッテン・スー
わあ～～！！
やるわね。
だったらこっちも本気でいくわよ。
スノーブラスト！！！
　
指揮官
おいおい！　武器は反則だよ！
まいった！　まいりました！！

指揮官
雪合戦のおかげで、
冬潮の間も、
基地は活力にあふれてる。
本当によかった・・・
　
指揮官
だがこれもウッテン・スーが仲間に人気があるおかげだ。
それとも今回の雪のおかげかな？
ウッテン・スーの姿は白い雪景色によく似合う。
　
指揮官
・・・ウッテン・スーみたいな仲間がいるおかげで、
元気なチームでいられる。
私にはできないことだ・・・
感謝しないと。
　
指揮官
でも、どうすればいいのか・・・
・・・・・・・・・
うん、そうだ！　たしか祝日が・・・
　
指揮官
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
　
ウッテン・スー
指揮官様、いくわよ。
雪玉よ！
　
指揮官
待って、ウッテン・スー。雪合戦は後にしよう。
話したいことがある。
　
ウッテン・スー
え？　話したいこと・・・？
なるほど。指揮官様もそんな年になったのね。
さあ、悩みなら、
このウッテン・スーが何でも聞いてあげるわよ。
　
指揮官
い、いや・・・そうじゃなくて・・・
(一体なんの年だ・・・？)
　
ウッテン・スー
あはは。冗談よ。
指揮官様の顔を見てるとつい。
寒いからって、
こわばった顔しないで？
　
指揮官
ふふっ。顔がこわばってた？
さすがウッテン・スー。
実はこれ一言だけ伝えたかったんだ。
ありがとう。
　
ウッテン・スー
・・・・・・・・・？
プッ、あはははは。
いきなり何よ、指揮官様。
お礼を言うのにそんなかしこまって・・・
どうして私に礼なんかを？
　
指揮官
ウッテン・スーは仲間たちに笑顔と活力をくれるからな。
私にはマネのできないことだ。
お礼くらい言ってもいいでしょ？
　
ウッテン・スー
フッ。自分のスタイルを貫いてるだけよ・・・
いや、そう言うと、お礼を言った意味がなくなるわね。
指揮官様はどうやって気持ちを示すつもりかしらって言わないと。ふふっ。
　
指揮官
もちろんみんなでパーティーさ。
冬潮が終わる前に盛大なパーティーを開こう。
　
ウッテン・スー
・・・え？
ま、まさか本当にやるの？
　
指揮官
もちろん。みんなが満足するパーティーを開こう。
　
ウッテン・スー
ちょっと、指揮官様・・・ただのボケよ・・・？
あのねえ、ボケにはボケをかぶせて、ノリツッコミしなきゃ・・・。
　
指揮官
うん。でもこっちはマジだよ。
これからみんなで一緒に準備してもらおう。
楽しみにしててよ。
　
ウッテン・スー
あははっ・・・なんだかなぁ。

ウッテン・スー
今回の冬潮は以前の冬潮とまったく違う感じ。
まだ半分なのに、
仲間たちはみんな動き出したわ。
　
指揮官
みんなこの時期をにぎやかにするつもりだ。
いつものどんなイベントよりも盛り上げようと。
ははっ。決定は正しかったようだね。
　
ウッテン・スー
それもいいけど、
みんなパーティーの準備を始めて、
雪合戦のことを忘れちゃてるし。
なんか納得いかないわ・・・
でも、女の子だもんね。
　
指揮官
君は楽しみじゃないの？
君に感謝するためのイベントだぞ。
　
ウッテン・スー
はぁ～楽しみ楽しみって・・・
みんなが楽しめるイベントになればそれでいいの。
何て言ったっけ・・・
『クリスマス』のパーティーね。
　
ウッテン・スー
みんなでプレゼントを交換するの。
指揮官様のアイディアでしょ。
　
指揮官
私のアイディアじゃなくて、昔から・・・
そんなことより、大事なのはムードだよ、ムード。
　
指揮官
飾りはみんな基地にあるし、
食べ物の十分にある。
冬潮が終わる前に余った食料を一気に片づけよう！
　
ウッテン・スー
指揮官様らしくもないこと言って・・・
　
指揮官
そうじゃなきゃクリスマスの気分がでない。
プレゼントをツリーの下に置いて、
翌朝ワクワクしながらプレゼントを開ける。
こんな平和で楽しい祝日は、いつ楽しむんだ？今でしょ！
　
指揮官
・・・・・・・・・。
　
ウッテン・スー
どうしたの、指揮官様？
　
指揮官
クリスマスツリーなんてなかったな。
ギザギザで上に星がついてるヤツ。
　
ウッテン・スー
・・・ないわよ。
デコレーションならあってもおかしくないけど、
わざわざ木を丸ごとなんて。
　
指揮官
だったら探しに行くしかない。
モミの木だったらいいんだけど、
基地の周りにはなかったような。
　
ウッテン・スー
・・・私が探してくるわ。任せて。
　
指揮官
え・・・？　ウッテン・スー、モミの木の特徴を知ってるのか・・・？
　
ウッテン・スー
とにかくギザギザの木を探せばいいんでしょ。
前に見回りで見たような気がするわ。
ちょっと取ってくる。
　
ウッテン・スー
指揮官様は基地で待ってて。
パーティーの準備で忙しいでしょ。
指揮官様がいなかったら、統率が取れないわ。
　
ウッテン・スー
私だって何かしなきゃ悪いわ。
もう決めたの。
準備ができたら出発よ。

指揮官
ウッテン・スー、本当に1人で木を取ってくるのか？
　
ウッテン・スー
ええ、そうよ。
　
指揮官
けど外は・・・
　
ウッテン・スー
冬潮ももうすぐ終わるし、
天気も荒れないわ。
それに私は丈夫な陸戦タイプだから、大丈夫よ。
　
指揮官
そうは言っても、
長いこと見回りもしてないし、
外がどうなってるかわからないぞ。
　
ウッテン・スー
あのね指揮官様
私が基地に来る前に、
外で冬潮を過ごした話を聞きたい？
　
指揮官
・・・・・・・・・なに？
　
ウッテン・スー
話と言っても教訓だけど。
冬潮が来た時、
ちゃんと隠れてなくて、
吹雪の中で原生種に出くわしたの。
　
ウッテン・スー
ボコボコにされそうになったわ。
うまく突破したけど、装備が大破しちゃって。
装備を捨てて身軽になるしかなかったの。
　
ウッテン・スー
それ以来、冬潮になると、
空から落ちてくる雪を見ても、興奮することもなく、
あのことが思い出されるの。
そして、悔しい気持ちが湧き上がるの。
　
ウッテン・スー
この機会は・・・何ていうか、偶然とか運命ね。
クリスマスツリーを持ち帰ることができたら、
昔のトラウマから抜け出せるような気がするの。
　
指揮官
そうだったのか・・・
　
ウッテン・スー
指揮官様は何かほしいプレゼントがある？
クリスマスのプレゼント交換よ。
キミが無事に戻ればそれでいいとか言わないでね。鳥肌が立つから。
　
指揮官
それ以外に別に言うこともないけど・・・
　
ウッテン・スー
いいわ。だったら、途中でゆっくり考えとく。
あ・・・そうだ。
私がほしいのは・・・
まいっか。指揮官様が考えといて。
　
指揮官
えっ？　ええっ！？
　
ウッテン・スー
指揮官様もまだ決めてないんでしょ。
私も考えるから、指揮官様も考えないとね。
そろそろ出発するわ。凱旋帰還を待っててね。
　
指揮官
・・・気をつけて、ウッテン・スー。
　
ウッテン・スー
うん、わかってる。
　
指揮官
（ウッテン・スーは雪合戦にでも出かけるように立ち去った。
だが、天気予報は外れ、
その日から吹雪が吹き荒れた。）

指揮官
・・・・・・くっ！！！
　
指揮官
もうクリスマスイブだというのに、
ウッテン・スーは・・・まだ行方がわからない。
　
指揮官
レーダーの範囲も最大に広げたが、
この吹雪では、
あまり役に立たない・・・
捜索隊を送るわけにもいかないし。
　
指揮官
ウッテン・スーのために、
みんなパーティーどころじゃない。
外出禁止令を出さなければ、
むやみに探しに行く者も出る。
　
指揮官
くっ・・・ウッテン・スー・・・
　
ウッテン・スー
（クリスマスツリーを持ち帰ることができたら、
昔のトラウマから抜け出せるような気がするの。）
　
指揮官
天気予報は外れることもあるってわかってたろ？
どうして行かせたんだ・・・？
　
ウッテン・スー
（キミが無事に戻ればそれでいいとか言わないでね。鳥肌が立つから。）
　
指揮官
・・・ウッテン・スー、キミが無事に戻ればそれでいい。
無事に戻ってくれれば・・・
　
ウッテン・スー
（あ・・・そうだ。
私がほしいのは・・・
まいっか。指揮官様が考えといて。）
　
指揮官
・・・最高のプレゼントだ。
きっとキミが喜ぶプレゼントだ。
だから早く戻って来てくれ。
　
指揮官
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
　
指揮官
神様なんて信じたことないけど、神よ。
　
指揮官
これはツリーにつけるヘブライの星。
神に愛されし子が世に降臨したことを象徴するもの。
どうか少女たちに希望をもたらしたまえ。
　
指揮官
これだけ頼んでるんだ、神様あ。
　
指揮官
ヘブライの星の光で導きたまえ・・・
　
ウッテン・スー
星の導きって、天に召されることでしょ。
そんなのやだわ。
　
指揮官
・・・・・・・・・
キ、キキキキキミは・・・！！！
　
ウッテン・スー
えっと・・・何て言うか、天気が悪くて道に迷ったかな？
いい木を探してるうちに知らない場所に出ちゃって、
いろいろあったの。私の天気予報はアテにならないわね。
　
ウッテン・スー
とにかく、ただいま。
　
指揮官
ウッテン・スー！
　
ウッテン・スー
あああ！指揮官様、抱きつかないで！
みんなが、みんなが見てるわ！
　
指揮官
かまわない。みんな泣いてるし。
おかえり・・・ウッテン・スー。
　
ウッテン・スー
・・・ごめん、心配かけて。
だけど、任務はやり遂げたわ。
超～特～大のクリスマスツリーよ。
　
指揮官
そんなことより、
早く休むんだ。医療班！
　
ウッテン・スー
大げさねえ。
何ともないわよ。
それに・・・今日はパーティーやるんじゃないの？
　
指揮官
パーティーは明日でもいい。
とにかく休むんだ・・・
　
ウッテン・スー
指揮官様・・・信じて。
吹雪の森で何日もウロウロして、
今はパーティーで盛り上がりたいの。
　
ウッテン・スー
無事に戻ってこれたのは、
きっと・・・プレゼントが楽しみだったからね。
　
指揮官
・・・・・・・・・
はぁ。なら仕方ない。
　
ウッテン・スー
さあ、指揮官様、みんな首を長くして待ってたのよ。
　
指揮官
ウッテン・スーが無事に戻ってきた。
ツリーに飾りをつけるんだ！
クリスマスパーティーを始めるぞ。

ウッテン・スー
えっ！？　クリスマスの朝に開けなきゃいけないの？
　
指揮官
習慣だからな。それに一晩中プレゼントで遊ぶないようにな。
今は休んでいないと。
　
ウッテン・スー
いやいや、見せてくれないと、
気になって夜も眠れないわ。
それじゃ逆効果でしょ。
　
指揮官
・・・子供か！
　
ウッテン・スー
プレゼントをもらえるのはみんな子供じゃない？
じゃあ開けるわよ～
ヘヘッ・・・
　
指揮官
・・・どうぞ・・・。
　
ウッテン・スー
あっ・・・これは新しい上着。
　
指揮官
キミに上着をもらっただろ？
キミに返そうと思ってて、
仲間に探してもらったんだ。
　
指揮官
どこで拾ってきたのか知らないが、
新品のようだな・・・
がっかりしただろう。ありきたりで・・・
　
ウッテン・スー
ううん。そんな。
指揮官様らしいプレゼントね。実はそんな気がしてたんだ。
服か何かをもらえるんじゃないかって。
　
指揮官
そんなにアイディアがないかな・・・
　
ウッテン・スー
でもとっても暖かい上着よ・・・
気に入ったわ。ありがとう、指揮官様。
　
指揮官
うん。喜んでもらえてよかった。
　
ウッテン・スー
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
　
指揮官
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
　
ウッテン・スー
・・・指、指揮官様は私の用意したプレゼントのことを聞かないの？
　
指揮官
・・・でも道に迷ってたんだろ？
用意するヒマなんかないじゃないか。
　
ウッテン・スー
・・・実は、基地を出る前に用意してたの。
ほかの仲間に聞いて、クリスマスにふさわしいことを。
それで・・・歌を習ったの。
　
ウッテン・スー
ずっと歌いながら行ったから、
すっかり覚えちゃった。だから・・・
これからその歌を指揮官様に聞かせてあげる。
　
ウッテン・スー
・・・コホン・・・
　
ウッテン・スー
曲は　『聖なる夜』
　
ウッテン・スー
聖なる～この夜～
　
ウッテン・スー
星は～光り～
　
ウッテン・スー
救いの～♪
　
ウッテン・スー
御子は・・・・・・・・・♪
　
ウッテン・スー
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・♪
　
ウッテン・スー
・・・おしまい。
　
指揮官
・・・・・・・・・
よかった。
アヴァロンで聞いた中で一番いい歌だ。
・・・ウッテン・スー、メリークリスマス。
　
ウッテン・スー
指揮官様、あなたにもメリークリスマス。