クエスト/GA/ロリス

指揮官
(―――基地内・施設区
　
私は今、原生種からの襲撃によって破壊されてしまった壁や建物を
仲間たちと共に撤去している最中・・・なのだが・・・。)
　
指揮官
うーむ・・・。
どうやら、私たちでできるのはここまでかな・・・。
　
指揮官
困ったな、この大きな鉄柱。
ここにいるGAたちでも、移動させるのはちょっと難しいみたいだし・・・。
　
・・・ん？　あそこにいるのは・・・！　彼女ならやれるかもしれない！
　
指揮官
おーい！　ロリス～！！
こっちへきて手伝ってくれないかー？
　
ロリス
んー？
手伝うってなにをー？
　
指揮官
今みんなであのがれきを撤去していたんだけど、
どうにも私たちの力じゃ手に終えなくてね・・・。
君のその大きな鉤爪で移動させてもらえないかな？
　
ロリス
えー？
いいよ、手伝ってあげるー。
　
指揮官
う、うん。
それじゃ非番のところ申し訳ないけど、あの斜めに倒れてる鉄柱を
あの裁断機のところまでお願い。
　
ロリス
んー？　裁断するの？
それならいっそ、ウチが全部やってあげるよ。
ちょっと待っててー。
　
指揮官
え・・・っ！？
　
ロリス
(スタスタ)
危ないからちょっと退いててね。
せーのぉ。
　
指揮官
(キィーーン！　キィーーン！)
(ガラガラガラガラ・・・)
　
ロリス
―――ほい。終わったよー。
あとは適当に集めてー。
じゃあねー。
　
指揮官
こ、こんないとも簡単に・・・。
ありがとうロリス。助かったよ！
さあ、みんなで手分けして運んじゃおう。

指揮官
(―執務室)
えっ・・・？　ロリスが？
確か・・・今日はロリスは君たちと演習予定だったよね。
　
指揮官
とあるGA「はい。予定通り私たちと演習を行っていました。
1回目の演習が終わった後休憩に入ったのですが、
体調が悪いからと一人で帰ったのです。
なんだか様子がおかしい気がしたので、気になってしまって・・・。」
　
指揮官
どうしたんだろう・・・。
分かった、君たちはひとまず演習に戻って。
私が様子を見てくるから。
　
指揮官
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
　
ロリス
―――
はぁ・・・。はぁ・・・。
やっぱり・・・ウチダメだ・・・。
　
ロリス
もうとっくに・・・。
克服したと思ってたのになー・・・。
　
ロリス
くっそー。イライラするー。
その分余計苦しくなってくるー・・・。
早く医務室いこー・・・。
　
ロリス
・・・。
・・・・・・ん？
あれ、誰かの声がした・・・ような・・・。
　
指揮官
・・・ロリスー！
居たら返事しろー！！
　
ロリス
はぁ・・・。はぁ・・・。
ああ、なるほどね。あいつらチクったわけねー・・・。
　
指揮官
ピピピピッ
ピピピピッ
ピピピピッ
　
ロリス
っ！？
げ、あいつ探知機まで使ってウチのこと探してたの・・・。
　
指揮官
ロリス！　こんなところに居たのか！
ずいぶん探したんだぞ・・・！
演習から帰ったって聞いてたのに部屋にも居ないから・・・！
　
ロリス
ちょっと演習中に息苦しくなっちゃってー。
ねぇ、医務室まで連れてってくれないー？

指揮官
もしかして、医務室に行こうとして
迷子になってたの・・・？
　
ロリス
うっさいわね、ここに来たばっかりなんだからしょうがないでしょー。
いいから早く連れていきなさいよ。
　
指揮官
は、はい・・・。
(あれ、ロリスこんな子だったっけ・・・。)
　
ロリス
はぁ・・・。はぁ・・・。
どうせあいつらに言われて様子見に来たんでしょ。
ったく、余計なことしてくれるよねー。
　
指揮官
あいつら・・・？　ああ、演習の子たちのことか。
そんな風に言うなよ。彼女たちだって、君の事心配して・・・。
　
ロリス
それが余計だっていってんのー。
誰も頼んでないし。
そもそも、あいつらがウチの指示通りちゃんと動かないから
こういうことになったんだしー。
　
指揮官
ロリス・・・。仲間のことをそんな風に言っちゃだめだよ。
いつもの君らしくないじゃない・・・。
　
ロリス
いつもの？　いつものは作り物だよ。
もういい加減いい人ぶるのがめんどくさくなってきたんだよねー。
　
指揮官
えええ・・・？
ずっと猫を被ってたっていうの・・・！？
　
ロリス
そういうことー。
あと、しばらくウチを任務から外してくれないー？
一旦発作が出ると、しばらく戦えないのよねー。
ウチ。
　
指揮官
な、なんだって・・・。

指揮官
(―医務室)
　
そもそも、君の発作って、一体何が原因なの？
　
ロリス
うーん、わかんないー。
　
指揮官
わ、分からないってそんな・・・。
　
ロリス
だって、検査してもらっても特に異常出なかったんだもん。
いつ出るかも自分にも分かんないしー。
　
指揮官
うーむ。
予防もできないのか・・・。
　
ロリス
強いて言えばー・・・。
　
指揮官
強いて言えば？
　
ロリス
ウチの言うことを聞かないやつが居るときかなー。
　
指揮官
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・はい？
　
ロリス
なんかこう、手が震えてきて
イライラしてきちゃってさー。
急に叫びたくなるんだよねー。
分かる？
　
指揮官
分かんないよ！
(いわゆる、「自己中」ってやつか・・・！？)

指揮官
(ロリスは翌日から何事もなかったかのように
仲間たちと任務へと出かけていった。
そして・・・。)
　
ロリス
ねーねー。
お茶とケーキはまだなのー？
早くしてくれないと、お腹すき過ぎて指揮官の机壊しちゃうかもー。
　
指揮官
私はまだ仕事中なんだ。
おやつならまだまだ後だよ？
それに、何故君は私の部屋に居るのかな・・・？
　
ロリス
えー、ひどいそんな言い方。
ちゃんと指示通り任務こなして来たじゃんー。
　
指揮官
それはみんな一緒でしょ・・・。
　
ロリス
じゃあ、非番のウチがわざわざ手を貸してあげたお礼は？
　
指揮官
そ、そんな前の話・・・。
　
ロリス
あーあーやだやだ。
指揮官様がそんな心の狭い人間だったなんてー。
失望しちゃったなー。
　
指揮官
ぐ・・・。
わ、わかったよ。
じゃあこの書類が片付いたら用意するよ・・・。
　
ロリス
分かってるならいいの。
危うく執務室をメチャクチャにしちゃうところだったなー。
　
指揮官
・・・ロリス、今回の任務で発作は出なかったの？
　
ロリス
発作ー？
出てないよー。
だって、みんなちゃんと指示通りやってたしー。
　
指揮官
そっか・・・。
(発作が起こって、みんなに危害が及ばないかの方が
心配だなこれは・・・。)
　
ロリス
大丈夫だよ。
指揮官であるあんたがウチのことちゃんと把握してるんだから
部隊編成も間違ったりしないでしょー？
　
指揮官
・・・つまり、君は改める気が全くないってこと・・・？
　
ロリス
改めるって？　何がー？
ウチ何も悪いことしてないよー？
　
指揮官
とほほ・・・。
これはとんだ厄介者が来たもんだ・・・。