イベント2016/壊塔戦 足らずの塔【急】

Last-modified: 2020-09-11 (金) 14:14:39
壊塔戦 足らずの塔【急】.jpg

ランキング報酬

個人
アイテム名 \ 位1~200201~10001001~2000
白金の杯白金の杯210
黒鋼の杯黒鋼の杯321
アビリティの書(ゴールド)アビリティの書(ゴールド)531


カンパニー
アイテム名 \ 位1~3031~100101~200
白金の杯白金の杯531
紅月の宝玉紅月の宝玉321
白銀の破片白銀の破片531
熟練塔魔の古文書熟練塔魔の古文書(100)210

報酬

個人カンパニー
ポイント一覧ポイント一覧
5蒼月の宝珠蒼月の宝玉 ×1500蒼月の宝珠蒼月の宝玉 ×1
30ゲームマネーsh ×150001,000オファリングオファリング:BOX ×2
60ソウルソウル ×1501,500紅月の破片紅月の破片 ×5
90AP回復薬壊塔戦専用AP回復薬(5) ×52,000杯:Box杯:BOX ×2
150水霊の宝玉水霊の宝玉 ×62,500AP回復薬壊塔戦専用AP回復薬(5) ×5
300紅月の破片紅月の破片 ×103,000熟練塔魔の古文書熟練塔魔の古文書(10) ×2
500白金の杯白金の杯 ×14,000赤い月光薬赤い月光薬 ×3
1,000蒼月の宝珠蒼月の宝玉 ×25,000解印のスクロール解印のスクロール ×3
1,500火帝の宝玉火帝の宝玉 ×66,000蒼月の宝珠蒼月の宝玉 ×2
2,000ソウルソウル ×3007,000オファリングオファリング:BOX ×3
2,500AP回復薬壊塔戦専用AP回復薬(5) ×108,000紅月の宝玉紅月の宝玉 ×1
3,000水霊の宝玉水霊の宝玉 ×109,000AP回復薬壊塔戦専用AP回復薬(5) ×10
3,500紅月の宝玉紅月の宝玉 ×110,000杯:Box杯:BOX ×4
4,000足らずの王足らずの王 ×112,500熟練塔魔の古文書熟練塔魔の古文書(10) ×3
4,500黒鋼の杯黒鋼の杯 ×115,000赤い月光薬赤い月光薬(増量) ×2
5,000火帝の宝玉火帝の宝玉 ×1017,500紅月の破片紅月の破片 ×15
5,500ソウルソウル ×80020,000オファリングオファリング:BOX ×3
6,000AP回復薬壊塔戦専用AP回復薬(5) ×1522,500熟練塔魔の古文書熟練塔魔の古文書(100) ×2
6,500幽玄の聖印幽玄の聖印 ×130,000黒鋼の杯黒鋼の杯 ×1
7,000紅月の宝玉紅月の宝玉 ×135,000紅月の宝玉紅月の宝玉 ×2
7,500オファリングオファリング:スチール ×140,000白金の杯白金の杯 ×1
8,000白金の杯白金の杯 ×145,000還元のスクロール還元のスクロール ×3
9,000AP回復薬壊塔戦専用AP回復薬(5) ×250,000オファリングオファリング:シルバー ×1
10,000杯:Box杯:BOX ×160,000白金の杯白金の杯 ×2
11,000AP回復薬壊塔戦専用AP回復薬(5) ×2
12,000杯:Box杯:BOX ×1
13,000AP回復薬壊塔戦専用AP回復薬(5) ×2
14,000杯:Box杯:BOX ×1
15,000AP回復薬壊塔戦専用AP回復薬(5) ×2
16,000杯:Box杯:BOX ×1
14,000AP回復薬壊塔戦専用AP回復薬(5) ×2
17,000杯:Box杯:BOX ×1
18,000AP回復薬壊塔戦専用AP回復薬(5) ×2
19,000杯:Box杯:BOX ×1
20,000AP回復薬壊塔戦専用AP回復薬(5) ×2
 
未分類オファリング
宝玉 ※魔神召喚用期間限定
塔魔

全体ポイントキャンペーン

イベント期間中に取得されたポイントの合計により実施されるキャンペーン。
実施期間:2016年11月15日(火) ~ 2016年11月22日(火)
結果:http://www.tower-of-goetia.com/informations/396

ポイントキャンペーン内容
100,000共闘ボーナス +5%(40%に)
200,000ヴォイドアルター発動Shが1Shに
350,000塔界補正【基底部~第一塔界】
500,000装備の作成/強化費用 -20%
750,000強化/進化時引継ぎ経験値が+5%され、55%に
1,000,000塔界補正【第二塔界】
2,000,000共闘ポイント上限+80P&一部ショップアイテムの交換上限緩和
4,000,000塔界補正【第三塔界】
6,000,000ヴォイドアルター効果アップ
9,000,000「ヴェステージ」主催、出撃コスト緩和
12,000,000共闘ポイント上限さらに+80P
16,000,000塔界補正【第四塔界】
20,000,000撃滅戦、魔神の幻影の取得共闘ポイントを1.5倍に
以降100万ポイントごとに、紅月の破片を3個ずつ配布

※上記プレゼントは「一度きりミッション」での配布となります
※「塔界補正」は該当する塔界の、トレジャーから手に入る素材数、
 塔界取得経験値、賞金首出現確率、ドミネート確率の上昇になります

出撃先

エリアAP占有PT共闘PT時間(分)SHEXPソウル壊塔ポイント備考
足らずの塔【Easy】1336005000004~51~29~10水霊炎帝の2種のマップからランダム
足らずの塔【Normal】1336006000005115
足らずの塔【Hard】23660014000006~72~40水霊炎帝・幽玄の3種のマップからランダム*1
足らずの塔:下層【Vertex】236600160000060~80
箱のみ96
宝は水霊の宝玉のみ
足らずの塔:中層【Vertex】236600160000060~80
箱のみ96
宝は炎帝の宝玉のみ
足らずの塔:上層【Vertex】236600160000060~80
箱のみ96
宝は水霊の宝玉炎帝の宝玉からランダム
水霊の間【Easy】2-66002000020主催は水霊の宝玉2個必要
水霊の間【Hard】3-66005000070主催は水霊の宝玉4個必要
水霊の間【Vertex】3-6600100000100主催は水霊の宝玉6個必要
水霊の間【Awaken】3-66001000000220主催は水霊の宝玉10個必要
炎帝の間【Easy】2-66002000020主催は炎帝の宝玉2個必要
炎帝の間【Hard】3-66005000070主催は炎帝の宝玉4個必要
炎帝の間【Vertex】3-6600100000120主催は炎帝の宝玉6個必要
炎帝の間【Awaken】3-66001000000220主催は炎帝の宝玉10個必要
幽玄の間3-6600100000600主催は幽玄の聖印1個必要

※幽玄の聖印は、幽瀑の希水(ネレイスDrop)と祇玄の壮炎(イグニスDrop)で生産で作る
 ドロップ率は難易度が上がれば高くなり、Awakenは必ず1個ドロップし2個の場合もある Easy<Hard<Vertex<Awaken

※背景が、青ければ水霊、赤い場合は炎帝、黄色い場合は幽玄
※ミミック・強欲の箱は、宝箱に擬態している
※下層・中層・上層は宝箱のみのボーナスステージがある
※ネレイスとイグニスはドミネートが可能

▼目録のメモ

▲目録のメモ

塔魔名場所
目録.pngサラマンダー中層【Vertex】の雑魚
イグニス炎帝の間
キングドレイク中層【Vertex】の賞金首
ロックスペル中層【Vertex】の賞金首
サラマンダースルタン中層【Vertex】の賞金首
イグニス炎帝の間
ダーティグール【Hard】で出現
スペクター【Hard】で出現、上層【Vertex】の雑魚
※目録は【Hard】だけしか書かれない
グリムリーパー上層【Vertex】の雑魚
デビルイーター上層【Vertex】の賞金首
デーモンレイス上層【Vertex】の賞金首
ハーデス上層【Vertex】の賞金首
足らずの王幽玄の間

注意事項

足らずの塔:下層【Vertex】

足らずの塔【序】を参照

足らずの塔:中層【Vertex】

足らずの塔【破】を参照

足らずの塔:上層【Vertex】

足らずの塔:中層【Vertex】と構造は同じ。

塔魔目録ネタバレ

▼塔魔目録ネタバレ

▲塔魔目録ネタバレ
(※目録順に並べています)


  • その男は召喚される前からそうだった。
    何も信じず、世を呪い。
    しかし力なく呪詛を垂れ流すのみ。
    なぜ候補者となれたのかは、誰も知らない。
     
  • 候補者となり、王への争いを知ってからの動きは迅速だった。
    お人好しの仮面をかぶり、候補者の情報を集め。
    目立たぬように、邪魔にならぬように。
    潜み潜み、ただその赤黒い牙を磨く。
     
  • 好機と見れば男に迷いはない。
    一時的に主従関係を切り、証拠の残らぬようにしてから魔神に襲撃させる。
    もしくは、相手に良いことが起こらぬように画策する。
    小心ではない。策謀の才能。
    それに目覚めた男は毒を候補者に混ぜ始める。
     
  • 『候補者同士は仲間ではない』
    こう言い出したのは、人数の減りに疑問を覚えた人間だった。
    真に小心なのは、むしろその人間だったのだろう。
    情報交換のための集いはやがてなくなり、お互いを警戒し、塔にこもりながら塔界へ出撃する、相手の見えないレースが始まる。
     
  • 男は全く焦らなかった。
    誰かが塔界に出撃している合間に、塔から資源を奪い、塔魔を討つ。
    塔界の制覇に時間は割かない。ただ出し抜くために時間を割く。
    塔界を制覇などせずとも、自分一人になれば候補者は決まったようなものだから。

  • 当然のように、候補者同士の争いは塔界の制覇レースから、相手をいかにして引きずりおろすか、殺すか、に様相を変える。
    正しくは『放っておいてもそうなっていたであろう時計の針を進めた』だろうか。
    魔神を上手く操れぬと言い張り、基底部から歩もうとしない候補者。
    誰もが侮り、相手にしなくなっていた。
     
  • 『自分が王になったら、円卓の端においてやる。だから資源を融通しろ』
    そう言われたことは数えるのもバカバカしい。
    残っていた全員から言われたことだったからだ。
     
  • 時は訪れたと男は悟る。
    隠しこんでいた資源、隠していた魔神。そして殺した相手から奪ったもの。
    その全てを使い、いっきに塔を駆け上がり、相手を見下す。
    自分一人が残ればいいという考えは途中から消えていた。
    ただ、自分を見上げる阿呆に唾を落とすのがただ愉快だった。
     
  • ──円卓の魔人:ネイレスⅢ──
     
    下された命令は
    「王を疑う全てのもの。その槍で穿て」
     
    足らずの王の魔神、自らの使役していた魔神。
    そして最後にはイグニスの左腕を落としたその槍には、何らかの液体が付着している。
    魔神を切ってもその液体は残らない。存在が霧散すると同時に消滅するからだ。
    魔神もまた、同様である。
     
    最後の残った液体は誰のものなのか。候補は一つしかない。
    だが、どのようにして「裏切ることができたか」は不明である。
     
  • ──円卓の魔人:ネイレスⅣ──
     
    下された命令は
    「王を疑う全てのもの。その槍で穿て」
     
    足らずの王は全てが終わり、自らの腕が腐り落ちた後、残された二本の左腕を見て思う。
    それまで決して見せなかった顔で、思わなかったことを想う。
     
    無人の塔、風吹き抜ける音と、元候補者のうめき声だけが響く塔。
    この世界を見下ろして目に入る風景と変わらぬ、乾いた塔。
     
    『これで正しかったはずだ』
     
    彼は自らを疑った。
     
  • 王になったとき、近くに見下せる相手が欲しかった。
    ただそれだけの為に、最後に残った2人だけを配下にするといい、残りを殺し合わせた。
    すでに玉座についていう王の言葉に逆らえず、歯噛みしながら血を流す残りの敗残者。
     
  • 最後に残った2人に対し、王は言葉を下す。
    『お前たちのその殺す技術、私に向かうと不安だな。よって魔神に吸収され、意識のない状態で永遠に仕えろ。お前たちが散々バカにした、この私にな』
     
    好き好んでヒトを吸収する魔神はいない。自らの格が下がるからだ。
    だが、王は魔神の意見も、2人の慟哭も聞かず、指を振り下ろす。
     
  • 諦めの入っていた「元候補者」よりも、魔神の反発は大きかった。
    左手にある指輪の存在を恨む声、王の破滅を望む声。
    その全てを涼しげに受け流した後、足らずの王は告げる。
     
    彼に、王として足りてるものがあったとすれば、それは何だったのだろう。
    機はあった、生かす才能もあった。

    だが、結果として彼の玉座に侍るモノは、無機質な瞳の魔人のみであった。
     
  • ──円卓の魔人:ネイレスⅡ──
     
    下された命令は
    「王を疑う全てのもの。その槍で穿て」
     
    貫かれた魔神の目は、驚きでも恨みでもなく、ただ主から解放された喜びに染まり、無機質な魔人の瞳とは対照的であったとされる。
    だが、開放は同時に「契約の破棄」を意味するものでもあった。
     
  • ──円卓の魔人:ネイレスⅠ──
     
    下された命令は
    「王を疑う全てのもの。その槍で穿て」
     
    最初に槍の犠牲になったのは、王の召喚した魔神。
    それも初期から付き添っていた魔神だった。
     
  • 六賢者と呼ばれる、元候補者の集団。
    王となるより知識を求め、レースから逃れたもの。
    争いが怖くなって引きこもったといえなくもない。
     
    そんな六賢者の図書館に、こんな記述が残っている。
     
  • 足らずの塔、足らずの王の時代の記述。
    特に薄く、王に至るまでの道程の方が記載は多い。
    六賢者の中に、同期に競争相手となったものが居たらしいが、定かではない。
    ただ、最後に残された2人の決闘部分。
    他の部分よりも、わずかに筆者の意が出ているところから察するに、恐らくは真実であろう。
     
  • 全てを奪う王から逃げ、手の届かぬほど図書館を深く沈めた賢者の一人。
    だが、後に賢者と呼ばれるだけはあり、足らずの王に関する記述は中立であった。
    彼の人の心を推し測り、会話を導く手段。確実な不意をつくための下準備。
    そして、魔人やヒトを従わせるのに、自分より力の強いものを従わせる手段を知っていた狡猾さ。これらを持って、王の座に就いた。
     
  • それでも、候補者であったときは弱さを見せることもあった。
    後に計算づくで自分の弱さを見せ、油断させていたのとは違う本当の弱さ。
    いつか酒に酔ったとき零していたという、王を目指す理由。
    だがこの筆者は、その言葉を知って新たな疑問を覚えた、とある。
     
  • 足らずの王の治世は長くはなかった。
    一番最初に胸を突かれた魔神の浮かべた歓喜の表情。
    それは王から開放される喜びと、消え去るまでの一瞬に、王を殺せる悦び。
    いや、殺せずとも対抗ができる歓びに満ちていた。
     
  • 青い馬の下半身と、獅子の頭を持つ魔神。サブナック。
    足らずの塔を武具で満たし、候補者レースの初期から王に従わされていた『彼』は既に我慢の限界だった。
    与えた使い魔は欲に堕とし、与えた力は正道を外し、求められた変身は相手の虚を突くために。
    勝てればよい、そう思っていた心が、徐々に憎悪感へと変わっていった。
     
  • 魔神は誰が王になろうとかまわない。
    自らを召喚した候補者が破れれば、喰らって世界に戻るだけ。
    勝利すれば、栄誉と力こそあれ、使い魔としての期間が延びる。
    サブナックにとって、この王に仕えること、頭を垂れることは我慢のならないことだった。
     
  • だからこそ、王により命を奪われ、契約が破棄される。
    それは待ち望んでいた瞬間だった。
    守護者に阻まれ、命は奪えないとしても、傷と言う呪い呪いを与えることはできる。
    初めて召喚されたときに伝え、幾度となく他の候補者に絶望を与えた力で。
     
    「腐り蛆の傷」
    小さな傷口により腐敗は進み、やがて四肢を落とすその呪いを左手首にかけ、魔神は霧となり消え失せた。
     
  • ──円卓の魔人:イグニスⅡ──
     
    下された命令は
    『王を諌める全ての者。炎でその舌を焼け』
     
    声など不要。諌言、忠告全てが不要。
    王であれば、自分の振る舞いが全てであればいい。
    声があるから意志は伝わり、やがて同調し疑いを呼ぶのだ。
     
    声を失った魔神と守護者を前に、王は独りで笑い声をあげる。
    この世界において最も貴い特権は『声を出せること』にかわった。
    いや、殺せずとも対抗ができる歓びに満ちていた。
     
  • ──円卓の魔人:イグニスⅢ──
     
    下された命令は
    『王を諌める全ての者。炎でその舌を焼け』
     
    全ての声が、意味の有る言葉は王以外は失われた塔。
    だがその中でも、意味が読み取れずとも呻き声を出せた魔人。
     
    何故王が、その魔人の呻き声だけを許したのかは不明である。
    見下すため、という理由も間違いではないだろう。
    しかし、その他に秘められた理由があるとすれば、それを知ることができるのは足らずの王だけであった。
     
  • ──円卓の魔人:イグニスⅣ──
     
    下された命令は
    『王を諌める全ての者。炎でその舌を焼け』
     
    命令は拡大され、諌める声だけではなく、意味の有る音が禁じられる。
    音楽もなく、ただ呻き声がまるで鳴き声の様に響く塔。
     
    ネイレスがその命に従い「何者か」に槍を向けるそのとき、少しだけ意味の有る声が漏れた。
    だから、その喉を焼いた。この命令に例外は無かったから。
     
    結果として不意打ちは成功に終わり、槍に貫かれた「何者か」が意味をある言葉を遺そうとしたため、喉を焼いた。
     
    それが、この魔人イグニスが従った命令の、最後の1回。
     
  • 自分以外の、この塔に存在するすべてのものの舌を焼いた。
    魔神も声を出せぬように契約し、たまらない苦痛を与えることにした。
    だが、声が無くては面白くない。何も聞こえない塔は権力の場にふさわしくない。
    だからこそ、イグニスとネイレスには声を残した。意識は奪い、意志も奪い。
    ただ喘ぐだけの声を残した。
     
  • 意識は消えていても、契約は残っているのだろう。
    奴らの従えていた魔神を討っている間、喘ぎ声は慟哭へと変わっていた。
    何を悲しむ必要があるのか全く分からないが、その声は私を満足させるに十分だった。
     
    私が、元の世界でそんな声を挙げても、誰も聞き留めなかった。
    世界も私を見放した。
     
  • 3本になり、すぐに2本となった左手の感覚はまだ慣れない。
    が、便利になった部分もあるだろう。
    私は今まさに腐り落ちた、私のもともとの左手へと哄笑を浴びせる。
    サブナック、お前の死に際も、こうして無駄になった。
    最初から最後まで反抗的であり、敵対心を隠さなかった魔神よ。
    だからこそ私は、合わせ鏡のように罪の意識を捨ててここまで進んでこられたのだ。
     
    その一点では──お前に感謝している。
     
  • ──円卓の魔人:イグニスⅠ──
     
    下された命令は
    『王を諌める全ての者。炎でその舌を焼け』
     
    最初に、舌を焼く炎の犠牲になったのは、王の召喚した魔神。
    それも初期から付き添っていた魔神だった。
     
  • 足らずの王の塔がどれだけ「王の塔」であったか、記録にはない。
    ただ「治世は長くなかった」と記載されているだけである。
    声を発するものが二対の側近だけの塔、魔神すら物言えぬ塔。
     
    元より静寂であった塔から音が消えたとて、外部から気づく手段はない。
    いつ終わったのか、どのように終わったのか。
    それを知るのは、恐らく本人と使役されていた魔神、そして魔人だけだろう。
     
    中立を最後まで貫いていた、同世代の候補者であった筆者は記事をこうしめている。
     
    『あの塔が、王の塔でなくなったと知ったとき、安堵と共に虚しさが残った』
     
  • 足らずの王がまだ候補者時代、他の候補者と話をしていた頃に聞いた話。
    世界から自分が置いて行かれる劣等感の中、唯一拠り所となった、
    自分と同じく親からも世間からも捨てられた、妹とも呼べる少女の話。
     
    彼は彼女を救いたいがために、狡猾になり、力を得ようとし──
    この世界に召喚され、他の候補者からの話を聞いて、元の世界の滅びを知った。
     
    弁護するつもりは皆無であるが、それでも、その時から彼は変わった気がしないでもない。
     
  • 足らずの王には……いや、彼には素質があったことは確かだ。
    だが、その素質が花開くのに必要な水を与えたのは、この候補者レースだけではない。
    そうしなければ生き残れない、と示した我々だったのかもしれない。
     
    彼は私たち全員の鏡ではなかったのか。
    他者を蔑み、陥れ、自分より劣るものしか「信用しない」
    その信用も「いざとなれば切れる」に基づくものであった。
     
    恐らくは、私たちの誰が王となっても、治世は長続きしなかっただろう。
    円卓に他人が着くことを信じられる者が、ある二人を除いては存在しなかったのだから。
    その二人すら、互い以外は信じていなかった、と言って良いだろう。
     
  • イグニスとネイレスの元となった候補者の記載が残されている。
    「彼」と「彼女」は候補者レースの中、不必要に絆を近づけ、まるで兄妹の様に見えていたという。
     
    その絆が騙しあいの一環だったのか、そうでは無かったのか。
     
    だがどちらにせよ、足らずの王が最後に残したのは偶然ではないだろう。
    その姿に何を見たのか、類推することはできるが……それは失礼なことだ。
     
  • 彼は夢想家だった。暇さえあればその頭の中で夢想を繰り返す。
    自らが勇者となる夢、全てを知る夢、超越する夢。
    一瞬で全能となり、元居た世界より脱出する夢。
     
    一つ叶った夢は、世界からの脱出のみ。
    勇気も知識も力も持たず、ただ世界から引き剥がされ、この世界に招かれた。
    勇者でもない、賢者でもない、もちろん神でもない。
     
    彼の望んていた力は、炎熱の魔神として成った、望まぬ形で。
    だが、その与えられた力は、彼が解放される助けとなった。
     
  • 彼女は二束三文で売られた詩人であった。
    昼は夜を望まず眠り、夜は朝を待ちわびて眠る。
    彼女の口から紡がれる歌は客人を満足させ、許された言葉は客の前で唄う詩と、客に聞かせる呻き声のみ。
     
    同じ世界では別段珍しくなかった彼女が、候補者となって最初に行ったことは、詩を奏でない、日常会話の練習だった。
     
    そしてその練習は、魔人となって水泡と帰す。
    歌すらも許されない、呻き声だけ許される状態は、過去をさらに超えたものだった。
     
    だが、最後にその呻き声すら奪われたことにより、彼女は開放された。
     
  • 足らずの王
     
    王とは──
     
    善政を布くものである、圧政を行うものである。
    尊敬されるものである、蔑まれるものである。
    配下を信頼するものである、孤独であるものである。
    最も力をもつものである、最弱であるものである。
    着飾っているものである、裸であるものである。
     
    全てが成り立つ。
    王に重要なのは「王であったこと」それだけだ。
    こんな世界で何を模範にすれば良いのか、何を目指さぬべきなのか。
    民衆や歴史のような採点者は居ない。ただ自分の中にそれが居るのみ。
     
    最後まで格好をつけるならそれも良いだろう。足掻くのも良いだろう。
     
    私は──足掻いた。
     
    生き残るために王を目指し、死なぬことを非難される覚えはない。
     
    ……こう、書く時点で私は後悔をしてしまっているのだろう。
    後ろで扉を開く音がする、こうなることは分かっていた。その為に、自らを例外としなかったのだ。
    呻き声も聞こえない、焼かれたのだろう。それは良い。
    最後に全てを奪えた。私が全てを奪うことができたのだ。
     
    不意打ちと思わせておけば良いだろう。
    そうでなければ、私が顧みたことが明らかになってしまう。
     
    あぁ、サブナックよ。始めて召喚し、あの子と同じ名前を付けてしまった魔神よ。
    お前の視線が、憎しみを隠さぬ視線が、今となっては懐かしい。
    あの視線があったからこそ、魔神のさらに上に立つものとして君臨できたのだ。
    魔神にすらそんな感情を抱かせている存在なのだと、自らを確信できたのだ。
     
    その一点だけは──お前を憎んでいる。
 

※「ネイレス」⇒ギリシア神話に登場する海に棲む女神たち、あるいはニュムペーたちの総称であるネレイスの事と思われる。
 その中でも有名なトロイア戦争の英雄アキレウスの母テティスは、婚礼の際にケイローンからとねりこの槍を送られている。

 

※「イグニス」⇒イグニス・ファトゥス(愚かな火)の事と思われる。鬼火の類。ウィル・オ・ザ・ウィスプとも。

 

※「足らずの王」⇒?

コメント

  • 何を勘違いしてるのか知らんがイグニスだよ。 -- 2016-11-09 (水) 19:18:49
    • 名前の間違いなんてよくあること、いちいち喧嘩腰で指摘せんでよろしいよ -- 2016-11-10 (木) 14:54:40
  • 炎帝の間【Awaken】で イグニアのドミネートを確認 -- 2016-11-09 (水) 13:01:29

*1 目録を埋めるなら、ココでダーティグールと遭遇しないといけない