大門実紀史

Last-modified: 2016-10-28 (金) 17:49:04
 

公式HP  http://www.daimon-mikishi.jp/#br

 

送信状況

  1. 2016年7月9日締切分 参院選候補者に宛てた公開質問状
    送信済(2016.06.29)
     
  2. 2016年10月15日締切 国会議員に宛てた公開質問状
    2016/09/22 送付済み
     

回答

 

2016/09/27 回答
※質問の回答とともに2016年5月23日の国会議事録も一緒にお送りいただけたのであわせて掲載いたします。
議事録には大門氏の質問とそれに答える安倍晋三氏、麻生太郎氏の言葉も載っています。
ぜひご一読ください。

 
 

先日いただいたアンケートへの回答です。
あわせて、先般の通常国会でタックスヘイブンを取り上げた国会質問の議事録もお送りいたします。
ご参照下さい。
タックスヘイブンを包囲する世論の広がりを願っております。
今後ともよろしくお願いいたします。

 

Q1.タックスヘイブンのどのような点が問題だとおもいますか?または問題がないと思いますか?

 

A1.タックスヘイブンは、税率が低い(あるいはゼロ)こと、あるいは、その秘密性や規制の緩さが悪用され、国際的にも大きな問題となってきました。
多国籍企業あるいは富裕層は、タックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立するなどの手法で、巨額の税逃れをしています。その中には、法の抜け穴をついたものや、あるいは明らかに違法な脱税も含まれています。これらの行為で税収が減った分は、一般庶民の負担として跳ね返ります。
また、タックスヘイブンは、ヘッジファンドなど、巨額の投機マネーの出撃拠点として、株や土地、食料やエネルギー産品、通貨などを乱高下させ、世界経済をかく乱しています。さらに、テロ資金や武器輸出に関わる違法、ダーティーな取引にも悪用されています。世界経済にも世界平和にも反する存在です。

 
 

Q2.「腐敗の防止に関する国際連合条約(UNCAC)」の批准を進めたいと思いますか?

 

A2.進めたいと考えています。

 
 

Q3.アメリカ、フランス、イギリス、など10以上の国々で捜査や調査が始まっていますが 、世界第二位のタックスヘイブン利用国であり、累計数100兆円規模の資金が海外に流出していると言われる我が国の対応についてどう思われますか?

 

A3.日本共産党は、タックスヘイブンを利用した税逃れについて実態調査を求めるとともに、課税の強化を求めてきました。
アップル、グーグル、スターバックスと言った大企業の税逃れが明らかになり、世界各国で怒りの世論が沸騰する中、G20あるいはOECDと言った国際機関でも対応策の検討が始まり、日本政府も対応を始めていますが、事態を抜本的に改善するにはほど遠い状況です。日本政府は、財界や大企業の圧力で課税強化どころか、その反対に動いてきた「実績」があります(タックスヘイブン対策税制のトリガー税率の引下げ等)。

 
 

Q4.過去のタックスヘイブンの利用についても調査をし、追加徴税を課すことは可能だと思いますか?

 

A4.当然、そのようにすべきです。

 
 

Q5.タックスヘイブンを規制し税収が増えれば、消費税減税や保険料値下げなど、国民の負担を減らすことが可能だと思いますか?

 

A5.タックスヘイブンの実態は不明ですが、国際機関、市民団体の試算でも、巨額の資産が存在し、巨額の取引がなされているのは明らかです。それらが適正に課税されれば、国民負担の軽減に繋がるのは明らかです。

 
 

Q6.タックスヘイブンを規制し、海外へ流出していた資金を国内に戻すことができれば、景気は回復すると思いますか? 

 

A6.景気回復に寄与するだけでなく、税収を取り戻し財政再建と国民負担の軽減となり、さらに、投機マネーの抑制に繋がり、世界経済のかく乱要因を取り除くことに繋がります。

 
 

Q7.タックスヘイブンをはじめとする「不公平税制」の是正に向けて取り組む意思があるか教えてください。

 

A7.日本でも世界でも、大企業・富裕層の税逃れをただし、格差是正を求める運動が広がってきています。さらに「パナマ文書」のインパクトは大きく、今後もタックスヘイブンの実態解明が進んでいくと思われます。それらの動きと連携し、これからも国会の内外で不公平税制の是正に向けた取り組みを進めていこうと考えています。

 
 

Q8.今回の公開質問状についてのご感想や、ご自身が力を入れている政策など伝えたいことがありましたら、ご自由にご記入ください。

 

A8.日本共産党は、以前からタックスヘイブン問題、国際課税問題を重視して、国会でも質問してきました。先般の通常国会でも、5月23日参院決算委員会での総理への質問、4月26日、5月24日の参院財政金融委員会での財務相への質問などで取り上げました。時間があれば、ご参照下さい。

 

また、今年行われた参議院選挙でも、以下のような選挙政策を掲げています。
「タックス・ヘイブンなどを利用した税逃れをやめさせます
世界中の大企業や富裕層が、タックス・ヘイブン(=租税回避地。税率が低く、秘密性の高い国や地域)にペーパー企業を設立して、この企業に資産を移したり、この企業を通じた国際取引を行ったりすることで、「課税逃れ」をしている-国際ジャーナリスト団体が公表した「パナマ文書」で、その一端が明らかになり、怒りの世論が広がっています。パナマ文書には、日本の大企業や富裕層の名前も登場しています。

 

国際収支統計によれば、タックス・ヘイブンといわれるケイマンへの投資は急増し、昨年末には76兆円(直接投資2兆円、証券投資74兆円)に達しています。香港、台湾、シンガポールなど、その他の地域を含めれば、公表されているだけでも100兆円前後になります。投資利回りが数%としても数兆円の利益が生ずる計算になりますが、この利益にどのように課税されているかは明らかになっていません。

 

──タックス・ヘイブンに子会社をつくった場合、子会社の所得を親会社の所得に合算して法人税を課税する仕組み(特定外国子会社所得合算税制)があります。「タックス・ヘイブン税制」といわれるこの制度は、「日本からの出資が50%超」「現地の法人税率が20%未満」など適用要件が狭く、対象となった子会社の所得は年間4000億円程度にすぎません。適用要件の税率が「20%以下」から「20%未満」に改定されるなど、いっそうの骨抜きが進んでいます。これを改め、タックス・ヘイブン税制の対象を拡大します。

 

──外国子会社配当益金不算入制度によって非課税とされた配当が、14年度に6兆円近くにもなっていますが、外国子会社の所在地別の配当金額は公表されていません。政府は、外国子会社配当益金不算入制度について、「二重課税を防ぐための措置」などと説明しますが、子会社がタックス・ヘイブンにあった場合は、「二重課税」どころか「二重非課税」になってしまいます。これを許さないように、制度を見直します。

 

──タックス・ヘイブンにどれだけの投資がされているのか、どういう企業が投資しているのかなど、必要な情報の収集と公開の仕組みを整備します。現在OECDやG20でも、タックス・ヘイブン対策の議論が進められています。国際的な税逃れに対し、国内税制の強化とともに、国際的なルールづくりへのイニシアチブの発揮を、日本政府に求めます。

 

──「税逃れ」は国内でもあります。大株主の中には、保有する株式を自分が出資してつくった資産管理会社の名義にすることで、配当への課税を軽減している場合が少なくありません。たとえば、アベノミクスの3年間の株価上昇で資産が100億円以上増えた富裕層が200人以上いますが、これらの人の保有する株式の時価総額(5月31日現在)17.8兆円のうち、8.1兆円が資産管理会社などの法人名義となっています。配当を総合課税にしても、今のままでは資産管理会社名義の株は対象外となってしまいます。こうした「合法的な課税逃れ」を防ぐ方策を検討します。

 

──「富裕税」の創設は、こうした資産管理会社を使った「税逃れ」への対策の1つとしても、有効性を持っています。配当を本人が受け取らずに資産管理会社に蓄積することで所得税の課税を逃れても、資産管理会社に蓄積された巨額の資産に対して、「富裕税」を課税することができるからです。直接に株式を保有しているのは資産管理会社でも、その資産管理会社を保有していること自体を本人の「資産」とみなせば、「富裕税」は課税できるからです。」

 
 
 

2016年5月23日 参院決算委員会

 

大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
決算委員会ですので、税金の取り方、税収に関わる問題として、今話題のタックスヘイブンについて取り上げたいというふうに思います。
まず、先ほど指摘もありましたけれども、今、貧困と格差が広がっております。資料も用意いたしましたが、いわゆる貧困世帯、最低生計費以下で生活する世帯が一千万世帯近くにまで増加してきております。ワーキングプアも急増して、貯蓄ゼロ世帯も急増しているというところでございます。一方、この委員会でも指摘がされてきたと思いますが、金融資産を一億円以上持つ富裕層も急増して百十万世帯を超えたということで、貧困、貧富の格差が拡大をしております。
こういう中でのパナマ文書問題でありますけれども、パナマ文書をきっかけに、大金持ち、大企業がタックスヘイブン、つまり税金がゼロとかあるいは非常に低い税率の国、地域にペーパーカンパニー、実体のない幽霊会社をつくって課税逃れをしていることが暴露されて世界的な大問題になっているということでございます。日本の大金持ち、大企業の名前も挙がっております。
普通の国民にすれば、あるいは中小企業にすれば、海外にペーパーカンパニーをつくって、幾ら、括弧付きですけれど、合法的とはいえ税負担を逃れるなど自分たちにはできないと。そういう点からも、税の公平性からも怒りの声が上がっておりますし、また、パナマだけではなくて、世界のタックスヘイブンを使った課税逃れの金額は、いろんな推計はありますけれど、法人税だけでも二十兆とも三十兆円とも言われております。その分、各国の社会保障や貧困対策に回す財源が失われているということでありまして、これは日本も同じでございます。
まず、総理に伺いますけれども、総理は、今のところ消費税の一〇%への増税を否定されておりません。延期、中止するとはおっしゃっておりませんけれども、こういうタックスヘイブンを利用した大金持ちとか大企業の課税逃れを放置して庶民に増税するなど到底許されるものではないというふうに思いますが、総理、いかがですか。

 

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 多くの方々、例えばサラリーマンの方々の場合は、給料は天引きでございますからまさに透明の中できっちりと税金を払っておられるわけであります。その中で、一部の人々が租税回避を行っているということが事実であるとすれば、課税の公平性を損ない、納税者の信頼を揺るがす大きな問題であると考えています。
課税当局は、租税条約等による情報交換を含めて、あらゆる機会を通じて情報収集を図るとともに、問題のある取引については適正、公平な課税に向けた執行に努めていると承知をしております。また、国際的租税回避については、各国が連携して対応しています。
先週仙台で行われたG7財務大臣・中央銀行総裁会議においても、さきのG20の議論を踏まえ、いわゆるパナマ文書に関連して更に議論が行われました。G7では、国際的な課税逃れに対応するため、これまでOECDまたG20が推進してきたBEPSプロジェクトや非居住者の金融口座情報をより多くの国で共有していく取組を各国が足並みをそろえて着実に実施することが重要という点で一致をいたしました。また、非協力的地域を特定する客観的基準など、税の透明性を高める取組を実施することの重要性を再確認したと承知をしております。
そして、先般、パナマの大統領が来日をいたしまして、この問題についても議論をいたしました。言わば、今までなぜパナマの法律事務所でそういうことがあったかといえば、情報が各国とお互いに、相互的にこれは共有されていなかったということであったわけでありますが、OECDの国際基準に沿った金融口座情報の自動的交換のための協定の締結についてパナマとの間では日本が世界で初めてこの交渉を開始いたしまして、今般、世界に先駆けて実質合意することに至ったわけであります。
今般の伊勢志摩サミットにおいては、議長国として、国境を越えた不公正な課税逃れを防止するために、OECD、G20で決定した事柄を各国が確実に実施していくよう働きかけを行い、国際的な議論をリードしていきたいと考えております。

 

○大門実紀史君 その国際協調は後でまた質問したいと思いますが。
このパナマ文書とか、今まで、これが初めてではありません、タックスヘイブンではいろんな指摘がありまして、名前が出てくる大金持ちや大企業は、合法的にやっているんだ、脱税ではないんだというふうに反論してきましたけれども、しかし、合法的なら何やってもいいのかと、あるいは課税逃れが合法になっていることそのものが問題ではないかということが今指摘されているという段階でございます。
そもそも、一体どういう方法で課税逃れが行われているのか一般にはまだよく知られておりません。実際には、複数のタックスヘイブンを使って、複数のペーパーカンパニーを経由して、介在させて、大変複雑で巧妙なやり方で行われているわけですけれども、今日はちょっと最もシンプルな、実際に行われた事例を御紹介したいというふうに思います。(資料提示)
これはユニクロの会長兼社長のYさんの話です、もう誰か分かってしまいますけれども。これは金融庁に提出された大量保有報告書で明らかになっておりますけれども、二〇一一年の十月にYさんは、自分が持っているユニクロの株を五百三十一万株を、オランダにつくったペーパーカンパニーです、自分が全部株を所有しているペーパーカンパニーに、譲渡といいますが、実際には移動しただけでありますけれども、その株式の配当を二〇一五年ベースで計算すると約十八億五千万ぐらいになります。それを日本でそのままYさんが保有すると九億円を超える税金が掛かるという計算になります。ところが、オランダに移しますと、日本との租税条約によって、オランダにある資産管理会社が受け取る配当に対しては日本の所得税一〇%が源泉徴収されるだけと、つまり二億円だけ払うと。差引き七億円節税になる、税逃れをしたということでございます。
このタックスヘイブンに、これ、Yさん一人やっているわけじゃないですよ、いろんな富裕層がみんなほとんどやっているようなスキームであります。このタックスヘイブンに資産管理会社、ペーパーカンパニーをつくって、そこに資産売却しているわけですけれど、ほかにもいろいろ使われていまして、資産管理会社の名前でこの本人が住む家を、豪邸を買うと。そこに住むわけですね。今度は家賃を払うという形をして更に節税をするということまで行われているわけであります。これが一番シンプルなといいますか、広く行われている課税逃れのスキームでございます。
先ほど、総理から各国が協調して、国際協調で、それは大変重要なんですけれども、実はタックスヘイブン問題というのは今に始まったことじゃありませんで、既に一九九八年にはOECDの租税委員会がこの問題を指摘しております。こういう大金持ちとか大企業の行動を、税金を払わずに公共サービスにただ乗りをしていると、財産を移動できない国民に負担を押し付けているということをOECDがもう一九九八年に厳しく非難をしているわけであります。それから二十年近くたっても、パナマ文書で出てきたようにいまだいろんな課税逃れが起きていると。
OECDは日本が主導してきたところありますから、頑張ってはいるんですけれど、対策としては遅々としてなかなか進まないので、課税逃れが横行しているということでありますので、先ほどありましたけれど、サミットも含めて、日本がリードする責任は大変重いと思いますので、その辺は本当に頑張っていただきたいというふうに思います。
同時に、じゃ日本の中でどうなっているかと、日本の税制がどうこれを防いでいるかという点をお話ししたいと思うんですけれども、タックスヘイブンにペーパーカンパニーをつくる目的というのは、税金を逃れるだけじゃなくて、そういうタックスヘイブンの国や地域は非常に金融規制が緩いと、ハイリターンですけどリスクの高い金融商品を組成して、そこに出資できると。日本の中ではなかなか手の出せない金融商品、マネーゲームですけれども、それがやれるということでこういうペーパーカンパニー、子会社をつくって投資をするわけであります。
日本が最も積極的に証券投資をしているタックスヘイブンはパナマではありません。ケイマン諸島でございます。ケイマン諸島への日本からの証券投資額は、フローですけれども、六十三兆円でありまして、つくられているペーパーカンパニーが掌握されているだけで五百二十四社あります。
この収益全て、今、日本の本国が課税しているんでしょうか。麻生大臣、いかがですか。

 

○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘がありましたとおり、ケイマン諸島への投資額、これは日銀の国際収支統計によって、二〇一四年度末で直接投資残高二兆三千六百三十七億、証券投資残高六十三兆二千九百四十六億円であると承知をいたしております。
この投資額は外国子会社合算課税の対象となっているかにつきましては、これは個々の納税者の事実関係や適用されております税制というのがそれぞれ異なっておりますので、いわゆる一概に申し上げることはこれは困難なんですが、全てが課税されているわけではないというようなことは、御指摘があることは事実だと私どももそう思っております。
したがいまして、この外国子会社合算制度の見直しなど、この課税逃れというものに対応した制度というものの見直しというものを考えねばならぬところなので、執行面におきましても、適正、公平な課税の実現を努めてまいりたく、今回の、先ほど総理からお話のありました仙台におきましても、この話が昨年の十一月、正式にOECDでやらせていただいて、これの法律作っただけで、これ執行しなきゃ意味がありませんので、この執行するための会議というものをこの六月、京都で第一回会議をやらせていただきます。加盟しておりますOECDの四十三ということで案内をしておりますが、現実問題百か国を超える方々の参加が見込まれておりますので、それなりの影響が出てきつつあると思っております。

 

○大門実紀史君 全て課税されているわけではないですよね、数字からいってもですね。
どうやって課税逃れをしているのか、いろんな金融機関なり専門家の、関係者の証言も含めて一つ分かりました。広くケイマンで使われている仕組みでございます。パネルにいたしましたけれども、これ、テレビ初公開でございます。慈善信託、チャリタブルトラストという仕組みがケイマンでは広く使われております。
どういう仕組みかといいますと、まず左側ですね、通常の仕組みというのは、今、麻生さんからもありましたとおり、通常は、日本の投資家がケイマンで証券投資をするときに子会社、ペーパーカンパニーをつくっても、その会社を使って投資をして得た利益は日本の親会社の利益と合算されて税金を取られると、そう簡単に子会社をつくっても逃さないぞという、基本的にそういう仕組みになっているわけです。ところが、それだと全部把握できるはずですよね、課税できるはずですね。それを逃れるために何をしているかといいますと、右側の慈善信託、チャリタブルトラストという仕組みでございます。関係者の間ではチャリトラと言われているぐらい、愛称で呼ばれるぐらい普及している仕組みであります。
どういう仕組みかといいますと、まず日本の親会社が持っている子会社の株式を信託会社に信託をするわけですね。信託会社は、慈善団体、これは名目だけですから何でもいいんです、国際赤十字でもいいし、何か取りあえずつくった慈善団体でも何でもいいんです、そこに信託宣言を行うわけであります。なかなかちょっと法律的に難しいんですけど、この時点で株式の形式的受益者は慈善団体ということになります。同時に、子会社の株主は親会社でなくなって、日本の親会社と子会社の資本関係が遮断をされるわけですね。
要するに、簡単に言いますと、そのままだと課税されるんで、株を信託するという形を取って親会社と子会社の資本関係を法的に切り離すわけですね。遮断するわけです。そうすると、子会社で稼いだ利益は親会社と資本関係がないということになりますので、形式上、合算されないということになって税金が掛からないということであります。
形式上、受益者は慈善団体ということになりますけれど、この子会社は慈善団体に利益を渡そうなどという考えは更々、元々ないわけですね。慈善団体も、自分から利益下さいと言わないから慈善団体なんですよね。そういう仕組みになっておりますので、子会社の利益は慈善団体に行かないで、税金も掛からず、その子会社のところでずっと蓄積されていってまた再投資に回されると。利益はどんどんどんどん子会社の中で蓄積するわけですね。これは、この部分については税金がずっと掛からないということですね。
最終的に、じゃ、その子会社に税金掛からないで再投資を繰り返して、たまった利益はどうやって還元するのかというと、これがまた、ほかの国のタックスヘイブンを使ったり資産管理会社を使ったり、あの手この手を使っていって還元していくということが行われているわけであります。その前段の一番最初に、ケイマン諸島にペーパーカンパニーを使って利益をどんどん生んでも税金を払わないという仕組みが個々にあるということでございます。これは全く日本のタックスヘイブン税制を回避する本当に小ばかにしたようなやり方だと思うんですよね。
これは国税庁も実は注目しているというふうに聞いておりますけれど、麻生大臣、これはどういうふうに対処されていかれますか。

 

○国務大臣(麻生太郎君) これを分かりやすく説明していただくのを大蔵省じゃなくて共産党から説明していただいて、本当に分かりやすく、大蔵省にしゃべらせると、財務省にしゃべらすともう更に分からなくなる方が多いんで、我々の頭では付いていかないところがいっぱいあるんですけれども、物すごく分かりやすく説明しておられたので、こういうのは、簡単な話を難しくしゃべるならうまい人が多いんですけれども、難しい話を簡単にしゃべるというのはなかなか頭の要る作業なんで、改めて大門先生って頭がいい人なんだなと感心し、さっきから聞いていました。
おっしゃるとおりに今の分析は正しいんであって、今回のあそこの、仙台の会議の中でもこのチャリタブルトラストというのは、これはもう昔からよく言われている話でもありますんで、私どもとしてはこれは全て合法ですから、そこが問題なんです。これ、違法だったらやり方はいろいろありますけど、合法なところが一番問題なんで、私どもはこれ、三年前の五月にバーミンガムシャーでG7をやりましたときに、これは日本が提案して、この話を何とかしようじゃないかというのを持ち出したのは日本。たまたまOECDの租税委員長が日本人だったために一斉にやるということで、三年掛かって昨年の十一月にこれができたんですが、これをインプリメント、施行するということを今からやっていくのに当たって、今年の五月、これを、会議をやらせていただいて、正式に六月に実際に施行するためには何が必要かと。
これ、各国みんな持ち寄って情報を全部提供してもらわなければいけませんけれども、一番肝腎なことは、先ほど総理からお話がありましたように、この話を、今パナマが話題になりましたけれども、パナマはこの種の話に世界百九十何か国の中で入っていない、情報交換をすることを全くしていなかった国なものですから、その国と情報交換を自動的にやりますということを交渉開始を決めたのが四月で、今年の五月の二十日の日に正式にサインというところまで来ましたので、これは一歩でありますけれども、こういった形で各国全部そういったことをしていただくことによって向こう側にこの情報というものが入ると、向こう側の情報もこっちに入るということで自動交換になりますので捕捉しやすいという形になっていく。まずは、第一歩はここからだと思っております。

 

○大門実紀史君 総理はこれからサミットの場でこういう議論もあるのかと思いますけれども、OECDはずっと租税委員会に日本の財務省から人を出してずっとリードしてきたことは確かなんですね。そのときにやっぱりなかなか、日本の財界も反対しているというのがありますけれども、なかなか前に進まないで、対策が進まないできたんですけれども、今回このパナマ文書に関連してやっぱり出てくる議論というのは、OECDの中でもそうなんですけれども、そもそもタックスヘイブンって何なんだと。企業の行動は自由で合法的ならどこで何やってもいい。そういうことをやっているから、税の引下げ競争なり、各国の財政を圧迫して空洞化を招いて貧困が広がってと大きな捉え方で今こうなってきて、そもそも稼いだところでちゃんと税金納めるのが当たり前だという、当たり前の原則をOECDは打ち出す、柱の中心に打ち出すようになったんですね。
ですから、企業の行動は自由で、余りひどいことをやらないで合法的な範囲でやってくださいとか、そういうことではなくって、もうそろそろ、当たり前のことですけれども稼いだところでちゃんと税を納めて、その国に納めて、社会貢献もするという立場でサミットの場でもみんなが考えるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

 

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これはまさに大門先生がおっしゃったとおりだと、このように思います。やはり正直者がばかを見ない社会であって、初めてみんなが一生懸命頑張って仕事をしていこうということになるんだろうと、このように思います。
そしてまた、企業は存在する以上、その地域の様々なサービスを受けているわけでありますから、そのサービスは税金によって供給されているわけでありまして、そういう認識をしっかりと持っていくということも大切でしょうし、先ほど財務大臣から答弁をいたしましたように、合法であるということが問題であって、どうしても合法であれば企業はそうした税をなるべく節税をしようという行動に走るわけでありますから、これは国際的にしっかりと協調してルールを作っていくということが大切だろうと思います。
ネットの世界においても、ではどこで一体それは決済がなされたんだということになって、ネットのサービスで買っても実はそのときの消費税は日本では払われないということもこれはあったわけでございますが、そういうことを調整しながら、国際的に調整しながら今日に至っているわけでありますが、しっかりと多くの方々が納得をしていただくという状況をつくっていきたいと、このように思っております。

 

○大門実紀史君 そういうふうに頑張ってもらいたいと思うんですけれども、今の日本の税制がざるになっているという一つの典型なんですけど、ケイマンのペーパーカンパニーにきちんと課税すれば、はっきり何兆円出てくるという数字はマクロでしかないんですけれども、少なくとも、消費税の増税しようということは必要なくなるぐらいの規模の税収は入ってくると私は思うんですね。
そういう点からいきますと、もう一度、お聞きしました最初の質問と同じになりますが、こういうことが今話題になって、日本の企業も、これ、パナマ文書だからあれですけど、ケイマン文書だったらいっぱい出てくると思うんですね、日本の企業が。そういう中で、やっぱりこの時期に、こういうときに、こんなものが放置されて消費税の増税なんというのはとんでもないと、庶民増税はとんでもないという、これはもう新聞の投書にもいろいろ出てきますけれど、総理は先ほど言われました、真面目に働いている人がばかを見ると。まさにこれはばかを見る事例ですよね。これ放置されてやっぱり消費税の増税とかいうことはちょっと違うんじゃないかと思いますが、その点いかがですか。

 

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどの御指摘は全く同意をしたわけでございますが、今の御指摘は少し意見を異にするところでございます。
確かに、税の公平性ということが担保されて初めて一般の皆様も自分も税金を払おうというお気持ちになれますから、それをしっかりと確保していくことはとても大切だろうと、このように思います。
と同時に、まだそこに、ではそういう仕組みがない段階においてどれぐらい税収が入ってくるかということを計算する中において、大切な社会保障費に充てるものを、我々、それを充てるということを前提にするということはなかなかこれはできないわけでございまして、私どもといたしましては、従来から申し上げているような考え方の下に消費税については考えていきたいと、このように考えております。

 

○大門実紀史君 よく消費税は社会保障のためという議論が先ほどもありましたけれど、消費税幾ら増税しても社会保障は良くならなかったというのが国民の実感ですよね。
その根底に何があるかというと、結局、消費税導入して増税してきましたけれど、その税収が結果的に、結果的にやっぱり法人税の減税分に回ったとかあるいはこういう課税逃れをした税収減の穴埋めに回ったと、結果的には大きく見ればそういうことになるわけでありまして、やはり消費税の問題、本当にこれは真剣に、こんなときに増税が許されるのかということはお考えになるべきだというふうに思います。
日本共産党は、大企業や大金持ちの課税逃れ許さないのは当たり前で、むしろ今もうかっている大企業や大金持ちにきちんと、もっと負担能力あるんだから払ってもらうべきだと。その点では、本当に富裕層がこれだけ増えているわけでありますので、富裕層に対する所得税の最高税率の見直し、証券取引の関係の税率の負担をもっと、今でも低いわけですから、欧米並みに負担してもらうということを訴えて頑張っていきたいと思いますが、本当に消費税は中止を強く求めたいというふうに思います。このことを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。

 
 
 

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