キハ40系JR四国

Last-modified: 2017-02-05 (日) 21:13:20

車両概要

1977年(昭和52年)から1982年(昭和57年)にかけて計888両が製造され、日本全国の非電化路線に投入された。現在でもJR旅客鉄道各社に多数が在籍し、主に普通列車用として広く用いられている。電車に近い車体構造の大型気動車で、客室設備の改善や走行機器の刷新なども図られているものの、動力性能についてはほとんど向上していない。
区分としては、片引き戸のキハ40形(両運転台)、キハ48形(片運転台)と、両引き戸片運転台のキハ47形に大別される、投入線区の気候などに応じた仕様の違いや、便所の有無などによって番台区分されている。
近年では事故や災害、より高性能で維持費の低廉な新型気動車への置き換えにより、廃車や保留車が発生しておりなかでもJR東海では全廃となり、外国などへ譲渡された編成もある。

車体

落成時期の関係から製造当初は全車が明るい朱色一色(首都圏色)で落成しており、従来の一般形気動車の標準塗装であった国鉄色で落成した編成は存在しない。
前頭部はキハ66系のものを踏襲したもので、踏切事故・衝突対策として高運転台化、運転室長さの拡大、前面の外板の強化、床下前面にスカートを装着している。運転台窓は運転席からの視認性に配慮した側面部に回り込んだパノラミックウィンドウを用い、前照灯は前面窓上にシールドビームが2灯、尾灯は在来形気動車よりも高い位置に2灯、それぞれ左右に振り分けて設置され、貫通路直上には列車種別表示器も設けられている。(列車種別表示機は手動であるものが多い)

車内

客室内壁の化粧板は、在来形気動車に比してやや明るい色調でまとめられている。初期に投入された車両は、薄茶色や淡緑色であるが、中期以降の車両はクリーム色に統一されている。座席はボックスシートを基本としてドア付近にのみロングシートを配したセミクロスシートとした。ボックスシートはシートピッチをキハ58系までの急行形車両と同等の1,470 mmとし、一般形気動車として初めて人間工学を採り入れた新形状のものとした。

扉はいずれもステップ付で半自動扉であるが、ドアエンジンは当初からの半自動式用ではなく、自動式用ドアエンジンの指令回路のみを変更して半自動動作に対応させており人力での開閉はやや重い。また、寒地・酷寒地形で使用されるものについては、客室と出入り台の間に仕切り扉を設けたデッキ付きとし、寒冷時の保温を図った。

暖房、冷房機器

暖房は温水暖房式であるが機関廃熱および機関予熱器での軽油燃焼による熱を使用して床下の熱交換器で温風を作り車内に循環させる方式を採用した。機関の冷却水を床下の熱交換器に通し、ここに外気および室内空気を循環させて暖める。なお、気温が低い時、下り勾配、停車時など、機関の廃熱だけでは冷却水温が上がらない場合には、機関始動用の機関予熱器を使用して補助的に加熱する。これは機器搭載に床下スペースを必要とするという難点があるものの、温水管を車体内に引き通す必要がなく、構造も単純であった。それに加えて運転室内には自動車用温水暖房装置が併設されている。
その反面、冷房装置は製造の段階では設置されず、準備工事の施工も見送られた。当時は地方路線の冷房化は時期尚早であると判断されたことに加え、連続定格出力150 - 180 PSと非力なエンジンが標準だったためである。

トイレ

便所は組み立て式で、キハ40形は出入り台側から内開き扉、キハ47形・キハ48形は側面の客室側引き戸から出入りする方式とし、水タンクは屋根上搭載の重力給水式としてポンプや空気配管を不要としている。汚物処理装置は搭載を考慮して機器搭載スペースを確保する準備工事が行われたが、地方路線の汚物処理施設整備がほとんど進んでいなかったため、全車が従来通りの垂れ流し式となった。

運転台

運転台は機器配置・座席形状とも人間工学に配慮した構造となっている。また、側面にタブレットキャッチャーとその防護板を設け、タブレット閉塞式での通過運転に対応した。