美祢線

Last-modified: 2017-02-11 (土) 00:38:07

路線概要

山口県を南北に貫く地域輸送路線であり、沿線には秋吉台・秋芳洞への玄関口美祢市や海上アルプスと呼ばれる青海島がある長門市などを控えている。かつては石灰石などの貨物輸送が多かったため、運賃設定上は幹線に指定されたが実質地方交通線同様の扱いを受け、25キロの速度制限がある区間もある。

運行形態

旅客列車はすべて各駅に停車する普通列車で、1 - 2時間に1本程度運転されている。すべての列車が厚狭駅 - 長門市駅間の全区間で運行されており、区間運転の列車は特定日の昼に運行される美祢発長門市行き1本のみである。約半数が山陰本線仙崎支線まで直通し、厚狭駅 - 長門市駅 - 仙崎駅間折り返し運転を行っている。保守工事のため、日中の上下2本の列車は月に1度月曜日に運休し、バス代行となる。全列車がワンマン運転を実施している。また、大河ドラマ『花燃ゆ』放送に合わせて山陰本線に乗り入れ東萩駅までを結ぶ臨時快速列車「幕末ISHIN号」が土日・祝日に1本運転されている。

使用している車両

キハ120系?

過去の運行形態

なお、2015年3月13日までは、学校登校日の朝に美祢発長門市行きが運行されていた。かつては急行列車の「あきよし」や「さんべ」が運行されていた(美祢線内は美祢駅と長門湯本駅に停車)。いずれも山陰本線益田方面から美祢線・山陽本線を経て九州に至る列車であるがいずれも1985年に廃止されている。急行列車の運転終了後にも臨時快速「北長門」・「金子みすゞ号」・「萩・津和野号」なども臨時快速列車も運転されていたが、いずれも運転が終了した。

貨物列車

2013年度までは日本貨物鉄道(JR貨物)による貨物列車も運行されていた。
かつては美祢駅から宇部線宇部港駅との間で石炭・石灰石運搬の専用貨物列車が昼夜を問わず多数運転され、旅客輸送以上に収益をもたらし、当線が運賃設定上「幹線」とされていたようであった。しかし主たる顧客であった宇部興産が自社の専用道路を開通させ石灰石輸送をトラック輸送に移行させたのに伴い、宇部港駅向けの石灰石列車は1998年(平成10年)に廃止となった。
近年まで運行されていた系統として、重安駅と宇部線宇部岬駅との間で1日1往復運転される専用貨物列車が存在した。こちらも車両の老朽化に伴い2009年10月18日の運行をもって廃止となった。
このほか美祢駅と山陰本線岡見駅との間を山陽本線・山口線経由で専用貨物列車が1日1往復運転されていた。宇部興産伊佐セメント工場で生産される炭酸カルシウムと中国電力三隅発電所で発生するフライアッシュを相互に輸送するものであったが、2013年7月の水害に伴う山口線の運休により、この列車は運行休止となりトラックによる代替輸送がおこなわれた。さらに同年10月に発生した三隅発電所のトラブルなどの影響もあり、そのまま運行再開されることなく2013年度末をもってこの貨物列車は廃止となった。
これをもって、美祢線におけるJR貨物の第二種鉄道事業は2014年4月一日付で廃止となった。
そのため、美祢線南部の各駅が十分な有効長を持つ行き違い施設を備えていたり、信号場の存在があり、それはは貨物列車が走っていた面影ともいえる。

水害と奇跡の復活

2010年(平成22年)7月12日から15日にかけて美祢線沿線や自治体でも激しい豪雨に見舞われ、党路線も大きな被害を受けた。厚狭川の氾濫に伴い、橋梁や路盤が流失したた、全線不通になった。その後のの定例会見の席で美祢線の復旧の目処が立っていない旨を明らかにし、美祢線全線を集中制御しているケーブルが断線したため被害が比較的少なかった区間を含めた部分的な再開が難しいとの見解を示した。
それらの理由から7月21日からバス代行を開始したものの運行ルートは、当初は一部区間で平行する道路が同時に被災したため、厚狭駅 - 美祢駅間は美祢線から離れた国道316号を直行し途中駅を経由しなかったが、県道の一部復旧に伴い8月7日から県道経由(厚保駅・四郎ケ原駅・南大嶺駅停車)と国道経由(湯ノ峠駅停車)の2系統で運行された。
山口県知事は2010年(平成22年)8月11日の記者会見での質疑応答で、JR西日本本社に早期復旧の要望を行った際に、「美祢線は近年の利用状況から、本来的には廃止をしたい路線と位置付けている」というような指摘があったことを明らかにしており、早期復旧のために沿線の山陽小野田市・美祢市・長門市とともに利用促進対策を検討する場を設けることとともに、厚狭川の災害復旧事業と連携して美祢線の復旧をJRとともに進める意向を表明した。
その後の山口県との調整で、山口県は河川管理上必要な河川改修事業費として2年全体で5億3千万円程度の予算措置を行うことを決め、初年度分として2億8千万円の予算案を計上し、可決された。美祢線復旧事業のスキームとしては本来山口県が河川管理者として実施すべき事業の一部(河道の拡幅、護岸の復旧及びかさ上げなど)を山口県からの委託によりJR西日本が一体的に施工し、橋梁のグレードアップ分および河川改修費用相当分として当該箇所の全体事業費(約6億6,773万円)の約4分の3を国および山口県が負担するものである。なお、それ以外の全線復旧に要する費用については総額で約13億3,400万円かかる見通しを明らかにしており、協定分以外の6億6,700万円についてはJR西日本が全額負担することとなった。
復旧時期については山口県は、「おいでませ!山口国体(2011年10月)の前には復旧をしてもらいたい」との希望を述べたものの、JR西日本広島支社は「通常、災害発生から復旧まで3年かかるところを1年余りでやろうとしていることを、山口県にもご理解いただきたい」と述べ、国体までの復旧が難しいことを示唆していたが、何とか間に合い、2011年9月26日始発より全線で運転を再開した。

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