元々、本記事はVer1.0.2の時に「機体の空気抵抗を減らす小技」を紹介する目的で書いていたのですが
作成中(正直言うとチキチキ参加のため放置)に1.0.3、1.0.4が来て
貯めていた実験データとSSを全部取り直す羽目に...
再試験中、空気抵抗の軽減とRT-5などSRBの性能上昇(搭載燃料の増加)により
1.0.4では何も考えずに作った「初期パーツロケット」でも、この位の高度まで上がれるので
- 1.0.2だと確か3kmくらいだったはず
これなら(1.0.2では諦めた)初期パーツでの宇宙到達が出来そうなので、試してみました。
●一応「初期パーツ」だけでなく「初期施設」(主に30パーツ・18t制限)もクリアしています
●元々は、特にパーツ制限せず単に「空気抵抗の実験」記事だった関係上、
実際の機体作成と実験はサンドボックスで行っています。
- 発射台の海抜高度が5m高いくらいの違いなので、たぶん影響はほとんど無いかと
●今更明記する必要も無いかと思いますが、KSPのバージョンは1.0.4です。
例によって、普段使っているMODをいちいち外すのも面倒なんでそのままですが
機体設計および運用において使用・影響しているのは
- Kerbal Engineer Redux
- Editor Extensions
- RCS Build Aid
- Kerbal Joint Reinforcement
の4つだけ...のはずです。
- なおKJRは(影響が大きいので)外しても大きな問題は無い事を確認しています
●あまり本題とは関係ないですが、本記事は
「第二回チキチキ航空機選手権」の参加機体に使用した空気抵抗軽減する小細工の解説
を兼ねています。(いやさすがに競技の記事で長々と解説する訳にもいかんでしょう)
FPtS(First Parts to Space)試作0号機
0.90以前で使えた「爆破分離」は現Verでは出来なくなっていますし、
エンジンがRT-5一択なので燃料だけを増やすことも出来ないので
今回、ΔVを増やすにはエンジンを横に追加するしかありません。
ただし、普通に横付けしてもダメで
到達高度は却って低下します。
原因は、説明しなくてもお分かりかと思いますが「空気抵抗の大幅な増加」。
エンジンの出力を絞ってゆっくり上昇させれば多少は改善(このくらい)しますが、
目標高度にはまるで足りないので、なんとか機体自体の空気抵抗を減らす必要があります。
減らしましたw
......あ、いや。重要なのは「どうやって減らしたか」ですよね、分かってますハイ。
取り敢えず、普通に側面取り付けでエンジンを盛ります。
この時(普通に真上に進むと仮定した場合)、機体の空気抵抗は大部分が横付けしたRT-5の前面で発生しますが、
ここにはノード(接続点。上画像の緑色の球)があるため、他パーツを接続すれば空気抵抗は発生しなくなります。- ただし接続するパーツにサイズ差があると完全には無効化しません
- 上画像では、コマンドポッドと接続した中央エンジンの前面では空気抵抗が発生していません
- ついでに言うと、現Verでノーズコーンに抵抗軽減効果があるのはこれが理由です
という事で、上にパーツを繋いで空気抵抗を無効化。
いや当然(繋いだRT-5にも空気抵抗があるので)それだけでは何の意味もありませんが、
ここからが重要で、この「パーツ接続による空気抵抗の無効化処理」は
OffsetやRotateでパーツを移動させても影響がありません
また、パーツの後面(上の機体だとエンジンの噴射口7個)でも
前面ほど大きくありませんが空気抵抗が発生しています。
- 従って文字通り機体の後ろにつけるテイルコーンにもわずかですが効果があります
目標高度にはまだ足りないので、繋げ方を工夫して後方のノードも減らします。
コマンドポッド底面にRT-5をラジアルマウントして伸ばす(当然、この後OffsetとRotate駆使して動かしますが)
これでノード(≒空気抵抗の発生面)は3個(ポッド1+エンジン2)まで減少し
到達高度はこのくらいまで上昇。
- 同様の理由で、重量制限上はあと4個RT-5を増やせますがやめています
- なお、当然この「接続による空気抵抗の減少」はエンジンに限った話ではないので
パラシュートもひっくり返せば(ノーリスクで)空気抵抗を更に若干減らせますし、
もちろんノーズコーンやインテークも総じて後ろに向けた方が効率がいいです(見た目は酷いですがw)
後は(上述した)エンジン出力を調整すれば、目標高度70kmへの到達が可能となります。
問題点
という訳で、本記事の目的はこの時点で達成...でも良いのですが、この機体ちょっと問題があって
- 「大気中では」重いものは軽いものより速く落下します
到達高度を上げるために空気抵抗を減らした事もあって
この機体はパラシュートが安全に展開できる速度まで減速しきれません- 厳密には高度数百mでギリギリ「Safe」表示まで減速しますが、低すぎて間に合わない
- 機体を捨てれば(EVAで脱出)緑の生還だけは可能ですが、今回「初期施設」の制限で使えませんし
まぁ降下時の空気抵抗を増やせばいいだけなので、機体を横に向ければ簡単に対処可能
......かと言うと実はそうでもなくて
空気抵抗のバランスの問題で、落下中に姿勢を変えようとすると
機首を真下向きからほとんど動かせなくなるので、側面のエンジンを上にずらしてバランス改善します
- 翼による揚力中心と違って作成画面では見えないので
少しずつ動かしては実際に飛ばして確かめる必要があり、面倒ですが - ていうかこのせいで普通の飛行機やロケットも実際に飛ばしてみないとバランスが分からないし...
FPtS1号機
で、上画像だとポッドのハッチを塞いている扱いなのでエンジン配置を変更、
ついでに機体を壊さずに着地するためにパラシュートを増設した完成品がこちら。
- 余談ですが、増設パラシュートは(残っている)エンジン噴射口のノードに接続後、移動させています。
なので空気抵抗はほとんど増えていない...はずです
宇宙まで行って(エンジン出力は面倒になってあまり調整してません)
機体を倒して降下
(こっちもあまり調整してないので更に高度が下がると機首が下を向きますが、
リアクションホイールでは全く動かせないほど強い力にはならないので大丈夫です)
設計時にはまるで想定していませんでしたが、なんかそれなりに滑空性能があるので
滑走路への着陸(=100%回収)を狙ってみます
パラシュート全展開後にSASを切って直立着地。
着地前に機体を傾ければ横向きに倒せるかも
オチ
まあ、拘りが無ければ別に実際のキャリアモード序盤でも「初期パーツ縛り」に意味は無く
RT-10なら単発で宇宙まで上がれるんですがwww
おまけ
0.90の時に作った「最序盤SSTO」ことTSP-101を
今回の手法を応用してVer1.0.4対応に再設計してみました。
- さすがに初期パーツ(RT-5)での周回軌道投入は無理があったので
5サイエンスポイントでBasic Rocketryだけ開放します
前の101では(主に操作性確保のため)タンクを完全に重ねていて、
問題(と個人的な抵抗感)があったので工夫してみましたが......酷い外見だ
- 普通に燃料タンク(FL-T100)を縦に繋げると、重心の関係で横にずらせないので
エンジン(LV-T30)を真ん中のタンクに横付けし、タンクを点対称に機体に巻き付けています- EEXの機能で直接取り付けていますが、完全バニラ環境でも鉄骨経由すれば実現可能です
パーツ数制限はパラシュートかエンジン直上のタンクを削って確保。
若干性能は低下しますが軌道投入には問題ありません
- EEXの機能で直接取り付けていますが、完全バニラ環境でも鉄骨経由すれば実現可能です
- エンジン直上のタンク、普通に繋いでいるように見えますが180°回転→移動で空気抵抗対策しています
この機体はTWRが小さく空気抵抗をそこまで気にする必要はないのですが、まあなんとなく。 - 見えてない2つ目のパラシュートはポッド底面についてます
- KJR導入推奨。無いとタンクがぶらぶらして(問題なく飛びますが)操作性がかなり悪化します
軌道投入・帰還の方法は旧101と大差ないので割愛します(おまけ、ですし)
機体データ
- 初期パーツ宇宙到達機1号
- キャリア最序盤用SSTO(1.0.4版)
コメント
- こういう小技の積み重ね、パネキット全盛期を彷彿とさせるなあ -- 2015-07-08 (水) 21:38:09
- 螺旋階段状になったロケットで笑ってしまった。なるほどなあ -- 2015-10-21 (水) 04:04:36
- >「大気中では」重いものは軽いものより速く落下←これは地味に正しくない、質量が重いと減速しにくいのが正解、TWRみたいなもん。ピンポン球は軽く受け止められるけどスイカは力いるやろ? それはともあれ記事おもしろい。ある程度縛って効率のいい設計がうまくいくと脳汁がでるわ。 -- 2016-02-14 (日) 19:26:44
- ↑そっかー違ってたかーorz・・・まあKSPでの設計時に考慮する際「だいたい合ってる」ってことで勘弁してもらえると助かりますハイ -- たかみ? 2016-02-14 (日) 21:26:30