目的
ロケットを打ち上げる際、まず上昇して、それから軌道に乗るために水平方向へ加速するという二つの要素が求められる。
このバランス、開始高度について、どう組み合わせれば良いのか試してみることにした。
試験条件
- 実用機を模した2段構成の小型ロケットを実験に使用
構成 重さ Total ΔV(Atmo) Total ΔV(Vac) 液体2段+補助固体ロケット×2 重さ16.74t 5284m/s 6023m/s - 人が操縦すると誤差が出るので、MechJobによる自動操縦を使用する。オートステージも使用。
- MechJebに操縦させるためのパラメーター(Ascent Path Editor内)のTurn Start Altitudeと、Turn Shapeの二つの要素を変化させる。
- 試験量が膨大になると困るので、Turn End Altitudeは、空気が完全に無くなる70km(Mechjebのデフォルト)に固定する
- 高度200kmの周回軌道にペイロードを投入して、ロケット全体に残ったΔV(Vac)の量を比較する
試験結果
- とりあえず、常識的な範囲に値をとってみた。
- Turn Start Altは0km~20kmの範囲
- Turn shapeは25%~100%の範囲で25%刻み。0%は真横に飛ぶことになるので墜落する。
- MechJebの各種設定は画像の通り。
第1回試験結果
0km | 5km | 10km | 20km | turn start alt | |
---|---|---|---|---|---|
25% | 軌道に乗らず | 747 | 965 | 716 | |
50% | 828 | 932 | 868 | 610 | |
75% | 860 | 820 | 727 | 508 | |
100% | 770 | 699 | 609 | 426 | |
turn shape | 単位 m/s |
- 第1段を使い切らずに軌道投入成功したものが赤いセルになっています。
- 軌道投入成功!
考察
- 数字が大きければ大きいほど、燃料を使わずに軌道投入できたということなので、効率が良いと考えられる。
- 表からは、赤いセルになっている部分の付近に最も効率の良い点があると考えられる
- よって、よりよい結果が出ると考えられる範囲に絞って、より精密に追試を行うことにする。
第2回試験結果
- Turn Start Altは5km~12.5kmの範囲で2.5km刻み。
- Turn shapeは20%~50%の範囲で10%刻み。
5km | 7.5km | 10km | 12.5km | turn start alt | |
---|---|---|---|---|---|
20% | 820 | 940 | 950 | ||
30% | 871 | 958 | 962 | 921 | |
40% | 944 | 952 | 923 | ||
50% | 932 | ||||
turn shape | 単位 m/s |
- 第1段を使い切らずに軌道投入成功したものが赤いセルになっています。
- グレーのセルは前後の数値から不要だろうと判断して試験しませんでした。
考察
- 予想通り、比較的効率の良い数字が得られた。
- あれっ? 第1回試験の最高値965m/sを更新できなかったぞ?
追試結果
- 第2回試験の上位2つ、7.5km/30%、10km/30%の中間あたりにもうちょっと上がありそうなので試してみた。
8.75km | turn start alt | |
---|---|---|
30% | 967 | |
turn shape |
- これで第1回の試験結果より少し良い数字が出た。
結論
試験結果から、本試験におけるTurn End Altが70kmの場合の推奨打ち上げ軌道は、
Turn End Alt(前提) | Turn start alt | Turn shape |
70km | 8.75km~10km | 30%~25% |
- 皆様是非お試しを!
残る疑問
- ロケットのサイズ・構成が違う場合、結果が異なってくることもあるのではないか
- Turn End Altを70kmと仮定したが、これの高度が異なれば当然結果も変わってくる
- 最も効率のよいTurn End Altを探す実験が必要だが、逆にTurn End Altが変わると効率の良い飛行軌道も変わってくることが考えられるので、大変なことになりそう。
- 今回の目的ではないので集計は見送ったのだが、軌道投入にかかった時間は、残存ΔVとは関係無かった。
- 最も軌道投入まで短かったのは、20km/100%の組み合わせで、5分44秒であった。
- 最もΔVの成績の良かった8.75/30%の組み合わせでは8分00秒であった。
- よりTurn Start AltとTurn Shapeが大きい(=直角の軌道を取る)ほうが軌道投入にかかる時間は短くなるのでは?
- 経験則でよければ、まず垂直に打ち上げてみて、空気抵抗と推力がつりあってほぼ速度が変わらなくなってから、高度上昇により再度速度が上がり始める高度あたりで傾けだすとそれなりに良い効率で上がる気がします。最適値かどうかは不明ですが。 -- 2013-10-11 (金) 02:34:43
- あれれ、コメントが疑問点と被ってしまっているので分離をお願いします; -- 2013-10-11 (金) 02:35:46
- とりあえず分離しました -- 2013-10-11 (金) 05:04:12
- 俺の場合は奇しくも似たような数値だったな・・・10km>70km 26% -- 2013-10-11 (金) 05:30:55
- MechJebのバージョンアップにより自動設定されるようになりました(;。;) -- 2013-10-20 (日) 04:44:09
- MechJeb先生はほんと凄いな!? -- 2013-10-29 (火) 14:30:04
- 自動設定のは空気抵抗を考慮してない模様なので、やはりこの数字を利用したほうが効率いい? -- 2013-12-23 (月) 18:01:46