抗うつ薬info

Last-modified: 2012-02-03 (金) 21:00:50

抗うつ薬について
下記ブログから抜粋(減薬指導してる医師のブログ)
http://touyoui.blog98.fc2.com/blog-entry-85.html#more

抗うつ薬の害はメジャーに匹敵するか、もしくはそれ以上かもしれないが理解している人は少ないようである。抗うつ薬は覚醒剤だと思えば理解は速くなる。

パキシルについて
SSRIの中では最も悪名高き抗うつ薬であるだろう。副作用や離脱症状についてより詳しく知りたい人は、ブログ「パキシルちょっと待って!」や他のSSRIを扱うブログをみればいいと思う。胃腸障害、依存性、禁断症状、シャンビリから妊婦の催奇形性まで、まさに非の打ちどころがない悪薬。アメリカでは大規模訴訟に負けて和解金を払っているくらいの薬である。医師側として思うのはとにかく抜きづらい。10mgずつ減らすなどはなかなか難しく5mgとか2.5mgをはさまないといけない。本当は一気に抜くべきだが相当の知識と協力者がいないと無理である。パキシルは多くても事件を起こすが、動かした時減らした時に事件を起こすからやっかいである。この点はルボックス(デプロメール)とは少し違う気がする。パキシルはCYP2C19と2D6を強力に阻害する。併用の論理は精神医療被害連絡会のHPをみてもらえばわかるが、そんな理屈より一言でいうと絶対使うな、絶対他の精神薬と併用するなってことである。

ルボックス(デプロメール)について
笠陽一郎が広めてしまったことで、害も一気に広まってしまった感がある。セカンド共鳴医と呼ばれる人間たちの間でも、ルボックスの話は一番評判悪かったが、とにかく怖い薬である。コロンバインの事件が有名。私も一時使っていたが今は全くといっていいほど使わない。ルボックスはパキシルに比べると抜きやすいし、用量依存性に働きかける感じがあるので、その点は理解しやすい。しかし常に躁転の危険性を伴うわけで、これはパキシルの比ではない。つまり自殺他害させやすい薬の代表ともいえる。後遺症として認知障害や強迫性の喪失がよく問題になる。つまりルボックスを飲んでいると「しなきゃいけないこともできなくなってしまった」「泣かないとおかしい場面でも泣けなくなってしまった」「義務さえもわすれるようになってしまった」などという話をよく聞く。強迫性障害の診断の元、多量のルボックス投与に関して精神医学の教科書に載っているそうだが、もはや殺人行為に等しい。CYPだけで考えても3A4、2D6、2C19を阻害するので、つまりはほぼ全精神薬の代謝を阻害するようなものである。だからルボックスはどの精神薬とも併用できないと薬理学では述べているわけだが、そんなの医学部では欠片も教わらなかったし、精神科の風習(=併用療法)がそのまま常識となってしまうのだから恐ろしい限りである。ルボックスに対して血小板の観点と肝毒性の観点から副作用をみる視点がある。非常に有意義な視点だが全部の副作用を説明できない。しかしこの視点から精神医学が研究を進めることはおそらくないだろう。そんなことしたら自分たちの罪が明るみになってしまうから・・・

トレドミンについて
ぱっとしない抗うつ薬の代表である。今やどの抗うつ薬も使わなくなった私には関係ないが、多く飲まなければ躁転もしないし、胃腸障害と膀胱障害の副作用だけが出やすいというイメージしかない。抜くのは比較的簡単なイメージがある。

ジェイゾロフトについて
これまたぱっとしない抗うつ薬だが、昔はルボックスの代わりに胃腸障害が出やすい人に使ったものである。しかし結局何の意味もなかった・・・便秘ではなく下痢方向にもっていく数少ない抗うつ薬で、25mgとか50mgとか飲むのは全くの無駄でしかないし、大量に飲めば抗うつ薬はなんでも怖いので、存在価値のない抗うつ薬だと最近は思う。抜くのが比較的簡単なのはトレドミンと同じイメージがある。

リフレックス(レメロン)について
忍容性や副作用率では非常に評判が悪い抗うつ薬だが、私は一定の評価をしている。依存性もパキシルなどに比べるとましだが、離脱症状というのはまだ少ない方。というより躁転することはまず見かけないダウナー系の代表で、元気にしてくれることはない抗うつ薬である。抗うつ薬って呼ぶこと自体おかしいかもしれない。この薬の存在価値は睡眠をとらせてくれる、食欲をかなりアップさせる、そしてドーパミンにあまり作用しないという点に尽きる。飲まされて過鎮静になっている患者も数知れないけど・・・15mg以上使ってもいいことはさっぱりない薬だと思う。

サインバルタについて
この薬は抗うつ薬の中で副作用率がトップであり、かつ処方する側としても読みづらい抗うつ薬である。つまり使えるレベルではないと思うが、唯一疼痛性障害のような場合に効く場合がある。最終手段として用いることはありうるが、やはり怖いので最近は使わない。
この薬の難点はカプセルであるということである。副作用を緩和するためにカプセルにしているのだが、20と30しかないので非常に抜きにくい。ある意味パキシルに匹敵するくらい抜きにくい抗うつ薬である。SNRI系にありがちな泌尿器系副作用も同じである。