12月29日、午後9時。
アグアド、むー、むと、てりやき、そしてレリアの面々は、
森の中心、湖の湖畔に集結していた。
戦車や装甲車もあり、嫌でもこれが戦争だと思い知らされる。
アグアドは、数万人にも及ぶ人数の中、周りの雰囲気に圧倒されていた。
ア「こんなにいるのかよ・・・すげぇ数。」
てり「エリンについたらもっと増えるよ。世界中から転送されてくるからね。」
むー「世界10ヶ所あるからな。数十万にはなるだろ。」
むと「全面戦争だしね・・・あたりまえじゃない。」
ふと、周囲がざわついた。
1人の女性が、軍勢の正面に建てられた、即席の演説台に出てきていた。
ア「あ・・・ミシェナさん?」
べラム「ミシェナさんは南軍の総司令官だよ。すごいよねぇ。」
ア「南軍?」
べラム「ああ、聞いてればわかるよ。」
ミシェナはマイクを持つと、演説を始めた。
ミ『・・・諸君、ついにこの時が来た。常に防戦を強いられてきた我々だが、
先日、ついに本部が次元転移の方法を解明した。』
周囲から、おおぉぉぉぉ、と、歓声が上がった。
ミ『そして先遣隊の活躍により、エリン側に2つの拠点を確保した。我々日本支部は、
南の拠点から進撃する。』
ア(ああ・・・だから南軍か。)
ミ『しかし忘れてはならん。我々は奴らとは違う。無関係、無防備な者は
絶対に殺してはならん!これを忘れるな!では、転送を始めるぞ!覚悟を決めろ!』
一同『オオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォ!!!!!!』
周囲の空気が振るえ、アグアドは思わず耳を塞ぐ。
すると、足元に巨大な魔方陣が展開し、辺りを光が包んでいく。
べラム「・・・始まるよ。」
ふっ、と、体が宙に浮く感じがすると、視界が光で覆われる。
やがて、とん、と、足が地面に着く感触が。
おそるおそる目を開くと、目に飛び込んできたのは。
ア「な・・・街?」
そこは、大きな湖の畔にある、綺麗な建物が立ち並ぶ街であった。
地球にもありそうな感じの街だが、車の代わりに馬車が止めてあり、
街の向こうには大きな城がそびえている。
住人は避難しているようで、街中にその姿は無かった。
ミ「全軍侵攻開始!目指すはエイリフ帝国の首都、タラ!」
再び大声が上がり、軍隊が動き始める。
むー「よし・・・とっとと終わらせるぜ。」
むと「ふん、腕が鳴るわ・・・」
てり「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
各々が戦場へ向かってゆく中、アグアドは地球に残った少女のことを思う。
志菜は、この戦争には参加せず、地球へ残留したのだ。
ア「・・・待ってろよ。すぐに終わらせて、会いに行くからな。」
少年は、決意を胸に、戦場へ向かった。
地球とエリンの最終決戦が、ついに火蓋を切る。