星「ハハハ!中々やるじゃないか!風使い!」
王城の庭園、もう一方でも、死闘が繰り広げられていた。
ア「この・・・喰らえ!」
無数のかまいたちを発生し、星実の体を襲う。
星「ふん・・・こんなもの!」
近くの地面が爆発し、かまいたちを吹き飛ばす。
星「まだまだだ・・・"爆塵嵐"!」
アグアドの足元に、山吹色の魔方陣が展開した。
ア(・・・ッ、まずい!)
咄嗟に後ろに飛びのくと同時に、アグアドのいた地面が大爆発を起こした。
星「よくかわしたな。だが・・・」
再び魔方陣が展開、アグアドの周囲を爆発の嵐が襲った。
爆発の直撃は何とか避けたが、爆風によるダメージは大きい。
ア「ぐああぁぁぁぁ!」
星「アハハハハ!いい声だ!もっと聞かせろ!もっと悲鳴を上げろォォォォォ!!!」
情け容赦ない爆撃がアグアドを襲う。
ア「く・・・」
星「・・・・ッ!?」
星実の周囲の大気を操作し、巨大な大気圧の力で、星実の右腕を押しつした。
星「な・・・なに・・・!?」
怯んだ星実へ、無数の真空刃が襲い掛かった。
星「うあああああああ!」
ア「馬鹿が。こんなに爆発起こしたら、土煙で視界が塞がれちまうぜ。
敵に隠れてくれ、って言ってるようなモンだ。」
星「くくっ。そうだ。それでこそ・・・だ。もっと・・・楽しもうじゃねぇかあぁぁぁぁ!」
アグアドの頭上で、巨大な爆発が発生した。
ア「く・・・・っ、鼓膜が破れるかと思ったぜ・・・」
立ち込める土煙の向こうに、星実の姿を捉える。
星実もこちらに気づき、口を歪ませた。
ア「オラァァァァァァァァ!!!」
星「セァァァァァァァァ!!!!」
アグアドはプラズマを飛ばし、星実は爆発を起こす。
数人のエイリフ兵士がその様子を見ていたが、だれにも割り込む勇気など起きなかった。
べ「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ya「おおおぉぉぉぉぉぉっ!」
黄色と青、2つの閃光が飛び交い、交差する。
整えられた庭園は、あちこちが黒こげ、氷漬けになっていた。
べ「はぁ・・・はぁ・・・くそ・・・」
ya「力は・・・ほぼ互角、と、言ったところですか・・・」
剣を打ち合い、魔法を飛ばしあい戦う2人は、完全に拮抗していた。
やがて、べラムが動きを止め、口を開いた。
べ「このままじゃ、勝負つかないね。・・・最後はお互いの、最大最強魔法で勝負しない?」
ya「ふむ・・・それがいいですね。正直、貴方とはもう少し戦いたかったのですが・・・
そうもいきませんから。」
そう言って2人は、距離をとる。
そしてお互いの足元に、それぞれ魔法陣が展開した。
べ「千住の涯、天の射手、雷を落とす矢、我が手に集え、漆黒の空を貫く、一条の光となれ!」
ya「来たれ永久の闇、永久の氷河、大地を静寂で満たせ、全ての命あるものに等しき安らぎを!」
べ「"千住雷天汰鳳"!」
ya「"蒼竜震天氷砲"!」
2人の最大最強魔法が、ぶつかり合う。
ア「テメェら・・・なんで地球を狙うんだよ・・・こんな事をして何になる?
死人だって出てるんだぞ!」
星「それがどうした!魔法も使えん下等種族の命なぞ、我々の知ったことではない!
弱者は強者に倒される定命!"弱肉強食"という・・・この世の真理だ!」
ア「だからって・・・地球を手に入れて、何しようってんだ!」
星「簡単なことだ!地球にはエリンより遥かに多い下等種族の人間がいる!
我々の世界の魔法を更に発展させるための、よい労働力であり、最高の実験動物だ!」
ア「な…まさかテメェ、それだけのために…!?」
星「それがどうした!貴様ら下等種族の利用価値なんぞ、それだけでしかない!」
ア「テメェは・・・どこまで腐ってやがんだァァァ!」
星実の爆破魔法と、アグアドのプラズマ光線が飛び交う。
美しかった王城の庭は、見る影もなく破壊されていた。
ア「そこだッ!」
空中に跳躍した星実の足元に竜巻を発生させ、土煙を巻き上げる。
星「く…目潰しか!」
砂が目に入り、目を擦る。
その一瞬の隙に、
ア「くたばれ!星実ィィィィ!!!」
圧縮した大量のプラズマを、星実へ放つ。
星「ぐがぎゃあぁああぁあぁぁぁああぁぁぁぁぁ!!!!!」
解き放たれたプラズマが、星実を容赦なく襲った。
しかし、常人なら死んでもおかしくない攻撃をまともに受けてなお、
星実は倒れなかった。
ア「クソ!しぶとい奴だ…」
星「ッククク…やるじゃ、ないか…だが、私はまだ」
再び身構えたその時、
2人の声は、爆音にかき消された。