| エビス分校学生寮・宴会場 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ん~っ、美味しい! |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 久しぶりの温かい食事はいいねぇ~!芯からあったまるよ! |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ごめん、もう一杯おかわりしていい? |
| アザミ |
| もちろんです! |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ありがと!できればお味噌汁も……! |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| みんなどうしたの?幽霊でも見たような顔して……。 |
| レンゲ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| いや、幽霊じゃないんだろうけど……。 |
| レンゲ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ここにいるのが、びっくりっていうか……。 |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……アヤメ委員長、無事でよかったよ。 |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| でも、百花繚乱の参謀としてこれは聞かせて。……今まで、どこで何をしていたの? |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 前から掴み所がない人だとは思ってたよ。けど……あなたがいきなり雲隠れしたことで、百花繚乱は解散寸前だった。 |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 正直、「委員長」と呼んでいいのか疑問に思ってる。 |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| なにか言い訳があるなら、聞くけど? |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……キキョウは変わらないね。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 百花繚乱の委員長の責任を放棄した……そのことについて、私が弁解できることはない。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 特に、突然委員長代理をすることになったナグサ……本当にごめんなさい。辛かったよね?寂しかったよね? |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ううん、私はアヤメが帰ってきてくれただけでじゅうぶ―― |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ナグサ先輩、静かにして。 |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 私が知りたいのは、あなたが突然姿を消した理由。 |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| それと、ナグサ先輩の右腕のことも。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……少し長くなるけど、いいかな? |
| ユカリ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ええ、もちろん。 |
| ユカリ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 先輩への誤解が解けるのでしたら、どれだけかかっても大丈夫ですわ。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 1年生のユカリ……だったよね?ありがとう。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……まず、話の前に一つ聞かせて。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 百花繚乱の「委員長」の資格って、何かな? |
| ユカリ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| はいはーいっ!身共知っていますの! |
| ユカリ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 先代の委員長との継承戦で勝利すると、資格を得ることができますの! |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ふふっ、よく知ってるね。でも、それだけじゃないんだよ? |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 継承戦の勝者が得られるのは「委員長の肩書き」じゃない。大預言者クズノハから引き継がれる「資格の証」の方だね。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| つまり、継承戦は「百蓮」を継承する儀式なんだよ。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| だから、百花繚乱の委員長なら、「百蓮」を手足のように扱えないとね。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| でも……それならなおさら、アヤメ以上に委員長にふさわしい生徒なんて……。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 射撃の腕だって、アヤメに並ぶ子は……。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 人が相手、ならね。 |
| レンゲ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……何を相手にしてたんだよ、委員長は? |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 百花繚乱を離れる数日前、私はいつも通り百鬼夜行を見て回ってた。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 祭りの後だからか街には人ひとり居なかった。しかもなぜか、この日だけは街の灯りが不規則にチカチカしてて。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| そんな中で見回りを続けて、橋に差し掛かった時――向かい側に、一人の生徒が立っていたんだ。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 明るい金色の髪と紫色の瞳。そして、白い制服に水色の羽織……。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 彼女は、私と同じ姿をしていたの。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 「ソレ」は顔まで私と同じだった。まるで、鏡でも見てるみたいに。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 姿形は同じでも、いや、同じだからこそ――「ソレ」が私とは違う存在だって、直感で悟った。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 「ソレ」は私を見て――待ってたと言わんばかりに、笑顔を見せた。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| この手の存在に、普通の銃弾は通じない。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| でも、私の手には「百蓮」があった。委員長になって初めて、怪異相手に銃口を向けたの。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| でも……効果はなかった。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 「ソレ」は、撃たれる前と変わらない様子で近づいてきて……。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……そのまま、夜闇に溶けていった。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| あれは、一夜の夢だった……そう片づけることもできたかもしれない。でも、あのときの私には無理だった。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 「どうして百蓮が通じなかったのだろう」 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 「私には資格がない?それとも、百蓮は偽物?」 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 「そもそも、大預言者クズノハ様は……実在するの?」 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 不安に押しつぶされそうだった私は、クズノハ様を一目見るために、黄昏の寺院があったと伝えられる大雪原に向かった。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 馬鹿みたいだよね。でも……そうでもしないと自分を許せそうになかったんだ。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| そして私は……失敗した。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 見つけたのは「黄昏の寺院」らしき廃墟だけ。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 結局クズノハ様は、私の前に姿を現さなかった。 |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ……話はそれで全部? |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| うん。 |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| まだ大事な話が残っているでしょう? |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ナグサ先輩の腕のこと……それに、花鳥風月部と消えたときに言った言葉。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ナグサの腕……? |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| あっ……その包帯、どうしたの?ケガでもした? |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| これは……。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| アヤメ、覚えてないの?私と大雪原で会ったんだよ? |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ナグサが大雪原に……?あのときは、すごい吹雪だったから……。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| …………。 |
| レンゲ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 本当に覚えてないのか? |
| レンゲ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ナグサ先輩の手を振り払って「友達だと思ったことなんてない」って……。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| そんなことしないよ! |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| ご、ごめん……。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| でも、そんなこと、私が言うわけないよ。いつだって、ナグサは大事な友達。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 聞き間違えたんじゃない?それか、人違いとか……。 |
| ナグサ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| そ、そうだよね……?アヤメはそんなこと絶対……。 |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| いくらナグサ先輩が納得しても、私は信じたわけじゃない。 |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 私の知るアヤメ委員長も、絶対にそんなことは言わない……でも、あなたがいない間、いろいろなことがあった。 |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 何も言わずに姿を消した委員長と、百鬼夜行の危機に立ち向かった副委員長……私は後者を信じる。 |
| キキョウ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| これまで通りに付き合いたいのなら、雪原であったことを全部話して。 |
| ユカリ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 先輩……。 |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 分かったよ。ま、最初から隠すつもりなんてないし! |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| でも、ご飯食べ終わってからでもいい? |
| アヤメ 百花繚乱紛争調停委員会 |
| 残すとバチが当たっちゃうからね! |