6-1-9 授業の時間

Last-modified: 2025-09-29 (月) 20:36:31

メインストーリー6-1-8 アリウス流

サオリ アリウススクワッド
ふぅ……。
スバル
うっ、ううっ……!
サオリ アリウススクワッド
僅かな差だったが……。
サオリ アリウススクワッド
これで、決着はついたはずだ。
スバル
スクワッド……少し、鈍りましたか?
サオリ アリウススクワッド
そうかもしれないな。
サオリ アリウススクワッド
だが、お前たちほどじゃない。動きが全体的に精彩を欠いている。
スバル
……!
ミサキ アリウススクワッド
で、どうするつもりなの?
ミサキ アリウススクワッド
「存在価値」は証明できたと思うけど。
不安げなアリウスの生徒A
まあ、しょうがないとは思うけど……。
不安げなアリウスの生徒B
あいつら、調子に乗って……!
不安げなアリウスの生徒C
どうせ「外」でいろいろ経験してきたんでしょ。最初から勝敗なんて見えてたんだし。
不安げなアリウスの生徒A
アリウスを捨てたくせに、今さら口出ししないでよ……!
ミサキ アリウススクワッド
はぁ……。
アツコ アリウススクワッド
落ち着いて、ミサキ。
アツコ アリウススクワッド
これは、私たちが受け止めるべきことだよ。
不安げなアリウスの生徒A
先生って大人もそう。勝手で、強引で……。
不安げなアリウスの生徒B
「アリウスのため」とか言いながら、どうせ裏では別のこと考えてるんでしょ……。
不安げなアリウスの生徒B
うわっ!?
不安げなアリウスの生徒C
ちょ、ちょっと!?大丈夫!?
不安げなアリウスの生徒B
気絶してる……。
不安げなアリウスの生徒C
予備動作もなしに、胸へのダブルタップからのヘッドショット……。
不安げなアリウスの生徒B
スバル先輩は鈍ったって言ってたけど……全然そんな感じじゃないよ……。
ミサキ アリウススクワッド
アツコ!?
ヒヨリ アリウススクワッド
ひいいいぃぃっ!?
アツコ アリウススクワッド
私たちのことは何と言おうと構わない。でも、先生のことも悪く言うのはやめてくれる?
アツコ アリウススクワッド
そのくらいの分別は、あると思ってるよ。
アツコ アリウススクワッド
私も、まだアリウスの一員なんだからね?
アリウスの生徒たち
は、はいっ!
スバル
……。
(みんな、どこか怯えたような顔で縮こまっている)
(もう少し、明るい雰囲気で話をするためには……)
[ns]"よし、みんな!勉強をしよう!"
スバル
勉強って……一体何をしろっていうんですか!?私たちにはなにもないんですよ!
スバル
知識はない、教室もボロボロ。道具も、教える人すら……。
スバル
……言葉にすると悲しくなりますね。
[s1]"大丈夫だよ。"[s2]"椅子と机と黒板さえあれば、どうとでもなるから。"
[ns]"それに、教える人もちゃんといるよ。"
スバル
……本当にここでやるんですか?
[s3]"机はあるし、椅子も起こせば問題ない。"[s4]"教卓も黒板もある!完璧な教室じゃないかな?"
スバル
「完璧」という言葉の定義が、私の知らない間に大きく変わったんでしょうか……。
スバル
意味を調べようにも、辞書なんてアリウスにはほとんど残っていないわけですが……。
スバル
いずれにせよ、今日はもういい時間です。もうすぐ夜になりますし……。
[s5]"初回は短めだから大丈夫だよ。"[s6]"出席を取って、軽くガイダンスをして終わりかな。"
サオリ アリウススクワッド
それで本当に大丈夫なのか……?
[s]"大丈夫。私はサオリを信じてるよ!"
ミサキ アリウススクワッド
!?
ヒヨリ アリウススクワッド
!?
サオリ アリウススクワッド
なぜこの流れで私の名前が出てくるんだ……?
[s7]"それは……選抜された教育実習の先生方が!"[s8]"1時間目の授業を行うからです!"
アツコ アリウススクワッド
その選抜はいつの間に行われてたの?
アツコ アリウススクワッド
今……?……ああ、なるほどね。
サオリ アリウススクワッド
まさか、先生の話していた「壮大な計画」はこれのことだったのか!?
ミサキ アリウススクワッド
勉強はちゃんとやってる?って、このための確認だったんだ……。
ミサキ アリウススクワッド
もっと事前に打ち合わせするとかできたでしょ……はぁ……。
サオリ アリウススクワッド
では、私は……私が……?
[s]"教えてください、サオリ先生!"
アツコ アリウススクワッド
うん、教えてくださいな。サオリ先生。
サオリ アリウススクワッド
アツコまで……!?
(サオリは、ぎこちない表情ながらも教壇に立った)
サオリ アリウススクワッド
(何をどう教えれば……)
サオリ アリウススクワッド
(ん?これは……社会の教科書か。……社会文化、社会契約論?)
サオリ アリウススクワッド
(できる……これなら!)
サオリ アリウススクワッド
授業を始める!着席!
アリウスの生徒A
え、本当に座らなきゃダメ?
アリウスの生徒B
あ、私……もう座ってるんだけど……。
サオリ アリウススクワッド
ノートを開け。無ければ生徒手帳でもいい!それなら全員一冊ずつ持っているはずだ。
サオリ アリウススクワッド
それすら無いなら、隣のやつのを後で写しておけ。
サオリ アリウススクワッド
聞くだけと、手を動かすのとでは、残る知識の量がまったく違うからな。
アリウスの生徒A
は、はいっ!
アリウスの生徒B
まんま、教官やってた頃のサオリ先輩だ……。
サオリ アリウススクワッド
授業に入る前に、一つ言っておくことがある。
サオリ アリウススクワッド
契約書は!本当に重要だ!!
アリウスの生徒A
けいやくしょ……?
アリウスの生徒B
なにそれ……外の文化……?
サオリ アリウススクワッド
契約書とは、約束を忘れないために、相手と取り交わす書類のことだ。
サオリ アリウススクワッド
これがなければ!どれだけ仕事こなしても!報酬を受け取れない!
サオリ アリウススクワッド
苦労だけして、手ぶらで帰ってくるなんてザラだということだ!!
アリウスの生徒A
魂のこもった叫びだ……。
アリウスの生徒B
まさか……実体験……?
アツコ アリウススクワッド
頑張って、サッちゃん……!
ヒヨリ アリウススクワッド
サオリ姉さん……!
サオリ アリウススクワッド
……社会とは、実体のないものだ。構成員の契約で成り立っている、人工的な仕組みというのが「社会契約論」のメインだ。
サオリ アリウススクワッド
つまり、最初から社会というものはなく、全ての人には生まれながらに与えられた固有の権利がある、ということだ。
マイア
あ、あのっ……質問、してもいいですか?
サオリ アリウススクワッド
言ってみろ。
マイア
最初からないって言いましたけど、それなら……生まれつきの権利も存在しないんですか……?
サオリ アリウススクワッド
いい質問だ。たしかに一見、矛盾しているように聞こえるかもしれない。
サオリ アリウススクワッド
だが、こういう前提があると思ってほしい。
サオリ アリウススクワッド
人間には生まれながらに権利がある、と「仮定する」ことが――
サオリ アリウススクワッド
より良い社会を作る可能性を高めるのだと。
アリウスの生徒A
実際は違っても、そうだと「考えてしまった方が」結果的にはいいってこと……?
アリウスの生徒B
そんな風に考えたことなかった……!
サオリ アリウススクワッド
時間だな。今日の授業はここまでだ。
サオリ アリウススクワッド
質問があれば、次の授業で尋ねるといい。
サオリ アリウススクワッド
予習は……まだ難しいだろうが、復習はしっかりやっておくように。
サオリ アリウススクワッド
学習効果は、予習より復習のほうが高いからな。
サオリ アリウススクワッド
その……どうだっただろうか……?
[s9]"最高でした、サオリ先生……。"[s10]"感動しました、サオリ先生……。"
サオリ アリウススクワッド
「先生」と呼ばれるほど、私はまだ……。
サオリ アリウススクワッド
ともかく、うまくやれていたなら、よかった。
[ns]"それじゃあ次は、物理担当のミサキ先生です!"
ミサキ アリウススクワッド
……私?しかも物理って……冗談でしょ?
ミサキ アリウススクワッド
は?弾道学は古典力学と近い……?
ミサキ アリウススクワッド
……。
ミサキ アリウススクワッド
完全に無関係でもないけどさ……。
ミサキ アリウススクワッド
はぁ……やればいいんでしょ。
ミサキ アリウススクワッド
まずは公式を覚えて。どうせ頭のスイッチ入ってないだろうし?
ミサキ アリウススクワッド
内容の理解までは求めてないから!その領域にないし。
ミサキ アリウススクワッド
数学も物理も、とりあえず暗記することが始まりだからね!
ミサキ アリウススクワッド
まあ……もし最初から理解できるなら、そっちの道をおすすめするけど。
ミサキ アリウススクワッド
でも、そういうタイプの子って、数値と統計で人を見ようとしたり――
ミサキ アリウススクワッド
他人の気持ちを理解できなくて、余計な騒ぎを起こすこともあるけどね……。
アツコ アリウススクワッド
こんにちは。生物の授業を担当する(はかり)アツコです。
アツコ アリウススクワッド
早速授業を始めようか。生物学は楽しいし、とても大切な分野なんだよ。
アツコ アリウススクワッド
例えば「細胞」とは何か?
アツコ アリウススクワッド
打撲がどんなプロセスを経て治っていくのか――実例を見ながら。
[s]"アツコ!ストップ!ストップ!"
アツコ アリウススクワッド
どうして止めるの?これは、すごく大事な話なんだよ?
アツコ アリウススクワッド
ふふ、大丈夫。ちゃんと加減はわかってるつもり。
アツコ アリウススクワッド
じゃあまずは「白血球と赤血球」から始めようか。
アツコ アリウススクワッド
これで、細胞の構成要素とその役割についてはざっくり説明できたかな。
アツコ アリウススクワッド
細胞は、生き物の一番基本になる単位とも言えるものだから、しっかり覚えておいてね。
ヒヨリ アリウススクワッド
……。
ヒヨリ アリウススクワッド
あ、あの……皆さん。えへへ……お久しぶりですね……。
ヒヨリ アリウススクワッド
えっと、それで……。
ヒヨリ アリウススクワッド
せ、先生!?わ、私はどうしたらいいんでしょうか……?
ヒヨリ アリウススクワッド
私、普段は雑誌くらいしか読んでないですし……専門的に知ってることなんて……。
[ns]"……!"
[ns](雑誌と聞いて、ひらめいた)
ヒヨリ アリウススクワッド
えっ?外の世界の暮らしについて話してみたら……って?
ヒヨリ アリウススクワッド
雑誌で見た服とか……食べものとか……?
ヒヨリ アリウススクワッド
……。
ヒヨリ アリウススクワッド
はい!それなら……話せそうです……!
ヒヨリ アリウススクワッド
あ、あらためて……こんにちは……。
ヒヨリ アリウススクワッド
突然でびっくりしちゃうかもしれないんですけど……あの……。
ヒヨリ アリウススクワッド
「ファッション」って、どう思いますか?
ヒヨリ アリウススクワッド
えへへ……そ、そうですよね。突拍子もない話題ですよね……。
ヒヨリ アリウススクワッド
でも、ファッションって……ただ服を着るんじゃなくて……他人からどう見られたいかを、自分で決めること……だと思うんです……。
ヒヨリ アリウススクワッド
そういうのって意外と……大事なんじゃないかなって……。
ヒヨリ アリウススクワッド
そ、それと……「外」の人たちの暮らし方とか……「生活」のことも……!
(ヒヨリの講義は、4人の中で一番好評だった)
(スクワッドのみんなが先生として活躍してくれたおかげか)
(アリウスの生徒たちから「授業」への警戒心が薄れていくのを感じた)
(まさに、この瞬間を待っていた!)
[ns11]"――なので、こういう結論が導き出せます。"[ns12]"自明であるということは――"
(少なくない生徒たちが、しっかりと授業についてきてくれた)
(……もちろん、真逆の生徒もいたけれど)
(そのどちらもが「学園生活」なのだろうと思った)
[ns]"今日の授業はここまで!お疲れさまでした!"
アリウスの生徒A
お疲れさまでした……。
アリウスの生徒B
うーん……頭痛い……。
アリウスの生徒A
でも、意外とやる価値あったかも?
アリウスの生徒B
ちょっとノート見せて。
アリウスの生徒A
さっき何やってたんだよ?
アリウスの生徒B
いや、ちょっとボーッとしてて……。
スバル
……。
サオリ アリウススクワッド
とりあえず……ここは先生が自由に使ってくれ。
サオリ アリウススクワッド
……すまない。こんな場所しか用意できなくて。
[s13]"寝袋を持ってきたから大丈夫だよ。"[s14]"ほら。うん、悪くない。"
[ns]"……サオリ?"
サオリ アリウススクワッド
……先生。
サオリ アリウススクワッド
ほんの少しでいい。
サオリ アリウススクワッド
今日のことも含めて、相談したいことがあるんだが……いいだろうか。

メインストーリー6-1-10 傷と痕跡