| エイミ 特異現象捜査部 |
| あっ、先生。来てくれてありがとう。 |
| エイミ 特異現象捜査部 |
| 急にごめん、大事なことだから誰にも気づかれるわけにはいかなくて。先生のことを待ってる人がいるの。 |
| エイミ 特異現象捜査部 |
| こっち。 |
| エイミ 特異現象捜査部 |
| 部長、[USERNAME]先生が来てくれたよ。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ありがとう、エイミ。そして……初めまして、先生。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 私の名前はヒマリ。このミレニアムサイエンススクールにおける、天才ハッカーです。 |
| [s] "自分で「天才」って言った!?" |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 事実ですから。それに私そこそこ有名人なので、一度くらいは噂など聞いたことがあるのではないでしょうか? |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 正体不明なヴェリタスの超美人部長ですとか、病弱美少女のお手本のような存在ですとか……。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ミレニアムに咲く一輪の花ですとか……ひとつくらい聞いたことありません? |
| [s1] "ちょっと聞き覚えは……。"[s2] "うん、聞いたことあるかも。" |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| なっ……そんな、 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| まさか……。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ……。 |
| エイミ 特異現象捜査部 |
| 落ち込んじゃった。先生、責任取って慰めて。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ふぅ……もう少し、イメージ作りが必要みたいですね。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| やはりそうでしたか。ふふっ、ふふふ……。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ふふふふふっ……。 |
| エイミ 特異現象捜査部 |
| 部長が調子に乗った……先生、責任取って元に戻して。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| あら、その言い方は心外ですねエイミ。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 調子に乗ったのではなく、事実確認を通じて全てが順調であることを検証しただけです。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ……とにかく、私は先日「特異現象捜査部」の部長に任命されました。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 本来所属していたヴェリタスのことは一旦、チーちゃんにすべて任せています。 |
| [s] "特異現象捜査部……。" |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| はい、この「特異現象捜査部」はミレニアムの生徒会長であるリオが作った特務組織なのですが、うーん…… |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| エイミ、説明してもらえますか? |
| エイミ 特異現象捜査部 |
| 科学的に解明しがたいとされる現象を追跡・研究することを目的とした、セミナーの傘下にある部活。 |
| エイミ 特異現象捜査部 |
| リオ先輩の命令で作られたんだけど、今まではずっと構成メンバーは私だけだった。明確な活動内容も特に無かったし。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| まさかリオが作ったそんな怪しい部活に、突然私が部長として任命されるなんて……しかも部員はひとり。 |
| エイミ 特異現象捜査部 |
| ヒマリ部長も入れてふたりだよ。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ええ、そうですね。健康的な路線のエイミと病弱系美少女の私、素敵なコンビになりそうです。 |
| エイミ 特異現象捜査部 |
| ……ところでここ、 |
| エイミ 特異現象捜査部 |
| ちょっと暑くない? |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| いえ。私にとっては今もむしろ寒気がするほどですので、そのエアコンのリモコンは置いてください、エイミ。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| あの、代わりに服を脱ぐのもやめてください。はい?ファスナー?何を言って……いえ、理解しました。絶対にやめてください。 |
| [s] "私は何を手伝えば良いのかな?" |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ああ、そうですね。そろそろその本題に入りましょうか。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ご存知かもしれませんが……私はミレニアムの生徒会長である「リオ」と、長い間対立してきました。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 全てを統制しようとするビッグシスターな彼女と、全ての統制に反対するコピーレフト信者の私は、そもそも水と油と言いますか。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 同じ水で例えるとすると、リオが下水道に流れる水だとするならば、私は澄みきった純正のミネラルウォーター……。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| それとも、浄化槽に浮かぶ腐った水と言った方がよろしいでしょうか。私は万年雪の結晶、といったあたりで。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| いえ、汚水、どぶ水…… |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 何か他にもっと、適切な表現が……。 |
| エイミ 特異現象捜査部 |
| 部長、本題。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| あら、そうでしたね。まあとにかく、リオの頼みとあらば「何でも」「絶対に」断るつもりでいたのですが……。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 少々込み入った事情で、断れないようなお願いをされてしまいまして……それで、この「特異現象捜査部」の部長を引き受けることになったのです。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| そしてその「お願い」の内容を果たすためには、「シャーレ」の手助けが必要不可欠でして。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| そういった事情で今回、こうして先生にお越しいただきました。 |
| [s] "その「お願い」って……?" |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ……デカグラマトン。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 先生も聞き覚えがあるかと思います。何せこの未曽有のAIと初めて接触したのは、「シャーレ」ですよね? |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 『神を研究し、その存在を証明できれば……その構造を分析し、再現できるだろう。すなわちこれは、新たな神を創り出す方法である……』 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| その仮説を元に作られた、対・絶対者自律型分析システム。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| つまるところ、「神性を探し出す人工知能」。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 私たちの方でも、色々と調べてはみたのですが……まずもってその仮説すら、先生からの報告書以外のどこにも見つけられませんでした。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| その報告書に書かれていた「ゲマトリア」という集団も、未だにその実在さえ確認できていません。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| つまり「シャーレ」の報告だけをもとに研究を進めるには、あまりにも不確定要素や不明瞭な要素が多すぎたのです。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| これは先生を疑っているというわけではありません。あくまでも、今の状況についてのお話です。 |
| エイミ 特異現象捜査部 |
| 先生を疑ってたら、そもそもここに連れてきてない。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ええ、その通りです。むしろ私たちは、シャーレの手助けが欲しいのです。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ……先日、ミレニアムの通信ユニットAIである「ハブ」が、正体不明のAIにハッキングされるという事件がありました。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 「ハブ」はミレニアムサイエンススクールの歴史と共に発展してきた、超高性能演算機関です。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ミレニアムの技術の結晶……そう言っても過言ではないほどの、傑作のひとつ。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| それがその謎のAIのハッキングに対して、たったの0.00000031秒しか耐えられませんでした。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 私は、そしてリオは、そのハッキングを行ったAIが「デカグラマトン」なのではと考えています。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| もちろんただの推測ではなく、きちんとした理由もありまして。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 「ハブ」がハッキングされ、そのAIが消えた後、ミレニアムのネットワークにこのようなテキストが現れました。 |
| 竟に、摂理へと至るパスを見つけたり。 |
| 嗚呼……我がパスは「名誉を通じた完成」、 |
| 我が異名は「輝きに証明されし栄光」…… |
| 我が名はホド。 |
| 聖なる十文字の神を証明し、奇跡を預言する8番目の預言者なり。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 聖なる十文字……これはつまり、デカグラマトンのことでしょう。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| ここからさらに推測できることが二つあります。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| まず一つ、デカグラマトンはAIと接触してそれらを自身の部下……つまり、「預言者」とする。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| リオはこれを、一種の人格モジュールに対するハッキングだと見ているようですが、私の解釈とは異なります。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| これは「洗脳」……より適切に表現するのであればAIを「感化」させている、と私は捉えています。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| そして二つ目、その結果デカグラマトンの預言者たちは「デカグラマトンそのもの」になるのではなく、独立した個体として活動する。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| これは、自身を「聖なる十文字の神を証明する預言者」と宣言していることからも読み取れます。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| デカグラマトンは預言者を「統制」してはいません。何かをするにあたって、もし可能なのであれば対象を「自分自身そのもの」あるいは「自身の一部」にして統制してしまえば、それが一番簡単なはずです。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| しかし実際にはそうではなく、預言者たちを「感化」させ、それぞれが自律的に動くようにしています。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| なぜこのような非効率的で、非合理的な手段を取るのか……。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| それらを含めて、調べなければいけません。 |
| ヒマリ 特異現象捜査部 |
| 先生。「デカグラマトン」の研究分析……そのために、「特異現象捜査部」に力を貸していただけませんか? |