忘れない。 あのあどけない唇が、初めて「おかあさん」って、わたしを呼んでくれたときのこと。 両腕に抱えられたくらいのちいちゃな赤ん坊だった二人が、 元気いっぱいの手足でわたしに駆け寄って、 抱きついてきてくれたときのこと。 石化されていた十年の間は、さみしくて不安で、仕方なかった。 でもあの子たちが、そしてリュカが。 わたしの前に現れたとき、十年間の何もかもが報われたような気がしたの。
わたしは何年もの月日を歩いてきて、こうしていとおしい、ふたつのいのちを抱きしめている。 もし昔、リュカに出逢わなかったら。 山奥の村で、リュカと再会しなかったら。 リュカがわたしを選んでくれなかったら。 わたしはこの子たちに、出会うことすらできなかった。 そう思うと、なんて不思議なんだろう。八歳のときにリュカと出逢ったことが、きっと全ての始まり。 それから出逢った色んな出来事が、きっと今日という日に繋がっているんだわ。 リュカと二人、子供たちをこの腕に抱くことのできた、この日に。
悲しいことも、つらいことも、ぜんぶ含めて。 すべての運命に、ありがとう。