CMあけ、四畳半の卓袱台で銃を分解・加工しているミスラ青年。
いつものヘラヘラした表情とは異なる、職人のような真剣な表情でヤスリを使っていたミスラ青年「ガウェイン」は、ふと何かに気づいたようにカメラ目線になると
「やぁ^^ みんなwww 元気かいwww
思ったより、話がダラダラしててごめん^^
すべては、贋作者の力不足のせいだからwww
実は、贋作者はボクの武器として、銃剣付きのピストルを登場させたかったんだけど・・・
・・・ほれ、むかし少年キングで望月三起也が連載していた「優しい鷹JJ」の主人公が使ってたヤツ
それを調べてたんだけど、ぜんぜん見つかんなくてさwww
もしかして、実在の銃じゃないんじゃないの? て感じかなwww
カッコ良かったんだけどね^^
んで、仕方なく、ボクが自分でそれを作ってるってわけさ^^
おまけに、どういうわけか、ボクは左利きって設定で『メモリーズ』に登録されちゃったから、
ボクが使う武器は、すべて左利きでも使えるように微調整しなけりゃならないってわけさ
銃や弓矢みたいな遠隔武器じゃ、これが重要な意味を持つってことは分かるよね^^」
「てめえ、何だらだらクッチャベッてるんだ」
獰猛な顔つきのガルカが、背後からミスラ青年に脳天チョップをくらわせた
頭から煙を立てて気絶しているミスラ青年を放置して、いかつい禿ガルカはカメラ目線で
「いいか、おまえらwww
だらだら続いてるこの話は、こいつの愛銃ナントカ・・・の素材調達にかかわる話らしいぜ」
「ちがうよー! ボクとヴィッキーとの出会いの話じゃないか―」
カメラの隅で、タルタルが飛び跳ねていたwww
BR団銘々伝
ボルタの大冒険
第一話「不細工なミスラ」後編
のどかなナシュモの港町には、ふさわしからざる猟奇のオブジェ。
船着場の旗昇台に、皇国国旗と並んでぶら下がって風に揺られるガルカの生首ひとつ、フラッグポールの旗環に髪の毛でくくられた。
青空を背景に、死の眠りを貪る禿ガルカの額に刻まれた「犬」のナイフ傷。
物見高く、旗竿の下に群がり見上げるナシュモの住人たちに紛れて、不細工なミスラは
「あっ、ちゃぁああ」
額に手を当て天を仰いだ。
「頭目め、追っかけてきやがったか」
自分の名前を文字で記すのもおぼつかない野卑な盗賊のくせに、奇妙に勘ばたらきがよく、人が隠したがっていることは確実に犬のように嗅ぎつけてほじくり返してくる男であった。
味方にして鬱陶しく、敵に回して、これほどヤニっこく嫌な相手はない。
頭目がサイン代わりにガルカの生首へ刻みつけた文字は、エラジア大陸の東半分の諸国で用いられている象形文字である。
ミスラが属していた盗賊団のほとんどは、そのあたりから流れてきたヒュムで、人々から蔑みを込めて「チューカ」と呼ばれている連中だった。
他人の指に嵌っている指輪が欲しくなったというだけの理由で、後ろから頭を殴り、指を切り取ってしまうような凶行が日常茶飯事のクズ揃いである。
こういう連中にとっては、殺人も豚の解体も大した違いはなく、殺意の弾みも気負いもなく笑顔で人が殺せるのが一人前の証明だった。
そんな連中を束ねている頭目が「狗肉将軍」と呼ばれるクール―だった。
「狗肉将軍」というのはもちろん悪口で、その手口の残虐さから故郷の町々でそう呼ばれていたと言うことだが、どういうわけか本人が気に入って自称し、アトルガンに仕事場を移した後も犯行のサイン代わりに犠牲者の体へ「犬」の字を刻みつけていくのを慣いとしていた。
(※満洲の馬賊にそういう鬼畜が居たのをモデルにしております)
全身の毛が逆立つと同時に、よくまあこんな下等な連中の一味に加わっていたものだと、わがことながら呆れた。
もともと、ヒュムだらけの盗賊団に、食客扱いで転がり込んだのが、いつの間にか略奪隊を任されるほど頭角を現し、用心棒みたいに「先生」だの「ミスラの姉御」だの呼ばれるようになっていたのだが、振り返ってみればわが身のことだって安全だったとはいえない。
日頃男嫌いを標榜し、色気めいたことを仕掛ける輩には爪の味を教えてやり、そのうえ不細工で汚らしい胡麻斑の毛皮を着込んで居なければ、盗賊どもの慰み者にされていた可能性だって在った。
思えば、毒蟲の巣の上に寝ていたようなもんだ。
その蟲の一匹が自分だったというのも、そうとうに腹立たしい。
下水に浸かった後のような忌々しさに、思わず苦渋を吐きながら、不細工なミスラは町の角々を選んで隠れ家に向かう。
もう、この国の空気を吸っているのも嫌な気分だった。
ふと、ミンダルシア大陸のウィンダスが傭兵を募っている話を思い出した。
ウィンダスでなければガ・ナポでもいい。
身勝手なミスラは、自分の犯した罪のことなんぞ念頭に無く、自分を受け入れてくれるだろう新天地のことだけを考えていた。
ある意味、羨ましいほどのプラス思考・・・関わり合いになったものからすれば傍迷惑も甚だしい面倒くさい女である。
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼別稿▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
いったい、どうしてこんな一党に与(くみ)していたものやら、ふりかえって我が身の振り方が信じられない愚かしさである。
こみ上げてきた苦渋を舗石に吐き捨て、不細工なミスラは頭巾を目深にかぶり直すと人混みに隠形した。
人よりもキキルンの数のほうが多いこんな田舎町では、連中に見つかるのも時間の問題だ。
一刻も早く、アルザビ行きの船に乗り込み、国籍混淆たる辺民街区の雑踏に身を沈めよう。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
「見つけたぞ―!」
ぎくりと、振り返るミスラの目に、泥人形のようなタルタルが飛び跳ねている。
「よくもよくも、ボクのカバンを盗んだなー!
この恩知らずの泥棒ミスラめー!」
ボルタは地団駄踏んで喚いた。
「こんなところで喚くんじゃない!」
言いざまにくるりと踵を返したミスラの背に負った背嚢へ
「とう!」ボルタが跳んで亀の子のようにしがみついた。
駆けながらミスラは
「離せー!」
「離すもんかー!」
異様な光景が1区画ほど続いて、衆目は否が応でも集まった。
「この、ヴァカたるが―!」
どう身を揺すっても離れようとしない子供タルに業を煮やしたミスラは、だしぬけに膝を折り
「うにゃッス」
民家の屋根より高く跳躍した。
「う、わぁあああああッ」
予期しない加速度に、背嚢を掴んだ指がほどけて、ボルタの体は宙を舞う。
不細工なミスラは、そのまま鞠のように屋根伝いに弾んで、姿をくらました。
「やるなぁ^^ 彼女」
ひっくり返った卓袱台を片付けながらミスラ青年が言った。
「いくら、マトンのパワーとはいえ、片足でアレほど跳ぶとはね」
「さよう・・・」
ヒュム老人は、気絶して部屋に戻されたボルタを介抱しながら乾いた声で
「たった数日で、あそこまで義体の力を引き出すとは、たいした才能である。
・・・ちょっと、解剖してみたい」
などと物騒なことを言い出した。
「呑気なことを言ってんじゃねえ!
振り出しに戻っちまったじゃねえか。
どうすんだよ、一軒一軒訪ね歩く気か?
不細工なミスラはいませんかー?って」
ガルカが柱を掴んで揺さぶり始めた。
「ゴリラみたいなまねは止めんか、鬱陶しい」
ヒュム老人は葉巻に火を点じ、モニター鏡台に齧りついた侍ぽいエルヴァーンに声をかけた。
「ランスロット、何か面白いものでも見つけたのかね?」
「面白くはござらんが・・・」
鏡台の中の光景を指さして侍ぽいエルヴァーンが言う
「あそこの旗竿にぶら下がっている生首に見覚えござらんか?」
「なんだと?」
3人のメモリーズが頭を寄せ合って、エルヴァーンの肩越しに鏡台を覗きこんで
「は、はぁあああん?」
互いの顔を見つめ、凄まじい速さで事態を把握した。
「ちょっと・・・もう、これから先は、子供がフラフラ首を突っ込んでいい領域じゃないねえ」
「はて、どうしたもんかのう。
ワシらの誰でも、【交代】でミスラを捕まえ、背嚢を回収することはたやすいが・・・」
「【交代】では、この子に経験値が入らないでござるよ」
「経験値の問題じゃねえだろう!
盗賊団だの殺し屋だのに関わるには、この坊主まだ早すぎる」
「ガラハッド殿は、存外、過保護でござるな」
「な、ん、だとお? てめえケンカ売ってんのか似非侍」
「拙者は町人相手に争い事なぞいたさぬよ」
「ちょっと表出ろ、このサンピンが」
ダンと畳を踏んで半身起こしたガルカが顔をエルヴァーンにずいと近づけた。
「拙者、年俸3両一分の奉公人ではござらん」
胸をそびやかせ、エルヴァーンは顎を突き出す。
ミスラ青年とヒュム老人はそそくさと鏡台を二人で運び始めた。
「やめろよー!」
ボルタがパニックダンスしながら仲裁に入った。
「ふたりとも、メモリーズ同志で喧嘩するなんてどうかしてるぞー!」
「目が覚めたか坊主」
「どうするかは、お主次第でござるよ」
ガルカとエルヴァーンに眼差しを向けられ、ボルタは少したじろぎながら
「コルモル先生のバッグを返してもらう。
そして、あのミスラを保護する」
「ほ?」
「は^^」
「・・・ふ」
「ひひひひひ、いいぜ坊主wwwヒーローらしい答えだwww」
ガルカが膝を叩いて愉快そうに言った。
「他のやつがお前に教えてやれることなんて瑣末のことだ。
オレはお前に【ヒーロー道】ってやつを教えるために
人格(キャラクター)を持ったんだからなwww」
「あの馬鹿者を、これ以上喋らせるな! 坊の教育に悪い。
前々から、あのガルカがなぜ居るのか不思議に思っておったが、
その理由が、よりにもよって【ヒーロー道】の教授じゃとぉ?
これぞメモリーの無駄使い。無駄もはなはだしい。無意味極まる。
とっととデリートされろ、このナンセンスコードバグが!!」
ヒュム老人、口汚くガルカを罵り始めた。
「脳筋や脳軟化爺さんたちは放っておいて、
さあ僕たちは泥棒ミスラさんを追いかける算段を練ろう^^」
ミスラ青年ガウェインはボルタの手を引いて部屋を出て行く。
その背を見送って、エルヴァーン侍ランスロットはボヤくように呟いた
「やれやれ、一番教育に悪い奴が、少年を連れて行ったでござる」
路上で目を剥き、舌を垂らして気絶していた子どもタルが、だしぬけに跳び起きたので周りを取り囲んでいた人々は驚いた。
好奇心旺盛なキキルンを始め、物見高い女子校生などがSS写真を撮ってLSメールしていたのを、タル少年は一通り見回し
「やあ、みんな^^ ちょっと教えてほしいんだけど^^」
ナンパまがいの聴きこみをはじめたwww
〔チョットォおー、なにしてるんだよー、さっきから女の子にしか話しかけてないじゃないか―〕
頭の中で、ボルタが騒いでいるのもどこ吹く風であるwww
隠れ家といえば仰々しいいが、ありていは変哲のない集合住宅の一室。
木の葉を隠すには森の中のたとえ通り、普通の賃貸住宅こそが、身を隠すにはふさわしい。
不細工なミスラは、外出時に扉の隅に貼りつけた髪の毛が動いていないのを確かめてから解錠した。
その瞬刹・・・指先に感じた違和感が脳に危険信号を送り込む。
〔合鍵を使われた!?〕
思った時には、全力で部屋の前から駆け出していた。
どう調べたか知らないが、連中に隠れ家を突き止められた。
こうなればスピード勝負である。
こっそり町を出ようとしていたプランを変更し、この足で、このまま港から船出する。
部屋の中に残した装備に未練はあったが、現状では回収不能だから切り捨てる。
身軽さこそ、危険を逃れる最大の武器だ。
さいわい、背中にはあのタルタルから奪った不思議なバッグがある。
まだ中身を全部検めたわけではないが、豆の缶詰を始め当面の食料に困ることはない。
階段を三段跳びで駆け下りる、その先に静かに立ちはだかった影がある。
見覚えのある男たちは、盗賊団の一党。
ミスラはためらうことなく、連中のつくる壁に体当りする。
伸ばした右腕の先には、五指から展開したメスが光った。
血しぶきを播いて、人垣を飛び越えたミスラは通用門をくぐり抜け、戸外を斜めに走る。
湧き起こる銃声、ミスラの後をなぞるように銃弾が舗石を穿った。
目の隅で捉えた横道の細い路地めがけて横っ飛びに身を躍らせる。
そこから、例のジャンプで屋根に飛びつき屋根伝いに逃走を図るつもりだった。
「おかーえりぃー♪」
頭目クールーが銃を構えてニコヤカに笑っていた。
「チェックメイトだよダニィちゃん♪
部屋からここまで、いい詰み手だったでしょ♪」
ミスラがジャンプしようと身構えた、その足をためらいもなく頭目の銃弾が撃ちぬいた。
「・・・っ!」
「へぇえ、カラクリの足かぁ~♪
腕も何か仕掛けがあるみたいだねぇ♪」
二発目の銃弾は、ミスラの右腕を肩からもぎ取った。
星神アレキサンダーだの冥路の騎士だの、ワラーラ哲学だの、アトルガンの宗教はよく分からんのであるが、ナシュモのような小さな町にも礼拝堂はあって、盗賊団はそこの住職を小銭で追っ払って仮のアジトとしていた。
立ち込める煙は、「幸せな気分になる葉っぱ」を燻したものである。
盗賊団は、葉っぱを詰めた煙管を回し飲み宴会の真っ最中。ご機嫌な肴は干し肉や干し棗、豆の缶詰・・・そして生贄の苦悶。
双頭の蛇の徽章幕が掲げられた壁の下。杭打ちされた環に通したロープの一端は首吊り縄で、ミスラは片足爪先立って、かろうじて息を繋いでいた。
環を通したロープの反対端を握るのは、下っ端の辮髪ヒュム。
「ほうれほうれ、片足でもしっかり立たないと首が締まっちゃうよ」
下卑た笑いの口元から涎を垂らしていた。
ひゅん!
悲鳴が堂内に響き渡る。
背に突き刺さったダーツの矢の痛みに痙攣した身体が一回転した。
湧き起こる馬鹿笑い。
「腹を向けるんじゃないよ。的が隠れちゃうでしょ」
辮髪ヒュムはロープを巧みに操り、ミスラの身体の向きを変えさせた。
上半身を裸に剥かれたミスラの背中には、ダーツの的が血で描かれていた。
盗賊たちは交代で、手にしたダーツを投げつける。
この残酷なる人間ダーツゲームをニコヤカに眺めながら、頭目クールーはミスラのもがれた義手を弄んでいる。
義手の指から飛び出したメスが。次はネジ回しに変わった。
「随分と便利な体になったんだね♪ ダニィちゃんwww」
もぎ取られた義手の肩口からはみ出した筋をアレコレ引っ張りながら、クール―将軍はニコヤカに言った。
「おまけに、こんなお宝を手に入れて、
ボクらに挨拶が無いなんて水くさいじゃない」
ボルタの背嚢を逆さに振って、大量の缶詰を山にしながら
「隊が全滅して、盗賊家業に嫌気が差したんだろうけど、
自分だけヨクなろうなんて、ボクら泣いちゃうよ♪」
「・・・頭目、誤解だよ・・・」
ミスラは絶え絶えの息の下、命乞いを繰り返した。
「ふぅううん?」
頭目は、メスを展開した義手をミスラの背中に押し当てた。
「ご家庭用の便利グッズに、人参を簡単に千切りにするってあるでしょ♪」
肩甲骨の中程から尻の窪みまで一気に引き下ろした。
声にならない悲鳴がミスラの全身を痙攣させる。
毛深い背中に血の筋が5本、浮かび上がって、毛筋にそって滲み広がった。
「声も出ないほど痛かったかい?
しかし、ほんとうに痛いのはこれからだよ♪」
頭目は、傷口の端を摘むと、ガムテープを剥がすように、生皮をゆっくりと・・・
礼拝堂の外は、子供らが球打ちゲームに興じる平和な日常の光景が広がっていた。
礼拝堂の扉の隙間から、中の様子を伺っていたボルタ(ガウェイン)は
「天国と地獄だねえ^^;」
冷や汗を拭った。
〔ねえねえ、中の音が聞こえないのはどういうわけなの?〕
「それはねボルタ。この手の礼拝堂は、祈祷の最中に外の音に邪魔されないよう音を遮断する結界が張ってあるんだ。
とうぜん中の音も外に漏れない。悪党も旨いこと考えるもんだね」
〔おい、ナンパ猫。感心してねえで早く俺と交代しろ!〕
「おや? 先輩、この状況をどう打破する気?」
〔名乗りを上げて、正面突破[^皿^]ノ〕
〔きさまーッ、頭に海水詰まっとるのかー?〕
〔もう少し登場の仕方を考えるでござるよ、ガラハッド殿〕
「ふたりとも、今しばらく先輩を押さえつけておいてね。
僕にいい考えがあるんだ^^」
〔いい考えって、何するつもりなんだー? 教えてよー〕
「忘れがちだけど、この体はタルタルの子どもだよ。
子どもだからこそ、できる技があるのさ^^」
〔むむ? それは、某眼鏡をかけた少年が、探偵とかスパイとかをするとか言う、アレか?〕
「それこそまさに、この物語のメインプロットじゃないか^^」
〔言われてみれば確かにそうでござったな。
人格交代の描写にかまけてすっかり忘れておったでござる〕
「ちょっとオサムライの言ってることがわけわかんない^^」
〔うぉー、ボクにも分かるように話をしろー〕
毛深い背中の皮が、縦に一筋、尻まで綺麗に剥がされ垂れた。
「斜めに筋を入れるってのもあるかな♪」
頭目が、再び義手の刃をかざす。その時・・・
バリーん!
正面扉のステンドグラスを破って飛び込んできたものがある。
ぽーんぽん、ころころころ
それは弾みながら礼拝堂の中心線に敷かれた絨毯を転がり、頭目の足元で止まった。
「ボール?」
「ごめんなさ~い!」
バンと扉をあけて、玉のような勢いで子どもが転がり込んできた。
「すみませ~ん! ぼくのボール、飛びすぎてガラス破っちゃいましたぁあああ」
小さなタルタルの少年が、顔中を口にして詫びている。
「あ、おじさーん、すみませ~ん、それボクのボールですぅう」
タル少年はバットを担いだまま頭目に駆け寄ると、足元のボールを拾い、宝物のように息を吹きかけ袖で拭った。
「・・・なん、なんだ、おまえ」
さしもの頭目も毒気を抜かれてきょとんとする中、タル少年は嬉しそうに何度もお辞儀しながら、
「これ、ボクの大切なボールなんです。それから・・・」
頭目の傍らにあった背嚢に手をかけ
「これも、大切なボクのバッグ^^」
「なんだー!? おまえーっ」
大人気ないと思う間もなく、頭目は本能で危険を察知し、タル少年に銃を向けた。
ここにいるのは、タルタルの子どもなんかではなく、得体のしれない何か巨大な力を内蔵したモノノ怪だ。
頭目は、そう察知した。
銃を向けられたまま、タル少年はニンマリと笑い
「お膳立ては揃えたよ、先輩^^」と、呟いた・・・
も~1回だけ続く;;