アフター0/岡崎 二郎
609 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2007/11/02(金) 00:43:47 ID:???
アフター0(岡崎二郎)、著者再編集版の1巻だけ試しに要約してみました。
アウターゾーンの人に準じて、1話につき5~6行前後が目標。
全巻は流石に無理だと思いますが、とりあえず雰囲気だけ伝われば…という感じで。
言葉で詰め込むのはなかなか難しいので、ぜひ実際に読んでみて欲しいなと思います。
基本:8~24p程度のショートショート集。
シリーズ物になっている作品は少なく、ほとんど完全に独立。
ジャンルはSF・サスペンス・ミステリなど多様だが、基本的にはSFメイン。
610 名前:アフター0 1/4[sage] 投稿日:2007/11/02(金) 00:45:49 ID:???
Ep1.種を蒔く男
その男は平日のプラネタリウムで星を眺めて呟いた。「メシエ67、悲しい結末ですよ」
彼は「文明を育てる」企業の社員だと語った。人類と文明を育て、十分に成熟した後に通商権を得るのだ。
冗談だと思っていた僕だが、やがて彼の言葉通りイスラエル紛争で核が使用されたことを知る。
彼は語る。早すぎる文明は危険なので修正する必要がある。メシエ67は修正不可能として消された星。
緊迫する世界情勢。まさか、地球もメシエ67のように…。プラネタリウムで思いを馳せる僕の下に、男が現れた。
「地球は大丈夫ですよ。たっぷり時間をかけましたからね…」
Ep2.オクラホマおじさんの逆襲
日本中で異変が起こった。某メーカーのマスコット人形、オクラホマおじさん
(見た目まんまカー○ルサン○ース)が一斉に富士山目指して動き出したのである。
調査の結果、オクラホマおじさんは宇宙から来た炭素結晶生物で作られたことが分かる。
富士山は他の宇宙人と交信するための目印。一体何が起こるのか、国民が固唾を呑んで見守る中…
「お元気ですか」「ありがとう」1万年ぶりの挨拶を交わし、彼らはあっさり去っていったのだった…。
Ep3.ほうき星翔ける街角
彗星ヴァルナが地球に接近すると同時に、地球に「ゲルフラウ」という大量の光体が出現した。
光に集まる性質を持つ、気体のような正体不明の生物。世界は混乱に陥り、経済はストップした。
しかし「ゲルフラウは食べられる」という発表で情勢は一転。人々の恐怖は消え、
ゲルフラウを乱獲し始めた。やがてゲルフラウが絶滅寸前となった頃、驚くべき真実が発覚する。
元々ゲルフラウは地球に存在しており、ヴァルナが発する素粒子で可視状態になっただけだったのだ。
最後のゲルフラウが大気に放たれる。ヴァルナが去ると共に、ゲルフラウの姿も再び空へ消えていった…。
611 名前:アフター0 2/4[sage] 投稿日:2007/11/02(金) 00:47:37 ID:???
Ep4.オフィス
ここは会社。この手で俺はキーボードを叩く。席に座って新聞を読み、仕事をする。
どうして俺はこんなことをしているんだ。どうせ機械が全部やってくれるのに。
OLにセクハラする。上司を殴り倒す。俺は何だってできる!何故ならこの空間は…
…バーチャル・オフィス、家にいながら仮想空間の会社で働ける能率的なシステム。
しかしそれは、幻想空間に耐えきれない落伍者を生み出す厳しいものでもあった。
Ep5.モルヒネ綺譚
麻薬取引の疑いでインテリヤクザ、板滝を追う刑事は、捜査の中であるメモを押収する。
それは脳内物質、エンドルフィンの化学式。板滝はモルヒネの代わりに、脳をパルスで直接刺激して
エンドルフィンを作り出し、健康的なトリップができる機械を開発していたのだ。
そして機械にはもう一つの機能があった。刺激場所を変え、人間をパルスの中毒にする機能…。
しかし刑事が突入した際の衝撃でもう一つの機能が発動し、結局板滝は覚醒剤中毒の廃人同様になってしまった。
Ep6.最高の晩餐
地球から2万6千光年彼方の星、クラン・クラム。人類が遭遇した最初の異星人。
歓迎の晩餐会が開かれ、地球人最高のシェフと、クラン・クラム人最高のシェフが腕を奮うことになった。
孤高の天才であった二人は完全に意気投合。互いの料理を思う存分味わい、再会を約して別れる。
…しかしその後、二人の料理人は互いの料理以外の物を一切食べられなくなり、次第に衰弱していった。
宇宙最高の味を知ってしまったが故の悲劇。二人が再会できるのは一体いつになるのか…。
Ep7.シュリーファー博士の優雅な研究
軍事兵器として危険なガンマ線兵器を研究するシュリーファー博士は、国連の警告にも耳を貸さない。
しかし兵器が開発中止に。憤慨した博士はステーションに向けて兵器を放つ。
放たれたガンマ線はステーションを微妙に逸れ、近くの水銀の微惑星に衝突した。
…その後しばらくして、博士が金の惑星を持って現れた。金は全て国連に寄付するという。
ガンマ線は原子核の中性子をはじき出す。つまり、原子量80の水銀なら79の金に。
ガンマ線兵器は博士流「軍事の平和利用」だったのだ。
612 名前:アフター0 3/4[sage] 投稿日:2007/11/02(金) 00:49:31 ID:???
Ep8.沈黙の侵略者
現代人は危険に鈍感になっている。それは奴ら、エイリアンが侵略から人の目を逸らさせるためだ。
奴らは取り憑いた人間を微妙に変えてしまう。食べ物の嗜好などほんの些細なことだが、確実な変化。
家族は皆奴らの手に落ちた。私は科学者として、世界にこの危機を伝えなければならない…!
…私は作りかけの論文を破棄した。奴らは人間に寄生するが、その能力は人間に害にはならない。
奴らは人を危険から鈍感にするが、それはストレスの多い現代社会にはある種必須の能力だったのだ…。
Ep9.地球を測った男
ある時代。北極近くのある部族で、ある頭の良い男が、影の長さから地球の全長を割り出した。
彼の説によれば、地球は球状に回転しているため、その力で
赤道付近の海や大地は荒れ狂っている。だから南に住むことはできない、のだという。
男の説の真偽を確かめるべく旅立った若者たちは、温帯付近で荒れ狂う波と大地の姿を見た。
今から数千年後、小天体と衝突して地球に接近した月の潮汐効果により、地球の文明は全て洗い流されていたのだ…。
Ep10.語れよ真実の中で
私は月に初めてやってきたテレパス。誰もいない真空空間で私は確かに、人の声を聞いた。
そのせいでうっかりヘルメットを開いてしまったのだけど、誰も私の話を信じてくれない。
声は訴える。「助けて!衛星が落下する!こなごなになってしまう!」
私はランチャーを持ち出し、衛星を打ち落とす。私が助けたのは…月世界唯一の生命、珪素生物。
そして私を呼ぶ声は、巨大な珪素生命たる地球自身。静寂な真空の中で初めて、地球の声は人に届いたのだ。
Ep11.永遠の問いかけ
宇宙ステーションの中で僕は考えていた。われわれはどこから来たのか、どこへ行くのか…?
人類の永遠の問い。いや、人類だけでなくミジンコも、全ての生命も。いや、生命だけでなく機械も。
機械は光コンピュータ化され、脳のニューロンとほぼ同一の構造を実現しつつある。
…あるいは、宇宙全体が星々のつなぐ巨大な光コンピュータだとしたら?
宇宙も考えているのかもしれない。われわれはどこから来たのか、どこへ行くのか…?
613 名前:アフター0 4/4[sage] 投稿日:2007/11/02(金) 00:51:00 ID:???
Ep12.たった一匹
人間が不用意に持ち込んだ動物によって、生態系が崩されてしまった例は多く存在する。
ある一つの未開惑星に、科学者とその助手の猿が降り立った。
その星の生物は地球と類似した遺伝子を持っており、数百万年遅れて同じ進化を辿りつつあった。
調査する内、助手の猿が野生化し未開惑星に居残ろうとする。科学者は迂闊にも、それを放置してしまった。
…数百万年後。進化したその猿の子孫によって、現在地球生態系は重大な危機を迎えている…。
Ep13.いつか聞いた鐘の音
ある東北の村の小さな寺に、「お鐘さま」と呼ばれて村人から大切にされている鐘があった。
戦時中、国家により国中の鉄が供出された時代。村人達は供出から守ろうと、鐘を雪山の奥に隠した。
人一倍お鐘さまを大切にしていた村長の娘は山奥まで鐘を捜しに来て、途中で遭難してしまう。
鐘は娘を救うため、独りでに音を鳴らす。しかしそのために隠し場所が発覚し、結局鐘は供出されてしまった。
そして数十年後、鐘は再び元の姿で目覚めた。村長の娘が彫刻家となり、大砲から鐘を作り出したのだ。