アンジェリク

Last-modified: 2019-10-21 (月) 13:16:09

アンジェリク/木原敏江

146 名前:マロン名無しさん 投稿日:04/09/05 21:38 ID:???

木原敏江の『アンジェリク』やります。
この作品は20巻以上にも及ぶA・S・ゴロンの小説の中間あたりまでを漫画化したものです。
現在は秋田文庫から全3巻で刊行されています。


舞台は17世紀後半、後に「太陽王」と呼ばれる、若きルイ14世統治下のフランス。
モントローの田舎で暮らすサンセ男爵の令嬢アンジェリクと、屋敷の下男ニコラ、
アンジェの従兄弟である青年侯爵フィリップ、アンジェの婚約者、ラングドック伯爵ジョフレを軸に展開される歴史ロマンです。


147 名前:アンジェリク 1 投稿日:04/09/05 23:00 ID:???

フランスの片田舎モントローの領主、サンセ男爵は四人の娘に恵まれ、貧しいながらも暖かい生活を送っていた。
四姉妹の中でも一番美しいのは、豊かな金髪と緑の瞳の次女、アンジェリク。
当の本人は宮廷一の貴婦人になるという夢は持っているものの、お転婆で、今日も下男のニコラと森へ。
夕食時になり、城へ帰ろうとした二人は盗賊の一味と行き合う。
かどわかされそうになったところへ、長い黒髪、左頬に傷を持つ旅の吟遊詩人に助けられる。
足が悪く、杖をついた吟遊詩人だが、剣の心得があるのか、とても強く、逃げ出した盗賊の一人は、その時の怪我が元で死んでしまう。
死んだ男の姓はベシェール。盗賊仲間に「俺と違って、出来のいい兄貴に伝えてくれ」と言い残す。
城へ戻ったアンジェリクは父に盗賊の事を報告し、男爵は警戒を強める。
そうして、アンジェリクとニコラが夕食をとっていると、やさぐれた感じの男が現れ、ニコラを連れて行く、と言う。
ニコラの父は村の酒場でやさぐれ男との賭けに負け、その際の賭け代がニコラだと言う。
元々が貧乏貴族で、宮廷への税を払ったばかりの男爵には金が無く、換金出来るような宝石も無い。
ニコラと離れたくないアンジェリクは、男に明日まで待ってくれる様に頼む。
翌朝アンジェリクは、隣村に住む親戚で金持ちのプレシ侯爵家へと急ぐ。
跡取り息子のフィリップは、宮廷でも評判の美しい貴公子で、アンジェリクの初恋の人であった。
彼の前に出るとあがってしまい、話も出来なくなるアンジェリクだが、何度か面識のあるフィリップに金策を頼むつもりであった。
生憎とフィリップは不在で、意地悪なプレシ侯爵夫人が応対に出る。
貧乏貴族とバカにされ、臭いと罵られたアンジェリクは用件さえ言えず、プレシ家を出る。
プレシの庭でアンジェリクが泣いていると、どうやら来客中だったらしい夫人のヒソヒソ声が聞こえてくる。
彼等は人ばらいをし、「国王を強引に取り替えようとしている」「ばれたら首が飛ぶ」などと、物騒な話を始め、オルゴールのような鍵付きの小箱を壁の隠し棚に納める。
アンジェリクは夫人達が去った後、部屋へ忍び込むと、バカにされた腹いせに小箱を盗み、庭の木のうろに隠す。


149 名前:アンジェリク 2 投稿日:04/09/05 23:52 ID:???

金を都合できず、とぼとぼと城に帰ろうとしたアンジェリクは、村が焼き討ちされているところへ行き合う。
村人達は逃げまどい、サンセ城に急ぐ。入り口は跳ね橋になっており、安全なのだ。
村人を保護した男爵は跳ね橋を上げるが、アンジェリクがまだ戻っていない。
城には森からの抜け道があり、アンジェリクはそこを通って来るはずだと、ニコラは見に行く。
アンジェリクの末の妹・マドロンは、その様子を見たいと塔に登る。
無事に城に辿り着いたアンジェリクだったが、塔のマドロンは盗賊達が射かけた矢に貫かれ、絶命。
悲しみの中、マドロンの葬儀が行われ、アンジェリクは自衛のために軍隊を作ろうと言うが、男爵は金が無いと嘆く。
今回の襲撃で村の食糧も底を尽き、家畜も取られてしまったのだ。
悔しがるアンジェリクに男爵は、以前から彼女に結婚の申し込みが来ている、と伝える。
相手はトゥールーズの伯爵で大金持ちで、結婚すれば持参金の上に、借財の肩代わりもしてくれるという。
10日後に迎えが来ると言う父の言葉を聞きながら、マドロンの墓碑の前で、アンジェリクは唇を噛みしめる。
やがてニコラがやさぐれ男に連れて行かれ、自分の無力さを自覚するアンジェリク。
いずれニコラを取り戻してみせる、と大人しく結婚相手の到着を待つ。
その日、美しく着飾ったアンジェリクを迎えに現れたのは、いつかの旅の吟遊詩人であった。
彼の名はジョフレ・ド・ペイラック。
片足が不自由ながら優雅に杖をつき、頬の傷さえ魅力的な貴公子である。
トゥールーズへ向かう馬車の中。
吟遊詩人のふりをしてまで下見をしにきたのかと気分を害したアンジェリクは、ジョフレに面と向かって「好きで結婚するわけじゃない」と言う。
「いい機会だから言ってしまいますけど、私、これから貴方の妻になっても、心までは渡しませんわ。
そこのところをよく覚えてて下さいませね」
それを聞いたジョフレは「でも君は、きっと私を愛すようになる」と悠然と微笑みかけるのだった。
「結婚式は延期しよう。君が心から望む時まで…」


その頃、プレシ家では小箱が無くなっている事に気付き、アンジェリクに思い至った夫人が刺客を差し向けようとしていた。
続く


152 名前:マロン名無しさん 投稿日:04/09/06 00:24 ID:???

下男って言うからなんかしょぼくれたオッサンを想像してるんだけど
なんか展開を見てると違うっぽいね


153 名前:マロン名無しさん 投稿日:04/09/06 13:20 ID:???
>152
ニコラは純朴な少年て感じです。


273 名前:アンジェリク 人物紹介 投稿日:04/09/28 02:35:21 ID:???

あらすじ内だと長くなるので…変なところですみません。


○:女性 ●:男性 年齢は作中の描写から推定


○アンジェリク・ド・サンセ 17歳
主人公。サンセ男爵家四姉妹の次女。
美しい金髪と緑の瞳を持つ美少女。
当時の貴族の令嬢としては、かなり行動的で無鉄砲な性格。
●ジョフレ・ド・ペイラック 25歳前後
南フランスのラングドック地方の領主(伯爵)。
幼い頃、宗教戦争の余波で顔と足を負傷するが克服。
今も片足が不自由だが剣の名手で、伝説の歌い手。女性にもモテる。
美しい長い黒髪に黒い瞳。
当時の貴族にしては珍しく自分で貿易の仕事をしており、かなりの資産家。
独立した収入がある為、王宮に仕官していない。
●ニコラ・メルロ 15~16歳
サンセ城の下働き。元々はみなし子で、メルロ(父)に拾われた。
アンジェリクとは姉弟の様に育つが、父の借金のカタに連れ去られる。
●フィリップ・ド・プレシ・ベリエール 20歳前後(?)
アンジェリクの従兄弟で侯爵位を持つ。
ゆるやかな銀髪の美しい外見だが武人の誉れ高く、フランス国軍の元帥を務める。
国王自ら「幼馴染みで親友」と公言するほどのお気に入り。
○カルメンシータ 20~22歳ぐらい
ジョフレを熱烈に慕うスペイン貴族の血を引く姫。
メルクール公爵の妻となった現在も、ジョフレに猛アタック中。
情熱的というか、ちょっとアブナイ。
●ルイ14世 22歳
フランス国王。在位50年に渡る絶対専制君主。
作中ではまだ若く、女好きで勝手な性格として描かれている。


274 名前:アンジェリク 人物紹介 投稿日:04/09/28 02:38:20 ID:???

○マルゴ 17~20歳
ジョフレの乳母の娘。アンジェリク到着後、専任の小間使いになる。
●クレマン 20歳~
アンジェリクと前後してペイラック家に雇われた小姓。
●クアシバ ?歳
ジョフレが奴隷市場から救い出した黒人の大男。
以来、ジョフレに忠誠を誓っている。
●ペギラン 25歳前後
ジョフレの親友その1。
初登場時はローザン士爵だが、後に近衛隊長となり、侯爵に。
●ベルナール 25歳前後
ジョフレの親友その2。アンディジョ侯爵。
●セルバロー 25歳前後
ジョフレの親友その3。男爵。


509 名前:アンジェリク[sage] 投稿日:2005/09/20(火) 00:17:16 ID:???

(ざっと簡単に続き。手元に本が無いので少し前後するかも)


 共に暮らす内、ジョフレの人柄に触れ、彼を信頼するようになったアンジェリクは、プレシ家で隠した小箱の事を打ち明ける。
 ジョフレはすぐに国王暗殺に思い当たり、この事は秘密にするよう、アンジェリクに言い聞かせる。
 その時、ドアの外では新しく入った小姓=クレマンが聞き耳を立てていた。
 彼は別名を毒薬使いのエグジリというプレシ家からの刺客であったが、使用人達にも優しいジョフレに人間的に惹かれてゆく。
 やがてジョフレを愛するようになったアンジェリクは彼と婚約。
 同じ頃、若き国王=ルイ14世の結婚式に招かれた二人は目立ち過ぎ、ルイの反感を買ってしまう。
 いずれ反乱分子となるかも知れないと恐れを抱いたルイの側近が動き、反逆罪の濡れ衣を着せられ、ジョフレは投獄されてしまう。
 牢獄でジョフレを待っていた司祭は、いつかサンセの森で彼が倒した盗賊の兄であった。
 アンジェリクはジョフレの無実を証明する為、ルイに小箱の話をする。
 サンセで小箱を入手し、王宮へ帰る途中、ルイ暗殺一派に襲われたアンジェリクは、懐かしいニコラに助けられる。
 昔ニコラを連れ去ったやさぐれ男は流れ者達が暮らすスラム街=ネスルの塔の元締めで、今ではニコラも頼もしい青年に育っていた。
 ネスルの塔で傷を癒やしたアンジェリクは小箱を持って王宮へ向かう。
 小箱にはルイを暗殺する為の毒薬と、計画に荷担した貴族達の念書が入っていた筈だったが、中には白紙が。
 馬鹿にされたとルイは怒り、反逆者としてジョフレの火刑を宣言。
 何かの間違いだと泣き叫ぶアンジェリクだったが、なす術はなかった。
続く


511 名前:アンジェリク[sage] 投稿日:2005/09/20(火) 01:53:10 ID:???

 サンセに戻されたアンジェリクはパリに出向く為、自慢の金髪を売り、旅費を作る。
 道中、力尽き倒れたところをネスルの情報屋=クロードに助けられ、何とかパリへ。
 火刑実行の日、処刑場に駆けつけたアンジェリクに気付いたジョフレは声を限りに愛の歌を歌う。
 「愛する乙女よ、私が死んでも勇敢な騎士と恋をしろ」と。
 やがて火刑が行われ、アンジェリクの目の前でジョフレは焼かれていった。
 放心状態で街をさまようアンジェリクはニコラに保護され、ネスルの塔で暮らすようになる。
 ニコラの献身的な看病で心身を回復したアンジェリクはプロポーズを受け、「3年待ってほしい」と返事をする。
 その間に、少しでもジョフレの恨みを晴らしたいと、アンジェリクはネスルの仲間達と盗賊団を組み、没収され貴族達にばらまかれたジョフレの財宝を取り返そうとする。
 「闇の天使」と呼ばれる盗賊団は鮮やかな手口で財宝を奪い、王宮でも噂になる。
 フィリップは盗賊団の中に緑の瞳の女がいるとの噂を聞き、アンジェリクとその目的に思い至る。
 いつものように貴族の家へ出かけたアンジェリク達は、待ち構えていたフィリップに捕らえられてしまう。
 「堕ちたものだな、従妹殿」冷たく言い放つフィリップ。
 いとこのよしみか、彼はニコラを捕らえ「返してほしければ、私の屋敷に取りに来い」とアンジェリクを逃がす。
 ネスルの塔に帰ったアンジェリクはクロードからプレシ家の苦しい事情を聞く。
 50万リーブル(約5億円)の借金を作った先代のプレシ公爵は、愛息であるフィリップさえも抵当にしていた。
 その為フィリップは金持ちの下級貴族の気がふれた娘と結婚せねばならない。
 アンジェリクは金策を条件にニコラを返してくれるよう、フィリップに頼もうとプレシ家に出向く。
 その頃、屋敷でニコラを見張っていたフィリップは、どことなくニコラがジョフレに似ていると思い、彼に黒髪のカツラを被せ、口紅で頬に傷を書いてみる。
 「なるほど、お前があの伯爵に似ているから、アンジェリクはお前のそばにいるのだな」
 丁度そこへアンジェリクがやって来て、ジョフレもどきと化したニコラに息を飲む。
 すぐに我に返り、ニコラの顔を拭いてやるアンジェリクだったが、騒ぐ気持ちはなかなか収まらない。

続く