人魚の森

Last-modified: 2015-10-10 (土) 21:51:43

人魚の森/高橋 留美子

13 名前:人魚の森[sage] 投稿日:2005/06/25(土) 23:59:14 ID:???
湧太(ゆうた)という青年と真魚(まな)という少女が旅をしている。


湧太がうたたねをしている間に真魚はトラックにはねられる。
騒ぎを聞きつけ湧太は真魚が運ばれたという椎名診療所へ向かう。
老医師は運ばれた患者は、脳震盪で目を放した隙に出ていったと言う。
だが真魚は車にはねられ即死状態で診療所にいた。


夜、真魚の死体はある屋敷に運び込まれていた。
椎名医師が登和(とわ)という女性のために、裸にされた真魚の腕をメスで
切り落とそうとした時、佐和という老女がもうやめろと止めに入る。
三人が争っている時、真魚が生き返る。
腕にメスで付けられた傷も消えていた。


その頃湧太は真魚を探し回っていたが手がかりが無く椎名医師を疑う。
駐在所で今神無木(かんなぎ)家に往診に行く日だと教わる。
神無木家は旧家で、不老不死の妙薬である人魚が埋まっているという
伝説のある人魚の森のそばにあった(人魚の森は神無木家の土地)。


湧太は神無木家の門を叩くが返答が無く、塀を乗り越え入り込む。
そこで白髪の少女と出会い真魚がここにいると知る。
が、突然現れた猛犬により喉笛を噛み切られ死亡する。


朝、湧太の死体を見つけ泣く佐和。登和を責めるが犬が勝手にやった
とうそぶかれる。
椎名医師がせめてもと死体を埋めようと穴を掘り始めた時、生き返り
つつある湧太に登和が気づく。


湧太が意識を取り戻した時、座敷牢に鎖でつながれていた。
登和がやってきて、あなた達人魚の肉を食べて不老不死なのねと言う。



14 名前:人魚の森[sage] 投稿日:2005/06/26(日) 00:00:30 ID:???
真魚は元気にご飯を食べている。
食後、登和は真魚と森を散歩する。
この森のどこかに人魚が埋まっている、ババアはその場所を知っていて
隠している、人魚の肉を手に入れるまで死にたくないと登和は話す。


一方、座敷牢にいる湧太を佐和が逃がしに現れる。
佐和は言う、登和とは双子の姉妹であると。登和は外見は若いが
老い先短い老婆だと。
自分は60年前大病を患い、死の宣告を受けた姉の登和を救いたいと、
神無木家に受け継がれてきた人魚の生き血を飲ませた。
だが登和はひどく苦しみ一晩で白髪になり、また右腕が化け物の
ようになってしまった。
二人の父が死亡するまで、死んだ者としてずっと座敷牢に登和はいたと。


神無木家の浴室、真魚が入浴中(当然ながら裸)、登和が背中を流そうと入ってくる。
真魚の美しい裸に見惚れた登和は、真魚の乳房を揉み、気に入ったと言いつつ真魚を絞殺する。


湧太と佐和が話の最中、登和が真魚の絞殺死体を引きずって現れる。
化け物のようになった右腕が痛いから付け替えたいと。
今までは墓を暴いて新鮮な死体から腕を取り、傷口をあわせれば
付け替えられた。数年経つと腕は元の化け物に戻ったが、今度は
不老不死の体がある。真魚の体とすげかえると。


登和は湧太に犬をけしかけ、佐和を連れて座敷牢から去る。



15 名前:人魚の森[sage] 投稿日:2005/06/26(日) 00:02:10 ID:???
真魚の首を切り落とそうとする登和を止めるため、人魚塚の場所を
教えると言う佐和。
椎名医師と真魚(途中で息をふきかえす)も連れ隠された洞窟へ行く。
ついに人魚を見つけたと喜ぶ登和に、人魚を食べるな!と猛犬を倒して
傷だらけになりつつも追ってきた湧太が言う。
人魚の肉は猛毒で、誰もが不老不死になれるわけではないと。
自分も真魚と会うまでの500年間、一人ぼっちだったと。


どっちでもいい、と登和は真魚を穴に突き落し人魚の肉を取れと言う。
そこには'なりそこない'(人魚の肉を食べて不老不死になり損ね、化け
物に姿を変えてしまった人間)がいた。
真魚を助けるべく湧太も穴に降りる。
苦闘の末二人はなりそこないを倒す。
登和は人魚の肉を手にする。


食うな!と湧太は叫ぶが、登和はそれを佐和に突き出す。
あなたに食べて欲しくて探し続けていたのよ、と。
本当は佐和が不老不死になりたがっていて、登和を使って人魚の
生き血の効果を試したのだと。
佐和は父から人魚の肉は猛毒で、食べて不老不死になれた者は
いないと教わっていた。


自分が長い座敷牢暮らしをさせられている間、佐和は結婚し、子供を
設け、人並みに女の生活をして、ちゃんと老いて死のうとしている。
……死なせるものか。



16 名前:人魚の森[sage] 投稿日:2005/06/26(日) 00:02:41 ID:???
登和は佐和に、化け物となるか、老いた姿で不老不死となるか
食べろと迫る。
無言でくずれる佐和。
心臓麻痺だと告げる椎名医師。


ずるい人。
この日のためだけに生きてきた。
これで終わり……


登和は自分を塚と人魚に関わる一切の物と共に燃やしてくれと頼む。


燃える炎を見ながら椎名医師が言う。
登和とは許婚だったと。
何度も座敷牢から連れ出そうとしたが、ここに残ってしたいことがある
と断られていたと。
登和が見つめていたのは、佐和。もう一人の自分だったんだと。


再び旅に出る湧太と真魚。