【SS】EDFベース201の受難

Last-modified: 2025-04-08 (火) 13:45:33

永遠に工事中

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平和を取り戻した世界で新たに基地司令官にされたEDFの将校のお話。

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1話

「まもなく、海浜幕張、海浜幕張、お出口は、右側です。海浜幕張から先は…」
京葉線の車内放送が頭に響く。1号車の端っこの席で微睡みかけていたがそんな暇もなく列車は1番線に入線していく。
「ふぁあ…今度の異動先はどんなとこかな…」
眠気の抜けない体を動かし、降りる。眠気には敵わんので自販機でコーヒーでも…案の定、手を滑らせて財布を落っことす。拾うのだるいな…
「あ…拾いますよ?」
和服姿のお美しい女性が声をかけてくれた。小銭拾いも楽になるだろう。
「ありがとう、最近どうも寝不足でね。そうだ、お礼に一本飲みません?」
散らばった小銭を拾いながらつぶやく。まあ飲もうとも思うまいが。
「えっ!?いいんですか!?最近金欠なもので…すみません!」
女性は今でいう…そうだな…「てへぺろ」といった表情でちょっと申し訳なさそうにしている。ここは奢らねば無作法というもの、一本くらいは買っていこう。
「あなたはどこで働いてるんですか?」
女性が不意に訊ねてくる。こんなことを聞いて何になるんだ…?んとまあ、ここは答えてあげよう。
「あ…ああ、EDFです。全地球防衛機構。この近くの基地に異動してきたんです。」
「なるほど…フフッ。」
何だこの姉さん…
「あ、僕は仕事なのでここで。」
おっと。皆さんへの自己紹介が済んでいませんでしたね。僕は片浜矢端。EDFベース201、通称「幕張基地」に基地司令官として異動することになった。階級は准将。将校ってのは規律と様式に厳しい様に思われてるが僕はそうはしたくない。なにせそもそも威厳なんてこれっぽっちもないし振りかざしても心からついてきてくれる人なんていないからね。
とりあえず行こう。にしても変わらないなぁ…この街並みも、失わずに済むなんて…。10分ほど歩いていると、軍事基地にしてはこじんまりとしているが確かに"BASE 201"と表記されている建物が目に映る。ここが…僕の新しい基地か…さっそくEDFの所属コードを見せて中に入っていく。


基地の中はほかの一般的なEDF基地とそう変わらない構造であるようではある。…はっ、呼ばれているようだね。
「司令官、少々お目にかけたいものがございまして…。」
整備兵らしき兵士が僕の方へ駆け寄る。
「そんな畏まらなくてもいいよ…で、案内したいものとは?」
「…この基地の特色でもあり、懸案事項でもあります。」
「…わかった。」
特色にして懸案事項…?そんな恐ろしいものが…とりあえず、見ておくに越したことはない。僕は彼に案内してもらった。
「…こちらです。本日より准将の直属の指揮下に入っていただく第12混成機甲中隊、通称『バスターチーム』です。」
「モビルスーツに艦娘…KAN-SENにACに戦術機に戦術人形か…」
「そうですね…前任の方も彼らの扱いに手を焼いていましたね…。」
すると、バスターチームの皆が僕の方に向かって駆け寄ってきたんだ。
「お…元気があるのはいい事だね。僕は片浜矢端。この基地の新たな司令官だ。宜しく頼むよ。」
…どうもみんなの目が僕に集まっている気がする。とんでもない鋭さと色欲といった感じなのか…うーむ…
まあとりあえず今日のとこは仕事もないそうだし散歩でもしようか。


幕張は15年くらい前に超会議で訪れたっきり全く来なかったけど…そんな変わってなさそうだ。ペリエもプレナもイオンもコストコもあっていい感じだけど…豊砂の北口にあんなデカいビルあったか…?煌々と輝いてはいるけど…人がいるようには思えないな…
とりあえず見てみようか。えーっと…なになに…「関係者及び片浜准将以外のみ利用可能」…えっ?なんで僕が来ることを知ってたんだ…?
なんか警備員たちも僕をまじまじと見てくる…なんか様子がおかしそうだな…?近づかない方がよさそうだな。


…面倒なことになった。僕が「先生」で「ダンテ」で「ドクター」で「提督」で「指揮官」だったことがバレたらEDFでの立場はおろかメディアもしつこく追い回してきそうなのが目に見える。最悪財団の日本支部に連絡を取ってSCiPになってでも保護してもらいたいよ…。
はぁ、ガンダムとか戦術機乗れたのは不幸中の幸いかもしれないけどさ…
「リットンのおじちゃんならこういうのもどうにかできただろうに…」
ああ、リットンさんは…よく歴史で習うリットン調査団のリットンさんのお孫さんだそうだ。めっちゃ苦労人なんだけど…仕事はめっちゃ上手いし速いからみんなから頼りにされてるんだ!