Kaelin

Last-modified: 2023-02-22 (水) 23:34:05

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第四章「お伽国を訪れた少年」
ウィリアム エリオット グリフィス著「ウェールズの童話」より
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皆の衆、ようおいでなされた。
今宵はわしの大好きな国の話でもしようかいの。

それは昔むか~し、海を越えた遥かなる国に伝わる不思議な話じゃ。
海の向こうの遥かなる国にはそれはそれは気の強い少年がおった。
母上の言いつけも、父親の頼みも全く耳をかさない、それはもう手の付けられない少年じゃった。

ある日、途方に暮れる父親と悲しみにふける母親をみて、気の毒に思った修道士が少年をしかりつけた。
すると少年は怒りと悲しみで瞳を潤ませ、町から出て行ってしまったのじゃ。

どれ位歩いたかのう・・・
街を離れ、夕暮れが足元に迫る頃、少年は洞穴にたどり着いた。
歩き疲れた少年は、そこで一夜を明かそうとゆっくりと洞窟の中に入っていった。
洞窟は石ころだらけの暗闇で、想像以上に居心地がわるかったんじゃな。

寒さと空腹に耐え、一夜がまるで一週間のように長く感じた少年は、急に母親に会いたくなったんじゃ。
「朝日が見えたら、家に帰ろう。」
そう言い聞かせ朝を待った。

ようやく朝日が顔を出し、少年が洞窟の入口へ向かった時、目の前にそれは美しい二人の妖精が現れたんじゃ。
そして、優しく少年に挨拶し、こう言った。

『君を楽しみや遊びであふれ、素敵な音楽と甘い食べ物がいっぱいある国にご案内しよう。』

案内役の美しい声を聞くとそれまでの空腹や母親の元へ帰りたい気持ちもきえてしまったんじゃなぁ。
少年は大きくうなずいて案内役二人と共にその国へ行く事にしたんじゃ。

美しい声の案内役はケイリン。
そして少年の手を取り、
前を歩く案内役はアーヴィンと言ったそうじゃ。

おお・・・アーヴィンは知っているかな。
そうさなぁ、あの瞳に少年は心を射抜かれてしまったのかもしれんのう。
少年が訪れた国はそれはそれは綺麗な国じゃった。

じゃが、今日はここまでとしておこうかいの。
また、別の夜にわしの夢夜話として、たっぷりと聞かせることとしよう。
それまでしばしの休息じゃ。

美しい案内役が紡ぎ出す少年の物語。
案内役の妖精には少年の思いはどのようにうつるのでしょう。
お伽の国への物語。このつづきをどうぞお楽しみに。