1ページ
世界各地でテロや戦争の脅威が騒がれているこの時代。通常、彼女たちのいるこの国もまた、その脅威に正面から直面しているはずだった。
「時間がありません! 急いで!!」
「わかってるって! こいつらしつこいんだってば!!」
いや、実際に直面している。ただそれを、民間人は知らないだけ。人の寄り付かない廃墟のようなビルの中で、少女たちは銃を手に駆け回っていた。
サプレッサーで音を消された弾丸が絶えず通路を飛び交う。銃弾は時にスレスレで宙を切り、時に頑丈な扉を盾がわりに防がれる。
「ここで決着をつけたいですが⋯欲張ると時間が⋯!!」
「はいはい! 7分! 7分だけ相手をしてあげる!! それなら良いでしょ!」
東側、膠着した状況に痺れを切らした一方が宣言。二人組のうち片方が、無防備にも姿をさらした。
「状況は一緒みたいだけど、どっちが『相手してもらう側』か試してみる?」
反対、西側でも同様、一人の少女が仁王立ちしていた。
「私、短期戦なら自信あんのよね~⋯同じ自分相手でも、負けることは無いかなって。」
もちろん怯みはしない。時間を宣言した方も銃を構え、歩み寄り始めた。
「じゃあおあいにく様、短期戦が得意のは私も一緒!」
仁王立ちしていた少女も、全く同じ構えで迎え撃つ。半身になり、銃身を斜めに傾けて身体に寄せる二人の構えは、近接格闘を前提としたもの。それは相手に『殴り込み、制圧する』という決意表明にも近かった。
二人の少女の名は、錦木千束。彼岸花の色の学生服は、治安維持組織『DA』に所属するエージェント『リコリス』であることの証明だ。
その銃口の標的は、テロリストや武器商人、一般の犯罪者に限られない。勢力を争う同名の敵組織ーーもう一つの『DA』もまた、標的の一つであった。
風を切るような音が断続的に走る。消音された銃声だ。二人の千束が互いに弾丸を放ち、それを交わすしているのだ。時に首の動きで、時に軸移動で。
「避けづらっ!」
「うわ危なっ!」
「「そっちまで変な弾使わないでよ!?」」
ただでさえ狙いを細かくはつけない千束だが、更に彼女らが使っているのは命中率の極端に低い非殺傷弾。銃口と指先、視線をどれだけ観察し合っても、完全には弾道を読み切れない。弾速がそれほどでもなく、軌道が空気抵抗で歪みやすいのだ。
ーー寄るしかないかぁ~~⋯⋯ーー
距離が近づけば弾道のブレも気にならなくなるし、狙いやすいし避けやすい。二人の足がわずかに速まった。
一歩、また一歩と、互いに距離を詰めていく。互いが牽制で銃弾を放ち、降り注ぐ非殺傷弾の雨の中、涼しい顔で歩き続ける。
非殺傷弾とはいえ、当たれば激痛と共に戦闘不能になる凶器だ。その暴力を互いに振りかざすばかりか、接近戦に持ち込もうと近づき合うプレッシャーは半端ではない。
旧電波塔を制圧した死神が二人。お互いを刈り取らんと、冷徹に、冷酷に、詰め寄り合う。一歩が、一発が、処刑宣告であった。
そんな千束と千束の追い詰め合いが繰り広げられている裏、その相棒たちは、それぞれ階段を駆け上がっていた。
ーー建物の構造的に、敵のわたしの動きは決まって来る⋯!
ーー絶対に逃がさない⋯わたしの千束の邪魔はさせない⋯!
もうひとりの自分を止めるのは、自分の役目。少女達の決意は固い。『わたしの千束』という言葉は単に『敵の千束』との区別であろうが、ともすれば特別な感情の現れであろうか。
西側、一方は2階分上がり、床の穴から下階を狙った。
その銃口の先、西陽で逆光の上階を狙い返して来ているのは、やはりもう一人の自分の銃。
「「絶対そう動くと思いました⋯!」」
双方が計画通りの笑みを浮かべ、発射と同時に回避。放ったのは実弾だ。この距離でも真っ直ぐに飛び、交差した銃弾は、二人の少女の残像を撃ち抜いた。一瞬回避が遅ければ、互いの額を撃ち抜いていた軌道だった。
「避けてばかりだと時間切れになりますよ?」
「こっちのセリフです偽物!」
それぞれ建物の柱の後ろに隠れ、挑発を交わしながらも弾を込める。二人の少女の名は、井上たきな。圧倒的な精度の射撃を誇るリコリスであり、現在下階で互いに距離を詰めている千束と千束それぞれの相棒である。
ーー相変わらず良いカラダ⋯❤︎ ⋯⋯敵なのが惜しいですね⋯ーー
そして敵同士でありながら、内心お互いの身体に魅了されている同士でもある。千束も同様だ。
再装填して、再び飛び出るたきな達。下階のたきなは学生鞄を手に駆け出し、上階からの弾を鞄で受けつつ撃ち返す。上階のたきなは柱の影に隠れることを強いられ、もう一人の自分にポジショニングを許してしまう。
「時間稼ぎが上手いですね⋯」
ただ移動させただけでは無い。それは自分を不利にさせる一手だ。たきなは歯軋りしていた。
「一発くらい当たってくださいよ⋯」
けれど移動を終えたたきなも同様。同じ自分という誰より負けたくない相手に時間稼ぎされる悔しさは、尋常ではなかった。
強気に飛び出たのは、同時だ。上階のたきなはスライディングで面積を減らしつつ飛び出し、下階の方は瓦礫から半身だけを出して、銃口を向け合った。
ーー盾が邪魔っ!!ーー
急所を避けて無力化したいのに、学生鞄がそれを許さない。双方、まず互いの鞄に狙いをつけた。
実弾が連射され、お互いの盾を容赦なく叩きつける。吹き飛ばすというより、破壊しようとするような気迫の撃ち合いだ。身体を貫通されるわけでは無いとはいえ、銃弾の衝撃は鞄越しでも腕に来る。それはお互いの殺意を受け止め合っているのと同じだった。
「防戦一方ですね!? 同じ自分に惨めじゃないですか!?」
「自虐ですか!? 随分余裕みたいですね! 上を取られておいて!!」
言い合っているうち、両者同時に弾が尽きた。二人の鞄が手から弾き出されるのと同時だった。
ーー我慢比べですね⋯焦って相手の方に乗り込めば負け⋯⋯
ーーしかし時間には限りがある⋯チキンレースと言った方が正しいか⋯⋯
どう乗り込むか、どう誘い出すか。いつまでも階を隔てた撃ち合いをしていては、7分などすぐに経ってしまう。たきな達の戦いは、立ち回りの比べ合いだ。
さて、この間に千束と千束は、近接戦闘の距離に近づいていた。
「もう、『間合い』ですけど~⋯?」
「どっちがかな~⋯?」
あと1ミリでも近づけばどちらがどちらを組み伏せるかの勝負になる。張り詰める呼吸。鋭く互いを観察する視線が輝く。
ーーああ~エロ♡ エッロ♡ なにこのカラダ⋯近接戦闘集中できないんですけど♡♡ーー
千束はたきなほど自律的ではない。更にお互いの身体を観察し合わなければならない戦闘スタイル上、脳内はほぼほぼ真っピンクだった。
ーーってダメダメ! 絶対負けない⋯本物の意地を見せつけてやるからっ!!ーー
けれどその感情が、仕事に支障をきたすことはない。動き出したのは、同時だった。
一発。
互いに放った銃弾を首を逸らして回避、その動きのままハイキック。
振り抜かれた右脚を互いに腕で受け止め、膠着したのも一瞬。
「捕まえた!」「甘いっ!」
一方の千束が銃を向けた。寸前で手で払われ、銃弾は虚空を撃ち抜いて血糊を爆ぜさせる。
「この距離で避けるぅ~⋯⋯!?」
同じ自分とはいえ、動揺を隠せないようだ。とはいえ驚いている場合ではない。千束の銃を払った手にもまた、銃弾の装填された銃が握られていた。その銃口が器用に傾き、千束の額に狙いを定める。
「ッ⋯!!」
千束は目を見開き、仰け反った。そのまま派手に背後に跳ね、宙返りしかけたのを手で支えて一回転。
「それで当たらない!? ええ~!?」
バク転の要領で凶弾を避けたのだ。あの距離で放たれた銃弾を避けられることは、同じ千束にとってもなかなかのショック。
けれどその一瞬で両者再装填、お互いに再び銃口を突きつけていた。
マシンガンを彷彿とさせる風切り音。二人のファーストの連射した銃弾が交差し、それぞれ赤い制服を撃ち抜かんと宙を飛ぶ。
千束たちはその弾の雨をーー
ーーやはり涼しい顔で避け切った。一方は無理な回避で上下が逆転した姿勢のまま、一方はその超人的身のこなしを見せつけられ驚いたまま。千束が弾を避けているというより、弾が千束を避けているようだった。
「「この距離で当たるわけないでしょ!」」
挑発し合ったのは同時。回避行動から体勢を立て直せていない千束を、もう一人の千束が駆け寄るが⋯
「捕まえた!」
「私がね!」
千束は飛び上がって回避、壁を起点に飛びかかった。三角飛びだ。
当然、もう一人の千束も流石の瞬発力で振り向き、対応する。交差した手が互いの腕を掴んだのは、やはり同時だ。
「今すぐ降伏してくれたら、非殺傷弾コレぶち込みまくって気絶させたりする必要無いんだけどなぁ~?」
「こっちのセリフです~。もう捕まってるんだから大人しく降伏しなさいよ~痛いのヤでしょ~?」
掴み合っている中でも器用に銃口がゆっくりと傾き、互いの胸を狙って行く。予測される弾道が、千束の身体を射線に捉えようとする。
「「ッ⋯⋯!!」」
ついに自分が軌道に入りかけた、その瞬間。二人は一瞬で反応し、互いに互いの懐に入った。
「抵抗すんなってぇー⋯!」
「こっちのセリフぅー⋯!」
超接近戦だ。背負い投げされかけた千束が一回転して受け流し、反撃。腕を掴み返して拘束しようとするも、肘であごを打ち上げられた。
「あだっ⋯」
それでも腕は離さない。仰け反りながらでも銃が向けられるのを本能で察知し、膝で蹴り上げて天井を撃たせた。
仰け反ったまま倒れ込む動きに、掴んだ腕を巻き込む。そのまま投げ倒そうとすれば、こちらの千束も空中で翻って体勢を立て直して来た。
肘で打たれたばかりか、反撃で投げ倒そうとしてもかわされた。千束の焦ったさは尋常では無かった。
「いい加減にしてよっ!!」
「ああっ⋯!?」
苛立ちと共に放たれたのは、脚。ハイキックが肩を打った。食らった千束は吹き飛ぶように倒れ込み、追撃に銃口が向けられていることに気づく。
数発の銃声。血糊が床で爆ぜる。転がって回避したのだ。
回避した勢いで起き上がると、こちらの千束も意趣返しのように脚で返した。
「お返しっ!」「効かな⋯」
流石に見られていたか、腕で受けられる。けれどその蹴りは牽制だ。一瞬で脚を引き、今度は胴体を蹴り付けた。
「うぐぅうっ⋯⋯!!」
くの字に曲がり、呻く千束。突きつけられた脚に内臓を狙い撃たれてしまったらしい。
「これでっ⋯お返し!!」
「あぁああっ!!」
無防備な一瞬に振りかぶり、ついに全力の回し蹴りで吹き飛ばし返した。
「ふーっ⋯完璧!」
仕返し完了した千束は満足げ。同じ自分に一方的に蹴られたとあっては気が済まなかったのだ。
「やるじゃん⋯」
起き上がった千束は、逆に有利不利を逆転されて不満げだ。火花を散らす二人の視線。お互いを制圧する、屈服させると決めた千束と千束の決着は近そうだ。
同時刻、その上の階では、たきなとたきなも膠着状態だった。
「いい加減出て来たらどうです!? お互い弾を消耗するだけでしょう!?」
「投降するべきはそちらです!! わたしは千束とは違う! 射殺もいといませんよ?」
お互いに言いながら、建物の残骸や柱を挟みつつ練り歩く。計算されたルートゆえ、必ず間にはなんらかの遮蔽物が挟まり続け、お互いが無防備になる瞬間はない。
ーー銃弾も無限じゃない⋯千束も許さない⋯絶対に接近戦に持ち込んでくる。
ーーこの距離じゃ殺し合いにしかならない⋯千束の本意ではないでしょう。
お互いの行動原理も、思考回路も把握しているたきな同士。その歩みは、他のどんな敵を相手にするときより迷いがなかった。
ーー降りるなら⋯
ーー迎え打つなら⋯
ーーここっ!!ーー
下階のたきなが遮蔽から飛び出し、上階のたきなが飛び降りる。お互いに突きつけられている銃口が、眩い火花を爆ぜさせた。
交差した銃弾は完璧に互いの銃を弾き、肩をかすめつつ虚空に消える。拳銃を拾うには隙を作らないと。着地したたきなも、迎え打つたきなも、左手にまた別の銃を握り、向け合った。
レーザーサイトが薙いだ場所を、鋼のワイヤーが取り付き縛る⋯⋯はずだが、どちらのたきなも許さなかった。
「「させませんよ。」」
再び空中を舞う二丁の銃。たきな達は引き金を引くより一瞬早く、お互いのワイヤーガンを蹴り飛ばしていた。
たきなには⋯いや、他のどんなリコリスにも、千束ほどの洞察力や反応速度はない。しかしこの距離で互いに丸腰となれば、やるしかない。そのための訓練は受けている。
「シュッ⋯!」
「ふ⋯!」
リコリスの拳は銃弾に勝るとも劣らない。たきなが突きつけた拳は腕でかわされ、お互いに膝蹴りが正面衝突。
「「いっ⋯」」
怯んでいる暇はない。拳を受け流したたきなが、追撃に脚を振りかぶっていた。
「降伏してくださいっ!」
頭を狙う軌道のハイキックだった。たきなも咄嗟にかがんで回避、突き上げた脚がもう一人のたきなのあごを強打する。
「っ⋯!? ひっ⋯ぐっ⋯!!?」
怯んでいるうちに、かがんでいたたきなが起き上がる。追撃が来るとわかっていても、脳が揺れて動けなかった。
脇腹、土手っ腹、一瞬溜めて再び脇腹。光速で閃いた脚に、回避も反撃もままならず打ちのめされた。
「あ゛ぁああっ!!!」
とはいえたきなも地面に叩きつけられながら、タダではやられない。その刺激でついに意識もはっきりしたらしく、脇腹に刺さった脚を掴んでいた。
「くっ⋯離しなさ⋯」
「わたしの番ですッ!!」
振り抜いた脚が、今度はこちらのたきなのあごを強打する。
「う゛ぅうっ⋯!! あ゛ッ⋯!?」
蹴り倒したと思った相手からの反撃。たきなが無防備に怯んでしまうのは仕方なかった。完全に立場が逆転、全く同じように蹴り返される。
脇腹、鳩尾、そして脇腹。拳銃を連射するような、高速の連撃だ。
「う゛わあぁっ!!!」
もう一人の自分の脚は、どちらのたきなにとっても痛かった。たきなは吹き飛ばされるように倒れ込んだ。
追撃を許すわけにはいかない。地面を滑った後、一回転して地面に手をつくたきな。歩み寄っていたもう一人の自分を睨むと、同じ鋭さで睨まれているのがわかった。
「千束の補助に行かないといけないので、さっさと力尽きてください。」
「千束の邪魔をする気ですか⋯ますます貴女を制圧しないといけなくなりました。」
千束と千束が戦っている今、自分の相棒を助けに行く=相手の相棒を制圧する、ということになる。どちらの少女も、そんなことは決して許せなかった。
「「貴女を放置していると、千束に何をされるかわかりませんね。消えてください⋯!」」
手をついていたたきなが飛び上がり、歩み寄っていたたきなが迎え撃つ。
対空のハイキックが脇腹に、鷹のような飛び上がり蹴りが頬に刺さった。落下したたきながすぐ鳩尾を蹴り付ければ、同時に二発目のハイキックに頭を強打される。
「い゛っ⋯だ⋯⋯っ!!」
「ぐっ⋯このぉ⋯⋯!!」
もはや意地の張り合いだ。お互いの胸ぐらを掴むと、交互に腹に膝を叩き込み合った。
「堕ちてっ!」「あ゛ぁっ!!」
一方のたきなが一発。
「貴女がっ!」「う゛ぅッ!!」
もう一方が同じく一発。
「倒れなさいっ!」「う゛あ゛あぁッ!!」
反撃。
「だから貴女がっ!」「い゛や゛ッあ゛ぁ!!」
また反撃。
「「フーッ⋯フーーッ⋯⋯!!」」
まるで狂犬と狂犬の噛みつき合いだ。当然、我慢の限界が来た二人、大胆な一手に乗り出すことになる。
「「あ゛ああぁあっ!!!」
それは気合いの掛け声であり、相討ち覚悟の雄叫びでもあった。わずかに飛び上がり、体重を乗せて振り抜いた脚が、互いの頬を再び強打した。
どちらも呻き声を上げながらひっくり返り、相打ちに。
この時、千束達の方もまた、決着を迎えようとしている。
「この状況でどうする気ぃ~⋯⋯? もう逃げようも反撃しようもないよね?」
「あんたがね⋯! ほらほら、降参しないと大変だぞ~?」
千束達は組み伏せ合い、お互い横になってしまっていたようだ。お互いの下半身を捉え、女性エージェントにとって最も脆弱な急所に拳銃を突きつけ合っていた。
たきな達も同様。視線の先にあったのは、最初に蹴り飛ばしたワイヤーガン。
「終わりですっ!」「捕まえました!」
振り向き、突きつけ合えば、両者状況を察して連射。何度も何度もワイヤーが風を切り、服と肌を縛る音が交互に聞こえた。瞬く間に二人は剛線に絡め取られていた。
「うぅ~⋯くっ⋯この⋯⋯」
「よくもっ⋯くぅ⋯うぅ⋯」
お互いをぐるぐる巻きにしてしまっては、唸りながら身悶えするくらいしかできない。たきな達は芋虫同然だった。
「「3! 2! 1!! ⋯⋯はい終わり。残念でしたー」」
千束達の脅し合いも最終盤面。殊勝にカウントダウンしたのは二人ともで、降伏勧告に応えるはずもなく引き金に指をかけたのも同時だった。
「「う゛わあぁああッ!!? あ゛ぁッ!!? い゛やぁああッ!!??」」
胴体で受けても戦闘不能になる、非殺傷弾の連打。それを急所に撃ち込み合ったとなれば、リコリス・千束らしからぬ絶叫が二重に上がるのは当然だった。叫び声さえ完璧に一致する様子に、相手がもう一人の自分であることを実感させられる。
ばたっ。どさり。少女の身体が力を失う音がした。千束と千束、たきなとたきなは、奇しくも二組とも、揃って意識を失ったのだ。
千束は今の撃ち合いの激痛によるショックだろうが、たきなは蹴り合いが響いたのだろうか。
相討ちになった少女達は知らない。これから何日にもわたって、もう一人の自分とあらゆるものを比べ合うことを。
2ページ
「ん⋯」
「ありゃ⋯」
目が覚めた時、千束は自分が柔らかなベッドに寝ていることに気づいた。
「「あーっ! おまえー!!」」
そしてすぐそばで密着して寝ていた、もう一人の自分にも気づいた。飛び起きた二人はお互いを指差し距離を取るが、すぐに周囲の状況に気づく。
「⋯あれ⋯どこここ⋯?」
「いや⋯私も知らないし⋯」
壁際のふかふかのベッド、千束の制服をイメージしたような女の子らしい壁紙、カーペット。枕元には大きな勉強机があり、椅子が二つ並んでいる。窓⋯に見えるものは、おそらく映像だろう。しかし晴れやかな気分になる青空だった。
「知らないわけないでしょ!? あんたと撃ち合って気絶して目が覚めたらここだったんですけどー!?」
「こっちのセリフじゃい! わかったあんたが私を拉致したんだ! 絶対そうじゃんやりそうじゃん!」
「やりそうなのはそっちでしょー!?」
ギャーギャーと言い合いながらも、なんとなく気づいた。
「ほんとに何も知らないってこと⋯」
「いや⋯そっちこそ⋯」
自分も、もう一人の自分も、拉致された被害者。リコリスにとって、こうした状況はなんら想定外のものではない。まして敵陣で気絶していたとなれば。
「「⋯⋯テロリストに漁夫られた。」」
二人が辿り着いた結論は同じだ。当然、この後の行動も決まって来るが、その前に確かめたいことがある。
「銃取られてんだよねー⋯そっちも?」
「うん。ない。」
「⋯⋯ほんとに?」
「そこ疑う!? ⋯ってーか⋯そういうあんたも怪しいな~⋯?」
「いや私は嘘ついてないし!?つく意味ないし!?」」
それはお互いの武装だ。千束たちはお互いに疑い合い騒いだ後、互いに指差して叫んだ。
「「確認させなさい!!」」
微妙に距離を取っていた状態から、一瞬でお互いに手が届く距離に。二人がまず手を伸ばしたのは、お互いの腰だ。
まるで抱き合うようにお互いの身体に触れ合う二人。ベルトやポーチには何も入っていない。次はポケット。上から撫でても、手を突っ込んでも、やはり何も入っていない。
「ん⋯」「あ⋯」
ーーなんか、変な気持ちになって来るかも⋯♡ーー
腹に触れ、胸に触れながら、お互いにモジモジと太ももを忙しく動かす千里達。お互いの指がくすぐったいだけではないようだ。
ーーもともとこいつ⋯良いカラダだなって思ってたんだよね⋯
ーー触って触られて⋯ちょっとまずいかも⋯
二人とも腰が引けて、わずかに前傾姿勢になる。その無意識の仕草を見逃さない千束たちではなかった。
「「あっ!なんか隠したな!」」
言い合ったのは同時。自分にも同じセリフを返されて忌々しそうに睨み合った直後、二人の手は再びお互いの下半身に触れ始めた。
「あっ♡ ちょっとっどこ触ってんの⋯!」
「んあっ♡ あんたこそぉ⋯!」
次に手を伸ばしたのは、尻。スカートの下から手を入れ、パンツ以外の障害物のない無防備な尻の感触は、二人を悶えさせるには十分だった。
「「んん~⋯♡♡ んんんぅ~~⋯⋯♡♡♡」」
手の痺れそうな柔らかくて幸せな感触。尻をいやらしく揉みしだかれる刺激。そのどちらもが子宮に来て、下着を汚し尽くしてしまう。細い脚がガクガクと内股で痙攣していた。
「次はこっち⋯♡」
「あっ私も⋯♡」
競うように手を下ろし、掴み合ったのは太もも。ソックスは膝下までで、スカートの裾から膝にかけては無防備に曝け出されている。当然、そんな場所に武器など隠しているはずもない。
「「こらっ生脚シコシコするな♡ なんも隠してないから♡♡」」
言っても無駄なのはわかっているし、自分も言われたってやめる気はない。お互いの太ももを触りたいだけなのだから。
「「ん~~~ッ♡♡♡」」
ーーシコシコ気持ちいいかもぉっ♡♡ 太もも触んのも触られんのもぉっ♡♡♡ーー
お互いとろけた顔で上を向き、ビクビクビクッ♡♡♡ 肩も腰も痙攣していた。
「そうだ、最後に⋯」「あ、あとアレ!」
ひとしきり太ももを味わい合った後は、互いを離して最後の仕上げ。
ニヤリ。お互いに同じことを思っているのがわかって、なんだかおかしくて微笑む二人だった。
「「ジャンプしてみろや! ⋯ぷっ!」」
吹き出しながらも両者見つめ合い、互いを観察し合いながら、飛び跳ねた。
「ほらっ何も隠してないでしょ? ほら!」
「私も隠してないから!ちゃんと見てよ?」
ぴょんぴょん。無邪気に飛び跳ねるのに合わせて、二人のスカートが、胸が、上下に揺れて目を奪う。
ーーああ~おっぱいバインバインなってる~♡♡♡ パンツチラチラ見えるのエロぉ~♡♡♡ーー
二人の狙いはこれだったらしい。お互いを飛び跳ねさせ、その眼福な光景を見届けるために『ジャンプしてみろ』なんて言ったのだ。おふざけも半分だったのだろうが、もう半分は確実に性欲であった。
「「⋯ふぅ。」」
「満足した~。やっぱ銃とか武器はお互い取られてるっぽい。」
「だねぇ~⋯どうしよっか?」
3ページ
「ん⋯しまった⋯気絶して⋯」
「はっ⋯ここは⋯わたしは⋯」
千束達が起きたのとおよそ同じ頃。たきなとたきなもまた、見知らぬ部屋で目を覚ましていた。
壁際のベッド、すぐそばの勉強机。ベッドと反対側には窓に見える映像が映され、その偽物の窓に向かって左手には廊下に続くドア、右手には何もない壁。たきな達には知る由もないが、千束らが捕えられているのと同じ構造の部屋だった。なお、壁紙やカーペットはたきなの制服に合わせて大人びた青になっている。
「「っ⋯!! あなたっまた⋯!!」」
お互いに気付き、飛び起きるのも千束とそっくり。ただし背中に手を入れ、ポケットを探り、銃が無いことに気づくのは早かった。
「銃が⋯あなたが取ったんですか!?」
「こちらのセリフです! 銃を返して!」
張り詰める空気に、殴り合いの構えを取るたきな。その構えで気づいた。
「⋯⋯その仕草でわかりました。」
「丸腰なのはお互い様みたいですね。」
たきななら、躊躇なく銃を向けた。あるならマシンガンを。しかし言い合ってすぐ、何かに気づいたように目を丸めると、残念そうに口を尖らせた。
ーーボディチェックと称して触るチャンスだったのに⋯!ーー
けれどそれを口にはしない。もう一人の自分は、DAに所属するリコリスにとって敵でしかない。そんな感情は邪魔だ、とたきなは口酸っぱく千束にも言っていた。
そもそもたきな自身、その感情を強く自覚しているわけではない。普段なら、『そもそもなぜわたしは触りたがっているのでしょうか』などと自問自答していた。
「⋯まず、この部屋のことを調べます。脱出口があるかも知れません。」
「ええ。あ、私から離れないでくださいね。」
「当たり前です。そちらこそ、わたしに目を離すほど信用されているとでも?」
「「そぶりを見せたら制圧しますからね。」」
言い合うのは、あえて険悪にして余計な感情を抱かないためが半分。もう半分は、このため。
ーーこれでもう一人のわたしを監視し放題⋯そのいやらしい身体を、じゃなくて怪しい素振りをガン見して目離してあげませんからね❤︎ーー
二人はお互いを睨むように見つめ合いながら、廊下に出た。電気をつければ、3つの扉が目に入る。左手に一つ、廊下を歩いた先に一つ、右手に一つ。
まず左手はー
「トイレですね。」
頷き合い、ドアを閉じるたきな達。続いて回れ右をして、廊下の奥。
「開かない⋯」
「玄関のようです。」
ピッキングしようとかがむが、鍵はかかっていない。というより、当然だが、内側からは自由に開け閉めできる。鍵ではなく別の方法で開けられなくされているのだ。
「ダメです。」「はぁ。」
続いて玄関に向かって右側、今のたきな達の左手にある扉。開ければ、広々とした空間に出た。
「リビングですね。」
「キッチンがあります。冷蔵庫を見てみますね。」
一方のたきなが冷蔵庫へ、もう一方は机にあるテレビのリモコンへ。
「食材がありますよ。何日分でしょうか⋯?」
「テレビ、つきました。あ、わたしと千束捜索されてますね。」
「え!? ⋯あ、暗号ですか⋯放送されているのかと⋯」
大っぴらに『リコリスの錦木千束・井上たきな捜索中』などと出ている訳ではない。DAの人間にしかわからない暗号文で、二人の失踪が告知されていた。
「食事にしますか? わたしはまだお腹が空いていないんですが。」
「奇遇ですね。わたしもです。⋯⋯寝室に戻りましょうか。」
冷静なリコリス達は、テレビを消して踵を返した。自分達の囚われている場所に何があるのかを一通り把握して、疲労が再び戻って来たのだ。
並んで廊下を戻り、ベッドに沈むたきなとたきな。一つしかないベッドに少女二人、それも自分自身と寝転がれば、自然と密着することになる。いやとは思わなかった。
ーー細いようで肉のある身体⋯❤︎ 同じわたしとは思えない色香ですね⋯❤︎❤︎ーー
疲れもあり、二人きりなのもあり、更に添い寝となれば、理性がぐずぐずに溶けてしまう。たきな達は、お互いの身体に興奮していた。
「「ふぅぅ~⋯⋯っ」」
ーー深い寝息⋯いやらしいですね⋯❤︎ーー
発情のため息である。
モゾモゾ、二人の少女が寝返りをうつ。引き締まった脚が触れ合い、柔らかな肌が擦れ合う。防弾素材の制服は動きやすいと同時に、触れ合う肌の感触を一切妨げずたきな達に伝えてしまう。
「んっ⋯ふっ⋯❤︎」
「んぁ⋯はぁ⋯❤︎」
ーーしまった❤︎ 声が出てしまう⋯❤︎❤︎ーー
こんな粘着質な肌の擦り付け合いをして、今更声どうこうを言うのは筋違いだ。
「はあっ⋯❤︎ あぁっ⋯❤︎❤︎」
太もも同士を擦り合わせ、悩ましげな声を出してしまうたきな。
「んあっ⋯❤︎ はぁん⋯❤︎❤︎」
触れ合わせているうち、汗ばんだ肌がますます淫靡な質感に。
ーーもう一人のわたし、寝相悪過ぎです⋯そう、これは寝相が悪いだけ⋯決して寝ているもう一人の自分に身体を擦り付けて快感を得ているわけでは⋯っーー
お互いに相手は寝ているものと思い込んでいるようだ。自分も『寝相が悪いだけ』という言い訳を思いついてしまい、ますます二人の動きは積極的で大胆なものへと変わる。
「「んっんっんっんっ❤︎❤︎ あっあっあっはあっ❤︎❤︎❤︎」」
ーー激しっ⋯!?❤︎ だめっ⋯❤︎❤︎ーー
太ももと太ももを互い違いに重ね、絡ませ、リズミカルに上下させるたきな達。元々スベスベの脚同士が汗で滑って、身体の痙攣も声も抑えられない。
「「んんんぅう~~❤︎❤︎❤︎」」
ーーお願いですっ起きないでくださいっ⋯❤︎❤︎ーー
分身が自分と揃って喘ぐのを見てヒヤヒヤするも、むしろ脚で脚を扱き合う動きは加速するばかり。バレるかもしれない、というスリルに、二人して興奮しているのだ。
「はぁっはあっ❤︎ あぁっ⋯❤︎❤︎❤︎」
胸を弾ませ、やわく仰け反ってたきなの肌に喘ぐたきな。
「んっふあぁっ❤︎ あぁっ⋯❤︎❤︎❤︎」
同じく弾力豊かに飛び跳ねて、たきなの身体にたきなも悶える。
ーー寝ながら喘ぐわたし可愛過ぎます⋯もっと触れたい⋯ってダメダメっ!わたしは偽物のリコリスに懐柔されたりなんてしませんから⋯!!ーー
もう一人の自分によからぬ目を向けているのはずっと前からだが、たきなはその感情に蓋をしていた。たきなほど生真面目にではないが、千束もだ。
その理性の蓋が、今や完全に外れかかっていた。
ーーだけどやっぱり⋯もう少しだけ⋯❤︎❤︎ーー
制服をはだけさせ、胸を露わにするたきな達。するする、官能的な音と共に、暗闇の中で二人の美乳が露わになる。
ーーわたしの体温で暑いのでしょうか⋯好都合ですね⋯❤︎ーー
明らかに起きている上で、劣情に身を任せた行動だ。しかしたきな達は疑問にも思わなかった。自分にとっても好都合なのに疑う理由もなかった。
お互いの背中に手を回し、ぎゅっと捕まえて身を寄せ合うたきなとたきな。
ーーあぁっもう一人のわたしも寝相でわたしに絡みついてくる⋯❤︎❤︎ このままでは胸と胸が⋯❤︎❤︎ーー
動きやすい薄手の下着越し、二人のたきなの最も柔らかい肉と肉が、互いに正面からぶつかり合った。
「「はうぅっ❤︎❤︎ あぁっあんっ❤︎❤︎❤︎」」
ビクンビクンッ❤︎❤︎❤︎ 下着越し、柔らかな胸と胸が触れ合ってしまっただけで達してしまった。商売敵としての長年の戦いで蓄積された感情が、ここぞとばかりに爆発してしまったのだ。
ーー脚も胸もなんて無理っ⋯❤︎❤︎ 我慢できませんっ⋯❤︎❤︎❤︎ーー
ふにふにと幸せな感触のする部位同士を、貪欲に味わい合う快感。それは真面目なたきなが、互いの身体に溺れるには充分だった。
「はあっはあっあぁっんぁあ❤︎❤︎❤︎」
胸と脚だけでは飽き足らず、一方が下腹部を押し付けるように動けば、
「はあっんぅっはぁっあぁあ❤︎❤︎❤︎」
もう一方も同じく下腹部を押し付け返し、互いに細い腹同士を擦り付け合うように。
ーーんんっ❤︎❤︎ 子宮キュンキュンしてるのバレてしまいますっ❤︎❤︎❤︎ 子宮でわたしのキュンキュン感じられてしまいますぅっ❤︎❤︎❤︎ーー
お互いの熱と脈動を感じて、心底幸せそうなたきな達だった。
「ふああぁ❤︎❤︎❤︎」「あぁああっ❤︎❤︎❤︎」
一方のたきなの胸が、もう一方の胸に乗り、押しつぶす。
「んあぁあ❤︎❤︎❤︎」「あひゃあぁ❤︎❤︎❤︎」
すぐに上下が逆転、下になったたきなの胸が押しつぶし返される。
「「あっ❤︎❤︎ あぁっ❤︎❤︎ んっんうぅ⋯❤︎❤︎❤︎」」
抑えようとしても、身体は熱を帯びて発情を増すばかり。お互いに身体で身体を扱き合うような擦り付け合いだった。
「「んっんっんっんっーーー❤︎❤︎❤︎❤︎」」
ーーわたしの身体あついっ気持ちいいっ❤︎❤︎ イクイクイクイク⋯⋯❤︎❤︎❤︎❤︎ーー
激しくなっていく擦り付け合い。太ももで太ももを扱き、乳で乳を揉みしだき、へそでキスするような触れ合いが、加速し激しさのピークに至ろうとしているのがわかる。
「「あぁあっ❤︎ あっあっ❤︎❤︎ あ゛ぁああーーーーっ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
二人は同時に達した。同じたきな同士、当然だった。全く同じ仕草で仰け反り、痙攣し、お互いの身体に喘ぐ姿は、まさに鏡に映したよう。
ーーうぅ⋯ついにイってしまったぁ⋯⋯❤︎❤︎
ーーもう一人の自分の身体で⋯屈辱です⋯❤︎❤︎
心の中で悪態をつきながらも、表情は赤らみ恍惚として満足げ。
ーー少し漏らしてしまいましたね⋯ーー
愛液だろうか、潮だろうか。下着は濡れていた。
4ページ
「「あっ!やば!今何時!?」」
朝からその部屋は騒がしかった。千束と千束は二人して飛び起き、お互いに目を見合わせた後、勉強机の置き時計を二人で覗き込んだ。
「「⋯⋯って、私達監禁されてんじゃん。」」
時間を気にする必要はない立場だったのを思い出したのは、その後だ。二人はそっくりな仕草で伸びをして、二人揃ってベッドを離れた。
「ふわぁ~⋯ねむ~⋯」
「私もぉ~⋯」
二人が向かったのは廊下だ。左手の扉、トイレに手を伸ばしたのが、二人とも同時。
「「ひゃっ⋯」」
突然指先に触れる柔らかな感触に、両者飛び跳ねた。スベスベで細くて、心臓の跳ねてしまうような感触だった。⋯⋯千束の心臓は跳ねないが。
「ちょ⋯ちょっと! そっちもトイレ?」
「あんたこそ⋯ってか当たり前でしょ一緒に起きたんだから!」
初日は立ち位置とか流れでなんとなく決まっていた順番が、一緒に寝て一緒に起きたことでリセットされてしまっていた。
「あそっか。じゃ、すぐ出るから⋯」
「待って待って待って! お願い! 今だけは先にさせて!!」
「いやいや無理無理! すぐ出るからさぁ~!!」
寝起きなのも悪かった。千束達は朝から揉めていた。
「「そうだじゃんけん!じゃんけんで決めよ!!」
言い出したのは同時。こういう時、一番公正な結果が出るのがじゃんけんなのだ。千束にとってはとくに。
「「最初はグー! じゃんけん⋯」」
青ざめていたのが嘘のような、自信に満ち溢れた顔が二つ。少女達は勝利を確信した表情で、それぞれに手を出した。
「「ぽん! ⋯え?」」
お互いにパー。慣れた様子で互いに手を振りなおし⋯
「「あいこで⋯しょ! しょ! ⋯しょっ!!」」
チョキ、グー、チョキ。連続であいこになり続けた。
「「えぇえ~~~っ!? なんでよ!!?」」
確かにじゃんけんは千束の独壇場だ。しかし千束は忘れていた。相手も千束であることを。
「わかった! 目閉じなさいよ! イカサマ!!」
「そっちも閉じてよ!? イカサマそっちだから!!」
イカサマは両方である。お互いの顔を手で覆って、再び手を出し直した。
「「ぽん! ⋯⋯はぁ~!?」」
当然同じ千束、出すのは同じ手だ。
「無理無理無理っ! もう出る! 出るから!!」
「こっちだって出る! なんで負けてくんないの!?」
再びドアノブに手をかけ、二人ともドタドタその場で駆け足しながら喚き始めた。
「「もぉ~!! もういいっ! なりふり構ってらんないんだからっ!!」」
永遠に決着がつかないことを悟った二人は、ついにドアを開けた。華奢で柔軟なリコリスなら狭い個室にも二人で入れたし、一つの便器を二人で使うのも造作も無かった。
下着を一瞬で脱ぎ捨て、それぞれ便器に対して横に、向き合って座る千束と千束。お互いの片足に片足を乗せ、窮屈そうだ。
お互いの恥部が触れそうな距離で向かい合う中、溜め込んでいたものを放出した。
「「うううぅ~~⋯⋯っ」」
屈辱なのか恥なのか、それとも別の感情なのか、顔を真っ赤にしてうなる千束たち。残弾は大量だったらしく、連射はなかなか終わらなかった。
「も⋯もぉ⋯どきなさいよ⋯」
「あんたが邪魔で動けないんですけど~⋯」
終わってようやくため息をつき、お互いに言いながら立ち上がる。お揃いのーーというか必然的に同じものになったーー下着をそれぞれ履いて、二人はトイレを後にした。
ーーあっぶなぁ~⋯⋯もう一人の私のおしっこ見ながら一緒におしっことかエロ過ぎるんだけど~♡♡ 危うくガチ濡れするとこだったわ~♡♡♡ーー
パンツとスカートで隠した気になっているのか、股間はとろとろになっていた。もう一人の自分の一番恥ずかしい部分を間近で見て、身体を抑えられなかったのだ。
それ以降、二人は仲睦まじく密着して過ごすこととなった。行動のリズムが同じなのだから当然だ。
「「朝ごはんパンでいい? ⋯あっ⋯ふふっ。」」
その欲情を隠しつつキッチンに並んで立ったり。
「おお~良い趣味してるねぇ~」
「ふふんっ映画ソムリエの千束さんですから~」
特等席を取り合うように座ってDVDを見たり。
「出かけらんないの暇だなぁ~」
「だよな~私も映画見っぱなしはキツイわ~」
二人して暇を持て余したり。
「あれっ開かなーい! たきな! ここ開かない!」
「私はたきなじゃなーい!!」
「あっごめん癖で」
開けていなかった玄関を確かめようとして、開かずに騒いだり。
そうこうしてるうちに夜が来て、千束達はお風呂に入ることになったのだが⋯
「で、どうせ『先に入りた~い』とか言うんでしょ?」
「な~んで呆れ顔なわけ? お互い様でしょ?」
また揉めた。
「「じゃんけんぽん! ぽん! ぽんっ!!」」
不意打ちでも無駄。じゃんけんが通用しないことはわかっていた。一度あいこになってしまえば、以降もお互いの手を観察して、双方あいこにしかならない。最初に決着がつくならともかく⋯いや、同一人物同士なのだから、最初にあいこにならないわけもない。
「「クァ~ッ恐竜の動体視力ぅ~⋯⋯」」
ぼやきながら天を仰ぐ千束と千束。銃でもじゃんけんでもあいこになり続ける相手など、もう一人の自分以外にいない。特別なライバル感情というか辟易した感じというか、不思議な気持ちを抱いているのはお互いだ。
「じゃ、一緒に入りますか~」
「そうなるよな~」
二人は同時に脱ぎ始めた。制服のボタンを外し、スカートを下ろし、シャツを脱ぎ、ブラを解いて行く。
「「っ⋯⋯♡♡♡」」
ーー綺麗な身体ぁ~♡♡ エロぉ~♡♡ あっ谷間♡ 意外とおっぱいあるなぁ私~っ♡♡♡ーー
魅了されていたのは、二人ともだった。お互いの身体があまりに淫靡で、ついついメスのスイッチが入ってしまう。メスにメスの顔をしてしまう。
ーーあの引き締まっているようで肉厚なヒップぅ~♡♡ 昨日触ったけど凄かったなぁ~♡♡♡
言っている千束も尻を突き出すような姿勢で、もう一人の自分を誘惑していた。対抗意識か、それとも誘っているのか、無意識だった。
ーーくびれがイイなぁ~女性らしさの塊♡♡ 女も堕とすセクシーさってのぉ~?♡♡♡
対する千束も言いながら、くびれをアピールするように伸びをしていた。こちらも決してわざとではない。ただメスモードに入った身体が、本人の意識を無視して勝手にセクシーポーズを取っているだけ。
「「慣れてるねぇ~脱ぐの早~」」
わざとらしく言ったのは、身体をガン見していることを怪しまれないためだ。まるで見せつけ合っているかのように、お互いに下着に手をかけていた。
ーーあ♡ 美脚♡ 太ももエロぉ~脚長ぁ~♡♡ーー
片脚ずつ持ち上げてパンツを脱げば、お互いのその動作にお互いに魅了される。
ーーおっっっ♡♡♡ 前屈みで谷間見せつけられてるっ♡♡♡ 私やっぱおっぱいデけぇなぁ~♡♡♡ーー
とろり⋯♡ 一筋の愛液が垂れ落ちた。前屈みになって谷間を見せつけ合っているのは、二人ともだ。これは無自覚とは信じられないくらい、どちらも露骨なまでの仕草だった。
お互いの胸に釘付けの二人は、互いの視線にも、互いの股間にも気づくことなく、それぞれ服を脱ぎ切って浴室へ向かうのだった。
「やっぱあんたいるとせまい~⋯」
「だ~か~らこっちのセリフ~!」
やや窮屈そうだが、二人で入れないことはなさそう。またまた密着して肩や太ももを押し付け合いながら、千束達はシャワーに手を伸ばした。
「「あっ! こら!」」
またまた揉めた。何度目か千束自身も数えていなかった。
「独り占めしようとしないの~! 君にもかけてやるからさ~」
「ちょ~っとなんでそっちが説教する側~? ほら返しなさーいかけてあげるから~!」
「「もーわかった! スタンドにかけっぱで良いよもう!!」」
結局どちらもシャワーを握りはしないことに。バルブをひねって降ってくるお湯を、二人で密着して浴びて行くが⋯
「もうちょっと寄って~!」「私が浴びれない~!」
やっぱり騒がしい二人だった。これは二人で一本のシャワーからお湯を浴びて窮屈なのもあるが、照れ隠しの意味が強い。二人の顔が真っ赤なのは、暖かいシャワーのせいではないのだ。
ーーもう一人の私の身体⋯やっぱり『イイ』なぁ~⋯⋯♡♡♡ーー
頭ではわかっていても、つい嫉妬してしまうような、魅了されてしまうような、美しく淫靡な身体。少女らしい華奢さに見えて、エージェントらしい引き締まり、女らしい肉付きとくねりを併せ持っている。
「で、ボディーソープだけど~」
「やっぱり二人で入ったからには、するでしょ!洗いっこ!!」
珠のような肌がしっかり水を浴びたのを確かめ、シャワーを止めて、それぞれボディーソープを手に馴染ませる。考えていることは同じだった。
「ふわふわの泡で~⋯隅々まで綺麗にしてあげますねぇ~⋯?♡♡♡」
「逆♡ 千束さんが全身くまなく洗ってあげますからねぇ~⋯?♡♡♡」
お調子者の女子二人、というよりお互いに濡れるJK二人。声は性欲で濡れていた。二人は本来敵同士の立場のはずなのに、お風呂という口実を得るや否や、『触れたい』という欲望を抑える術を失ったのだ。
「「あっ⋯♡ ふ⋯んっ⋯♡♡」」
寄り添い、互いの脇腹から背中に手を回す二人。細い背筋をなぞり、泡の滑りを存分に活かして互いの肌を味わい合えば、指先の感触でも、触られる肌の感触でも声が漏れてしまう。
「「んん~~⋯⋯♡♡♡」」
脇腹から脇に、ゆっくり上がって行く。蒸れる脇に指を出し入れすると、その柔らかさで指が溶けてしまいそうだ。
「「んっ⋯あっ⋯♡ あっ♡♡」」
くすぐったかったのか、声が出てしまった。ついつい溢れてしまったらしい互いの声に、二人の指が止まる。
「な~んか、えっちな声が出てましたけど~?♡♡」
「んふふーそっちこそ♡ ってか⋯触り方もなんかいやらしくな~い?♡♡」
「いやらしいのはそっちです~♡♡」
お互いの肩、腕を洗って、両手を握り合うようにして泡を混ぜ合えば、今度は胸。わなわな欲情で震える細い指が、柔らかな双丘に触れた。
「「ああっ?♡♡♡」」
ビクンッ♡♡♡ 想定以上の刺激に、二人の肩が同時に跳ねる。
ーーあったかい⋯やわらかい⋯♡♡ 揉まれるのビリビリする⋯♡♡ おっぱい揉み合うのやばいかもぉ⋯♡♡♡ーー
「「んぅう~~っ♡♡♡」」
お互いの重みを持ち上げるように揉みしだき合えば、両者甲高い呻き声が漏れてしまった。
「はぁあ~エッロ♡ 乳首勃ってる~♡♡」
「あんたもね♡ 念入りに洗ってあげよう~♡♡」
円を描くように揉み合ったかと思えば、互いの乳を寄せて谷間を作ったり。
「「んっ!?♡♡ ふあっあんっ♡♡ んぁああっあっあっ♡♡♡♡」」
ビンビンの乳首をつまみ合い、ぬるぬるのボディーソープをたっぷり馴染ませ合ったり。
「ふーっ⋯♡ ホントにダメ⋯♡♡ 今ので軽くイっちゃったかもぉ⋯⋯っ♡♡♡」
うつむき、快楽に悶える千束。顔は真っ赤で口元はとろけて、すっかりメスの顔だ。細い金髪さえ艶やかだった。
「私も今っ頭真っ白んなっちゃったぁ⋯♡♡ ふーっ♡♡ これ、ヤバいね⋯♡♡♡」
対する千束も全く同じ、メスの顔。水の滴る様子がいやらしくて、ついもう一人の千束も釘付けにされてしまう淫靡さだった。
「「もっと凄い洗い方⋯してあげよっかぁ⋯⋯♡♡♡」」
ーーあああ絶対刺激強過ぎるってぇ~⋯♡♡♡ どっちの私も興奮し過ぎて二人して心臓止まっちゃうよぉ~⋯♡♡♡♡ーー
お互いの腹に泡を塗りたくり、へそをほじり合いながら、ますます頬を赤らめる千束と千束。二人の心臓はそんなやわには出来ていないが、そう予感させる興奮だった。
制服越しでも存在感たっぷりの胸。触れれば柔らかく、ハリがあり、とろけそうに暖かくて幸せ。そして見ているだけで射精してしまいそうに美しく、艶やか。そんなもう一人の自分の乳が、自分の乳に乳首をおっ勃てて近づいてくるのだ。
息を飲む千束と千束。緊張と火照りで息の仕方を忘れかけながら、二人は互いの胸と胸を押し付け合った。
「「んんぅうぅうううーーーっ!!?♡♡♡♡」」
胸から全身に電流が走るようだった。その感覚が、暖かく柔らかくもっちりとした胸の感触によるものだとわかったのは、絶叫した後だった。
やはり刺激が強過ぎる。心理的にも、感度的にも。ずっと見たかった、触れたかったもう一人の千束の身体が、お風呂にかこつけてこんな簡単に暴かれるなんて思ってもみなかった。
千束達の身体は、密かに焦がれていたお互いの熱に、柔らかさに、完全に虜だった。
「ふーっんふーっ⋯♡♡♡ じゃあ今からぁ⋯千束さんのナぁイスバディでぬちぬち洗ってあげますからねぇ~⋯♡♡♡」
「ふぅ~っ⋯よーし⋯私もぉ~⋯♡♡♡ 千束さんのナぁイスバディでぇ、ぬちぬち洗い返してあげますかぁ~⋯♡♡♡」
荒い息を無理やり抑えて、「サービスするのは自分です」みたいな顔を続ける千束二人。口ではそう言いながらももう一人の自分の乳に腰が震えているし、それがお互いに丸わかりだ。
「「んんん~~~ッ♡♡♡」」
甲高い喘ぎ声を出しながら、一方の千束が上に。もう一方は下に乳をずらす。心地よい摩擦と圧迫感が胸を痺れさせて、多幸感が収まらない。
一方の千束の乳が、もう一方の千束の乳の上に乗った。するとすぐさま双方反転、再び上下を入れ替えようとする。
「「あぁあ~~~ッ♡♡♡」」
とろけたような声を上げながら、今度は下だった千束が上に。もう一方は下に。再び極上のぬるぬる、ぬちぬちが胸を駆け巡って、脳を焼いてくる。
これで千束と千束の乳と乳の上下が反転。もちろん一往復だけでは終わらない。
「ふっんんぅう♡♡♡」
喘ぎながら乳で乳を洗い続け、
「んぁあっあっ♡♡♡」
同じく喘ぐながら乳で乳を洗い返し続ける。
「「ずっと甘い声出てますよ~お客さ~ん⋯⋯♡♡♡ ⋯⋯お客さんはそっち♡」」
からかい合って、言い返し合うのは当然の如く同時。
「んっ♡♡♡」
強引に擦り合えば、ぷるんっ♡♡柔らかく跳ねて、一方の千束の乳が上に飛び出た後、もう一人の千束の乳に飛び乗る。
ーー自分に乳乗せられるのエロぉ~♡♡ 征服されてる感?♡ マウント取られてる感?♡♡ マゾなとこ刺激されて頭おかしくなりそ~♡♡♡
絶対に互角なはずの相手、負けてはならないはずの相手に負けているような心地。その悔しさが、元来負けず嫌いな千束にはますます刺激的だった。自分に負けるのが大好きになちぇしまいそうだった。
「んぁ♡♡♡」
けれどすぐさま反転、ぷるんっ♡♡左右反転しただけの全く同じ挙動で、下だった千束が上を取り返す。
ーー私の乳に逆転負けしたぁ~エロぉ~♡♡ 胸で胸を馬乗りにされてる♡ 押し潰されてる♡♡ 悔しくて乳首勃つわぁ~濡れるわぁ~♡♡♡
そしてもう一人の自分に負けるのが癖になりそうな負けず嫌いマゾは、もう一方の千束も同じだった。自分という相手なのが尚更屈辱的で興奮した。
ーーやっぱ上取んの気持ちい♡ 私の悔しそうな顔見てると本気汁漏れる♡♡
「んふっ⋯気分はどうですかぁお客さん♡♡」
もちろん上を取り返した千束は、こちらはこちらでご満悦。もっともそのドヤ顔も、すぐにマゾ負け顔に変わるのだが。
ーー上取り返した~最高っ♡ 私の負け顔ほんとエロ過ぎて本気汁漏れる♡♡
「んひひ⋯胸気持ちいですか~お客さん♡♡」
やがてマウントの取り合いにも満足して、もっと刺激が欲しくなる千束たち。肌は火照りに火照り、お互いの身体による快楽が蓄積し、今にも絶頂寸前だ。
「「綺麗にするためにぃ、ちょっと刺激強くなりますよ~⋯♡♡♡」」
そんな状態で二人は顔を寄せ合い、囁き合った。お互いの肩に、腕に手をかけて、体勢を整えながら。
「⋯⋯♡」
「⋯⋯♡」
一呼吸見つめ合ったあと。二人の千束は同時に動き出し、お互いの胸を激しく胸で擦り合い始めるのだった。
「「んぁああっあっあっあぁあっ♡♡♡ あぁあああっダメ私っあぁあーーーっ♡♡♡♡」」
お互いに寄りかかるように体重をかけ、へそまで密着させた状態で、容赦なく身体を擦り付け合ったのだ。まるでスポンジでゴシゴシするように、お互いの胸を胸で、腹を腹で、全身を全身でゴシゴシ♡ ゴシゴシ♡
突然の激し過ぎる刺激は、完全にオーバーキルだった。瀕死の相手に乱射するが如く、千束たちはあまりに容赦ない責めをお互いに仕掛けた。限界に至るのは当然だった。
「「無理ぃいいーーーっ♡♡♡ らめぇええーーーっっっ♡♡♡」」
がくがくがくーーーっ♡♡♡ ぶしゃあああーーーーっ♡♡♡♡
千束と千束は仰け反り、痙攣するとともに、風呂場の床に潮を吹き散らした。一切女の秘部には触れていないにも関わらず。千束の肉体が千束にとって、どれほどの刺激なのかが見て取れた。
「はぁあ~~~んっ⋯⋯♡♡♡」
「あぁああ~~~っ⋯⋯♡♡♡」
ぐったりお互いに膝から崩れたのは同時。手を持ち上げるのも重々しい余韻の中、互いに細い手を重ねてバルブを上げた。
抱き合い、ゆっくりと呼吸して、その動きがそのままお互いの身体で身体をすすぐ動きになる。呼吸に合わせて上下に揺れる二人の様子はとてつもなく官能的だった。二人もうっすらそんな自分達の姿を想像しては、シャワーに隠れて床を濡らしていた。
ーー洗い合い気持ちよかったぁ⋯⋯っ♡♡♡ 明日もできるかな~♡♡♡ーー
敵同士だった千束と千束がお互いに懐柔されるのは、思ったより早そうだ。
5ページ
頬を赤らめて恥辱に耐え、密着して座る。足を互い違いに差し出し合い、お互いに向き合って。千束達と同様、たきな達もまた、順番で揉めた末に密着生活を強いられていた。トイレもこうして二人で入り、その直前には風呂も二人で入った。いま二人が着ているのは、二着目の制服だ。防具であり迷彩服である制服もまたリコリスの武装の一つであり、破損や汚損に備え常にスペアが鞄に入っている。銃こそ奪われていたが、暗器の類を抜かれた上で、制服はそのまま鞄に入っていた。
じゃんけんで決まらないのは仕方なかったが、くじ引きという選択肢を思いつかないたきなではなかった。こうしているのは、わざとか無意識にか、密着生活をしたいゆえにだ。
「少し一人にさせてください。⋯貴女もわたしなら、同じ気分でしょう。」
「ええ。むしろこちらから言おうと思ってました。」
けれどこの日、二人はトイレを出るなり左右に別れた。かたやベッドルームに、かたやリビングに。
ドアを閉め、それぞれ一人になると、たきな達はお互いの様子を伺うように息を潜めていた。
しばしの静寂。異常がないことを確かめると、同時に深呼吸する二人。直後、飛び跳ねた。
「「っっっ~~~❤︎❤︎❤︎ しゃっしゃっしゃっ⋯⋯❤︎❤︎❤︎」」
声にならない歓声を上げながら、握っているのは薄手の布。トイレで互いにすり替えるように交換した、パンツだ。
それだけではない。リビングにいるたきなは、隠し持つようにタンスに入れていた制服を取り出した。
「⋯あれ⋯? わたしの制服は⋯? ⋯⋯まあ⋯良いでしょう。洗濯中でしょうか。」
ベッドルームのたきなが異常に気づくが、気にしている場合ではなかった。こちらはこちらで、勉強机の棚に隠したもう一人の自分の制服が目当てなのだから。
「⋯⋯そういえば、わたしの服はどうしましたっけ⋯まあ、今は良いでしょう。」
お互いに相手の制服、相手の下着を持って、たきな達はそれぞれベッドとソファに座った。パンツを相手に取られているから、当然スカートの中は無防備だ。別に履いている必要も無かった。
「「はぁ~~⋯⋯❤︎」」
本当に実行してしまうとは、と自分自身に驚いていた。そしてそれ以上に、本当に手の中にあるもう一人の自分の服に恍惚としていた。
「「⋯⋯まずはこっちから⋯❤︎」」
下着をそばに置き、互いの制服を鼻に寄せる二人。焦点が制服に集中した周りの見えていない目つきに、その興奮具合が見て取れる。
「「すぅう~~~~っ⋯⋯❤︎❤︎❤︎❤︎」」
お互いの制服に、吸い付いた。無我夢中で互いの残り香を貪り、少しの余韻の後。
「「あぁああぁ~~~っっっ⋯⋯❤︎❤︎❤︎❤︎」」
恍惚とした表情で、それぞれ仰け反って匂いに喘いだ。
「ずっと欲しかった『わたし』の匂いっ❤︎❤︎ 幸せ過ぎますっ我慢できないっ❤︎❤︎ ああぁっ見られたら終わりの痴態を晒してしまうぅっ❤︎❤︎❤︎」
「本能が喜んでますっこれが欲しかったって子宮が唸ってるぅ❤︎❤︎ 『わたし』の匂い好きっ我慢できないっ❤︎❤︎ だめだめだめらめぇっ❤︎❤︎❤︎」
一嗅ぎで満足するはずがなく、どちらもますますエスカレートした。メスの発情剥き出しの顔で互いの制服を貪り始め、右手は制服の陰でスカートの下に潜っていた。
「「んんっ⋯❤︎❤︎ んんぅう⋯❤︎❤︎❤︎ ふーっすーっんふぅーっ❤︎❤︎❤︎ んあぁあ❤︎❤︎❤︎」」
誘拐直前の激闘の汗、その後起きるまでの寝汗、様々な匂いのこもったお互いの服は、二人のたきなにとって極上のオカズだった。溢れる液をかき出す指は、卑しいほどの欲望に正直だった。
「あぁダメっ❤︎ イクっ❤︎ イキますっ❤︎❤︎❤︎」
「イクっ❤︎ 我慢できないっ❤︎ イクぅ❤︎❤︎❤︎」
誰に聞かせるでもないのに喚いて、ますます自分の秘部をいじめ倒すたきなとたきな。
「「イクイクイクイク……❤︎❤︎❤︎❤︎」」
たきな達は知らない。お互いに服を盗み出してお互いに嗅ぎながら、同じ嬌声を同時に上げていることを。
浅ましく加速する指、甲高くなる声、そしてはやる息。
たきなとたきなは、知らず知らずのうちに同時に絶頂に達していた。
「「あぁあーーっ❤︎❤︎ イクッあぁああぁーーーーっっ❤︎❤︎❤︎」」
お互いの服に顔をうずめて、声を推し殺そうとする二人。互いの制服に甘えるかのような果て方に、二人のそれが劣情だけからの行為では無かったことが伺える。
「はぁっ……はぁっ……❤︎❤︎ まだ……収まらないぃ……❤︎❤︎」
「ふーっ……ふーっ……❤︎❤︎ 全然ダメ……もっとぉ……❤︎❤︎」
自分の身体を抱きしめるように、制服にうずまりっぱなしで息を荒らげるたきなとたきなだった。しばしお互いの制服を抱きしめた後、二人の遊びはますます制御を失うこととなる。
「「やっぱりお楽しみは、コレですよね……❤︎❤︎❤︎」」
取り出したのは、お互いのパンツ。別れる前、トイレで奪い合って結果的に交換となったものだ。自分の履いていたパンツをスペアとして相手に押し付け、自分は相手のそれをくすねて息を荒らげる、なんとも卑しい二人だった。これがたきな同士で、お互いに同じことをやっているような状況でなければ、危うく犯罪だ。
「「っ……!?❤︎❤︎」」
広げて、お互いに気づいた。
「「まだ暖かい……っ❤︎❤︎❤︎」」
脱ぎたてホヤホヤ、大した時間も経っていないから当然だ。湯気の出そうな湿度と温度を保っているそれは、まるでもう一人の自分の雌の部分の写しのように思えた。手に持っているだけで濡れすぎて果ててしまいそうだった。
ーーということは、匂いもーーッ❤︎❤︎❤︎ーー
当然、嗅いでみたくなる。味わいたくなる。二人は恐る恐る、お互いのパンツのちょうど股の部分を鼻に押し当てた。
「「はぁっはぁっああっ!?❤︎❤︎❤︎ んあぁああっ!!?❤︎❤︎❤︎❤︎」」
もう一人の自分の愛液の匂い。もう一人の自分のメスの匂い。露骨な鼻に刺さる媚香に、たきな達は驚愕していた。指が加速して止まらなかった。
「んんん゛っんっ❤︎❤︎❤︎ 凄いっんあぁっ❤︎❤︎❤︎」
「あっああ゛ぁっ❤︎❤︎❤︎ らめっいやぁっ❤︎❤︎❤︎」
下着に残るほのかな熱と濃厚な匂いだけで。身体が昂ってたまらなくなる。まるで媚薬が染み込まされているかのようだ。
「「あっあ゛っ!?❤︎❤︎❤︎ あっあぁああぁ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
まるで自分の指ではないかのように制御が効かない。もう一人の自分の雌の匂いに、たきな達の雌は容易く理性の安全装置を壊してしまった。愛液は垂れ流しになってしまった。
「花のようっいやもっと濃いっ❤︎❤︎ ずっと濃いっ❤︎❤︎❤︎ 嗅いでいるだけで多幸感が溢れてしまうぅっ❤︎❤︎❤︎」
「ますます我慢できなくなるっ❤︎❤︎ だめだめぇっ❤︎❤︎❤︎ ズルいですっこんな甘い匂いを私の鼻にぃっ❤︎❤︎❤︎」
腰をくねらせて喚きながらも、息は荒くなるばかり。発情して息を荒げて、パンツ越しの空気を吸って、たきな達は永久機関となっていた。
「「んんんん゛っ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
ビクッビクッ❤︎❤︎❤︎ お互いの匂いが幸せ過ぎて、溺れ死にそうなたきなとたきな。服の匂いでさえガクガクだったのに、パンツの匂いなんて耐えられるわけがなかった。
「んっんんーっ❤︎❤︎❤︎」
「んんむうぅっ❤︎❤︎❤︎」
鼻腔を埋め尽くす甘味に、悶絶。痙攣の頻度が上がり、指も一段と苛烈になり、今にも絶頂しそうな様子。匂いに昂る欲望に任せて、卑しく自分を慰めるのに必死だ。
「「イクッ⋯イクッ❤︎❤︎ もう一人のわたしのパンツっいやらしい匂いさせ過ぎですぅううっ⋯⋯❤︎❤︎❤︎」」
敵対するもう一つのDAのエージェント、もう一人の自分。そんな絶対に絆されてはいけない相手の匂いが、たきなには甘酸っぱくて、尊くて、たまらなかった。
「あぁああダメダメ限界っイクイクイクイクーッ❤︎❤︎❤︎」
リビングでは抑えきれなかった甲高い声が響き渡る。
「限界ですっイクイクだめだめあっあっあぁあっ❤︎❤︎❤︎」
ベッドルームでは、それをかき消すように喘ぎ声が広がる。
「「イッ⋯⋯クッ⋯⋯❤︎❤︎❤︎❤︎」」
切なく搾り出すような自白の後。二人のたきなは、またも同時に仰け反っていた。
「「あぁああっあっあぁあーーーっ❤︎❤︎❤︎❤︎ ん゛ぁああぁあぁっ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
ビクンビクンッ❤︎❤︎❤︎ ガクガクガクーッ❤︎❤︎❤︎ お互いの匂いで噴いた潮を手で受け止めながら、たきな達は浅ましい快楽に身を委ねるのだった。
もう一人の自分の魅惑的な香りに包まれて、欲張りな絶叫潮吹きが抑えられなかった。
「あぁあっ⋯⋯❤︎ ふああぁ⋯⋯❤︎❤︎」
「んぁああ⋯⋯❤︎ いやあっ⋯⋯❤︎❤︎」
銃弾より重い余韻。たきな達はぐったりと、かたやソファに、かたやベッドに身を預け、パンツ嗅ぎオナニーの余熱を味わっていた。思考も身体もとろけてしまって、とても理性を取り戻すことはできなさそうだ。
「「はぁあ~~~⋯⋯❤︎❤︎❤︎」」
散々嗅ぎ倒したお互いのパンツを、再び恍惚とした顔で眺めるたきなたち。
「あれだけ濃い匂いということは⋯え⋯❤︎❤︎
「これ⋯もう一人のわたしのあそこが⋯❤︎❤︎」
改めてその布の意味を想像すると、2度も果てたはずの身体がまた疼いてしまう。その麻薬のような匂いの布を、もっと深いところで味わいたいと思ってしまう。
二人はパンツをまとわせた手を、再び下ろした。
「「だめですこんなっ⋯こんなこと⋯わたしに怒られてしまいますからっ⋯⋯❤︎❤︎❤︎❤︎」」
自分の身体に言い聞かせても、聞いてくれない。あのわがままな相棒より制御不能な狂犬だ。DAの気持ちが理解できるような思いの中、たきな達はその布を、自分の秘部に押し当てた。
お互いの股を包んでいた場所を股に擦り付ける、関節レイプとでも言うべき行為。その背徳感は、たきなを狂わせて余り合った。
「「んあぁああーーっ❤︎❤︎❤︎ あっあっあぁあああーーーっっっ!!??❤︎❤︎❤︎❤︎」」
ビンビンに勃起した陰核に、もう一人の自分の股の残り香を擦り付ける。罪悪感と興奮で頭のおかしくなりそうな関節キス。普段履いているのと全く同じスベスベの布の質感が、今は愛おしくてたまらなかった。
「あっあっあ゛ぁ゛あっ!!?❤︎❤︎❤︎ だめ゛ぇっ❤︎❤︎❤︎ い゛やあぁっああぁあ❤︎❤︎❤︎❤︎」
何事かと疑いたくなる大絶叫。たきなのパンツを直接使っての自慰は、たきなには刺激が強過ぎた。女の本能がよがり狂って抑えられない。
「ん゛ぁ゛あ゛あぁあっ!??❤︎❤︎❤︎ い゛やぁっ❤︎❤︎❤︎ ら゛めえぇっあへぇえ❤︎❤︎❤︎❤︎」
リビングからも同じ音量の声が響いていた。たきなのパンツに愛液を擦り付けるのは、たきなにとっても刺激強過ぎ。子宮が跳ねて止まらない。
「「あ゛ぁっ!?❤︎❤︎❤︎ あ゛ぁあっ❤︎❤︎❤︎ ごめんなさいわたしっごめんなさい゛ッ❤︎❤︎❤︎ 勝手にパンツでオナニーしてごめんなさい゛ぃ゛い゛ッッッ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
ようやく謝罪の言葉が出て来るけれど、もう遅い。もはや罪悪感は快感のスパイスに成り果てている。二人が聞こえもしていないお互いに謝っているそれさえも、自慰の一部でしかないのだ。
「おまんこでおまんこにキスしてるって思うとっもうだめっ❤︎❤︎❤︎ 一瞬で快感が上がって来てん゛ぁあぁああぁ!?❤︎❤︎❤︎❤︎」
首をぶんぶん振って快感を流そうとしても、一瞬でそれ以上の快感が上がって来て仰け反ってしまう。もう一人の自分のパンツという極上の玩具の威力を、理解していないらしい。
「おまんこ当たってたところにおまんこ擦り付けてますっ❤︎❤︎❤︎ 申し訳なくてまた快楽がっいや゛ぁあっあぁっ?!❤︎❤︎❤︎❤︎」
そして全く同時、もう一人のたきなもたきなのパンツに同じ仕草で悶えていた。たきなのパンツという極上の玩具に予想を超えられっぱなしなのは、こちらも同じだ。
「「お願いっイクっイキますっ❤︎❤︎ もう一人のわたしのパンツでおまんこ感じ過ぎてイキますからぁああっ❤︎❤︎❤︎」」
興奮し過ぎて止まってくれない指に、懇願しながら二人とも声色を上げていく。ついにメスの鳴き声に変わった瞬間、二人は同時に潮を吹いた。
「「ん゛ぁ゛あああぁあーーーーっっっ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
お互いのパンツをお互いに汚す、両者無自覚の相互マーキング。たきな達の仰け反り潮吹きが、お互いのパンツを水浸しにしていた。二人してお互いのパンツを汚していることを、たきな達には知る由もなかった。
「「許してくださいっ許じでぐだざい゛っ❤︎❤︎❤︎ イグイグイグイグッ❤︎❤︎❤︎ あ゛っあ゛っあ゛っあ゛ぁ゛っ!!?❤︎❤︎❤︎❤︎」」
一度果てたくらいで興奮は収まらない。むしろ分身の自分のパンツを水浸しにしたという興奮で、ますます指が加速した。パンツにこびりついたお互いのまんこの残り香を、他ならぬまんこで味わい合っているのだ。治るはずがなかった。
「ごめんなさいごめんなさい゛っ❤︎❤︎❤︎❤︎」「あ゛っあ゛っあ゛っあ゛ーーーッ???❤︎❤︎❤︎❤︎」
一方のたきなが項垂れて快楽を耐える頃、もう一人のたきなは無様に仰け反って混乱しながらアクメして。
「収まらない゛っすみません゛っ❤︎❤︎❤︎❤︎」「い゛やっい゛や゛ぁあ゛ーーーッ???❤︎❤︎❤︎❤︎」
次の瞬間には構図が反転、もう一人のたきなが連続絶頂に項垂れて堪え、たきなは想定外の快感に失神寸前。
「「わたしだから良いですよねっ!?❤︎❤︎ バレませんよねっ!?❤︎❤︎❤︎ 潮全部パンツに注いで返しますからっ許してください゛わだじい゛っ❤︎❤︎❤︎❤︎
それなのに身体の熱は冷めるどころか、到底許されない変態行為にますます濡れて火照るばかり。
「「い゛や゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛ーーーーーっっっ!??!?❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」」
何度目かの絶頂。お互いの匂いを上塗りするかのような潮吹きで、たきな達はついに体力を使い果たしたのだった。
「ハァッ⋯⋯ハァッ⋯⋯だめ⋯わたし⋯⋯こんな⋯⋯❤︎❤︎❤︎」
冷静になったたきなの脳に、自分のやったことが突きつけられる。余韻で真っ白なところに注がれる罪悪感は甘味で、パンツを手放せなくなってしまった。
「ハァッ⋯⋯ハァッ⋯⋯バ⋯バレませんように⋯⋯っ❤︎❤︎❤︎」
自分でも自分を軽蔑しているのに、見つかったら銃殺される。いや、銃は奪われているから、蹴り殺されるのか。⋯なんて取り止めのないことを考えているのは二人とも同じだ。お互い様なのに自分を棚に上げて蹴り殺したりするわけない⋯なんてことを知る由もないたきな達は、それぞれ祈りながらベッドに、あるいはソファに沈むのだった。
「「お願い⋯まだ来ないで⋯⋯❤︎ 見つけないで⋯⋯❤︎❤︎❤︎」」
ーー今夜は、貴女の匂いに包まれながら寝ても⋯良いですよね⋯⋯?❤︎❤︎❤︎ーー
6ページ
「な~んでこんなものがあるのかなぁ~?」
千束は、リビングの棚に妙な物を見つけていた。
「変なの置いてあんじゃ~ん」
奇しくももう一人の千束も、ベッドルームで同じものを。胃薬や絆創膏の入った救急箱だが、問題はその中に混ざった一つの薬。
蝶の彫られたフタに、透明な瓶、透明な液。ラベルに書いてある化学物質の名前はふつうの女子高生が知る由もないが、千束たちはリコリスだ。
「「⋯⋯使える⋯⋯」」
呟き、二人ともそれをポケットに入れた。そしてベッドルームにいた千束は、何事もなかったかのようにリビングへ。
「おはよ~何してんの? 早いじゃん私のくせに。」
「ん、おはよ~。あんたが遅いの。」
リビングにいた千束も何事もなかったかのように、エプロンをつけて台所に立っていた。淹れているのは紅茶だ。両手にティーカップを持ってテーブルに向かうと、当然の如くもう一人の千束の隣に座る。
「アイスティーしか無かったけど良いかな?」
「ぶふっww変なもん入れてないでしょーねー?」
入れている。無防備にも千束はカップに口をつけ、違和感も抱かず飲み干した。
「あ゛ー⋯⋯」
そして一瞬で堕ちた。耐えようとすれば耐えられる訓練は受けていたが、もう一人の自分とのラブラブ同棲生活も3日目、更に寝起きなのだ。薬など無くとも寝れそうなところに、その薬はオーバーキルだった。
「さてさて~⋯♡ 可愛い千束さんにぃ、ちょ~っとイタズラさせてもらいますかねぇ~♡♡♡」
言いながら立ち上がるのは、薬を盛った方の千束。股間には、鋼のように硬くなったマグナムが備わっていた。
『うぇ!?なんか生えてる!?ナニコレ!?なんで?!?!』と寝たふりをしながら内心喚いていたのが、昨日夜中。千束達はどういうわけか、ふたなりになっていた。
雌雄両性の本能が、そばにいる雌を犯せと騒いで仕方がなかった。そもそもそうなる前から、ほのかな劣情を向け合っていたのに。千束が意味もなくリビングや寝室を漁っていたのも気を紛らわせるためだったが、そこで睡眠薬を見つけてしまっては、理性のブレーキなどかかりもしない。
「おお~♡ 無防備な私、エロぉ~♡♡♡」
もう一人の自分を引き倒し、上に乗って、千束は千束のパンツを剥いだ。
「うおっそっちも生えてんのか」
自分と同じ異変がもう一人の自分にも発生している⋯ばかりか、相手も相手でフル勃起していることに気づいたが、今の千束にとってそれはどうでもいい。
「お⋯もうとろとろじゃーん⋯♡」
下着を惜しむように糸を引く液。前戯もローションも必要なさそうな具合だ。千束も更に硬くなり、暴発寸前といった様子。
「じゃ、オナホにするから⋯♡ エロ過ぎるそっちが悪いんだからね♡♡♡」
濡れている理由に気づきもしないで、千束は自らの銃を蜜壺に向けた。薬で眠った分身は逃げも避けもせずそれを受け止め、そのまま咥え込んでいく。
ずぷっ⋯⋯♡♡♡ ずぶぶ~⋯♡♡♡
「んっ⋯んん~~~⋯⋯♡♡♡」
「あぁあ~っ⋯⋯♡♡♡」
寝ながらでも被挿入感に喘ぐ千束、その可愛らしさに感極まる千束。やがて肉棒が完全にしまい込まれ、根本まで咥えられてしまう。銃口が奥に届いているようだった。
「動くね私⋯♡」
薬で眠ったリコリスは、うんともすんとも返さない。ただとろとろの秘部で、千束の激情を受け止めるだけ。
「ふっんっんっ♡♡あっあっあっあっ♡♡♡」
「ふぅん~~っ⋯⋯♡♡♡ んんんぅう⋯⋯♡♡♡♡」
リコリスの引き締まりながらも柔らかな秘部は、千束の理性を容易く刈り取った。すぐに腰が前後し始め、眠る自分を強姦し始める。
「あぁあっすごっ♡♡ きつっ♡ アツっ♡♡ 私のおまんこ気持ちいいっハマるぅう~~っ♡♡♡」
同じ自分のナカだというのに、いや同じ自分のナカだからか、千束は夢中になっているようだ。劣情に身を任せた腰振りに、少女は容赦なく手籠にされる。
「あぁああっ可愛いよおっ私ぃい~~~っ♡♡♡」
「んッ⋯♡ んんん~~~~ッ♡♡♡♡」
千束を抱きしめ、甘えるように喚く千束。それを受け止める千束は、無意識の体の反応でびくびく震えるだけ。
「あっあっ奥っ♡ 奥出るっ奥に出すぅう♡♡♡」
激しく抽挿しながらも、千束の執着はその最奥、子宮に集中していた。いつもはろくに狙いもつけないばかりか、集弾性の悪い非殺傷弾を使っているくせに。
「私のおっぱいもエロいよぉ~~~っ♡♡♡」
更には制服越し、ムチムチの胸にまで顔をうずめ始めた。鏡で見ても巨乳だが、実際に実物が目の前にいるとなればその威圧感は歴然。
「んぁ⋯♡ あ⋯⋯♡♡」
「ああエロっおっぱい柔らかくてしゅきぃ~♡♡ ハメられてるのにおっぱい触られたくらいで今更怒んないよねぇっ♡♡♡」
千束の中で、千束はますます硬くなった。その鉄棒を熱心に抽挿され、乳を好き放題揉まれては、寝ながらでも反応してしまうのは必然だ。
「はあっ⋯♡♡ んぁあぁ⋯⋯ん♡♡♡」
「ああっ締まったぁ♡♡ もうダメ気持ちいっ♡♡ イクッ♡♡ 出るぅっ♡♡♡」
ますますの締まりのますますの興奮。エスカレートし続ける快楽に、千束は限界だった。
「出る出るっせーし出るっ♡♡ ねぇ私っ私の膣内ナカにっ子宮ナカに出すよぉっ!?♡♡♡ 良いよね私なんだからっ私のおまんこなんて私だけの物なんだからあっ♡♡♡」
千束の腰もいよいよ加速、装填した全てを撃ち尽くそうとビクビク震え始めた。もう一人の自分への劣情、執着、ライバル視、持ち得る感情の全てを向けて、千束は腰を打ちつけるのだった。
「あぁあ出るッイクゥーーッ♡♡♡ あ゛ぁああぁーーーっっっ♡♡♡♡」
どちゅんっ♡♡♡ びゅるるるるーーーーっ♡♡♡♡
千束が千束に中出しした。睡眠薬で眠らせ、コンドームもつけず、欲望をただひたすらに、何の遠慮も躊躇もなく。
「あぁあ⋯良かったぁ⋯⋯♡♡♡ 最高じゃん私♡ 名器だったよ♡♡」
眠っていることを良いことに囁き、頬にキスする千束。ビクッ♡二人の接合部がまた震えて、お互いを惜しむかのようだった。
白い糸を引きながら抜けば、自分がどれほど大量に出したのか自覚させられる。
「うわっ⋯♡ 出し過ぎかぁ私⋯?♡♡ これ妊娠した⋯?♡♡♡」
リコリスの絶倫フルバーストを叩き込んだのだから、当然だった。こぼれ落ちるのを舐めて拭いながら、自分が自分に大量中出しした事実に悶える千束だった。
ーー私の名器に好き放題出すの気持ちよかったぁ~♡♡ またしよ♡♡♡
奥の方に大半を注ぎ込んだわけだから、溢れて来るのなんてほんの一握り。それでもかなりの量だった溢れ精液を掃除して、パンツを履かせて、千束はまた素知らぬ顔で隣に座った。
「匂いでバレるかな⋯? まいっか」
すんすん、嗅いでみれば、確かに情事の後の匂い。
「キミも出してるし⋯♡」
とはいえ子宮をガンガン突かれて、もう一人の千束も寝ながら精液を漏らしているようだった。それなら最悪夢精したことにして知らん振りができる。
「疲れた~♡♡ ってか私も寝不足だったもんな~♡♡」
射精の余韻と昨夜の寝不足が一気に来て、千束は目を閉じた。別にうたた寝するつもりではなかった。伸びをするついでに目を閉じただけだった。
「ん⋯あれ⋯? 私寝てたぁ⋯?」
散々中出しされたことに気づいてもいない様子で起きた千束が、周囲を見渡す。隣には涎を垂らしてうたた寝している千束、机には空のティーカップ。隣の自分のティーカップには、手のつけられてない紅茶が入れっぱなし。
「⋯って私! 夢精した⋯!? もぉ~⋯確かになんか⋯私にハメられてる夢を見たような⋯⋯?」
そしてスカートは、寝てる間に漏らしたものでべっとり。生えてしまってすぐ危惧していたことの一つである。もっとも今回は夢精ではなく、実際にもう一人の千束に犯された結果なのだが。
「⋯⋯よし⋯もう一発出したろ⋯♡ 私も寝てるし♡♡」
こちらの千束のポケットにも睡眠薬は入っている。それを取り出し、口のつけられていないティーカップに大胆に入れると、ティースプーンで混ぜ始めた。
「おーい、起きろー? 夕方に起きたら後悔するぞー?」
「んにゃっ!? あ⋯あえ? 私寝てたぁ?」
ーー起こさなくても犯せば良かったのでは、って?まさか。ツンツンしただけで起きるのにハメれるわけないでしょ♡
キョロキョロとあたりを見渡し、時間を確認する千束を横目に、薬を盛った千束は得意げにポットを持ち上げた。空だった自分のカップに残っているお茶を注いで、隣の千束にも紅茶を意識させる。
「良かったぁ~ちょっとうとうとしてただけか~」
寸前、いそいそと証拠隠滅した記憶の新しい千束にとって、自分が一瞬寝落ちしていた事実、その間に分身が起きてしまっていた事実は、焦りに焦って当然。自分が逆に薬を盛られている可能性など気付きもせず、誘導されるまま紅茶に口をつけた。今度は二人一緒に。
「まだねむ⋯あ゛⋯⋯」
そして今度は、先程薬を盛った側の千束が堕ちた。寝起きに起こされ、また睡眠薬を盛られては、そうなるのも必然だった。
「よしよ~し♡ ドスケベボディの千束さ~ん♡♡ 私のオナホになりましょうねぇ~♡♡♡」
千束の声は昂っていた。先程されたように千束に覆い被さり、パンツを履いで、自分も膨張したマグナムを抜き身にして、欲望のまま突きつける。
「おお、私も生えてる⋯」
一瞬、もう一人の自分の勃起に意識を取られるが、それがさっきまで自分に入っていたとは知る由もない。
「ぐちょどろ~♡ もしかして期待してたん?♡♡」
まして、とろけ切っている秘部に気づいてしまえば、勃起のことなんてどうでも良くなってしまう。期待してたどころか、さっきまで立場を逆に真っ盛りしていたのだ。濡れまくっていないはずもなかった。
「安産型だなぁ私は~♡♡ 誘惑するようなカラダをしおって~♡♡」
千束同士、お互いのカラダに興奮していたのはお互い様。まして無防備な寝姿を晒しているともなれば、勃起し過ぎて収まらない。
今度はこちらの千束が、もう一人の千束の秘部に銃口を突きつけた。濡れ切った秘部は受け入れるほかなかった。
「あぁ熱っ♡♡ 濡れ過ぎ⋯火照り過ぎ⋯♡♡ 隣でスヤスヤ寝てたくせに、やっぱ期待してたんだなぁ~♡♡♡ 和姦じゃ~ん♡♡♡」
薬で眠らせているのだから、強姦である。しかし興奮しまくりの千束はもうとろとろの自分のまんこに釘付け、とても強姦だからと手を止める気は無さそうだ。
「挿れるね私♡」「んぁ⋯♡♡」
立場を逆に、全く同じ光景が繰り広げられていることを、二人の千束は知らない。今度は千束の肉棒が、千束を貫き返した。
ずぷっ⋯⋯♡♡♡ ずぶぶ~⋯♡♡♡
「ん゛んん~~⋯⋯♡♡♡」
「あっ⋯♡♡ おぉおお~~~っ⋯⋯♡♡♡」
とろけた肉ひだは容易く剛直を受け入れ、自分の奥へと招き入れる。同じ自分の雄、同じ自分の勃起だというのに、嬉しそうに締め付けて媚びていた。千束もその名器具合に感動の声が漏れていた。
「なにこのキツさっ♡♡ 柔らかさぁっ♡♡ あーだめ絶対ハマる♡♡ 私のまんこ中毒性えぐぅ♡♡♡」
自分とは思えない快感。肉棒が痺れて悦んでしまうその感触に、千束は一瞬でハート目になった。
「ハァッハァッハァッ♡♡ 好きっ好きっ私のまんこ好きぃい♡♡♡」
劣情に任せて息を荒げ、獣のように腰を振る千束。
「んっ⋯♡♡ ん~~~ッ⋯⋯♡♡♡」
そうして犯し返されながらも、薬で寝こけて抵抗も反撃もできない千束。
「あぁキツっ♡ 私の膣圧チンポ離してくれないぃっ♡♡♡ 中出しねだられてるぅっ♡♡♡」
リコリスの名器には、たとえリコリスでも理性が吹っ飛んでしまうようだ。やはり腰は加速するばかり、千束は発射寸前といったところか。
「あっあっあっあっ♡♡♡ おっおっおっおッ♡♡♡♡」
そのうちあまりの快楽に、腰を振るごとに声が出てしまうように。
「乳もデカいし名器だしっ♡♡♡ 私をナルシストにするためだけの存在か貴様は~っ♡♡♡」
「んんっ♡♡ んぁ⋯⋯あ⋯⋯♡♡♡」
やはり千束も、千束の巨乳に食いついた。肉厚で柔らかくて、汗ばんでいて、芳醇なフェロモンをこれでもかと醸し出す双丘に、ますます雄が滾ってしまうのだ。その乳肉にダイブするように顔をうずめて、甲高い声でよがる千束。
「おほぉお~エロっ♡♡♡ もう赤ちゃんできそうなカラダだね私っ♡♡♡ 種付けするから妊娠しろぉっ♡♡♡」
もう一人の自分の膣に肉棒を擦り付けて、出し入れして、執拗に刺激して慰める。千束もまたもう一人の千束を、宣言通りオナホに成り果てさせているのだ。
「イクッ♡ 出るッ♡♡ 出すよ私っキミの中に私のせーし全部出すからっ♡♡♡ 受け止めろぉお⋯⋯っ♡♡♡♡」
まるで恋人に向けるような熱烈な視線と共に宣言、奥を執拗に突き始める千束。その肉棒がついに限界ギリギリに膨張し、痙攣し、射精しようと貪欲な抽挿を繰り返した。
「んぁあ⋯♡♡ ああっ⋯⋯♡♡」
寝ている千束も答えるように喘ぎ、無防備にカラダを明け渡しっぱなし。
仮に起きれば抵抗されるのだろうか。千束は考えながら、もう一人の自分を無理やり犯している実感でますます興奮して、射精に追い詰められた。
「ああ出るッ♡♡ 出る出る出る出るッ♡♡♡ 子宮で受け取って私ッ⋯⋯♡♡♡」
一際強く腰を打ちつけ、膣の奥の奥、子宮に亀頭を擦り付けると同時。
「あぁあ出るッイクゥーーッ♡♡♡ あ゛ぁああぁーーーっっっ♡♡♡♡」
どちゅんっ♡♡♡ びゅるるるるーーーーっ♡♡♡♡
千束もまた、千束に中出しした。睡眠薬で眠らせ、コンドームもつけず、欲望をただひたすらに、何の遠慮も躊躇もなく。
「はぁあ~ッ⋯⋯♡♡♡ あぁああ~⋯⋯♡♡♡」
一度は犯され中出しされた身、そのカラダに鞭打ってハメていたゆえか、余韻はいつにも増して重かった。奥に大量に注ぎ込んだその姿勢のまま、千束はしばらく千束の上で息を切らしていた。
「あーやば⋯♡ 起きられる前に綺麗にせんと⋯♡」
その重い体を無理やり起こして、分身の下半身の前に跪く。千束もまた溢れているものを舐め取り、自分が注ぎ込んだことを実感すると、分身にパンツを履かせ直した。
「⋯⋯出してんな♡ よし♡」
ところてんについては、放置した。自分が夢精していた(わけではないが)のと同じように、夢精していたことにすればいい。
「明日もこいつで抜こ~♡ 今から私のオナペットで性奴隷な、私♡♡」
卑猥な宣言を聞かれていなかったのは幸運だった。千束は眠る千束の隣に座り、その肩に体重を預けて目を閉じると、再び重たい余韻に身を委ねた。
「んぁ⋯?♡」
一瞬後、眠っていた千束も目覚める。危うく先の宣言を聞いていたところだった。けれど分身が自分の肩に身を預け、涎を垂らしながら寝ていることに気づくと、こちらも再び目を閉じた。
ーー私ってばほんとにかわいいな~⋯♡♡ このサキュバス女め~♡♡♡ーー
もう一人の自分に夢中なのは、二人ともだ。
7ページ
「で⋯⋯なんですか、その危険物は。」
「黙りなさい。危険人物は貴女です。」
たきなたちの方は、朝っぱらから揉めていた。当然だった。お互いを性的に意識しまくっていながら、ライバルとして、商売敵としてそれを隠していた二人に、それぞれ陰茎が生えていたのだから。
命を減らす銃器の扱いは手慣れていても、命を増やす銃の扱いなど当然初めて。千束ほど大雑把でもないたきな同士、お互いの目の前に隠し通せるわけもなく、起きて早々にお互いを糾弾し合っていた。
「確かにゲノム編集とか、ホルモン剤とか、そういうことができる医療は聞き覚えがあります。それ自体に驚いてる訳ではありません。」
「同じわたしなんですから、説明しなくてもわかります。そちらこそ、わたしが問いただしてる理由、わかりますよね?」
そしてふたなりという状態が全くの意識外というわけでもない。むしろ現代なら、そうしたければそうすることができる技術が開発されている。
「「何もしてないのに生えるわけないじゃないですか。わたしを犯そうとしたんですよね!? この危険人物っ!! 変態っ!! 犯罪者予備軍っ!!」」
問題は、なぜそうしているのか。お互いを意識しているからこそ、たきな達はその結論に辿り着いた。実際には二人とも寝て起きたら生えていたのだが、どちらも相手が自分とそういうことをしたくて生やしているのだと信じて疑わなかった。
ーースカートで隠れていてもわかる⋯デカい⋯❤︎ 大きい⋯❤︎❤︎
ーー釘付けにされてしまいます⋯あんな大きな⋯❤︎ おぉ⋯❤︎❤︎
近接格闘の距離で睨み合う二人、視線はお互いの全身を捉えようとしてはいるが、意識は完全に股間に向いていた。リコリスといえども所詮は雌、ましてお互いにうっすらガチ恋しているたきなとたきなにとって、お互いの肉棒は魅了されて仕方のないものだった。
ーー触りたい⋯せめて近づきたい⋯❤︎❤︎❤︎ でもっそんなことを言ったらますます危険人物扱いされてしまう⋯⋯ーー
吸い寄せられてしまうのに、欲望に任せて駆け寄るわけにはいかない。
二人が同じ結論に至るまで、数秒。手錠を取り出したのは、同時だった。
「「今まで以上に監視が必要ですね⋯❤︎❤︎❤︎」」
リコリスの基本装備の一つだ。制服にもカバンにも仕込んである物だが、奪われることなく残されていたらしい。
取り出したそれを、一方のたきなは腕と腕を繋げるのにつけた。もう一方は、足と足を。
右手と左手、右足と左足。常に二人三脚の動きを強制される状態に、お互いを拘束したのだ。
「まずはこの勃起❤︎ どうにか無力化したいのですが⋯どうしましょうね、わたし?❤︎❤︎」
「まだ自分が監視する側だと思ってるんですか?❤︎ ふふっ⋯立場を教えてあげます❤︎❤︎」
空いている手で互いのスカートの膨らみを握れば、その大きさについ息が荒くなってしまう。平静を保っていられるのが不思議だった。
ーーあぁあああっ大きいっ❤︎ 硬いっ❤︎ 太いっ❤︎ ビクビクしてるっ❤︎ わたしのおチンポ⋯⋯こんなに凄いだなんてッ⋯⋯❤︎❤︎❤︎ーー
ただでさえ手錠で密着拘束状態、お互いの素肌をべったり触れて感じ合ってしまう距離感なのに、急所を握り合ったとなれば理性の崩壊は一瞬だ。
亀頭を撫で合えば、その太さに。竿を扱けば、その長さに。握り込めば、その硬さに発情を抑えられなくなってしまう。
「「汚い我慢汁が漏れてますよ、変態⋯⋯❤︎❤︎❤︎」」
ーーわたしに詰られながらハモって詰り返さないでくださいっ❤︎❤︎❤︎ それ興奮し過ぎて勃起我慢できなくなるんですうぅううっ❤︎❤︎❤︎❤︎ーー
たきな同士でしかできないシンクロ囁き合い。目の前の巨根の少女がもう一人の自分だと実感させられ、ついに理性が働かなくなる。
「うっ⋯手を離しなさいっ❤︎」
「うるさいっ⋯貴女こそっ❤︎」
どちらからともなく両手を握り合い、捕え合っていた。その間も痛そうなほど勃起した股間はお互いを求めて、無意識に距離を詰めてしまう。
両手をお互いに塞ぎ塞がれ、お互いに密着し、更に歩み寄り合ったとなれば、互いのそれがぶつかってしまうのは必然だった。
「「お゛ぉ゛っ⋯⋯!!?❤︎❤︎❤︎❤︎」」
ガチガチに勃起し、我慢汁を垂れていた、欲求不満な二人の肉棒。今にも乱射されそうな機関銃が二丁、お互いにぶつかって涎を垂らしていた。
「離れなさいっ⋯この⋯っ⋯本当にっ容赦しませんよ⋯!?❤︎❤︎❤︎」
「うるさいですねッ⋯もっと縛りつけてもいいんですよっ!?❤︎❤︎❤︎」
更には、喚きながらワイヤーを取り出し、手早くお互いの太ももを縛り付ける。むっちり❤︎❤︎❤︎締め上げられる太ももが、お互いを押し潰すように密着してもう離れられなくなった。
一瞬忌々しそうにその様子を見下ろす二人だったが、すぐにお互いに向き直る。考えていることは一つ。
「「フーッ⋯フーーッ⋯⋯!!❤︎❤︎ 絶対に逃がさないッ❤︎❤︎ わたしのおチンポにおチンポ擦り付けたことを後悔させてあげますッ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
⋯という口実のもとの、密着プレイだ。そのガチガチの肉棒を互いに押し付けるように、たきな達は再び密着した。
「んんん゛ッ!?❤︎❤︎❤︎」
「あ゛あぁッ!?❤︎❤︎❤︎」
その硬さと太さで突きつけられる圧迫感に、両者仰け反る。敏感な場所で感じるお互いの勃起に、本能をくすぐられてしまう。
「「んんぅううぅっ❤︎❤︎❤︎ んっあぁあっ❤︎❤︎❤︎」」
ただ押し付け合っているだけ、擦り付け合っているだけ。それなのに、『一番硬くて熱い場所をぶつけ合っている』という事実に興奮するのか、はたまた密着して感じる体温のせいか、股間が痺れて仕方なかった。
「はあっあぁん❤︎❤︎」「んぁああぁあ❤︎❤︎」
お互いがもっと欲しくて、気づけば腰に手を回して抱き寄せ合ってしまう。手錠付きの手は指同士を絡めて恋人繋ぎにして、互いに決して逃がさない決意を表しているかのよう。
そうして密着すれば、揉みしだき合うのは下半身だけではない。二人の胸の膨らみが、真正面からぶつかり合ってしまう。
「ん゛ぁああぁっ❤︎❤︎❤︎❤︎」
自分の乳で乳を撫で上げられ、マウントを取られ、甘い声を出すたきな。
「あ゛うぅうんっ❤︎❤︎❤︎❤︎」
そのたきなに乳で乳を撫で上げ返され、乳に乳を乗せられ、対するたきなも喘ぐ。
ーーわたしの身体に身体責められるのっ⋯❤︎❤︎ 気持ちいいっ⋯⋯❤︎❤︎❤︎
「「んんぅうぅうぅっ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
柔らかな乳を乳で感じ、硬い勃起を勃起で感じる背徳。背筋がゾクゾク震えてしまって、たきな達もメスの声を出しっぱなしだ。
「あぁあっ❤︎❤︎ 硬いっ大きいっ❤︎❤︎ おチンポでおチンポに立場わからされてしまいますぅっ❤︎❤︎❤︎」
「勝てないっ絶対負けるっ❤︎❤︎❤︎ 身の程教え込まれてしまいますっんぁあわたしの巨根ぅっ❤︎❤︎❤︎」
腰を揺すってお互いのモノにモノを擦り付け合いながら、二人して喘ぐたきなとたきな。実際には全く同サイズのはずの二人だが、お互いのマグナムの威圧感に敗北感で感じてしまうらしい。
「「性欲剥き出しの擦り付け方しないでくださいっいやぁああぁっ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
お互いの『雄』を感じに感じて、双方ハモりながら悶絶していた。
「あぁあ出るっ上がって来ますっ❤︎❤︎ 柔らかいおっぱいでおっぱい揉まれてっガチガチの勃起チンポで勃起チンポ扱かれて精子上がって来てしまいますっっ❤︎❤︎❤︎」
もう一人の自分の肉体の甘味さに、辛抱ならないたきな。ビクビクと震える腰を見れば、その限界具合がよくわかる。
「イクイクッわたしも出ますっ❤︎❤︎ わたしが出ますッ❤︎❤︎ わたしのおっぱいも勃起チンポもっわたしに射精させるためだけのような触り心地をしてぇっっ❤︎❤︎❤︎」
甲高い声の切羽詰まった音色に、対するたきなの限界具合も丸わかり。お互いに喚いて、お互いに震えて、涎を垂らしてよがり合うたきな達。
「「ああ出るっ出ますっ出します゛ッ❤︎❤︎❤︎ チンポでチンポ扱かれて精子出る゛ぅううッ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
上がって来る劣情をもう抑えられない。触れ合っている感触から、二人とも尿道を競り上がって来るのがわかる。
「「どろっどろの精子上がって来るぅ⋯⋯イグぅぅぅ⋯⋯っ❤︎❤︎❤︎」」
ゾゾゾ⋯❤︎❤︎ 人生で初めて味わうような至上の背徳感が背筋を走る。お互いへの劣情を剥き出しにした射精が、銃口から突き出た。
「「あ゛ぁ゛あああ゛ーーーーっっっ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
びゅるるるーーーっどびゅーーーっっっ❤︎❤︎❤︎❤︎
二丁の銃がお互いに寄り添って銃弾をばら撒いた。放たれたものは勢いに任せて真上に飛び出た後、下乳からスカートにかけて半身を汚し尽くした。お互いに混ざり合うかのように制服に染みていく精液は重く、濃厚で、二人がどれほど両思いなのかを赤裸々に語る。
「はぁ⋯⋯っ❤︎❤︎❤︎」
「あぁ~⋯⋯❤︎❤︎❤︎」
余韻に双方息を吐いて、熱い湯気を絡め合う。精液の匂いが鼻をついて、我慢できなかった自分が恥ずかしくて、また興奮してしまう。
「「制圧完了⋯❤︎ ですねっ⋯❤︎❤︎❤︎」」
言い合う二人は得意げだ。白い返り血まみれになってしまったが、お互いに当初の目的は果たせた。
「ああ、でも、コレはまだ解きませんからね。」
「こちらのセリフです。自覚してください。」
「「貴女に自由は与えませんから⋯⋯❤︎❤︎❤︎」」
密着プレイを続けるためだけでも、お互いが恋しいためだけでもなく、それは歪んだ支配欲のような熱情の表れだった。
二人三脚、肩や太ももを密着させ、片手を恋人繋ぎにしたままリビングに向かうたきなとたきな。
精子のシミを隠すようにエプロンをつけ、台所に向かうと、朝ごはんの準備に取り掛かった。
「「また危険なそぶりを見せたら、何度でも制圧してあげますから⋯❤︎わたし⋯❤︎❤︎」」
互いに囁く唇は艶やかだった。お互いを縛り付け、密着したまま、二人の共同生活は進んでいく。
8ページ
寝室、ファーストの制服を着たリコリス二人。ベッドに並んで腰掛け、太ももや肩の当たる距離で、少女達はとりとめもないことを話していた。
ーーな~んか、やけに距離近いな~??ーー
元々近かったが、お互いにふたなりになり、睡姦し合って以来、二人の思考はそのことでジャックされていた。雌としてだけでなく雄としても求め合ってしまうようになったせいか、はたまた単に意識の違いか。どちらにしても、お互いを意識し始めた千束と千束が、互いの感情に気づくのにそう時間はかからなかった。
ーーこいつまさかぁ、私のこと好きなんじゃあるまいな???ーー
目線を下せば、目につくのはスカート。お互い隠しているつもりのようだが、こんもりと発情の証拠が盛り上がっているのがわかる。
「「⋯⋯♡♡♡」」
舌舐めずりをする千束と千束。どちらも、イタズラする側のモードに入ってしまったようだ。
「ね、気づいてないと思ってんの~?♡ この勃起⋯♡♡ 千束さんとお喋りしてるだけなのにぃ、なに硬くしちゃってんのかなぁ~?♡♡」
「あー先に言われた♡ そういう千束さんはどうなのかな~?♡♡ 喋ってるだけなのに自分にチンポ硬くしてる変態さんだよねぇ~?♡♡」
お互いのモノを優しく握り合い、その硬さを確かめるように撫で合いながら、互いに囁く千束と千束。その細い指は銃の扱いに長けており、からかうように亀頭を握り合ったり、カリを扱き合ったりするだけで腰が震えてしまいそうだった。
「ほらおっきしろ♡♡ おっき♡♡ 私でチンポシコってるんだろガチレズ~♡♡♡」
「そっちがおっきしろ♡♡ ほら♡♡ 私でシコってるガチレズはおまえだ~♡♡♡」
自分の痴態がバレてしまっている一大事だと言うのに、千束達は強気に言い返していた。お互い、受け身に回っては一方的に遊ばれてしまうことがわかっているのだ。
「「おお~♡♡ おチンポ伸びて来たぁ~デカ~♡♡♡」」
こんな見惚れてしまうようなモノを見て、されっぱなしなんてつまらない。二人はお互いに瞳にハートを浮かべながら、互いのスカートに手を突っ込んだ。
「「コレはボディチェックですねぇ~♡♡♡」」
触れているのは、パンツ。お互いのパンツの上から、互いのソレに触れ合っていた。
「あっ♡ こらっ♡ んあっ♡ ちょっとぉ♡♡」
「ふあっ♡ あんたこそっ♡ あっ♡ もぉ♡♡」
驚いたのはその硬さ、デカさ。二人は本能的に互いの勃起を握り合い、上下に擦り始めていた。まるでそのシルエットを、手の感触で覚えようとするかのように。
「「ビクビクするなあっ♡♡ チンポに武器隠してないか確認してんのっ⋯あぁあっ♡♡ あたしにまでシコシコボディチェックする必要ないぃいっ♡♡♡」」
お互いに命令し、お互いに喚くも、どちらも巨根を手放しはしないし、手放してくれない。肉棒が絶えず上下に扱かれる中、自分も相手の肉棒を扱き続けるしか無かった。
ーーもう一人の私とシコり合いっ!?♡♡ やばいやばいやばいっなんでこうなってんの!?♡♡♡
ーー嘘でしょっいやいやあり得ないしっ!?♡♡ 絶対おかしいってこんな自分とシコシコぉ♡♡♡
頭の中では理性がアラートを鳴らしているが、手を止められるはずがない。二人が扱き合っているのはメスの本能からで、とてもひ弱な理性に抗えるものではないのだ。
丁寧に、丁寧に、針の一本も隠せないよう互いの肉棒をボディチェックし合う。千束の手つきはプロフェッショナルで、お互いに絶対に何も隠せないことを痛感させ合ってしまう。
「「ッッッ~~~~♡♡♡」」
「イクイクイクイクっ⋯⋯♡♡」
「出る出る出る出るっ⋯⋯♡♡」
どちらの千束も限界だ。執拗なボディチェックに、これ以上は隠せないことを悟ったらしい。
「「隠してるもん全部出せっ♡♡ 私にこんなデカくて硬いの向けて許さないっ♡♡♡ 出せ出せイけイけっ⋯⋯♡♡♡」」
サディスティックなまでの高速コキの応酬。千束と千束、全く同じ巨根を、全く同じ手が扱き合い、追い詰め合う。
もはや千束達は、溜め込んでいるものを吐き出す以外に無かった。
「「あぁああーーーっあっあぁあーーーっ♡♡♡♡ イクイクイクイクーーーーッッッッ♡♡♡♡」」
どびゅるぅううーーーっ♡♡♡ びゅぐっ♡♡♡
それは壮絶な射精だった。お互いの手に屈したチンポとチンポが、情けなく蓄えた精を解き放っていた。床は一瞬にしてびちゃびちゃに汚れ、二人の千束の精液と精液が混ざり合うこととなった。
「ふーっ⋯♡ ふーっ⋯♡♡ まだ⋯終わってないからね⋯♡ ボディチェック⋯♡♡」
「んふーっ♡ んふー⋯♡♡ わかってるっての⋯♡ 私だってまだ終わってない⋯♡♡」
射精の余韻は重い。お互いの肩に身を預け、体重を支え合っていないと、二人して白い水たまりに膝から崩れ落ちてしまうだろう。
「んっ⋯♡ んんー⋯♡♡」
「あぁっ♡ こんの⋯♡♡」
ーーあーくさ♡ 私と私のザーメンくっさ♡ 混ざり合って2倍くっさ♡♡ーー
部屋を汚してしまった面倒臭さと、鼻をつく精子くささが余韻を倍増させる。手だけで達してしまった。お互いにお互いが興奮しまくっている証拠だ。
「認める気になった?♡ 変態ナルシストの千束さん?♡♡」
一方の千束が肩に寄りかかる分身に聞いた。けれど返ってくるのは、同じセリフ。
「だからそっちでしょ?♡ 変態ナルシストの千束さんは♡♡」
もちろんこちらも聞き返したところで、返事がもらえるとは思っていない。
「あくまでも隠し通す気なんだ♡ それだったらぁ⋯」
「そうやって意地張るんだったら考えがあるけど♡」
千束の負けず嫌い具合は、千束がよく知っている。そして千束の性欲の強さも、千束はよく知っている。お互いを組み伏せようと掴み合った二人は、くんずほぐれつ揉み合った後、ベッドに横倒しになっていた。
「「もっと凄いコト、してあげる♡♡♡」
互いに囁いた千束と千束、その唇はお互いの巨根の前に。69の体勢だ。
ーー告白するまで奉仕してあげる♡♡ ガチレズの私っ♡♡♡ーー
次に千束たちが突きつけ合ったのは、口という武器。可愛らしいながらも艶やかな唇を、互いの銃に向け合った。
「「んん~~~⋯⋯・ッ♡♡♡」」
密着、柔らかな唇の感触に声が漏れてしまう。数秒、ねっとり、べっとりと唇を亀頭に押し付け合った後、二人は可愛らしい音を立てながら離れた。
「「ま゛っ♡♡♡」」
ビクンビクンッ♡♡♡ それだけで感じ過ぎてしまう千束二人だった。
「キスでこれってぇ、しゃぶったらどうなんの私~?♡♡♡」
はぁあ~♡♡♡ 吐息をかけてビクビクする自分の反応を楽しむ千束。
「私も気になるな~試しにしゃぶってみたいなぁ~?♡♡♡」
はぁあ~♡♡♡ 強気に吐息をかけ返して、痙攣に笑う千束。
ーー雄の匂いすご⋯♡ こんなん咥えたらどうなっちゃうんだ⋯♡♡♡ーー
期待に胸が高まる、子宮が疼く。口を開けたのは同時だった。
「「じゃ、先に精子出した方がガチレズってことで♡ いただきま~す♡♡♡」」
いやらしく唾液でテカる口内に、互いの銃が飲み込まれる。
「「ん゛ん゛~~~~ッ♡♡♡♡」」
両目をぎゅっと瞑ってそのぬるぬるに耐えながらも、二人は絶叫した。喘ぎ声すらチンポに響いて、お互いに追い討ちしているかのようだった。
「んんむっ♡♡ んぐっんぐぼぉっ♡♡♡ ん゛ぉ゛お゛♡♡♡♡」
ーー雄の匂いめっちゃ濃いッ♡♡♡ フェラうまっ唾液ぬるぐちょで気持ちい゛ッ♡♡♡ こんなん耐えれるわけないってぇっ♡♡♡
「お゛んふぅう♡♡♡ んぶっんぐぽっ♡♡♡ お゛っっ♡♡♡♡」
ーーすっごい雄フェロモンだぁ~♡♡♡ チンポ舐めるのも上手すぎっぬるぐちょやばい゛ッ♡♡♡ これ我慢すんの無理ぃっ♡♡♡
お互いの巨根にも口にも喘いで、二人は腰と頭を前後させていた。お互いの舌をチンポで味わって、お互いのチンポを舌で感じて、頭がどうにかなりそうだった。
「「ん゛ッん゛ッん゛ッん゛ッん゛ッん゛ッ♡♡♡♡」」
ーーあ゛ぁあぁ゛♡♡♡ ぐぽぐぽ連続ストロークすんのダメだってぇえぇ♡♡♡♡ーー
自分もしているのに勝手な千束だった。もちろん口が塞がれているのに、内心でどれだけイヤイヤ言っても止めてもらえるわけがない。いや、意地悪な千束のことだ。仮にお互いに命乞いが聞こえたとして、蹂躙するのを止めはしないだろう。
ーーでもビクンビクンなってる私エロいッ♡♡♡ しゃぶり倒して告白させるぞぉ~♡♡♡♡ーー
なんならお互いの弱音が聞こえてもいないのに、Sな本気フェラに取り掛かった。
「ん゛ん゛ぅううぅッ♡♡♡」
ーーすごッ♡♡ 気持ちいっ♡♡ 私が本気出した瞬間本気出し返して来た♡♡ やっぱ私だな~こいつ~♡♡♡
千束はサディスティックな本気フェラに、ますます背徳感と興奮を感じて。
「ん゛ッん゛んーーッ♡♡♡」
ーーやばッ♡♡ 何そのフェラっ♡♡ 私の本気に本気で返さないでくれます~?♡♡ ほんと私なんだから♡♡♡
千束も本気のドSフェラに、不思議な高揚感を湧き上がらせていた。
ーー喉奥まで咥えちゃうもんね~ウマ~♡♡♡ーー
「「お゛ぉおおぉ~~~♡♡♡」」
互いにイタズラするようなノリで飲み込み合えば、そのあまりの快楽に両者寄り目になって悶絶。もう一人の自分の口内も極上のぬるぐちょ♡だったが、喉まで巨根をねじ入れられ咥え込む苦しさもまた快感だった。千束はドMでもあるらしかった。
ーーあームリ♡ 出るっ出る出る出るっ私の口にザーメン出るぅう~♡♡♡
ーーあっやば♡ 出る出るイクイクっ私にザーメン口内射精すりゅ~♡♡♡
咥え合いも腰の動きも激しくなり、絶頂寸前なのを露骨に見せつける千束二人。射精しようと互いの喉を貪る腰つきは、とても可憐なリコリスのものではなかった。
そしてそんなお互いの腰使いに、双方とも相手の射精寸前具合を悟る。これから自分の小さな口に、さっき暴発させ合ったような黄ばんだドロドロの銃弾をぶち込まれるんだと。
ーーああダメ待ってッ♡♡ そんなの出されたら気絶するッ♡♡♡ 頭狂うからッ♡♡♡ ザーメン弾で脳天ぶち抜かないでよォッ♡♡♡ーー
射精を乞うような強請るような濃厚フェラをし合っているくせに、説得力のない喚きだった。
「「んん゛ッ♡♡♡ ん゛ッんっんっん゛ッ゛♡♡♡ んんん゛ーーーッ♡♡♡♡」」
ーーあ゛ーダメチンポ出るッ♡♡♡ こいつも精子出る時の動きしてるッ♡♡♡ 同時だ♡♡ どっちの私も同時に射精して精子飲ませ合うんだこれぇっ♡♡♡♡ーー
相手がもう一人の自分ということも鑑みれば、その結論に至るのは当然だった。二人はこれから自分たちがお互いをどうするのか理解してしまった。
千束は千束の喉をコンドームにする。千束も千束の喉をコンドームにする。そんな濃厚精液を注がれたら理性が壊れるとか、メスイキしまくって気絶するとか、そんなお互いの命乞いを一切無視して、冷徹に。
ーーごめん私ッ♡♡ 出るッ♡♡ そっちの私も出すんだからお互い様だよねッ喉オナホにしても良いよねぇっ♡♡♡ーー
お互いの口に腰を押し付け、互いの根本にキスをする。奥の奥まで銃を突き入れ合った千束たちは、そのまま互いの喉奥に注ぎ込むように射精した。
「「ん゛お゛ごぉ゛おおおーーーーッッッ♡♡♡♡」」
口が塞がれているとは思えない絶叫、悶絶、射精。精液の濁流が喉に襲いかかると同時、自分も自分の喉に大量射精する快楽で下半身を砕かれ、上下の刺激に溺れることしかできなかった。
「んぶっ⋯んおおっ⋯⋯♡♡♡ 多っ⋯どんだけ興奮したんだよ変態♡♡」
「んぐっ⋯ぶふっん⋯⋯♡♡♡ そっちこそっ⋯出し過ぎ~この変態♡♡」
鼻や口から精子を漏らしつつ、お互いに囁く千束と千束。その言葉が強がりに過ぎないことは、声色からも目線からも丸わかりだ。
ーーあああウマっ精子ウマぁあ~♡♡ クるクるイグイグッ♡♡ 子宮よがり過ぎてノーハンドアクメしちゃう゛~♡♡♡ーー
注ぎ合った精子のあまりの濃厚さに、二人とも雌としての本能が発情し切っていたのだ。千束たちの子宮は、もう一人の自分たるお互いの精液の味にマジ惚れ。交尾の準備大急ぎになっていた。
「「ッッッ~♡♡♡♡」」
双方、脈絡なくイった。ビクンッ♡♡♡ 急に仰け反ったのが同時でなければ、お互いが何に反応したのかわからなかったことだろう。
「「そっちも私の精子でノーハンドアクメしてんじゃん♡♡ まんこ貸せナルシストっあんたが貸せぇ~♡♡♡」」
同時だったからには、同じ理由に決まっている。二人ともお互いのメス発情を察して取っ組み合った。69の姿勢だったのを、お互いの尻に掴み掛かって引き寄せ合い、互いの雄と雌、雌と雄を突きつけ合う。
「『千束大好き結婚したい』って白状するまで挿れてやんない⋯♡♡♡」
元々、告白させるための奉仕合戦だ。まして千束は訓練を受けたリコリス、この最高のタイミングで脅しをかけないわけがなかった。
「こっちのセリフ⋯早く言え『千束大好き結婚したい』って~⋯♡♡♡」
そして同じく訓練を受けたリコリスとして、千束がそれに脅し返さないわけもなかった。
ーーあぁああ~挿れたい挿れたい出したい搾りたいッ♡♡♡♡ このタイミングでそれ言うのズル♡♡ 反則♡♡ それやっていいの私だけなのにぃ♡♡♡ーー
二人は今、劣情に脳を乗っ取られている。勃起しまくり、濡れまくりでお預けを食らった千束たちが屈服するのは、早かった。
「「千束大好き結婚したい゛ッ♡♡♡ 愛してるから今すぐデキ婚しよ私ぃーーっ♡♡♡♡」」
叫び合い、互いに腰を抱き寄せ合う。柔軟に上体を起こして抱き寄せ合えば、唇も同時に重なる。
挿入、被挿入、そしてキス。三重の繋がりがもたらす快楽は、一瞬で千束の脳を焼き切った。
「「ん゛ぁああ゛あ゛ーーーーーッッッ♡♡♡♡」」
子宮を穿つ剛鉄。銃身を包み込む熱と柔肉。唇に感じる熱烈な愛。全てが千束には耐えられなかった。回避も防御も不可能だった。
「んっんぅうっ♡♡♡ あぁ好きっ私好きっ♡♡♡ 上も下も繋がってしあわへぇえ♡♡♡」
「んんんーーっ♡♡♡ 私も好きっ私好きっ♡♡♡ 挿れて挿れられてキスまでぇえ♡♡♡」
よだれを垂らしながら跳ねる千束。眠らせて一方的に挿れるだけでも最高だったもう一人の自分のカラダが、今度は雄としても自分を貪ってくるのだ。二重の快楽を叩き込まれて、気が狂わないではいられない。
「「やだやだんぶうっ♡♡♡ んっんむっんぢゅるっ⋯♡♡♡ ぢゅるる~⋯⋯ッ♡♡♡ んむうぅ~~~ッ♡♡♡」」
ーーキスハメらめぇえぇ~~~~ッ♡♡♡♡ーー
無意識にますます濃厚に、舌を絡め合うディープキスまでしてしまう。
ーー何この名器っお互い挿れ合ってるとますますすごいッ♡♡♡ 子宮が吸い付いて来て精子ねだってるぅっ♡♡♡
ーーしゃぶりついてくる~このクソエロ名器めぇ~♡♡♡ 子宮にチンポ吸い付かれて精子吸われる゛ぅうッ♡♡♡
お互いのうねりにもまた悶絶していた。互いを欲して欲してしょうがなかった秘部は強引なほど互いの機関銃を受け入れ、咥え込み、扱き倒してくれるのだ。
「「んぢゅるぅう~~~ッ♡♡♡♡」」
ーー涎も美味ぁあ~♡♡♡ 私とセックスすんの最高ぉ゛~♡♡♡ーー
千束たちは堕ち切っている。リコリスのすべすべで引き締まったカラダは、同じリコリスにとっても致命的な凶弾そのものだった。顔を真っ赤にして貪り合う千束たちの姿は、お互いという媚薬にとろけ切ったメスでしか無かった。
ーーエロいッ♡♡ エロい゛ッ♡♡♡ イクイクイグイグ♡♡♡♡
ーーエロ過ぎて頭おかしくなる゛ッ♡♡♡ あ゛ーーッ♡♡♡♡
可憐なリコリスが雄の欲望に任せて、同性に、それももう一人の自分に腰を振っている。その卑しさと恥ずかしさを実感すればするほど、耐えられない興奮にますます腰が加速する。
ーー1突きごとに子宮揺さぶられるっ奥まで叩かれる♡♡♡ 太過ぎて硬過ぎて膣広がっちゃう゛ッ♡♡♡
ーー腰振るたんびに喘がされるっ反則だろこの巨根ぅ♡♡♡ 私のチンポ太いッ硬いッデカいぃ゛ッ♡♡♡
更にはお互いの反則な巨根にまで悶絶。キスしながら挿れられ犯される快楽は、千束にはまだ早かったようだ。どちらの千束もお互いの銃に、完全に雌が征服されていた。
「「ぷはあっ♡ 名器でデカチンポとかズルでしょそれぇっ♡♡♡ イグぅぅぅ⋯⋯♡♡♡♡」」
酸欠でキスをやめれば、出て来るのは唾液と泣き言ばかり。濃厚に混ざり合った唾液の糸を垂らしつつ、お互いのカラダの快楽に両者降参宣言していた。
ーーそんなエッロいセリフ言われたらぁああぁ♡♡♡♡ーー
その降参宣言が不味かった。
「また出るっ精子出るぅっ♡♡♡ 今度はココに出すよっ!?♡♡ ナカに出すよぉっ!!?♡♡♡」
千束はとっくに限界なのだ。それなのに甘い言葉を吐かれたら、一気に快感が競り上がってくるのは必然。
「あぁっ私も精子出るぅう♡♡♡ 私もココに出すっ♡♡ 私のナカに出すからねぇっ!!?♡♡♡」
同じ限界の千束も、分身の甘い言葉に追い討ちされてもう我慢できない。一気に快楽が溢れてくる。
「「イクイク出る出るッ♡♡♡ 私とお互いのナカにデキ婚確定濃厚射精し合っちゃう゛~~~ッ♡♡♡♡」」
千束たちの声が重なる。動きがシンクロする。まるで一つの生き物のように粘着質に、執拗に絡み合い、愛し合った末、千束と千束は同時に達した。
「「あ゛っへぇええ゛え゛え゛ぇ゛ーーーーッッッ♡♡♡♡♡」」
どびゅるびゅぐーーーっっっ♡♡♡ びゅぐびゅぐどっびゅうーーーーっっっ♡♡♡♡
互いに舌を突き出し、あらぬ方向を見上げ、全力で愉悦に身を委ねながらの仰け反り絶叫射精アクメ。過去一番の多幸感に飲み込まれた千束と千束は、ついに意識を手放していた。
「あ゛⋯♡ あ゛あ⋯⋯っ♡♡ デキ⋯ちゃっ⋯たぁ⋯⋯ッ♡♡♡」
「ん゛ぉ⋯♡ お゛⋯っ♡♡ これ⋯デキた⋯かもぉ⋯⋯ッ♡♡♡」
無意識にお互いに呟く間も、互いに挿入しっぱなし。絶対に離れたくない、離したくないと言いたげだ。
二人はしばしどのままでいた。子宮に撃ち込まれた互いの銃弾が、意識を取り戻してなお千束たちの肌を熱くしていた。
9ページ
今日も今日とて昨日と変わり映えしない密着生活を送った後。たきな達は寝る時さえも拘束し合いっぱなしだった。お互いに密着して深い息を立てるたきな達の寝顔は、どこか赤らんで余裕が無さそうだ。
「「んん⋯ぅ⋯❤︎❤︎ んんーー⋯⋯っ❤︎❤︎❤︎」」
ビクッ❤︎ ビクッ❤︎❤︎❤︎ 突然痙攣するのさえ、密着する肌から伝わってしまう。鼻を独特の匂いがかすめて来る。
ーー密着して寝ていたら出してしまいました⋯もう一人のわたしもですね⋯❤︎ 夢精⋯⋯でしょうか⋯⋯❤︎❤︎❤︎ーー
縛り合って寝ているだけ。ただそれだけのことが、たきな達には堪えようのない快楽だった。お互いの太ももに太ももが当たる刺激さえ快感で、自分がどれほどもう一人の自分に恋しているのかを自覚させられてしまう。
目を瞑ったまま拘束を解くと、二人はモゾモゾと動き、お互いの股に膝を滑らせた。
ーー寝ながら勃ってる⋯いやらしいですね⋯❤︎❤︎ーー
千束にトランクスを捨てられてしまったせいで、隠し切れなかった巨根が精液を撒き散らしていた。二人の腰回りが、お互いの液でドロドロだ。
絡み合っていた太ももを外せば、どろり⋯❤︎❤︎❤︎ 精液と愛液が糸を引く。
「「ふーっ⋯❤︎❤︎ ふーっ⋯❤︎❤︎❤︎」」
ーー息が荒い⋯もう一人のわたしも身体の反応は正直ですね⋯❤︎❤︎❤︎ーー
身体の擦り付け合いで果てた余韻は重い。けれど気怠げにモゾモゾ寝返りを打って、一方のたきなは仰向けに、もう一方はそれに半身を重ねる程度に寄り添ってうつ伏せになった。
「「あ⋯❤︎」」
ーー硬い⋯❤︎ーー
そして片足を持ち上げ、お互いの股間の銃に触れた。そのマシンガンは一発放ってもなお硬く、握りやすく膨張していた。
けれど使うのは、手ではない。肉厚な太ももの下敷きにすると、膝を曲げ、互いのモノを膝裏に挟んだ。
ーーこんなに硬くしては可哀想ですね⋯❤︎ もう一度夢精させてあげましょう⋯❤︎❤︎❤︎ーー
「「んぁ⋯っ!?❤︎❤︎❤︎ あっ⋯⋯!?❤︎❤︎❤︎」」
ーー嘘⋯こんな⋯❤︎ ああっ膝裏で陰茎を締められてっ身動きができませんっ⋯❤︎❤︎❤︎
ーー寝相でこんなことをしてくるなんて⋯❤︎ とことんいやらしい偽物ですね⋯❤︎❤︎❤︎
互いを罵りながらも、その実ますます股間を硬くしてお互いの責めに悦んでいるのは丸わかり。
「んんっ❤︎❤︎ ふっんっ❤︎❤︎❤︎ んぅうう⋯⋯❤︎❤︎❤︎❤︎」
たきなの膝裏で上下され、たきなは甘い声を出して。
「んあっ❤︎❤︎ はっあん❤︎❤︎❤︎ んっんん⋯⋯❤︎❤︎❤︎❤︎」
そのたきなに膝裏コキし返されて、たきなも喘ぐ。
「「はあっはあっ⋯❤︎❤︎❤︎ あぁ⋯❤︎ あぁあぁ⋯っ❤︎❤︎❤︎」」
興奮してビキビキの肉棒を、容赦なく絞め合い、扱き合う。寝ているはずのもう一人の自分に容赦なく膝裏コキされて、自分も同じように扱き返して、どちらも気持ちよさそうに震えていた。
ーー腰が動いてしまいますっ❤︎❤︎ もう一人のわたしもへこへこして可愛い⋯❤︎❤︎ このままお互いの膝裏に射精しましょうねっ⋯❤︎❤︎❤︎ーー
「「あっあっあっ⋯❤︎❤︎ はあっあっ❤︎❤︎ あぁああぁ⋯⋯っ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
はやる息、震える腰、お互いを射精させようと更に激化する脚の動き。
「んんぅううっ❤︎❤︎❤︎」
「んっんんーっ❤︎❤︎❤︎」
ーー絶対射精するまでシコシコ許してくれないっ❤︎❤︎ 寝ながらこんなサディスティックな膝裏コキしてくるなんて才能ありすぎますっ❤︎❤︎❤︎ イクぅううっ❤︎❤︎❤︎ーー
たきな達の限界は同時に近づいていた。敏感な股間をいじめ合う快感に、どちらのたきなも我慢し続けてはいられなかった。
互いを気絶するまで蹴り合った脚で、互いの雄の欲望を慰め合い喘がせ合う背徳。たきな達はその不思議な背徳に、魂の底まで浸かっていた。
ーーもう無理っ出ますっ❤︎❤︎ 寝てるわたしに脚でおチンポいじめられて精子びゅーびゅーしますっイグゥウーーーーッッッ❤︎❤︎❤︎❤︎ーー
「「あ゛ぁああっ!?❤︎❤︎❤︎ あっあ゛ぁああ゛ーーーーっっっ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
どっびゅぅうーーーっびゅぐーーーっ❤︎❤︎❤︎❤︎
太ももや胸、腹への間接的な刺激でもイったのに、直接扱き合って我慢できるはずが無かった。たきな達は同時に達した。飛び出た精液はお互いの美脚を存分に汚して、まるで二匹の犬がマーキングし合うかのようだった。
ーーあぁあくさ⋯❤︎❤︎ わたしの精子臭が脚にこびりついてしまう⋯❤︎❤︎❤︎
ーーう⋯精子くっさぁ⋯❤︎❤︎ でも起こしてしまったらどうなるか⋯❤︎❤︎❤︎
掃除しようとすれば起こしてしまう。それは一因に過ぎない。本当はもう一人の自分を汚して、もう一人の自分に汚されたその状態が幸せでたまらなかったのだ。
絶対に拭いたくないし、拭わせたくない。二人の理性が『綺麗にしたい』とどれだけ喚いても、二人の本能がそれを許さなかった。
「「すぅぅーーー⋯⋯ふぅーーーっ⋯⋯❤︎❤︎❤︎❤︎」」
自分ともう一人の自分、二人分の精液の幸せな匂いに包まれながら、二人は理性を手放した。
ーー寝ながら二度も射精したわたしは、どんな顔をしているのでしょうか⋯寝顔を確かめるくらい、良いですよね⋯?❤︎❤︎❤︎ーー
ゆっくりと目を開け、お互いのとろけた寝顔を想像しながら見つめ合うたきなとたきな。同時に互いの寝顔を確かめようとし合ったせいで、バッチリ目が合ってしまった。
「なに、見てるんですか。」
「⋯そういう貴女こそ。」
ーーあぁああっ顔がイイっ❤︎❤︎ 同じわたしなのにどうしてこんなに魅了されてしまうのですかっまた勃起する゛ぅうッ❤︎❤︎❤︎ーー
冷淡な言葉と、お互いの美貌に釘付けの内心。二人の表情はといえば、平静を保とうとしていながらも頬を真っ赤に、涎を垂らして、完全にメス顔と化していた。もはや誘惑しているのとほとんど同じ表情だった。
「「ん⋯⋯❤︎❤︎❤︎❤︎」」
お互いに目が離せない。下半身がムクムクと成長していく。パンツが濡れていくのがわかる。
「なんでメスの顔で見つめて来るんですか⋯❤︎❤︎ 勘違いするじゃないですか⋯⋯❤︎❤︎❤︎」
「貴女だってそんなメスの顔で私を⋯❤︎❤︎ 告白しているのと同じですよもう⋯⋯❤︎❤︎❤︎」
お互いがお互いに勘違いすれば、それはもう勘違いではない⋯⋯はずだが、負けず嫌いなたきなとたきなの場合は一筋縄ではいかないのも確かだった。
「「⋯⋯メスの顔をしてるのは貴女です⋯❤︎❤︎」」
惚れた弱みという言葉があるが、たきなは同じ自分に隙好きを晒すのが嫌だった。負けたような気がするし、実際そうなれば『貴女はわたしのこと好きなんですから』と高圧的に接されることが分かり切っていた。
「意地っ張りですね⋯認めるまでいじめてあげても良いんですからね❤︎❤︎❤︎」
起き上がり、分身の下半身側へと這い寄りながら凄むたきな。
「意地っ張りはどっちですか⋯認めるまでいじめてあげます、わたし❤︎❤︎❤︎」
対するたきなも差し出される下半身を抱きながら、同じく凄んで返した。
「「貴女の勃起❤︎❤︎❤︎ いじめ倒して屈服させてあげます❤︎❤︎❤︎」」
舌なめずりをしたのは同時だった。二人、その艶やかな唇を唾液で湿らせながら、お互いのパンツを剥ぎ取り合う。
ーーお゛ぉお~~❤︎❤︎❤︎ なんてサイズっ太さっ雄くささっ❤︎❤︎❤︎ こんなにしておいて認めないとか馬鹿なんですか❤︎❤︎❤︎ーー
露わになった重機関銃は、お互いの想定を遥かに凌ぐモノだった。ここまで硬く大きくしているのに、自分に惚れていないわけがない。責めれば落ちるのは一瞬だ。そうどちらも口を開け、互いのモノにしゃぶりついた。
「「ん゛ッ❤︎❤︎❤︎ ん゛ぉお⋯⋯❤︎❤︎❤︎ お゛ぉおぉっ⋯⋯❤︎❤︎❤︎❤︎」」
いきなりくぐもった声が漏れてしまうたきなとたきな。ぞわぞわ❤︎❤︎❤︎ 背筋が震えてしまう舌責めは、同じたきな同士互角の腕前だ。
「んぢゅれろぉっ❤︎❤︎ ぢゅるっん゛むーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎」
ーーどうですか❤︎ 私のねっとりフェラ❤︎❤︎ 逃げられない快感で溶かされる心地でしょう❤︎❤︎❤︎
喘ぐ分身に得意げな目を向け、その執拗で粘着質な責めを仕掛け続ける。もっとも得意げでいられるのは一瞬だけ、すぐに自分も強制的にメス顔をさせられてしまうのだが。
「ぢゅるるれろぉ❤︎❤︎ んぢゅるっん゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎」
ーーそんなにイイですか❤︎ 私のねっとりフェラ❤︎❤︎ 舌で捕まえて絶対逃しませんからね❤︎❤︎❤︎
喘ぐ側と勝ち誇る側が逆転。同一人物同士の責め合いは、なかなか一方が有利になるというようなことはない。
ーーあぁあっでもわたしも感じるッ❤︎❤︎❤︎ なんですかこの精度っ1ミリもズレずに弱点撃ち抜いて来ないでください゛ぃっ❤︎❤︎❤︎❤︎ーー
たきなの舌は蛇のように絡みついて、的確に弱点を狙い撃ってくる。ねっとりとした舌責めの応酬に、どちらも腰がビク❤︎ビク❤︎飛び跳ねていた。
ーーこれならどうですかッ❤︎❤︎❤︎
「ん゛ぉ゛お゛おぉーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎」
じゅっぽじゅっぽ❤︎❤︎❤︎ ぐっぽぐっぽ❤︎❤︎❤︎ 舌で快感を蓄積していたところに刺さる、激しいストローク舐め。唐突に襲いかかる苛烈な快楽に絶叫するたきなだったが、すぐさま鋭い視線で睨み返した。
ーーお返しですッこの変態❤︎❤︎❤︎
「ん゛ぉ゛お゛おぉーーーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎」
じゅっぽじゅっぽ❤︎❤︎❤︎ ぐっぽぐっぽ❤︎❤︎❤︎ ねっとりベロフェラで快楽が蓄積しているのはこちらも同じ。熾烈なストロークで返されれば、当然悶絶してしまう。
「「ん゛ッ❤︎❤︎❤︎ ん゛ーッ❤︎❤︎❤︎ んぶうぅッ❤︎❤︎❤︎ ん゛ぉ゛お゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
それでもたきなは責め返し、対するたきなもまた反撃。お互いに悶えながらお互いにしゃぶり合う、まさにいじめ合いデスマッチが繰り広げられていた。
ーーとっくにフル勃起してるのに更に勃起させられるみたいッ❤︎❤︎❤︎ 人の性欲を刺激するのが上手すぎますッ❤︎❤︎❤︎❤︎ーー
千束のがパワフルとすれば、たきなのはねっとりフェラ。いずれ射精させられるのはもちろんのこと、その前に限界まで我慢汁を搾り出され、限界まで勃起させられてしまうのだ。
「ん゛ぁあッ❤︎❤︎❤︎ お゛ッ❤︎❤︎❤︎ お゛ぉ゛お゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎」
雄叫びを上げっぱなしになりながらも、たきなはフェラ責めを決して止めず。
「お゛ほぉッ❤︎❤︎❤︎ ん゛ォ❤︎❤︎❤︎ お゛ぉ゛お゛ーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎」
股間の痺れで叫び続けながら、たきなも決してフェラ責めを止めない。
「「ん゛ッん゛ッん゛ッん゛ーーーッッッ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
切羽詰まった喘ぎ声で、射精寸前なのが丸わかりだ。腰までヘコヘコ❤︎❤︎振って射精しようと甘え合いながら、高いの肉棒に執拗にディープキスし合うたきなとたきな。
ーーイグッ❤︎❤︎ イグゥウ゛❤︎❤︎❤︎ わたしの喉名器過ぎてチンポアクメ我慢できませんっわたしと同時口内射精しちゃうぅーーーーッ❤︎❤︎❤︎ーー
射精する気満々の腰使い、飲み込む気満々の濃厚フェラ。たきなとたきなの限界は、やはり同時に来た。
「「お゛ッごぉ゛おおお゛ーーーーッッッ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
熾烈な舌責めに屈して大量射精する快楽が、喉と胃を埋め尽くす大量精液と同時に襲ってくる。あるだけ解き放ち、あるだけ喉に注がれる快感は、たきな達の理性をついに0にした。
「まだッ⋯意地を張る気ですかっ⋯⋯❤︎❤︎❤︎」
「貴女こそッ⋯限界でしょうにっ⋯⋯❤︎❤︎❤︎」
注ぎ込まれた精液の濃度と量に、二人の感情はお互いにバレバレだ。けれど服従宣言をしない互いの態度に、たきな達は更なる犯し合いを強いられることになる。
「コレで直接犯して搾り取ったら、流石に態度を改めるでしょう?❤︎❤︎❤︎」
突きつけたのは射精直後の肉棒と、ぐちょどろに濡れた秘部。どちらも交尾の準備はバッチリだ。
「犯され搾られるのは貴女の方ですけどね、もう一人のわたし?❤︎❤︎❤︎」
もちろん対するたきなも肉棒と秘部を見せつけて返す。こちらも交尾の準備は万端。
腰を寄せ合い、お互いの銃口を互いの秘部に突きつける。あるいは互いの銃身を咥え込もうと狙いを定める。雄としても雌としても同時に繋がり、お互いの雌雄どちらもをいじめ倒して屈服させようというのだ。
「「良いんですかッ!?❤︎❤︎ わたしに惚れてる身でこんなこと⋯刺激が強過ぎるんじゃないですか!?!??❤︎❤︎❤︎」」
お互いに脅し合ったのは同時。同じセリフを被して来る時点で、この脅しは効かなさそうだ。
ーー退がってはくれませんね⋯❤︎❤︎❤︎
ーー同じセリフを返して来た⋯❤︎❤︎❤︎
お互いの様子に悟る。もうたきな達は引き返すことのできない状況にあるのだと。
ーーやはりイジメ倒して屈服させるしか無さそうです⋯⋯❤︎❤︎❤︎ーー
二人はお互いの腰を引き寄せ、互いの秘部と肉棒をそれぞれ食べ始めるのだった。
「「ん゛う゛ッ!!?❤︎❤︎❤︎ ん゛ぁああーーーっ!??❤︎❤︎❤︎ い゛や゛あ゛ぁぁーーーーッ!?!?!❤︎❤︎❤︎❤︎」」
一瞬にして競り上がって来る快楽、絶叫。両片想い中のたきなとたきなには、やはり刺激が強過ぎた。
ーーとろとろまんこ名器過ぎますッ❤︎❤︎❤︎ デカチンポ強過ぎッ❤︎❤︎❤︎ 腰振られたらどうなるんでしょうかぁ⋯⋯っ❤︎❤︎❤︎❤︎
ーーなんて熱くて柔らかい名器ッ❤︎❤︎❤︎ ガッチガチの巨根ッ❤︎❤︎❤︎ もしこれで腰を振られたらっわたしはぁ⋯⋯っ❤︎❤︎❤︎❤︎
どちらのたきなもお互いのカラダに戦慄していた。戦慄していながら、止められなかった。
「なんか聞こえましたよ? なんですか今の声は?❤︎」
「貴女がうるさかったように聞こえましたけど?❤︎」
煽り合い、再び突きつけ合う。
「「わたしに屈服するのなら腰を振るのは容赦してあげます❤︎ 選んでください❤︎❤︎ 快楽堕ちさせられるか今のうちにわたしに下るか❤︎❤︎❤︎」」
一瞬の思考。すぐにたきな達は一つの結論に両者辿り着き、声を重ねて言い合うのだった。
「「もう一人のわたしをわたしの物にできないなんて嫌だッ❤︎❤︎❤︎ 絶対犯し潰して屈服させま゛す゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
お互いへの所有欲と支配欲に、完全に乗っ取られていた。互いに恋するたきなとたきなに、犯し合わず白旗を上げるなんて選択肢はない。例え想像以上の巨根と名器に背筋がゾクゾク❤︎❤︎❤︎敗北を予感しているとしても、止まることはできなかった。
「イキ果てなさいわたしッ❤︎❤︎❤︎」
「潰れてくださいわたしッ❤︎❤︎❤︎」
腰を動かしたのは、同時だった。
「「ん゛ぁ゛あっはぁん゛ッ!?!❤︎❤︎❤︎ あ゛ひぃいーーーっ?!?❤︎❤︎❤︎❤︎ オ゛ッオ゛ォ゛オ゛オ゛ォ゛!?!?❤︎❤︎❤︎❤︎」」
あまりにも良過ぎるカラダの相性に、両者絶叫が抑えられない。腰を振るたびに脳まで痺れるような快感が走って、それが続いて決して逃がしてくれないのだ。
「あ゛ッあ゛ッあ゛ッお゛ぉ゛ッ❤︎❤︎❤︎」
自分も負けじと腰を振りながら、仰け反ったり舌を突き出したりして必死に快感を逃がそうとするたきな。
「お゛ッほ゛ッお゛ッん゛ぉ゛ッ❤︎❤︎❤︎」
同じく腰を振り返しながら、跳ねたり涎を垂らしたり快楽に悶絶し続けるたきな。
ーー根性比べじゃ勝ち目ないッ❤︎❤︎❤︎ 弱点ッ❤︎❤︎ 弱点突かないとォ゛ッ⋯⋯❤︎❤︎❤︎ーー
お互いに敗北を確信、戦法を変えようとしたのも同時だった。
「「お゛おおぉおーーーッッッ!?!?❤︎❤︎❤︎❤︎ 同時にポルチオ狙撃しないれ゛ぇ゛え゛ッら゛め゛ぇ゛え゛ぇ゛ーーーーーッッッ!?!?❤︎❤︎❤︎❤︎」」
子宮という弱点を寸分狂わず狙い撃ち合い、またもたきな達は同時に仰け反った。その狙撃の正確さは、ベッドの上でも健在のようだ。
「お゛ッ!?❤︎❤︎ お゛ッ!!❤︎❤︎ お゛ッッ❤︎❤︎❤︎ ん゛お゛ッ!!!❤︎❤︎❤︎❤︎」
「そっちがその気ならっポルチオ連射してガチイキさせますから゛ッ❤︎❤︎❤︎ わたしと我慢比べをしようとしたことを後悔しなさい゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎」
必死の形相で狙撃される快楽に耐えようとするも、とても堪え切れるものではない。たきなの感じ顔はたきなに丸見えだった。
「ん゛ォ!?❤︎❤︎ お゛っほ!!❤︎❤︎ お゛ッ❤︎❤︎❤︎ ん゛ぉ゛お!!!❤︎❤︎❤︎❤︎」
「わたしだって負けませんッポルチオ連射ガチイキデスマッチなら゛ッ❤︎❤︎❤︎ わたしと狙撃勝負しようなんて本当に馬鹿なんですね゛ッ❤︎❤︎❤︎❤︎」
けれどもう一人の自分を快楽地獄に叩き込んでいるたきなもまた、狙撃し返されてアヘ顔だ。その顔はもちろんもう一人のたきなに丸見え。
「「下品な顔っ❤︎❤︎ そんなにわたしのカラダが良いんですねっ??︎❤︎❤︎」」
揃ってからかい合えば、苛立ちで互いを黙らせるしかなくなってしまう。
「「んんぅ~~~ッ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
お互いの口を口で塞いだ。唇同士を重ね合い、吸い付き合ったかと思えば、ぬるりと舌を出して丁寧に舐め合い始める。
「んむッんんぅう~~~ッ❤︎❤︎❤︎❤︎」
ーーキスハメ対決ですが⋯負けませんよ❤︎❤︎❤︎
濃厚なディープキスも、熾烈な腰振りも、対抗心と嗜虐心剥き出し。
「んッんんむぅう~~~ッ❤︎❤︎❤︎❤︎」
ーー私の方がどっちのテクも上ですから❤︎❤︎❤︎
当然、たきなも濃厚ディープキスに容赦ないピストン、サディスティックな責めで返す。
「「んぢゅるッん゛ぉ゛お゛~~~っ❤︎❤︎❤︎❤︎ お゛ほぉおぉ~~~~❤︎❤︎❤︎❤︎」」
口を突き出して互いの舌をしゃぶり合いながら、お互いの巨根と名器に喘ぐ二人のたきな。
欲情に任せて唾液を啜り合い、腰を振って犯し合う。可憐なリコリスとは到底思えない痴態に、二人の興奮は増すばかり。
ーーキスうまっ❤︎❤︎❤︎ 口だけでイキそうですっ❤︎❤︎ 生意気ですねっ偽物のくせにぃぃ❤︎❤︎❤︎ーー
本気で『偽物』と見下しているわけではない。これはお互いへの征服欲の表れだ。絶対に屈服させる決意が聞こえて来そうなキスハメのぶつけ合いに、たきな達は限界だった。
ーーああダメイクッ❤︎❤︎❤︎ わたしの中に出ますっ出しますッ❤︎❤︎❤︎ 全部受け止めてくださいッ❤︎❤︎❤︎
ーーイクイクイクッイキますわたしっ❤︎❤︎❤︎ わたしの中に出しますからねっ❤︎❤︎❤︎ 受け取ってッ❤︎❤︎❤︎
「「ん゛ん゛ッ❤︎❤︎❤︎ ん゛ん゛ん゛~~~~ッッッ!!?❤︎❤︎❤︎❤︎」」
ついに限界が近づいて来た。たきな達の声量は延々と増しに増して、腰の激しさもキスの熱烈さもエスカレートし続ける。お互いが絶頂寸前なのを感じると、子宮が熱くなるたきなとたきなだった。
「「ぶはあっ❤︎」」
「イキますっわたしっ❤︎❤︎❤︎ わたしの中に出しますねっ❤︎❤︎❤︎ とっとと屈服しなかった貴女が悪いんですからねッ❤︎❤︎❤︎❤︎」
「わたしもイキますわたしっ❤︎❤︎❤︎ わたしの中に出るっ❤︎❤︎❤︎ いつまでも意地を張るから中出しされるんですよッ❤︎❤︎❤︎❤︎」
お互いの許可を得ようともしない、相互強制種付け。もっとも例えお互いに確認したとしても、どうせ二人は頷く一択なのだが。
お互いに種付け射精するため、そしてお互いの精を搾り尽くすため、ついに本気の腰振りをぶつけ合うたきな達。自分が果てるのを厭わないどころか自分が果てるための腰振りは、お互いにオーバーキルだった。
「「出すッ❤︎❤︎ 搾るッ❤︎❤︎ オスでもメスでもアクメしますう゛ぅうーーーッ❤︎❤︎❤︎❤︎」」
「「ん゛ぉ゛ッほお゛お゛ぉ゛ーーーーーッッッ!?!!?❤︎❤︎❤︎❤︎」」
どびゅるびゅぐーーーっっっ❤︎❤︎❤︎ びゅぐびゅぐどっびゅうーーーーっっっ❤︎❤︎❤︎❤︎
過去最大の濃度・量・勢いの射精。それは二人がお互いを屈服させた証拠でもあり、お互いに屈服した証拠でもあった。
「あぁ⋯❤︎ 感じます⋯❤︎ あなたの精液がここを満たして⋯わたしの精液を全部受け止めさせたのを⋯⋯❤︎❤︎❤︎」
余韻に浸りながらたきなは、甘い声でそう呟いた。それは分身に向けて言ったというよりは独り言に近かったが、もう一人のたきなもこう続けていた。
「はぅ⋯❤︎ わたしも⋯❤︎ お互いの精液を搾り尽くして注ぎ尽くして⋯子宮でもチンポでも感じます⋯⋯❤︎❤︎❤︎」
意識の半分なくなったようなとろけた顔は二人とも。気絶寸前の多幸感に酔いしれながら、たきな達は愛おしそうに自分達の腹を撫でていた。
10ページ
「たきな! 探したぞ!! 手間をかけさせてくれたな⋯⋯っ!!」
「電波塔じゃないっすか! なんでこんなとこ捕まってるんすか!?」
翌日。DAの面々が窓から突入して、千束と千束、たきなとたきなは救助された。
「「敵地で相討ちになってしまい、気絶してる間に⋯すみません。」」
「「おそーい! どんだけ待ったと思ってんの~!」」
声を揃えて頭を下げるたきな、逆に文句を言う千束。
ーーもっと、やり合いたかったなぁ~⋯♡♡♡ーー
ーーまた敵同士に戻ってしまうのは、寂しいですね⋯⋯❤︎❤︎❤︎ーー
救助され、それぞれの陣営に回収されながらも、4人2組はお互いを残念そうに見つめていた。周囲のリコリスは、「敵の動向を確認しているのか」程度に認識していたことだろう。その視線が恋慕の視線であることは、それぞれ二人だけの秘密だ。
そんなあっさりとしつつも切ない別れを経た後。敵同士に戻った彼女たちはお互いへの感情を隠しつつ、時に隠せなくなりながら、また何度もぶつかることになる。今日も今日とて2組の少女達は、お互いに距離を取って銃弾を装填していた。
「今日も、しましょうか。」
「負けた方が弾代出すんですよ。非殺傷弾、高いんですから。」
「殊勝ですね⋯そんな態度が取れるのも今だけですよ。今日こそ払ってもらいますからね。」
「こちらのセリフです。貴女のためにわざわざ用意してるんですから、ちゃんと負けて払いなさい。」
言い合っているのはたきなとたきな。その横で、千束と千束もじゃれ合いながら戦闘の準備に入っている。
「骨のある練習相手がいて嬉しいよ私は~! 今日も接近戦でボコボコにするから♡♡♡」
「私も嬉しい! 嬉しい嬉しい! ⋯ふふっ。接近戦でボコボコになるのはそっち~♡♡♡」
背中合わせに構える千束とたきな2組。二人の並びは随分と様になっていた。もはや千束とたきなはベテランコンビだった。
「「行きますよ、千束。」」「「あいよ、相棒!」」
かくしてかたや近接戦、かたや中~近距離での狙撃合戦を互いに挑む千束と千束、たきなとたきなだったが⋯⋯
「「なんで相討ちなのッ!? 負けたいのに゛ッ!! 勝ちたいのに゛ッ!! 相討ちもゾクゾクしますけど⋯⋯わたしと雌雄を決したいの゛に゛ッ!!!」」
「「またあいこ~!? もうあいこ飽きた~!! あいこも良いけど⋯じゃなくて、勝ったり負けたりしたい~っ!! ちゃんとやってよ私~!!」」
試合展開は、誘拐される前のバトルとなんら変わらないものだった。4人ともいい加減その試合結果に飽きて来ているのだが、ついつい互いを誘ってしまうのもまた変わらなかった。
「ねぇ私♡ 次はこっちの接近戦♡ しよ♡♡」
「ひゃ~♡ 私ってばスケベ~♡ 良いよ♡♡」
千束と千束がしたいのは、撃ち合い以上に撃ち合いの後のそれなのだから。
「ここなら、つきませんか❤︎ 決着❤︎❤︎」
「ええ、ここでつけましょう❤︎ 決着❤︎❤︎」
そしてたきなとたきなもまた、本当の目的はそれなのだから。
「「「「あ゛ぁ゛あああッお゛ッお゛ッん゛ぉ゛お゛お゛ーーーーーッッッ❤︎♡❤︎♡❤︎♡」」」」
少女達の喘ぎ声は、銃声より激しく廃墟の中に響き渡っていた。
「たきなさぁ、あっちのたきなと仲良すぎない?」
「千束こそ何があったんですか?」
「むー⋯い、良いじゃん私のことは!」
「だったらわたしも言いません!」
それぞれ喫茶店に戻った後、お互いに相手の分身に嫉妬する二人が見られるのだが,それはまた別のお話。