概要
『桃太郎電鉄シリーズ』の第24弾であり、前作『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~]]』(以下『前作』)以来3年ぶりの新作。
『前作』とは異なり舞台は地球全体であり、シリーズとしてみるならばDS版『桃太郎電鉄WORLD』以来、据え置きゲーム機に限定するならば[桃太郎電鉄USA]]』以来となる。
2023年2月9日の「Nintendo Direct 2023.2.9」で開発が発表された。
本作では舞台を地球単位としているためか、マップが平面ではなく球体を意識したものになっているのが特徴的である。
ゲームシステム
新要素・変更点
本作はシリーズ作品であるため、基本的なルールは省略し、『前作』からの新要素・変更点を解説する。
舞台が世界規模になった
- 『前作』をはじめとした本シリーズの基本的な舞台は日本列島であるが、本作では舞台が地球全体に拡張された。
- 1国につき1駅しか物件駅がないケースも存在するものの、主要な国についてはほぼ網羅されている。
- マップが広くなっているため、空路が増えている。
- 明らかに空路の移動を妨害するカードも追加されており、空路を活かすことがポイントとなる。
新しい特殊ボンビー
- 本作では「世界旅行ボンビー」と「ばらまきボンビー」の2種類が特殊ボンビーとして登場する。
- 「世界旅行ボンビー」は取り憑かれたプレイヤーの手番終了時にランダムな物件駅まで移動し、移動マスに応じた金額を旅費として奪ってくる。
- 移動先として目的地周辺が選ばれることもあるので運が良ければ優位に立てることもあるが、毎ターンランダムで移動することになるため、運の要素は強め。
- 『2010』のエアプレインボンビーと似たような能力だが、こちらはダッシュする方向で移動先の判別が可能、移動先に到着してもさらに別の場所に移動することがあるという違いがある。
- お金しか被害をもたらさないが、ランダム要素が強いためカードがあるかどうかで脅威も大きく変わる。
- 「ばらまきボンビー」は取り憑かれたプレイヤーのお金やカード、物件をいくつか周囲のマスにばらまく効果を持つ。
- ばらまかれたお金などは次にそのマスに到達(通過でも可)したプレイヤーが取得できるが、誰も取得しないまま一定ターン経過すると消滅する。
- ばらまかれたお金などを狙いに近づいてきたプレイヤーにボンビーをなすりつけるかどうかという駆け引きが生まれる。
- 余談だが、エンジェルカードでミカエルが降臨した場合は元の貧乏神に戻してくれる仕様がある。
- 「世界旅行ボンビー」は取り憑かれたプレイヤーの手番終了時にランダムな物件駅まで移動し、移動マスに応じた金額を旅費として奪ってくる。
- 前作で登場した「キングボンビーJr.(ポコン)」と「デストロイ号」については続投
してしまった。- もっとも「デストロイ号」については「取り憑かれたプレイヤーの保有する最高額物件の物件を目指そうとする(『前作』は周囲の物件をなるべく多く破壊できるように移動)」「1度出現すると12年再登場しない(『前作』は5年)」「最大でも1度のプレイで2回しか出現しない(『前作』は4回)」といった仕様変更がされている。
タンク系カード
- 旧作で複数回利用可能だった「周遊カード」については全て廃止され、代わりに「タンク系カード」が実装された。
- タンク系カードはカードの横に燃料のようなマークが3つ書かれており、1回利用することに燃料マークが1つずつ減っていく。燃料が1の状態で使用するとカードが消滅する仕組み。
- 周遊カードと異なり、利用回数は一律で3だが、新登場の満タンカードを利用したり、マップ内に少数存在している給油駅に到着したりすることで利用回数を回復することが可能。
- 旧作の急行カードに変わるプロペラカードなど、サイコロを増やすカードは最上位のライトニングカードを除き、全てタンク系カードとなっており、1回しか利用できないタイプはそもそも存在しなくなっている。
- 相手のタンク系カードの利用回数を1にする「ガス欠カード」などタンク系カードを意識した妨害カードももちろん新登場している。
- タンク系カードはカードの横に燃料のようなマークが3つ書かれており、1回利用することに燃料マークが1つずつ減っていく。燃料が1の状態で使用するとカードが消滅する仕組み。
歴代ヒーローとお祭り精霊
- 旧作同様歴代ヒーローが登場する。
- 当然と言えば当然だが、登場する歴代ヒーローについても世界の偉人となっている。
- また旧作の「名産怪物」については「お祭り精霊」として登場する。
- 大抵のお祭り精霊は周辺物件に利益か被害のいずれかをもたらすものだが、中には四択クイズを行ってきて正解すると景品となるカードを、不正解だとデビル系カードを渡されるものも。
大型イベントの導入
- 通常ゲーム中に一定条件を満たすと3種類の大型イベントが挿入される。
- 期間が長く、当該イベント発生中は特別なルールが適用されるため、意識した立ち回りが求められる。
- なお、メインモードを50年以上プレイすると、ヒストリーモードが登場し、大型イベントのみを遊ぶことも可能。
- 「伝染病に打ちかて!」
- 世界的に発生した伝染病を抑えるためのワクチンを開発することが目標となるイベント。
- 各地にある製薬会社の物件を取得することでワクチンの開発が進んでいく。特定数のワクチンが納品されるか、10年経過するとイベントが終了する。
- 製薬会社ごとに毎月納品されるワクチン数が決まっており、納品したワクチンの数に応じた臨時収入がイベント終了まで入手できる。
- また、イベント終了時に納品した合計ワクチンが最も多かったプレイヤーには高額の賞金が出る。
- イベント発生中は食品物件と観光物件の収益率が0%になってしまうデメリットもある。
- 世界的に発生した伝染病を抑えるためのワクチンを開発することが目標となるイベント。
- 「救援物資をとどけろ!」
- 紛争地である目的地に救援物資を届けることが目標となるイベント。
- ……といいつつやることは、通常のプレイと同様で目的地に到達すればそれでいい。イベント発生後全員合わせて8回目的地に到達するか、10年経過するとイベントが終了する。
- イベント発生中は安全確保という名目で目的地周囲の一部ルートがバリケードで封鎖され、移動できるルートが限られてしまう。また、バリケードはターン経過で配置が変わることもある。
- この性質上、目的地への到達が通常よりも難しくなる。なお、到達した際の賞金などは通常と同様だが、イベント終了時にイベント中に目的地に最も多く到達したプレイヤーに賞金が出る。
- 紛争地である目的地に救援物資を届けることが目標となるイベント。
- 「IT長者をめざせ!」
- IT物件の価格と収益率がランダムで上昇するイベント。10年経過した時点でIT物件の収益が最も多いプレイヤーに賞金が出る。
- イベント中のランダムなタイミングでIT物件の収益率が-10%から+1%に変化すると共に、物件の価格が2倍~15倍と大幅に増額される。どの物件がどの程度増えるかはランダム。
- 入手した物件の価格が大幅に増えると収益率も相まって一気に資産増加が狙えるが、収益率の変動が遅れると赤字を抱えるリスクもある博打要素の強いイベントとなる。
- IT物件の価格と収益率がランダムで上昇するイベント。10年経過した時点でIT物件の収益が最も多いプレイヤーに賞金が出る。
評価点
賛否両論点
前作と同様のキャラクターデザイン
- 『前作』において旧作から一新されたキャラクターデザインで賛否両論を招いたが、本作でもキャラクターデザインは前作と同じ人が担当している。
- 前作同様、いわゆる今時のイラストでなじみやすいという意見もあるが、古参ファンからは相変わらず苦言を呈される。
- ただ、前作の余談にも記載のとおりだが、キャラクターデザインの変更については、いわゆる大人の事情も絡んでおり致し方ない点もある。
- キャラクターデザインは良くも悪くも前作と同じ人が担当している。そのためキャラクターデザインで前作で批判された部分は本作でも変更なし。
舞台が世界になった - 本作のコンセプトでもある舞台の変更であるが、この点は賛否両論。
- 慣れ親しんだ日本列島と異なり、舞台が世界であるため、プレイヤーによってはほとんど分からない地名ばかりが並ぶことになってしまう。
- 目的地についてもどの辺であるかが全く分からずマップが広いこともありどのように進めばいいかも分からないことも。
- 最短となるルートを表示してくれる機能こそあるが、空路が多いこともあり、自分がどのように向かっているかもあまり分からず、結果的にリスクが高い通り道を選んでしまうこともある。
- 本作の試みはある意味新たな挑戦であり、新鮮な体験が楽しいという意見も多く聞かれるが、あくまでこれまでの桃鉄と同じように遊びたいと考えるのであれば本作の試みは「求めていない」という声も少なからずある。
- 実際、ベースとなるシステムは『前作』から大きく変わっていないため舞台が世界か日本であるかというのはプレイヤーによって好みが大きく分かれるところであり、本作のコンセプトながら賛否が大きく分かれる点となっている。
問題点
10年トライアルがなくなった
- 『前作』の1人用プレイである10年トライアルが消滅したため、ソロのやり込み要素が減少してしまった。
- 10年トライアルそのものは前作でも問題点が多かったものの、ブラッシュアップという形ではなく、削除という形で対処されてしまったのは残念なところである。
総評
余談
- ある意味シリーズのお約束とはいえ、『前作』と本作のパッケージデザインが似ていること、どちらが前作でどちらが今作かがタイトルからは判断しづらいことなどが相まって本作を購入しようとして、誤って前作を購入してしまったという話も聞かれた。