ガイドto『ソードコースト、1489 DR』

Last-modified: 2025-11-01 (土) 16:20:14

(更新20251101)
ダンジョンズ&ドラゴンズ5版(以降、D&D5版)での冒険の舞台として、フォーゴットン・レルム世界のソードコーストと周辺地域を概説します。この地域はTRPGシナリオやコンピューター・ゲーム、小説、映画など様々なお話の舞台になっています。発展した町の文明と、外に広がる危険な荒野の二面性がこの地域の魅力です。

 

 ([注]ソードコーストは様々な作品の舞台になっているため、面白い設定が多い一方で、やや詳細に過ぎるところがあります。すべてに整合性があるように遊ぼうとすると大変ですので、適当にあそびやすい部分を拾って遊ぶと良いでしょう。)

 

【ソードコーストの位置】
ソードコーストはフェイルーン大陸の北西の海岸沿いに存在します。この周辺では、明確な国境を持った領土国家はほとんどありません。それぞれの町が独立した都市国家として存在し、周辺の小さな農村がその保護を受けています。町の外には深い森と荒野が広がっています。この地を護衛なしに旅するのは危険です。
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【ソードコースト周辺の歴史】

  • 年(DR); できごと
  • -12000-2000; 地上のエルフ王国とドワーフの地底王国が協力して発展していました。
  • -2000-300; 東方にある人間の魔法帝国ネザリルとの抗争で危険な魔術が使用される。また、断続的なオークの襲撃によって両王国は衰退し、人間を中心とした多種族文化が形成されていきます。
  • -339; ネザリルの魔術王カーサスが魔法によって神になろうとして失敗する“カーサスの愚行”が発生。ネザリル帝国の空中都市は墜落して滅び、短命な後継国家が国家が各地で発生しました。
  • 1358; 神々が地上に堕ちて世界各地を放浪する“災厄の時”が発生。
  • 1385; “青火の年”。魔法の女神ミスタラ殺害により“呪文崩壊”が発生。天変地異で世界中が大きな災害を受ける。
    前年に復活していた魔法帝国ネザリルが周辺国に侵攻を開始。彼らの密偵がソードコースト周辺まで活動するようになります。
  • 1483-85; “シルヴァーマーチ戦争”。オーク王国メニーアローズの大規模侵攻に対し、シルヴァーマーチ連盟やソードコースト北部の町が抗戦。撃退に成功したものの多くの被害を出しました。
  • 1485-87DR; ネザリルと周辺国の決戦の末、ネザリルとエルフ王国ミスドラナーの崩壊。
    女神ミスタラ達の復活、数年に渡って、“呪文崩壊”時の災害の痕跡が修復されていく。
  • 1489DR; “戦姫の年”。D&D5版のゲーム開始年。
     

【ソードコースト周辺の地理】
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↓PDF化地図
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↓ビットマップ化したPDF地図
dd5_Swordcoast_pdf_1d2.pdf

 

マークの色の種別:
◉:大きな街、⦿:村と小さな町、▼:鉱山など、■:城塞や塔など、▲:神殿や宗教拠点
♠:山や丘陵と荒れ地、♣:森林、♥:河川と湖沼、、〓:平原や街道、♦:国名など
:特に危険でない拠点、:危険で有名な拠点、 :邪悪の本拠地、 :廃墟など、 ◉:自然地形など

 

《凍てつく彼方(FrozenfarSword Coast North)》
  “世界の背骨山脈”より北の“大氷河”と“氷海”に挟まれた極寒の地域です。 “北方(NorthWest)”とも呼ばれます。過酷な冷気と吹雪、霜の巨人や白竜の脅威にさらされるこの地には小さな居留地しかありません。地図より北にはテンタウンズと呼ばれる10の町村の連合があります。それぞれ蛮族や元遊牧民、氷上猟民、氷の下に住むドワーフからなります。南方では手に入らない種の象牙や宝石などの貴重品を手に入れることができます。小説アイスウィンド・サーガの開始舞台であり、剣士ドリッズトらの冒険が語られています。

♠世界の背骨山脈(Spine of the World)[地名]:“凍てつく彼方”を南の世界から隔てる大きな山脈です。

メニーアローズ王国(Many-Arrows Kingdom)[国名]:この国は“世界の背骨山脈”にまたがって広がるオークの国です(マップ上の特定の拠点でなく、散在する砦としてここに記載しています)。かつてオークの戦士、オブッド・メニーアローズは剣士ドリッズトやミスラルホールの王ブルーノとの戦いを経て“グルームシュに選ばれた者”としての力を得ました。1371DR、彼はボロボロの旗を掲げて“世界の背骨”山脈に散らばるオークの部族を統一しました。1409DRに彼は老齢により亡くなりましたが、今もメニーアローズ王国はオブッド17世の支配下で北方屈指の危険で強力な国として存続しています。仇敵である人間やドワーフの国との間において互いを容認して交易していますが、しばしば戦が暴発し、まれに友情が芽生えることもあります。1843-45DRにおける“シルヴァーマーチ戦争”では大規模な侵攻を行い、最終的に撤退したものの都市連盟を瓦解に追い込みました。

ウスガルド蛮族(Uthgardt) [民族名]:ウスガルドは北方に広く散らばる11部族からなる蛮族たちです。それぞれの部族は独自のトーテム動物を崇拝しています。これは、古代に祖先の英雄神ウスガーが征服した動物の精霊たちで、ウスガーの一面を象徴していると言われています。各部族はトーテムに由来する聖地を大切にして守護し、あるいは巡礼します。彼らが信用する魔法は部族に伝わるもののみです。しばしば襲撃団を組んで文明人への略奪に向かいます。

  • 現住の部族:青熊族、黒獅子族、赤虎族、天の子馬族、樹霊族、大長虫族、黒オオガラス族 、ヘラジカ族
  • 姿を消した部族:雷獣族や灰色狼族、グリフィン族、赤子馬族、黄金鷲族

ファイアシーア(Fireshear):“凍てつく彼方”の入り口にあたる大きな鉱山町です。街の鉱床は遥か昔の隕石によってできた焼けた亀裂であり、切り立った崖上に岩を彫って作られた建物が並びます。崖の斜面に刻まれた階段で波止場と行き来できますが、晩秋から初夏にかけては港は凍り付きます。

  • 人口:大きな街(15000人ほど)、代表者:ドワーフ商人とドラゴンボーン集団、探鉱人代表の三頭政治
  • 酒と宿:歌うマンティコア亭、酔いどれドワーフ亭
     (店名などは知られているものの一部です。他にもありますし変わることもあります)

烏岩(Raven Rock):雪に覆われた台地に立つ高さ30mのカラスの石像です。ウスガルト蛮族の黒オオガラス族と灰色狼族の祖先塚である聖地です。周辺に立石がならび、部族の者が常駐して見張っています。塚の中には部族の遺物が埋蔵されていると言われています。

 

《ソードコースト北部(Sword Coast North)》
 フェイルーン大陸の北西、ソード海に面した海岸は切り立った岩が鋭く立ち並ぶことからこの名で呼ばれています。北端ラスカンから南端ウォーターディープまでが北部とされています。船が安全に停泊できる場所が少ないため、海岸沿いに存在する都市国家が貿易の拠点として発達しています。それぞれの街の守りは強力なものの、都市間や内部での勢力争いは辛辣なものです。また街から離れた深い森林と荒地は護衛なしに旅するのは危険な地域であり、切り立った海岸の洞窟には様々な怪物たちが潜んでいます。

ラスカン(Luskan):ソードコーストと通商道の北端、世界の背骨山脈のふもと、ミラー川の河口にある港湾都市ラスカンは世界の汚物の吹き溜まりであり、腐敗で煮え立っています。他の町でお尋ね者となって逃げ込んできた者がこの町の住人です。無数の埠頭を備えた港と、要塞化された中州が目立ちます。かつては“船の都”と呼ばれ、“秘術の主の塔”に住む魔法結社が街に圧政を敷いていましたが、剣士ドリッズトらに壊滅させられて無政府状態に陥りました。現在は船や港湾関係者で組織された“党”の駆け引きによって、運営されています。特に有力なのは港湾関係を仕切るカース党(Ship Kurth)、漁業を仕切るバラム党、海賊行為を仕切るサルジャック党です。これらの党の長は“大船長(High Captain)”と呼ばれます。
  近年、“秘術の主の塔”が自ら再生し、樹木のように枝分かれした尖塔を復元しました。ラスカンは古代魔法帝国ネザリルの都市イルスクの廃墟上に建てられた町であり、この塔はその一部だと言われています。塔を拠点に“秘術団(Arcane Brotherhood)”が活動を再開しています。秘術団は各々が独自の色とデザインの外套に身を包み、大魔導師“赤の”カシャーンや、高位魔導師たちに率いられています。彼らは町を襲撃した竜の撃退や発生した亡者の始末で住民から支持を得たものの、町の政治に手を出す気はないと主張しています。

  • 規模:大きな町(4000人ほど)、代表者:5人の“大船長”、最大勢力は“一の大船長”ベニアゴ・カース
  • 酒と宿:ローヤル・アームス・イン、七ツ帆の宿、揚げネズミ屋、一つ目ジャックス
  • 店と名所:囚人カーニバル(拷問裁判の見世物)、赤竜交易所、クリアライト(タイモーラ寺院)

ブラックフォードの渡し場(Blackford Clossing):ミラー河のラスカン上流、北東18kmのところにある渡し場です。賃金を払えば、ロープ牽引式の渡し船で人や荷を運べます。ラスカンを避けたい人々はこちらを活用しますが、ここを運営しているのもラスカンの一党です。

⦿ミラバー(Mirabar):ミラバーは“世界の背骨山脈”の南山麓にある半地下の都市です。かつてドワーフのガラゴー王国の廃墟の上に成立しており、地下部にはドワーフが、地上には人間が多く住んでいます。石造りに金属で補強されたドワーフ様式の堅固な建築です。北方地域への武器や金属製品の供給を長く担っています。ミスラルホールなどのライバルが現れた今も、独自のエヴァーブライト(防サビ)加工などの高い品質で信頼されています。ミラバー出身のドワーフは“ミラン”と呼ばれ、ドワーフとしては社交的でお洒落、不器用な同族たちを交渉ごとで手助けしています。外交は世襲制の人間の侯爵が担い、ドワーフの“宝石議会”と協力して街を運営しています。近年はシルヴァーマーチ戦争後の安全確保のため、ラミュア公爵が中心に周辺都市との駆け引きや防壁の強化に努めています。

  • 規模:小さな都市(23000人ほど)、代表者:セリーヌ・ラミュア公爵、“宝石議会”
  • 酒と宿:腹ぺこカメ酒場など
  • 店と名所:全開火力の広間、地下街広場、アマツバメ宅配便、ミラバー広場(昇降機付の公共区)

♥ミラー川(Rivar Mirar) [地名]:“世界の背骨山脈”からソードコーストの北端まで、ブラックフォード街道と並んで流れる川です。ミラバーの近くのヘドルン峡谷で北からの北からのヘドルン川と合流します。峡谷のあたりは、背の高い草とタンポポで覆われています。最終的にラスカンの河口でソード海で流れ込みます。真夏にはミラバーからラスカンまでのカヤックのレースが開催されます。

モーガーの塚(Morgur’s Mound):ウスガルト蛮族の雷獣族が聖地とする塚山です。かつてはウスガーの兄弟のモーガーの遺体や部族の宝物が埋められており、塚山の上に雷獣の骨が置かれていました(雷を発する首の長い羽根のない竜と言われています。これはブロントザウルスではと主張する研究者もいます)。1400 DR年代半ばに雷獣族が巡礼で訪れたとき、サーイの魔術師によって荒らされて財宝も雷獣の骨も失われていました。今は巨大な骨格がぐるりと取り囲んで浮き出た塚山が残るのみです。この後、雷獣族は高森の奥に姿を消しました。

♠ホートナウ山(Mount Hotenow):ネヴァーウィンター森の北にある火山です。ここには火炎巨人や赤竜が生息し、地下の溶岩地形には無数の火の精霊が集っています。地下のどこかには九層地獄や元素の混沌への次元門があると言われています。影界のホートナウ山に位置するところは溶岩流の中に建つ都市エヴァーナイトが存在します。1451DRに噴火を起し、周辺に大きな災害をもたらしました。この災害は自然に起きたものでは無く、火山に潜む何者かの企みだと考える者もいます。

ゴーントグリム(Gauntlgrym):ホートナウ山の北山麓に位置するドワーフの地下都市です。古代デルサヴン王国の首都として長年に渡り捜索されていましたが、1451DRに発見されました。この地下都市はかつて-335DR~+153DRに火山の始原精霊を制御することで“大工房”を開いて繁栄しました。153DRにオークの侵攻での痛手に加えてマインドフレイヤーの策謀によって滅び、以降1000年に渡って彼らの拠点となりました。再発見後の1486DRにレジナルド・ラウンドシールドが率いるフェルバー城塞とミスラルホールのドワーフの軍勢が奪還しました(レジナルドはミスラルホールの英雄ブルーノ―の転生だと称し、周囲にも認められています)。ゴーントグリムは中央に広大な地下空洞があり、その四方に大工房や坑道、溶岩槽、寺院などの区域が広がります。奪還後も廃墟区域の探索や、隙間から入り込む怪物などに苦労しているようです。

⦿ロングサドル(Longsaddle):ロングロード大街道沿いの小さな村です。街道沿いに幾つかの宿屋や馬具屋などが並び、ミラバーとトライボア間の旅の休息と補給にもってこいです。周辺で山賊や怪物などの危険が発生することがしばしばあり、対応に牧場主や旅人が腕利きを雇います。街道から長く伸びた脇道を抜けた先には、この村を支配するハーペル家の“蔦屋敷”があります。ハーペル家は多くのウィザードが揃った強力な魔術師集団です。親族だけでなく、弟子や婚姻相手なども迎え入れて奇妙な研究を繰り返しています。村では魔法で変異した手足を持つ弟子や突然の爆発を目にすることは珍しくありません。ハーペル家は政治的なことに興味を示しませんが、一族への侮辱や村の者への暴力は見逃しません。その対応は当人が罪を償うまで急速にエスカレートしていきます。

  • 規模:村(130人ほど)、 代表者:ドウェル・ハーペル(一族の代弁者)
  • 酒と宿:金箔蹄鉄亭、ギャンブリング・ゴーレム、ふわふわの杖亭、角と蹄亭
  • 店と名所:ローリング・ホイールズ、オスティーヴァー屠殺場、パーフェクトン商業興信所(護衛と魔法仲介)

⦿ポート・ラスト (Port Llast):良い波止場を備え、腕利きの石工たちが住む小さな港町です。806DRごろは魔女王レイラルが収めるストーナンター王国の首都でした。しかし海の女神アンバーリーが遣わした強力なクラーケン魔術師との争いで町を離れ、この間の内紛で国は滅びました。以降はアドレウム家が統治したものの、たびたび怪物たちの襲撃にあって壊滅しています。ラスカンが不安定だったころは、北からの侵攻への前線の町として栄えていましたが、今は寂れています。アンバーリー寺院が急速に力を持ちつつあると警戒されています。

  • 規模:小さな町(700人ほど)、 代表者:第一船長ヘロモス・ドスウィンテル
  • 酒と宿:ジャック&セイバー、同盟の宿泊所、石工の慰め
  • 店と名所:石切り場、ウェールガンドの馬車工場、ゴサラドリアム墓地とアドレウム六世の墓

ネヴァー・ウィンター(Neverwinter):かつて“北方の至宝”と呼ばれていたこの街は、40年ほど前に北東のボートナウ山の噴火によって流れ込む溶岩と火山灰と地割れに呑まれ、半数以上の住人が死亡して廃墟と化しました。灰の中を奇怪なゾンビだけが蠢くようになったこの街に逃げ延びた住民が戻り、山師と火事場泥棒が集まって町は再建されつつあります。ウォーターディープの公開ロードでもある、守護卿ダガルト・ネヴァレンバーが街の復興に辣腕を振るっています。守護卿の政策は古くからの住人との間に軋轢を生んでおり、大裂溝の怪物や町に潜む様々な勢力の暗躍を引き起こしています。
 1479-1485DR時代の詳細はページ下方の記事を参照してください。1489DR時点で大裂溝は塞がれ、問題はある程度は改善していると思われます。映画HaTでは、1490DR後半年代の復興した街並みが描かれました。

♣ネヴァーウィンター森(Neverwinter Wood):魔法の気配が漂う呼ばれる深い森です。エルフたちからはルウィア森とも呼ばれ、エルフの古代遺跡が散在しています。この森はかつての古代エルフ王国ルウィアやイルファーンのありかでしたが、その興亡にともなってムーンシェイ諸島やエバーミートへ移住していきました。その後、闇妖精や灰色狼族の獣人などが徘徊する危険な森へと変わりました。しかし、1385DRの呪文崩壊から森には多くのエルフと妖精が移り住んできました。彼女らはシャランダー遺跡を拠点に王国の復興を目指しています。
 1451DRにホートナウ火山の噴火で森に大きな被害が発生し、サンダーツリーの廃墟などの被害地から怪物が発生するようになりました。エメラルド団が樹上拠点“エメラルド酒場”などから対応を試みています。映画HaTではドルイドのドリックがエドガンたちをこの拠点に案内していました。

ヘルム砦(Helm’s Hold):ネヴァーウィンター森の西の辺縁と小さな湖に囲まれた砦です。ガントレット騎士団が拠点としています。近くの森は“監視者の森”と呼ばれます。元々は守護の神ヘルムの修道院であり、神殿騎士の訓練所でした。DR1384にヘルム神が死亡したときに周辺から信仰の拠り所をもとめて多くの信者がここに集いました。1451DRのホートナウ火山の噴火災害の難民をヘルム砦は保護し、さらにネヴァレンバー卿が送り付けた呪痕者で人口が膨れ上がりました。難民に潜んでいた異形やアボレスの手先によって砦は堕落し、死体だらけの危険地帯と化しました。この事態は血生臭い粛清と1487DRの“第二次大分割”でのヘルム神の復活の末に解決し、砦は平穏を取り戻しました。しかし、地下設備を中心にいまだに奇怪な事件が起こり、安心はできない状態です。

  • 規模:小さな都市(6000人ほど)、 代表者:アマランディン・ワンダーフットと議会
  • 酒と宿: 冒険者の憩い亭、腹ぺこの炎亭
  • 店と名所:ヘルム聖堂、こころ広場(スーニーの祠)、療養所、傷痕通り、ウサギ穴

⦿ストームレック島(Stormwreck isle):ソードコースト海岸のネヴァーウィンターの南西に浮かぶ小さな火山島です。岩がちな島で多くの海蝕洞が開いて温泉になり、近海には難破の原因になる鋭い岩が突き立ちます。強大な竜たちの戦いがあったという伝説があります。赤竜シャラスの墓から発する毒煙が狼煙となって竜たちを引き寄せると言われ、浅瀬には竜の骨が散らばります。近年、島に奇妙な一団が住みつき始めたという噂があります。D&D5版スターター・セット(2022版)の冒険の舞台です。

♠ソード山脈(Sword Mountains):ソードコーストの海岸にそって伸びる山脈です。頂上は雪をかぶった険しくゴツゴツとした山脈ですが、西側はなだらかな丘陵地帯につながります。ネザリルの崩壊によって解き放たれた怪物“影の王”を倒すためにエルフと竜の同盟が戦いを挑み、それによって深い谷が形成されたと言われます。山脈には良質な鉱脈があり、ドワーフやノームが坑道を掘っています。この地はオークとトロールの抗争による“トロル戦争”の戦跡や、ファンデルヴァーの契約が眠る“波音の洞窟”など様々な伝説が残ります。

♣クリプトガーデン森(Kryptgarden Forest):ソード山脈の傍らに広がる不気味な古代の原生林です。悪臭を放つ霧に覆われ、林床や木々の根元が不気味な赤に染まっていることがあります。この地は古代エルフとドワーフ王国の領域であり、特にドワーフの遺跡が多く残っています。森では妖精王ウイッチソーンを戴く悪意の妖精たちや黄昏のドルイド、ホブゴブリンのロスタフィンガ氏族、ドラゴンカルトらが密かに勢力争いをしています。中でも最も強力なのは陰謀好きな緑竜クラウギリアマタールです。ナウボーンと呼ばれる犯罪結社を組織し、周辺都市に陰謀を張り巡らせています。映画HaTでは聖騎士ゼンクが仲間をアンダーダークに案内する“口”がこの森にありました。

⦿トライボア(Triboar):ロングロード大街道とエヴァームーア街道の交差路にある活気のある町です。街道沿いには旅人向けの店が並び、平坦で肥沃な周囲には農地が広がっています。西にある“グウェロンの眠り”では野伏の神グウェロンが休息をとると言われ、伐採や狩猟が禁じられています。ヤーターとは競合関係にあり、ことあるごとに小競り合いを起しています。酒場でも両者が出会うと乱闘が避けられません。交通の要所でありトライボアは戦乱が起こるたびに戦場になり、そのたびに住人が防衛線を戦い抜きました。町の周りには当時の防壁や塹壕の跡が残っています。町の地下には黎明の神話時代の巨人たちの巨大人型兵器ヴォニンドッドが埋まっているという噂があります。暁の巨神カルトやマインドフレイヤーがこれを得るために地下に拠点を築いたこともあります。映画HaTでは魔法使いサイモンが手品を行って小銭を稼いでいました。

  • 規模:大きな町(2500人ほど)、 代表者:ダラスラ・シャンドリル守護卿と議会
  • 酒と宿: 楽しい晩餐亭、おしゃべりトロル亭、素晴らしき飛竜館、北守の家、六風の宿
  • 店と名所:フォーハマーの鍛冶、ウエインライトの馬車、荷車とコイン、トライボア劇場

♥テサリン川(River Dessarin):シルヴァーマーチ南部からウォーターディープまで流れる河川交易の要となる川です。北方を流れる多くの川と繋がっています。ここで取れるマスの一種である銀シャラスは北部全域で御馳走とされています。ソード山脈と高森に囲まれたこの川の流域は、デサリン峡谷と呼ばれています。両岸の岩がちな丘陵には古代ドワーフのベシルマー王国の遺跡が多く残っています。

⦿ファンダリン(Phandalin):はるか昔に鉱山の拠点として建築された居住地でしたが、怪物たちの襲撃により滅びました。近年に再び入植者が集まり、小さな町となりつつあります。D&D5版スターター・セットおよびデラックス・プレイボックスの冒険拠点となります。

  • 規模:村(280人ほど)、 代表者:ハービン・ウェスター町長
  • 酒と宿: ストーンヒルの宿、眠れる巨人亭(ドワーフ亭主による荒れた酒場)
  • 店と名所:バーゼン食料品店、鉱夫取引所、ライオンシールド武具店、エデルマス果樹園、トレセンド屋敷

⦿レイロン(Leilon):ハイロード大街道沿いの鉱山町です。浅い干潟に面し、町の中心に“サリオンの高塔”が立ちます。町は木製の柵と掘や土塁で囲まれており、よく訓練された兵士がいます。高塔はDR1200年代に魔術師サリオンが建てたもので、他次元界の存在を呼び寄せる灯火でした。サリオンの死後、封印されていましたが、1385DRの呪文荒廃で封印が破れて魔物が解放され、灯火が街道を通りがかるものを麻痺させるようになりました。住人は町から避難し、町は怪物と死霊が徘徊する廃墟となりました。1485DRにネヴァレンヴァー卿の軍が被害を出しながらも灯火の破壊に成功しました。町には再び人々が住み始め、近隣の町やノーム集落との鉱石取引などが行われています。一方で灯火を狙う“暁の巨神”タロンの教団や屍竜エボンデスの回復を企むカルトの抗争が進行しています。

  • 規模:小さな町(現在200人ほど、昔は3000人)、 代表者:ガリオ・エリブロ代理監督官
  • 酒と宿: アンバーハルク殻の宿、老騎士の杯亭
  • 店と名所:トルヴァー交易所、オーブリーの奇妙なる店、キーサイド港、アイドル島、ラサンダー寺院など

♥死者の湖(Mere of Dead Men):長さ160km、幅48kmほどの塩水の沼地です。深く霧に覆われ、無数の死体、蔦や流砂、暗礁がひそみます。水没した城や廃墟が数多く残り、それぞれ奇怪な魔法を発しています。沼には怪物や死霊、鬼火がうようよ徘徊し、リザードフォークやブリーワグなどが大集落をつくっています。沼はじわじわと広がっています。埋め立て計画は失敗して一気に拡大し、ハイロード大街道はルート変更を余儀なくされました。
  かつて615DRにオーク軍の侵攻を受けたウスタワー王国は元宮廷魔術師イニアーヴに敵を滅ぼすよう求めました。魔術師は応えて海を呼び込んですべてを殺し、永遠に広がる沼としました。922DRごろから死の神マーク―ルの加護を受けた屍竜エボンデスがウスタワーの塔を占拠して沼を支配し、ドラゴンカルトに崇拝されてフェイルーン全土で陰謀を繰り広げました。エボンデスは1358DRの“災厄の時”におけるマークルールの滅びによって消滅しました。しかし、1487DRの“第二次大分割”でマーク―ル復活により、エボンデスも復活しつつあります。そのためにカルトは“ミルモランの双子の王冠(ウスタワーの双子冠、ヤリスの双子冠)”の捜索などの活動を活発化させています。

⦿ソーンホールド(Thornhold):ハイロード大街道沿い、死者の湖の畔の丘に建つ簡素な石造りの砦です。ストーンシャフト氏族のドワーフが管理し、彼らは“ストーンシャフト砦”と呼びます。矢狭間の並ぶ外壁の内側には広い中庭があり、街道の危険地帯を旅する人々へ安全な野営地を提供します。城には熟練した馬車職人や鍛冶屋、醸造家、宝石職人が揃い、旅人の頼りにされています。1000DR頃に人間のマーガスター家が設立した砦でしたが、後にサミュラー聖騎士団が管理するようになりました。1368DR、ゼンタリムがストーンシャフト氏族ドワーフの洞窟を蹂躙してアンダーダークから砦を侵攻して陥落させました。ストーンシャフト氏族は生き残りを結集して、騎士カラドゥーンと共に報復を成功させ、以降は氏族が管理しました。彼ら氏族は人付き合いは少ないものの、音楽や洒落た宝飾細工に長けています。1385DRからの呪文崩壊で湖が拡大して砦は孤立しましたが、1487DRの第二次大分割によって再び地続きになって活気を取り戻しました。一方でマーガスター家が騎士団と砦の所有権について共謀しており、ドワーフたちは警戒しています。

ドルブルンデ遺跡(Dolblunde):ドルブルンデ遺跡はソード山脈の地底に存在するノームの都市でした。何らかの理由でDR700年代ごろに放棄されたと考えられています。地上や他のアンダーダーク地域と様々なトンネルで繋がっており、中には深部のマインドフレイヤー都市ク=チトルへも繋がっています。遺跡にはマインドフレイヤーやその眷属の活動の痕跡が見て取れます。1253DRごろ、この都市は“這い寄る破滅” 屍竜ダウルゴトースに占拠されました。彼は他の二者(“舌なめずる影の”屍竜オールグロローサ、ベイン司祭アルガショア)と共にドラゴンカルトの筆頭として世界各地への陰謀を動かしました。都市の一部は溶岩湖の洞穴の壁面に造られており、“吊り下げ都市”と呼ばれています。映画HaTでは、聖騎士ゼンクが隠した秘宝を引き渡すため、仲間と共にこの地域を訪れました。都市には巨大なデブ赤竜テンバーシャウドが住み着いており、侵入者を追って大暴れしました。

⦿アンファイル(Amphail):馬の牧畜が盛んな保養地です。多くのウォーターディープの貴族たちが別荘を持ち、ここを訪れて休息やあるいは密会を行います。町の名家の者たちは彼らと繋がり、政治的な駆け引きに用います。滞在する貴族の若者には思慮や我慢に欠けた者もおり、しばしば決闘騒ぎや機密漏洩といった騒ぎが起こります。

  • 規模:村(700人ほど)、代表者:ドーナー・アイルジマー警護卿
  • 酒と宿:ハガラの多塔館、牡鹿の酒瓶亭、
  • 店と名所:アマーキルの花と食料店、ブロドハラー装具店、ウルビンハンド鍛冶屋
  • 名家:アイルジマー家、アムスカラ家、ロアリングホーン家、オグリンティア家、ヘイザー家

ウォーター・ディープ(Waterdeep):“壮麗なる都”とも呼ばれ、人口13万人を超えるフェイルーン最大の大都市で、騒がしく活気あふれる商業の中心地です。ここには古代エルフのイルファーン王国の首都があり、彼らが去った後に人間の交易都市として再発展しました。素晴らしい港と賢い統治、寛容な精神と強力な魔法に支えられています。街は区画ごとに様子が大きく異なり、ギルドや貴族、外国の使いなど様々な勢力がこの街の覇権を求めて争っています。
 街を統治しているのは素性を隠した16人からなる“ウォーターディープ領主会議”です。また、ウォーターディープは“領主同盟”の筆頭として、その活動を監督しています。16人のなかで最も有力なのは公開領主レイラル・シルヴァーハンドで、彼女は魔法の女神ミスタラに“選ばれしもの”の一人です。街の守護を指揮する魔術卿ヴァジャラ・サファーは30才と魔術師としては若手であり、手にした黒杖に残る歴代の魔術卿の霊と相談しながら“灰色戦闘隊”を率いています。街のそれぞれの区画には巨大な像が存在します。町が真の危機に陥ったとき、魔術卿はこれらを動かすことができます。
 アンダー・マウンテン:街ができる前からウォーターディープ山の斜面に住みついていた“狂ウィザード”ハラスター・ブラッククロークが地下を掘り抜いて見つけたメレキアン氏族ドワーフの鉱山跡です。彼は住みついていた怪物を駆逐すると弟子と共に移住し、無数の階層を罠と実験装置と怪物で埋め尽くし、ここで数多くの魔法を開発しました。1375DR、ハラスターは何らかの儀式に失敗して死亡しました。アンダーマウンテンには謎の暴走魔法が渦巻いています。
 スカル・ポート:アンダーマウンテンのさらに下、アンダーダークの地底湖の間に広がる地下犯罪都市です。ここはザナサー(The Xanathar)という強力なビホルダーを頭目とした犯罪組織が支配しています。

  • 区画:海区、北区、城区、商区、南区、死者の都、畑区、崖下
  • 酒と宿:大口亭(城区)、埠頭のバンシー亭(海区)、血の拳亭(港区)、崖の見晴らし宿(北区)、剣の休息所(南区)
  • 店と名所:宮殿、ブラックスタッフ塔(城区)、セルション雑貨店、不思議の館(海区)、本の虫の宝(北区)、光の館(商区)、剣匠ブライアンの鍛冶屋、舞踏広場(南区)、戦士の記念碑(死者の都)、他いろいろ
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《ソードコースト南部(Sword Coast South)》
ウォーターディープより南からキャンドルキープくらいまでがソードコースト南部とされています。海岸の地形や都市国家のみで危険な荒野が多いことは北部と共通しています。気候はより温暖で落葉樹も多くみられるます。南部は海岸沿いに大都市を結ぶ街道が無く、内陸の難所が多くて街道が荒れ気味です。西ハートランドや南側のオーム―、カリムシャンとの影響が多くみられます。

⦿ダガーフォード(Daggerford):デリンビーア渓谷をトレードウェイ街道が渡る岸辺に建つ城塞都市です。外堀と防壁に囲まれ、防壁内の小高い丘に領主が住むデューカル城があります。普段から防壁内に住んでいる領民は少なく、周辺の村落や農場に住んでいます。近くにはサンエルフの次元門(1468DRに封印)を管理する顧問ダルフィン・フロシン卿の邸宅やティール神殿、フェイルーン紋章院の拠点“黒兜の塔”、詩歌で繋がる転移網“歌の小道”などがあります。
 この街はかつて存在した“三冠王国”ファロームのデリンビーア公国の遺品です。931DRに短剣でトカゲ人の群れを追い払ったティンダル少年がお姫様と結婚し、公爵を名乗って廃城の上に町を築いたのが由来です。現在のモーウェン女公爵は不愛想ながら実務的な人物であり、政務と軍務の両方をこなします。ウォーターディープの制度を取り入れた仮面議会が政務の一方を担いますが、匿名性には疑問を呈されています。ダガーフォードは様々な戦乱の全てに対し屈せず、粘り強く耐え抜いてきました。特にトカゲ人たちとドラゴンスピア城の魔物から幾たびも攻撃を受けています。また近年に町で騒動を起こしたサーイ魔術師と手下の魔物が、街に潜伏していると考えられています。

  • 規模:小さな都市(1200人ほど)、 代表者:モーウェン・ダガーフォード女公爵と仮面議会
  • 酒と宿:きらめき川亭、銀の流れ亭、トカゲ胃袋の宿(寝床の提供のみ、孤児が運営)
  • 店と名所:ソードコースト商業銀行、ミラー乾物店、クロマック鍛冶工房、幸運の館、サラートン造船所

♥デリンビーア川(Delimbier River):ネザー山脈を源流とし、渓谷で複数の川と合流しつつ高森の東を通り、最終的にソード海に流れ込む大きな河です。河口では枝分かれして、“トカゲ沼”と呼ばれる広大な沼地となります。河岸にいくつもの町が存在し、河川運輸の貿易が行われています。流域ではスゾープ魚と呼ばれる茶色のマスが名産です。川には危険な水辺の怪物が生息します。特にトカゲ沼にはトカゲ人や恐竜、ブリーワグや沼オークなどが大部族を形成します。彼らはイカダを組んで海で奴隷売買を行います。沼で最も恐れられているのは病毒の神タロウナの使い、“太陽を呑むもの”黒竜トス・フェルネンです。

⦿セコンバー(Secomber):ユニコーン川とデリンビーア川の合流点にある小さく平和な町で、色鮮やかな庭園が数多くあります。ソードコーストと西ハートランドの境界と考えられています。住人の半数ほどがハーフリングで、他にドワーフやノームの姿も見かけます。町は古代アタランタ―王国の首都ハスタールの遺跡の上に建てられており、住人は遺跡を地下室や食糧庫として活用しています。農業と漁業、石工が盛んですが、高森や荒涼高地に向かう人々の中継基地でもあります。“踊るドワーフ”という周辺の最新情報と風刺に満ちた冊子がこの町で出版されています。町は十数年前から荒涼高地のホブゴブリンのウルシャニ氏族による貢物の強要に苦労しています。

  • 規模:小さな都市(1400人ほど)、 代表者:領主トラスカ―・セイラン、司法担当の“正義の錫杖”の長老6~9人
  • 酒と宿:七弦ハープ亭(荒れた広い酒場)、歌う妖精の宿(小さく快適な宿)
  • 店と名所:賢者アメリオ・アマニタスの塔、領主同盟の砦、アタランタ―遺跡

♣霧森(Misty Forest):荒涼高地の西に広がる霧が深く雨の多い森です。様々な常緑樹が多く生えており、多くの野生動物が住んでいます。ワイルドエルフの領土であり、メランドラック王が治めています。霧に紛れてドルイドの住処や森の神々の祠、アルタンドのような森エルフの村が隠れています。エルフたちは養蜂で得た蜂蜜と蜂蜜酒を交換しに街道に出向きます。王は森の伐採を認めていませんが、荒涼高地からきた蛮族たちは狩りや伐採、隊商への襲撃場所として活用します。霧森は1363年のドラゴンスピア戦争において、デヴィルの軍勢との全面戦争で壊滅的な被害を受けました。高森や各地の森エルフの支援を受けて立ち直りました。現在は緑竜に率いられたドラゴンカルトの陰謀に苦戦しています。

⦿オーランボア(Orlumbor):ソードコースト沿岸の不毛の島にある都市国家です。陸地側に面した天然の港で、岩を削って造られた埠頭と洞穴のような住居からなります。集落は複雑なトンネルと階段で繋がっており、港や埠頭にはいつも労働者があふれています。港の周辺は慣れた水先案内人なしには危険で限られた船しか寄港せず、独立性の高い港町です。このため他の街からの追放者も多く住んでいます。ヤギ飼いや漁師の他、大陸で随一の船大工が揃っています。ここで造られたり修理された船が世界中の海を航海しています。オーム―や多くの勢力、怪物がこの島を掌握しようと試みましたが、独立心の高い島の人々がはね退けてきました。一方でアンバーリーやタロスのような海に関わる神々が寺院が勢力を持っています。
 “海岸のカギ爪”青銅竜ラムマルントスはこの島を拠点にスカリーアイ海運会社を経営し、得意な魔法と異様な再生能力を生かして艦隊を活躍させました。彼女はソードコースト海域の守護者と見なされていましたが、今は艦隊から孤立し、隠棲するようになっています。

  • 酒と宿:揺れるハンモック亭
  • 店と名所:ソードコースト商会、ロジョラン武器館、オーランボア魔法店、嵐の隠れ家(アンバーリー寺院)

♣トロルバーク森林(Trollbark Forest):海岸沿いに広がるうっそうとした森林です。捻じれた樫やクロトネリコ、棘のある葉が生い茂り、森の谷間や低地には沼地が点在しています。森には毒蛇や大ナメクジ、無数の怪物が徘徊しています。特に大量のトロールが群れを成して生息し、巨大双頭トロールに率いられて活動しています。彼らはトロールクロー丘陵の同族と連携し、北はトカゲ沼から東は荒涼高地、南はトロールクローの渡しまで襲撃します。森の中には “霧の小道”と呼ばれる転移網の一つがあるとノームなかで伝わっています。

〓 トレードウェイ大街道(Trade Way):ソードコースト沿いの街道です。北はウォーターディープから、バルダーズゲートやテシア、メムノンを通過し、最南端のカリムポートまで続きます。途中の区間でコーストウェイやオーク街道などと呼ばれる部分もあります。街道の通行は盛んなものの、もはや安全ではありません。隊商の護衛は必須です。コーストウェイなど一部の道は手入れがなされておらず、雨の日にはぬかるみと化します。

ドラゴンスピア城(Dragonspear Castle):荒涼高地そばの丘に建つ深い霧をまとうドワーフの古城です。かって竜騎士ディーロスがドワーフの地底都市カナグリムの上に建築しました。安全と豊かさの象徴となりましたが、裏切によって地獄の次元門が開かれ、竜と悪魔が占拠する悪の拠点と化しました。悪漢や怪物が根城として暴れた末、封印不可能な次元門から現れる悪魔を喰い止めるため、テンパス寺院の“戦獅子の塔”を築きました。長く抑えていたものの1363DRに門から悪魔が侵攻し、 “第二次ドラゴンスピア戦争”が起こりました。5年におよぶ戦争の末、ソードコースト連合軍はデヴィルを打ち倒しました。城は3つの丘にまたがる防御塔を持つ外壁に囲まれ、上層の主城門から続く居館に続きます。城内は荒れ果てて巨大な竜や怪物の死骸、檻が散乱します。地下には迷宮と地底湖が広がり、カナグリム廃墟やアンダーダークに続きます。迷宮には九層地獄の次元門や秘宝“ドラゴンスピア”があったと言います。戦争後も廃城は亡者と怪物が潜む脅威の源です。悪魔が怪物と共に周辺の町を襲ったことが幾度もあり、サーイ魔術師が根城にしていたこともあります。

ウォーロックの墓(Warlock’s Crypt):トロル丘陵ふもとの森にある地割れの奥に“ウォーロックの墓”と呼ばれる遺跡です。無数のアンデッドと怪物が徘徊する死人の街であり、なかには吸血鬼やリッチのような高位アンデッドが何体もいます。ここはソードコースト周辺で最も危険な土地です。踏み込んだものは無数の怪物と罠に追い詰められて殺害されます。この遺跡はかっての古代ネザリルの浮遊都市オーベダル(当時の別名“平和の安息地”)が墜落したものです。墓所を支配するのは古代ネザリル魔術師のリッチである“影王”ラーロック。彼は世界の動向を監視しており、ときに“囚人(Imprisoner)”と呼ばれる手下を派遣します。また、魔法で束縛された冒険者を解放を条件として探索に出すことがあります。意外なことに冒険者側が契約を破らない限り、この取引は果たされるようです。サーイのザス=タムやゼンタリムのマンシェーンなどとも取引を行っているようです。1487DR、彼はキャンドルキープを襲撃して秘法を奪い、秘術の神位を目当てにネザリル浮遊都市とミス・ドラナーの決戦に乱入、浮遊都市の撃墜に一役買いました。

♥曲水川(Winding Water):シェリンバー沼と荒涼高地を水源として大きく蛇行し、ボアレスキア橋とトロルクローの渡しを通ってソード海に流れ込みます。ボアレスキア橋より下流は呪いで汚染され、川岸にはユアンティやベハル信徒、トロール、ゴブリンが隠れ家を作って潜みます。

♠トロルクローズ丘陵(Trollclaws):ゴツゴツとした丘が連なる丘陵地帯で、その名の通り大量のトロールが生息しています。 地形に加え、鬱蒼とした木々と下草、しばしば発生する霧のため見通しが悪いです。近くを通過する隊商は20人ほどの武装護衛を伴います。トロールはトロルバーク森林の同族たちと定期連絡を取っており、ときおり連携して活動します。
  丘陵北部の地下に伝説のビホルダーであるクスルーンが巣を作っています。彼はビホルダーの“ヴェルリス遊戯” (9つの目標のどれかを達することで種族女神“大母”から報酬を得る。目標は神殺しや、大都市の完全破壊、新種族の創造と拡散など)の推進を担っています。彼は遊戯の副賞となる秘宝を所持しています。

⦿トロルクローの渡し(Trollclaws Ford):トロルクローズ丘陵をとおる曲水川の浅瀬です。増水していなければ、隊商の馬車でこの浅瀬を渡れます。ウォーターディープから街道を経由してバルダーズゲートに向かうには、ここを渡る必要があります。周辺はトロールなどの怪物たちが頻繁に現れて待伏せし、渡り中の旅人を襲撃します。隊商は浅瀬から離れたところで野営し、護衛傭兵の弓矢で牽制しつつ一気に渡るのが常です。かつて浅瀬のそばに同名の村や砦が作られましたが、度重なる怪物の襲撃やユアンティの工作により全て廃墟となりました。廃墟には今も怪物や亡者が潜んでいます。

⦿ベルデンシン(Beldensyn):トロルクローズ丘陵の西、曲水川の河岸にあるノームの鉱山集落です。高品質の鍛冶と仕掛けを製造・販売しています。村の周囲は柵と壁で囲まれており、住人は腕利きのクロスボウ使いです。壁の内外に放牧された長毛種の山羊が悪臭を放っており、“山羊まみれ”と呼ばれることもあります。村にはノームの転送網“霧の小道”の噂があります。

⦿ロアリングショア(Roaringshore):小さな孤立した港で、水深の深い入り江の奥に佇む海賊の拠点です。オーム―やバルダーズゲートに雇われた傭兵船団が襲撃基地や情報交換の場として利用しています。村は無法地帯として知られ、頻繁に刃傷沙汰が発生します。壊れた杯亭はマインドフレイヤー経営者によって情報収集のため運営されていると、ハーパー工作員が報告しています。

  • 酒と宿:ソードアーム亭、壊れた杯亭

〓 死人ヶ原(Fields of the Dead):曲水川とチオンター川の間で緩やかに起伏する丘陵地帯です。900DR頃はカリムシャン北部の領土紛争で戦場となりました。長い戦乱の末に、オーム―やテシアが建国しました。野原には依然として遺骨が散乱し、至るところに死者の石塚が築かれています。また、昔のテシア王族の墳墓がこの地に埋葬されています。現在でも、農耕や放牧のさいに錆びた武具を身にまとった骸骨の群れが現れることがあります。

♥チオンター川(River Chionthar):ハートランドを横断して、ソードコーストに流れ込む大河です。6つの都市を結ぶ河川貿易の交易ルートとして機能し、多くの船やはしけが毎日のように行き交っています。

バルダーズゲート(Baldur’s Gate):チオンター川の河口にあるこの無秩序に広がった都市は呪文荒廃による難民がなだれ込んで人口が3倍以上に膨れ上がり、ウォーターディープを凌ぐほどになりました。周囲地域のあらゆる抗争への中立と、銀貨2枚で得られる市民権が引き起こしたこの繁栄は不安定なものです。街には評議会に盗賊ギルド、いかがわしい商家、カルト組織など有害なものや慈悲深いものがひしめいています。上流階級と貧民層は分断され、互いに侮蔑と憎しみが向け合います。今は公正たらんとする大公爵や一部の貴族、警察軍を担うかつての傭兵団“燃える拳”によって何とかバランスを保っています。かって殺戮の神ベハルが1358DRの“災厄の時”で殺害されたとき、復活のために用意した“ベハルの落とし子”たちが潜んでいたのがこの街でした。彼らによって幾たびもの虐殺事件が発生しています。この街は数々の冒険シナリオやPCゲームの舞台になっています。

  • 規模:巨大都市(130,000人ほど)、 代表者:四公会議(筆頭、大侯爵アルダー・レイヴンガード)、貴族院議員
  • 上層地域:貴族たちが暮らす塀に囲まれ、“警備隊”に守られた安全区域です。彼らはここで下層を見下ろしながら、政争や金策に奔走し、退廃的な遊びに興じます。区域に入るには監視されたバルダー門を通るしかありません。
    • 店と名所:兜と外套亭、紫竜の宿と酒場、三つの古樽亭、キャンドルキープ雑貨店、公爵宮殿、警備隊城塞、ブリールの魔法学校、大発明工房、発明博物館
  • 下層地域:川に沿って広がる港湾地区です。細長い建物が密集し、多くの商人や職人が暮らしています。狭い街路に人々が行き交い、“燃える拳”が巡回します。交易品の売買と船荷の上げ下ろし、船の修理などあらゆる仕事が行われます。川面の湿気で頻繁に霧が発生するため、住人はランタンを持ち歩きます。
    • 店と名所:髪とかす人魚亭、舷灯亭、吊るし人亭、苦難の神殿、海女王の館、ギャムレット武技館、交換所、バルダーの声、灰色港、バルデュランの海塔
  • 地底:街路の下には“穴倉”と呼ばれる広大な地下空間があります。地下室が曲がりくねったトンネルで繋がり、街のほぼ隅々まで地下網を形成し、その入り口さまざまな組織に管理されています。更に下には地底街の遺跡があり、中には邪教の神殿や怪物の住処もあります。この遺跡はアンダーダークに続いています。
  • 門外地域:街に集まったが内側で住めなかった人々がバラックを建て、無法の貧民街を形成しています。街で運営すると嫌がられる皮なめしや石工、鍛冶屋などもこの地域に集まっています。カリムシャン街は南方からの難民が出身地様式の造り上げており、独自に運営しています。チオンター川にかかる“竜渡り橋”の上や橋げた、橋脚に安宿や建物がへばり付き、通りがかる者に通行料をせしめようとします。
    • 店と名所: 海を眺めるバルデュラン像、サール家の墓所、ハンマーフック屠殺場、石工組合、オアシス座、カリム宝石商、学びの灯、ヴェルシダール剣舞学校、末期の希望寺院、古竜岩の要塞、南岸リヴィングストン区

♣クロークウッド森(Cloakwood):ソード―コースト南部の沿岸にある古い密林です。森の中には獣や怪物、食人植物、邪悪な妖精など危険な生物が生息しています。森の海岸の砂浜に船を停泊させれば上陸できますが、実行するのは自殺行為です。かつてドワーフのオロシアル氏族が鉱山を採掘していましたが、連続する事故と襲撃により放棄されました。森にはホブゴブリンの“赤牙の略奪者”の拠点フェルデイン荘園やドルイド集団の拠点、追放モンクの住む“永遠の蓮寺院”、ザラドの時計塔などが隠れています。また、様々な場所に繋がる次元門が眠っていると言われています。

⦿キャンドル・キープ(Caldlekeep):海岸の岩の上に立つ無数の塔を備えた要塞で、巨大な図書館です。-200DRころに建てられた塔を元に蔵書の追加と増築を繰り返してこの要塞は造られました。図書館にはフェイルーンの伝承、知識、預言が納められています。一方で料理のレシピや碑文入りの歌詞集、些細な文書も無数に収録されています。この砦を統治しているのは“本の守り手”と“第一読師”。砦は城壁と高度な魔法、腕利き魔術師である修道士によって守られて言います。砦に入るには本を持参せねばならず、一冊で10日間の滞在ができます。その間は好きなだけ本を閲覧できますが、書き写すには法外な料金を請求されます。砦中央の“空の庭”には滞在者が生活するための設備が整っています。

  • 規模:規模:村規模の砦(300人ほど)、代表者: “本の守り手”ヤナシ、“第一読師”シュコダ・ヴァラスナー、大読師8人
  • 酒と宿:健康食堂、休息の家、風呂場、塩サウナ設備
  • 店と名所:大図書館、エルダイト外装&服飾店、製本の館、教育の塔、鍛冶&厩舎設備、オグマ寺院、地下蔵

⦿ベレゴスト(Bergost):コーストウェイ大街道沿いにある町です。バルダーズゲートと南のオーム―の中間に位置し、多くの隊商が立ち寄る停泊地です。農業や牧畜が盛んで、ジャガイモや煙草、チーズが名産です。広場に主な建物が並び、郊外に有力者の邸宅、高台にラサンダーの寺院群が建っています。傍の丘にはウルカスター魔法学校の廃墟が残り、“魔術師の滅び水”の小川が街に流れています。
ベレゴストは1026DR頃に魔術学校の支援として設立された農村でした。学校は学長ウルカスターと優れた指導方針のもと大いに発展しました。しかし1106DRに学校に脅威と感じたカリムシャン魔術団の襲撃で破壊されました。廃墟と地下設備は迷宮化しており、硫化毒ウーズや魔術を操る怪物や亡者、偏執的な魔法教師の霊が徘徊しています。街の者は廃墟を恐れて近づかず、またゼンタリムやオーム―の影盗賊団、周辺地下にあるマインドフレイヤーの地底都市テレクタスを警戒しています。

  • 規模:大きな町(2900人ほど)、 代表者:知事ケレダス・オームリル司祭、町議会(5人)
  • 酒と宿: 燃える魔術師亭、フェルデポストの宿、楽しい曲芸師ホール、赤の麦束亭
  • 店と名所:ハイヘッジ魔法店、キーガンの店、サンダーハンマー鍛冶工房、朝の歌寺院、ウルカスター魔法学校跡
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《シルヴァーマーチ(Silver Marches)》
 3つの強力な都市を中心とした都市連盟“シルヴァーマーチ連盟”で知られている地域です。ルルアーと呼ばれることもあります。広大な広野と森林、そこに潜む遺跡と怪物に囲まれてはいますが、これらの都市は安全で信頼できるとの評判を得ています。しかし、“シルヴァーマーチ連盟” は1483-85DRに起こった “シルヴァーマーチ戦争”を通して瓦解しました。メニーアローズ王国のオーク侵攻に対して、連盟都市は攻撃された他の街に十分な援軍を出せず、多くの損害を出したためです。現在は、バラバラになった街がそれぞれに戦乱から回復しようとしています。

大竜洞(Great Worm Cavern):世界の背骨山脈のふもと、ケドルン峡谷にある洞窟です。ウスガルド蛮族の大長虫族の祖先塚です。広大な地下洞網の一部であり、他のアンダーダーク地域と繋がっています。最大の洞窟に塚があり、螺旋を描いた翼ある巨大蛇の姿をしています。かつてウスガーの子である大長虫の“賢者”エルレムが住み、悪と戦うよう部族を指導していました。1368DRに洞窟に侵入したゼンタリム冒険者にエルレムは殺害され、遺体を元に秘宝の武具が創造されました。現在の大長虫族の酋長ワームブラッドは部族を貪欲に略奪に駆り立てています。

♣ラークウッド森((Lurkwood):世界の背骨山脈の南に広がる大きな広葉樹林です。周縁部は伐採されていますが、奥地は底なし沼や流砂が潜み、大部分が謎に包まれています。森の中には地底に繋がる洞窟もあります。森には飛行トロルや人喰い二枚貝、双頭魔力蛇などの奇怪な生物が住み、周辺にさ迷い出ます。森の中には周辺一帯に被害と呪いを広げる巨大遺跡 “死の迷宮”があります。古代ドワーフの宝石鉱山でしたが、メドューサとトロルに占拠されて滅び、その後にウスガルド青熊族が仕えるデーモンが支配しました。迷宮はドワーフの仕掛けと被害者の骨、呪いに満ちており、掃討計画はすべて全滅で終わっています。
 森の危険さにも関わらずここで暮らす人々がそれなりにいます。森の素材から強力な秘薬を作成するウスガルト雷獣族、ゴブリン主体の傭兵集団“チル”の塔、高級ワインと護衛を提供する南周縁のヴィントナー砦などです。

⦿グリフォンの巣(Griffon’s Nest):サーブリン丘陵の北部、崖上のウスガルドのグリフィン部族の村です(グリフォンを祖霊とする部族で、聖地は世界の背骨山脈にある白い巨岩“輝く白岩”)。生首の載せられた木柵に囲われ、内側には小屋や長屋が並びます。かつては小都市ほどの規模がありましたが、現在は300人ほどです。現在の酋長ハルリックは訪問者を歓迎しますが、無事に済むことは期待できません。

⦿モーンブリンズ・シールド(Mornbryn’s Shield):サーブリン川とラフィングフロー川の合流点にある村です。河岸と自然岩の尾根に囲まれ、この岩壁が盾となって雪解けの増水から村を守っています。村人は羊飼いや漁、農業、特産のシールド苔の栽培で生計を立てています。川では巨大な二枚貝や魚を取ることができ、苔は香り高く薬や料理、香料の素材などに人気です。村の中心には防御塔やマイリーキ―の祠があります。村はトロールや湿地の怪物の危険に晒されていますが、レンジャー住民や魔法の霧、塔に配備されたヘルムドホラーが守っています。伝説の野伏モーンブリンの墓が村の地下にあると言われています。映画HaTでは聖騎士ゼンクが桟橋でタバクシの子供を助け、エドガンと出会いました。

  • 規模:村(500人ほど)、代表者: 不明
  • 酒と宿: 荒野の乙女(レストラン)、燃えるトロル亭(居酒屋&宿)
  • 店と名所:カルドレスの靴屋(靴と外套、旅装具)、カルドレス乾物&食料品店(食品、ハーパーの隠れ家)

火打岩(Flint Rock):エヴァームーアの南にあるウスガルド蛮族のエルク部族の祖先塚です。段々になった石積みの丘で、常に霧に包まれ、全体に苔が生えています。内側にある窪地はエルク(≒ヘラジカ)の形をしており、周囲に立石とトーテムポールが並びます。これらを用いて呪術師は星辰を詠み、占いをします。エルク族は年会日に集まるほか、誕生や成人、結婚、葬儀に訪れます。塚には代々の族長が埋葬されているほか、部族の秘宝が埋められていると言われています。この地を狙ったゴブリンやオークの軍勢とエルク族は激しい戦を行いました。周辺でヘラジカを傷つけた者は呪いを受け、エルク族の敵として扱われます。

グラックルスタッフ(Gracklstugh): “剣の都”とも呼ばれるドゥエルガルの地下都市です。エヴァームーア地下に広がる“闇の湖”南岸の地下空洞にあり、様々な地底区域と繋がっています。街は“ラドゥグエルの溝”と呼ばれる断層で湖畔地区と高台に分断され、いくつもの橋で結ばれています。住人の殆どが苦役に付く重工業都市で、鍾乳石の間に並ぶ精錬所や鋳造所の火に照らされ暑く、刺激臭と火やと蒸気、騒音が満ちています。
この都市は-3717DR頃に建設され、多くの地底種族との戦争しながら発展しました。ドワーフやマインドフレイヤーとは常に抗争していますが、ドラウとは戦争と交易を繰り返しています。ドゥエルガルは氏族ごとに分担して担当事業に専念します。デロやオログ、石巨人なども居住し、人口の1/3が様々な種族の奴隷です。住人は黄金の次にエールを愛し、肉や燻製チーズ、胞子パンをエールで流し込みます。立ち入り禁止区域外では取引に訪問する地底商人もいます。
 街では赤竜を飼育し、餌と財宝を与える代わりに、その炎を鍛冶の熱源として利用しています。竜が成長しすぎると、それを始末して代替わりさせてきました。1370DRごろから竜鍛冶をしていた赤竜テンバーシャウドは次の候補を暗殺することで居座り続けて肥え太り、1480DR年代には扱いに困っていました。放逐に成功したのか、映画HaTではこのデブ赤竜はドルブルンデ遺跡に住んでいました。

  • 規模:巨大都市(30000人ほど)、代表者: ホルガー・スティールシャドウ5世王、氏族評議会、デロ学会、石巨人氏族代表
  • 街区: 溝北区、溝南区、ケアンゴーム区(石巨人)、ダークレイク港区、商業地区
  • 名所: 剣の市場、ディープキングの館、竜鍛冶の巣
  • 酒と宿: 冷めた鋳造所(宿屋)、砕けた塔(居酒屋)、ゴールブロンのねぐら(宿屋)
  • 有力氏族: ハウンダヴァル(建築)、イムール(武器)、カハルドロ(エール醸造)、ガラク(畜産)、スルダーク(商業)、エクロンド(発明)、ノーヴリム(傭兵)

⦿ヤーター(Yartar):サーヴリン川とデサリン川が街道そばで合流する点にある要塞都市です。街から伸びる防壁付きの大橋を隊商が行き交い、港湾には様々な船が浮かびます。近くを流れるラフィングフロー川と合わせての“三大河”によって漁と水運が盛んで、周辺で用いられる川船の殆どはヤーター製です。エヴァームーアの怪物など襲撃への対策として防壁や常備軍“ヤーターの盾”、強力な戦闘艦“御座船”など防備が充実しています。
 街には大量の流れ者や密偵が入り込み、陰謀好きの貴族、犯罪結社“ヤーターの手”、カルト集団“クラーケン協会”が根を張っているため、様々な騒動が頻発します。ルシオル水運男爵は狡猾で奔放、口の悪い女性ですが、様々な勢力を街で泳がせ、直接的な被害を街に与えるまで好きにさせています。PCゲーム「バルダーズ・ゲート3」冒頭では、イリシッドの次元飛行船ノーチロイドがヤーターの街を攻撃していました。

  • 規模:小さな都市(6000人ほど)、代表者: ネストラ・ルシオル水運男爵、貴族院
  • 酒と宿: 真珠柄のパイプ亭、ベルダバーの休息所、輝く宝石の宿、コイントス、三河会館、黄金の婦人号(賭博船)
  • 店と名所:ダナス漬物と乾物店、エスクリンドラ地図・書籍店、ファイアラスト織物仕立て店、ハラッサの水井戸と高級ワイン、ハスカラー武具店、魚市場(多種の屋台の集合)、冬風屋、思わぬ幸運の館(ティモーラ寺院)、盾の塔、水運男爵の館

ミスラル・ホール(Mithral Hall):“世界の背骨山脈”南にあるこの砦は、北部フェイルーンで最も有名なドワーフの都市国家です。巨大な花崗岩の門を持つ上層部は侵入者に対抗する罠に満ちたトンネルになっており、中層部はミスラル鉱山と作業場、それ以下の階層に居住区画が広がります。地下道はノームやドラウの地下都市に繋がっています。この要塞は1200DR頃に掘り当てた影界の門から現れた影竜シマーグリムに滅ぼされ、魔物の巣となっていました。1356DRにブルーノー・バトルハンマーが奪還し、第8代王となりました。王は既に逝去して久しいですが、その旗は国旗として掲げられています。シルヴァーマーチ戦争と発見されたゴーントグリムへの移住者いにより、住人が下記より減少しています。

  • 規模:大きな町(4900人ほど)、代表者: ダグナベット・ウェイベアード女王、
  • 区画: 主要門、第二門、迷路区域、地底街、ガルムン峡谷、集いの広間、デュマーソインの広間、墓所

⦿セトルストーン(Settlestone):ミスラルホールの傍、三方を山に囲まれた山中にある人間とドワーフの村で、強固な三角形の石造建築とテントが混在します。かつてはドワーフの地上拠点だったのですが、ミスラルホール陥落時に放棄されました。その後、レゲド蛮族の出身者とドワーフが遺跡を元に再建し、共同で住むようになりました。小さな村ながらドワーフ製品の取引で豊かであり、精強な守備隊と罠で村や周辺の街道を守っています。

  • 規模:村(400人ほど)、代表者: ベルクガー酋長(1368DR当時)
  • 店と名所:ミードの館

メンゾベランザン(Menzoberranzan):世界の背骨山脈の南陵の地下深くに位置するドラウの都市で、“蜘蛛の都”の別名があります。幅約3.2km、高さ300mの洞穴であり、闇の中を冷たい色の魔法の炎や発光キノコの森が照らします。地面だけでなく壁や天井にも建物が築かれ、一部の建物は床から天井に到達して繋がっています。この街はロルスに捧げられた厳格な母長神権制が引かれており、人口の2/3は他種族の奴隷です。
 -3917DR頃に“血縁無き”メンゾベザラが抗争から逃れたドラウの七家系を導いてこの洞窟に辿り着き、ビホルダーを駆逐して街を設立しました。しかし彼女らは家同士の争いでメンゾベラを死なせ、際限ない内部抗争を続けました。また外部に対してもドワーフやドゥエルガル、マインドフレイヤー、デーモンなどと頻繁に戦争を行っています。1372-73DRのロルス消失時には反乱と戦争で壊滅寸前まで追い詰められたこともあります。
 高名なドラウの剣士ドリッズトはこの街に生まれ、後に出奔しました。ドラウ傭兵集団ブレガン・ドゥエイアゼはこの街に拠点を持ち、団長ジャーラックスル・ベインレは有力者と繋がりを持ちます。

  • 規模:巨大都市(60000人ほど)、代表者: 母長ソスウプト・ベインレ、八母長会議(有力八家を代表)
  • 街区:ブレイリン(貧困街)、イーストミア(下層民区)、ダスクロイム(裕福層区)、ナルボンデリン(新興貴族区)、西壁(伝統的な地区)、クエラルゾール(有力貴族家の区域)、ブレッシュ層(学園区)、ドニガルテン湖
  • 名所:柱時計ナルボンデル、アラク-ティニリス(学校)、統治協議会の部屋、クロウリフト(傭兵団基地)、市場

♥サーブリン川(River Surbrin):世界の背骨山脈から流れ出て、エヴァームーア北でローヴィン川と合流、南に流れてデサリン川に合流します。豊かな水流を持ち、岩がちな峡谷を通る流れの早い川で、砂州や湿地はあまり見られません。氷河を水源とすることから水は冷たく、春の雪解けには水量が増します。人々はこの川とラフィングフロー川、デサリン川を合わせて「三大河」と呼び、水運や漁業も盛んです。

♥ローヴィン川(River Rauvin):シルヴァーマーチ中央のローヴィン山脈を水源として南に流れ、サーブリン川に合流します。氷のように冷たく澄んだ水が、シルヴァーマーチ主要都市を水運で結び、“国境を通る道”とも呼ばれます。川は飲み水としてだけでなく、シャラス鮭やスズキ、イワナ、蟹や亀などの水産品も重要な資源です。上流に向かう船はラバや馬にひかれて遡上します。このとき、交易船を狙うオークや蛮族の待伏せも多く、用心が必要です。

⦿リヴァーモート(Rivermoot):ローヴィン川とサーブリン川の合流地点にある町です。南側と北西が川で守られて安全なものの、春には雪解け水で洪水に見舞われます。このため、ほとんどの建物は高さ3mの杭上に建てられています。町はシルヴァーマーチ同盟の保護領でしたが、近年の戦争において同盟を支援できませんでした。

  • 規模:小さな町(2000人ほど)

⦿ネスメ(Nesme):サーヴリン川沿いの廃墟です。かつては強固な武装防壁で囲まれ、要塞化した塔と橋を備えた堅固で大きな町でした。全盛期には人口6000人ほどで、蛮族やトカゲ人とも協力して怪物たちの襲撃を退けて繁栄していました。しかし、1484DRのシルヴァーマーチ戦争においてオーク軍と巨大白竜アラウサトールに滅ぼされました。現在は残骸の中に死体が散らばり、湿原から来た怪物が徘徊しています。

  • 酒と宿(以前の): エヴァームーアの宿、騎兵の酒場、灯火亭
  • 店と名所(以前の):公正取引の館(ワキーン寺院)、代表人の館、賢い一角獣の家

♥エヴァームーア(Evermoors):いくつもの川に囲まれた荒れ地で“トロール湿原”とも呼ばれます。丘陵と湿原を覆う濃い霧が視界を奪って沼地を隠し、耳をつんざく風音が感覚を曇らせます。湿原は岩の台地上に形成されており、沼地の中に小さな峡谷や岩山が点在します。このなかには鉱脈も含んでいます。湿原に住むトロールに加え、様々な巨人、黒竜などのあらゆる怪物が生息しています。危険な地ですが、幾らかの牛追いや羊飼い、探鉱者が暮らしています。これまで幾度も文明がこの地に定住を試みましたが、その全てが滅亡しました。湿地の霧の中にかつてのドワーフの城やネザリルの廃墟などが潜み、水底には零れ落ちた黄金や宝石と秘宝が眠ります。一方で湿地からあふれ出た怪物は周辺を脅かし続けています。特に932DRから952DRに行われた第一と第二次トロール戦争は大きな混乱を巻き起こしました。映画HaTにおいて、ウスガルト蛮族がドラゴン・カルトや黒竜ラコールと秘宝を巡って戦い、エドガンらは戦死者に話を聞きました。
  エヴァームーアには幾つもの洞穴があり、それは地下の“暗い湖”と呼ばれる巨大な地底湖に繋がっています。この地底湖はいくつもの地底水域の連なりで、地下河川や滝で繋がっています。幾つかの水流はドワーフ技師による水門で管理されています。最も大きなものは幅160kmを越える巨大洞窟の中にあり、天井は300mを越えるところから非常に低いところまで様々です。洞窟の表面は石筍や鍾乳石、石柱が乱立しています。湖には水棲トロールや知性エイ、クオ=トアの他、様々な地底生物や水中生物が生息しています。湖岸にはドゥエルガルのグラックルスタッフや多種族交易都市マントル・デリスなどがあります。

♠星の頂(Startop):エヴァームーアの中で特に高い頂をもつ山頂で、何かが光を反射します。晴れた夜には月光が差し込んで、きらめく星のように見えます。

♥ラフィングフロー川(Laughingflow):古エルフ語で“笑い声の流れ”を由来とし、“トロール川”の別名を持つ川です。エヴァームーアから湧き出して南を流れ、サーブリン川に合流します。流れの早い硬水で砂利の川底、両岸にはフェルサールなどの香木や、蜜の取れるブルーリーフの木が生えています。食用カニやシャラス鮭、小型のマスやウナギがよく捕られています。危険な水域として有名で、トロールやオーク、蛮族が待ち伏せしている他、緑竜も報告されています。

♣月森(Moonwood):シルヴァーマーチの北西に広がる広大な森です。北東の“ドゥルアー森(Druarwood) ”、東にある“夜の森(Night Trees)”、東北東の“冷森(Cold wood)”と合わせて光る森 (Glimmerwood)とも呼ばれます。古代エルフの森で、常緑樹や多くの巨大樹で覆われています。森には多くの巨大獣やグレイレンダー、一角獣などが棲みます。月森には獣人の村“爪のうつろ”、エルフ村ムーンヴァインや人間のクアラヴァールなどの集落があります。内部にはイーリストレイの神殿“歌のくち”や、ヘラルド紋章院の地下拠点“古き夜”、異次元から転移してきた“孤独の塔”などがあり、また人間の根絶を目指すエルフ集団「エルドレス・ヴェル―スラ」も潜んでいます。
 “夜の森”はあらゆるものから忌避される暗い森です。木陰の中を邪悪な人食い植物と古代の精霊が徘徊します。人を捕えて樹々への生贄にする邪悪なドルイド集団ツリースレイカー(≒樹の飢えを満たす者)が拠点としています。森の奥には汚染されたチョーンティーア神殿がありますが、探索に成功したものはいません。
 “冷森”は多くの季節で深い雪に覆われる巨大樹の森です。大きな獣のほか、大量の亡者が徘徊しています。ここに暮らす者はそれらに対抗できる巨人族や竜、ウスガルド蛮族たちなどです。

⦿ベオルナの井戸(Beorunna’s Well):ドゥルアー森奥地の地面にぽっかりと開いた一辺200mの三角形の大穴です。ウスガルド黒獅子族と赤虎族の聖地で、穴の傍には黒獅子族が町を作って暮らしています。他の町と離れているため、交易に訪れる者は歓迎されます。大穴は深さ80mで底が広がり、垂らされた綱で昇降できます。穴底は温泉が湧いて、間欠泉が吹き上ります。祭壇の傍にそれぞれの部族のトーテムポールが建てられ、部族が交代で守ります。穴底はアンダーダークに繋がり、ときに闇の怪物が現れます。ウスガルド族はここが勇者ベオルナがデーモンと戦ったときに開いた穴だと伝えています。一方で、難民を率いたネザリル魔術師が追手のデーモンとラクシャサ、イリシッドをネザリルの秘宝ごと封じ込めたという話も伝わります。

  • 規模:大きな町(2100人ほど)、代表者: アンダール・ハートウッド酋長(ウスガルド黒獅子族)
  • 酒と宿: アーリン荘、飲み屋
  • 店と名所:ティア寺院、星々の居留地(魔法屋)、交易所、傭兵斡旋所

一ツ石(One Stone):月森の中にあるウスガルド天の小馬族の聖地です。かつては赤小馬族と黄金鷲族も聖地としていましたが、これらの部族は遥か昔に姿を消してしまいました。川の中州に馬の形をした丘があり、その上の環状列石の中央に彫刻が施された巨大な立石があります。天の子馬族の半数が周辺に定住して村を作り、農業や周辺との交易を行って生活しています。一方で残りはこれを聖地への侮辱と見なして攻撃します。悪意ある噂では、岩の下には九層地獄への門が封じられている、あるいは部族は地下で次元門に住んでいたと伝えるものがいます。

フェルヴァー城塞(Citadel Felbarr):ロウヴィン山脈のふもと、幾つかの渓谷の合流地点にあるドワーフの城塞都市です。一見すると峡谷に渡る高架道路と瓦礫の中に見張り塔が建っているだけに見えます。しかし、街の殆どは地下に存在し、更に他のドワーフ都市と地下道で接続されています。元は-1900DR前後のドワーフ鉱山町でしたが、1054DRに放棄、その後は人間やオークが争いながら占拠しました。1367DRにエメラス・ウォークラウン率いるドワーフと人間の軍勢が、この地を奪還しました。シルヴァーマーチ戦争でオークに占拠されたものの、ミスラルホールの支援を受けて再奪還しています。都市は複雑に区分けされており、ドワーフ以外はすぐに迷ってしまいます。長い占拠時の名残で、把握されてない構造が都市内に存在します。近年の戦争以降、人間の都市国家と分断が進んでおり、また周辺で火炎巨人の活動が活発化していることに警戒しています。

  • 規模:小さな都市(6900人ほど)、代表者: モリン王とティスメル女王、
  • 店と名所:ハンマー門、ルーン門、南北の警戒所、儀式の間、墓地

シルヴァリームーン(Silverymoon):“北方の宝石”とも呼ばれるこの街は学問の中心で卓越した美の象徴です。この街はエルフの影響が強く残る街です。街のなかを川が流れて太古の木々と天をつく尖塔が調和し、あらゆるものが曲線で装飾されています。町の空を飛ぶ乗騎が飛び交い、音楽と笑い声がこだましています。この街には大きな学校と様々な寺院があり、防壁と強力な魔法防御で守られています。常備軍である“白銀騎士団”は都市の防御と共に、周辺都市への分遣や、街道の守備も担っています。魔法衛士隊はそれらの活動を補助し、街の魔法結界を管理します。
この街はシルヴァーマーチ同盟の中心であり、長く“七姉妹”の三女アルストリエル・シルヴァーハンドが治めていました。1385DRの呪文崩壊の後、アルストリエルはルルアー全体の統治者として街から離れ、更にミスタラ復活に向けた活動のなかで消息が途絶えました。シルヴァリームーンは強力な指導者を欠いた状態でシルヴァーマーチ戦争を戦い抜いたものの、連盟都市への支援を十分に行えず、シルヴァーマーチ連盟は瓦解しました。

  • 規模:巨大都市(40000人ほど)、代表者: メスラマー・エイラシューム最高魔導師、(外交代理:ティアン・ホーンブレード)
  • 北岸:月門(西)、狩人門(北西)、サンダバー門(北東)
    • 酒と宿:輝く剣の誇り亭 金の樫亭(兼、森の女神シーリアの祠)、ウェイワード館、踊るヤギ亭、ヘルマーの壁
    • 寺院:無敵の館(ヘルム)、ライスターの朝祈所(ラサンダー)、天啓の館(オグマ)、銀星の寺院(セルーネイ)、幸運の家(ティモーラ)、天秤の塔(ミスタラ)、銀の木立ち(シルヴァヌス)
    • 店と名所:オプティムの刃、輝きの巻物堂、アドバー交易所、竜工房、星の宮廷、シルヴァリームーン総合大学(北岸;含む、ミレスクの初級魔法学校、賢者の文書館、地図館、ハープの家、フォークルカン音学院、薄暮の館)
  • 月橋:街を流れるロウヴィン川にかかる透明な魔法の橋です。
  • 南岸:ブラックラー門(南西)、ムル門(南東)
    • 酒と宿:ソルラーの笑うサティロス亭(個室と絵ガラス、垂れ幕で迷路化した酒場&宿)
    • 店と名所:シルヴァリームーン総合大学(南岸;含む、魔道淑女学院、ウトラム音楽院、アルケンの妖術院)、マイリーキ―の木立ち、魔法衛士の島

⦿エヴァーランド(Everlund):ローヴィン川の両岸に位置する町は活発な商業都市です。分厚い石の城壁を持ち、河岸と中央の広場から街路が伸びる機能的な都市設計がなされています。この街を拠点に様々な組織が活動しています。武装組織ブラックバックラー傭兵団や秘密商業結社“タサールの薔薇”、秘術同朋団、ホークブレード出版のエヴェンホルン紙などです。100年ほど前にハーパーが解散した後、ネザリルの脅威に対抗して、この街の“月光塔”で再結成されました。ネザリルが滅びるまでの間は、跋扈する暗殺者から逃れるため“月光塔”が唯一の公けのハーパー拠点でした。

  • 規模:大きな都市(23000人ほど)、代表者: 第一長老カイル・ムーンウォーカー(1372DR時)、長老会議
  • 酒と宿:夢見るドラゴン亭、入江の雄鹿亭、迷いミノタウロス亭(ブラックバックラー傭兵団がたむろ)
  • 店と名所:ベル市場、長靴のヘスメイア、弓手の弓なり屋など
    寺院:常緑の館(マイリーキ―)、岩屋(シーリア)、見張りの砦(ヘルム)、スターマドウ区(コアロン、オグマ、シャーンダカル、ワキーン)

⦿サンダバー(Sundabar):二重の城壁と堀を備えた要塞都市で地上部に人間の、地下にドワーフ都市が建てられていました。元は渓谷に掘られたドワーフ地下都市で、鉱山と火山断層エヴァーファイアを用いた鍛冶場でした。882DR、アスカルホン(現ヘルゲート谷)のデーモン災害から人間の難民が逃れ込み、彼らと共にデーモンを撃退しました。その後、街の地上部に人間たちが街を造り、地下のドワーフと協力して発展してきました。地下で造られる魔法の武器はフェイルーン最高の武器の一角です。この街は連盟国の武力の要で、都市の防衛部隊と“血斧傭兵団”が頻繁にやってくるオークなどの侵略者を迎撃していました。
 1484DR、シルヴァーマーチ戦争によって地上部が殲滅されました。辛うじて地下で喰い止めて他のドワーフ都市の援軍を得て反撃、オークを掃討することができました。シルヴァリームーンは援軍として参戦したものの不十分なものであり、これによってシルヴァーマーチ連盟は瓦解しました。現在、街の城壁は再建されたものの地上部は瓦礫のままです。ドワーフは人間の都市と関係を絶って、ドワーフだけで立て直そうとしています。

  • 規模:小さな都市(推定11000人ほど)、代表者: 政の司(不在)、鍛冶の司フレイムストーカー
  • 酒と宿(地下):バルディバーの宿、元気な女中亭、陣羽織と杯亭、アンシンブルの醜い顔亭、ため息のシルフ亭
  • 店と名所(地下):永遠の火(鍛冶場)、司の館、ネイスの錠前と金釘屋、シンドルーのリュートと笛

♠氷尖山脈(Ice Spires):シルヴァーマーチと北のレゲド氷河などの境になる山脈です。切り立った岩山が雪に覆われており、旅する者は雪崩や雪庇の危険にさらされます。特に吹雪と果てしなく沈み込む“妖精雪”が危険です。この地には多くの巨人が住み、彼らの聖地があります。また徘徊する氷や岩の怪物、白竜なども恐れられています。

アドバー城塞(Citadel Felbarr):氷尖山脈ふもとの峡谷にあるドワーフの城塞都市です。地上部に出ているのは二つの棘付き監視塔や大煙突などのわずかで、岩肌には矢狭間が備わります。城塞のほとんどが地下にあり、階層化された複雑な構造になっています。各区画が隔壁や跳ね橋で分断できるようになっており、地下では鋳造所の熱を利用した水と蒸気機構で水車を廻して動力として用いられています。また地下通路は他のドワーフ都市に通じています。この城塞は-370DR頃から続く古代ドワーフ王国の生きた記念碑です。近年の戦争を陥落することなく戦い抜いたものの、大きな損害を受けました。城塞周囲を傭兵冒険者が巡視していますが、城塞の戦士は減っています。地下道交易では毎年、複数の隊商が行方知れずとなり、探索人が求められています。

  • 規模:小さな都市(19000人ほど)、代表者: ハルノス王
  • 店と名所:中央工房、モラディンの鍛冶場(神殿)、大水車、隊商扉(地下道の門)
        ◆
     

《高森(High Forest)》
 ソードコーストの東に広がるフェイルーン最大級の広大な古木の森です。かつてフェイルーン全土が緑に覆われ、エルフや巨人、竜が世界を支配していた時代の名残です。エルフの王冠戦争の後に、シルヴァネード国が森を支配しました。彼らは野心からデーモンと繋がり、その血を引くフェイリ(ハイエルフとデーモンの血を引くティーフリング)を生み出して“七城戦争”と呼ばれる内戦を引き起こしました。エルフたちは-4700DR頃にエアイアラン王国を建てて内戦を制して発展しました。しかし882DRごろ、魔族やオークとの戦いによって王国は衰退し、エルフたちは“緑の島”エヴァーミートに立ち去りました。それ以来、この深い森は怪物が徘徊し、奥地は謎に包まれています。星山脈やエルフの遺跡、洞窟や古代の迷宮などの伝説が語られるのみです。近年、いくらかのエルフたちがこの地に戻り、“森の評議会”カイリルカルンを開催し、一部はかつての王国の復興を試みています。

石立(Stone Stand):大きなオーク樹の周りを囲む環状列石で、ウスガルド樹霊族と青熊族の聖地です。環状列石はウスガルド族が発見する以前から存在しており、自然の神々の印が刻まれています。このオーク樹は“お祖父さんの木”の挿し木から育ったもので、その下には塚を守るための遺物が埋められています。かつて青熊族はこの塚を獣の神マラーに捧げようとしたことがあります。青熊族が散逸した後には樹霊族がこの地を守り、塚に近づく青熊族を追い払っています。

ヘルゲート谷(Hellgate Dell):高森北東の辺縁、ドクロ川のほとりにそびえる切り立った岩山で、三角形の深い峡谷が刻まれています。峡谷には、かつての“ヘルゲート砦”の破片が残り、古代から現在まで地域の災いの源です。
 元々は孤峰火山で、-4500DR頃にデーモンにより堕落したドラルドラゲス家のエルフとフェイリたちがここの洞窟に逃げ込み、追手に封印されました。その後、エアイアラン王国のエルフたちが城塞都市“アスカルの角”を建てました。-333DRにエルフたちは故国を失ったネザリル難民を保護し、やがて彼ら人間に都市を譲り渡しアスカルホンと呼ばれるようになりました。
 街はエルフの同盟国として栄えましたが、714DRに東方のエルフ国家ミス・ドラナーの難民がなだれ込んだ時期から情勢は悪化しました。派閥争いで魔術師ウルグレスがデヴィルを、エルフたちはデーモンを召喚し、最終的に住人は皆殺しになってデーモンの巣となりました。その後は“ヘルゲート砦”と呼ばれる悪の拠点としてフェイリやオークと同盟してエアイアラン王国の衰退させました。886DRに賢者エルミンスターと黒杖ケルベンによる次元門の封印で活動は抑えられたものの、砦は竜やビホルダーとの抗争、妖婆ハガラとウスガルド青熊族の参入などで災害をもたらし続けました。最終的に1369DR、“霧の要塞”のエルフ魔術師団の攻撃で封印が破壊、古代フェイリとデーモンが復活して砦が吹き飛ばされ、現在の峡谷となりました。
 砦の地上施設は失われましたが、地下には7層に渡る広大な邪悪の拠点が残りました。他の地底領域と繋がって活動を続けています。幾たびかの地下調査はすべて中断され、エルフやトレントや周辺の汚染を浄化しながら監視を続けてます。

  • 知られている区画:地表層(深い峡谷と瓦礫、木々に埋もれる死体の山)、小集会所(地底避難所と兵舎、地下聖堂)、黒き手の墓所(ベイン信徒の神殿と墓所、訓練設備)、ドラルドゲス家の隠れ家(退廃した美に満ちた古代エルフ一族の隠れ家)、深淵の駐屯地(古代エルフやネザリルの墓所、デーモン生育施設)、地下謁見室(魔力収集設備や生贄の祭壇、玉座)、深部地下道(デーモンが構築した他地域への地下道)

お祖父さんの木(Grandfather Tree):高森の奥にある、樹高110mに達する巨大なオーク樹です。かつてウスガルド青熊族の聖地でしたが、1311DRに妖婆ハガラなどと関わって追放されました。彼らの一部は樹霊族として分裂し、探索の後にこの地を再発見しました。巨大樹の周囲に普通のオーク樹が環状に立ち、その下には遺物が埋葬されています。“樹の守護者”がこの地を守りますが、ウスガルド以外のフェイやエルフたち高森の住人にも神聖な土地と考えられています。“お祖父さんの木”は神話時代のトレントであるアラコールであり、太古のエルフによって高森と“霧の館”への門を守護するために召喚されと伝えられています(“霧の要塞”は鱗ある者の始原種族サルークの賢者が創造した要塞であり、他の次元界と繋がる次元門)。ときに樹の使いが精霊の姿で現れて、伝言すると言われています。

ミイラムニール(Mhiilamniir):コケと蔦に覆われて、森の中に埋もれた古代エルフの神殿都市の廃墟です。エアイアラン王国において栄え、様々なエルフの神々の神殿が建っていました。しかし、ヘルゲート砦のデーモン襲撃により滅びて森に埋もれ、コアロン神殿が緑竜クロラクリダラの巣になっています。緑竜は偏執的に廃墟都市を支配していますが、稀に出現する時の神の“時を超えた寺院”のみは支配を免れています。この竜に貢物を支払うことで街への訪問が許されるという噂があります。

⦿トールツリー(Tall Trees):高森の北東にある樹上集落です(別名、“せいたか木立”)。90m近い巨大樹が立ち並び、その枝に建てられた家屋を足場が繋いでいます。かつてエアイアラン王国の首都でしたが、ヘルゲート砦によって王国は滅び、エルフは街を放棄しました。森の女神を奉ずるドルイド達が代わって集落を守り、ここを拠点として古代エルフの遺産を守護しました。エルフ帰還の後、ドルイド達は集落に訪問者や移住を受け入れるようになっています。

名もなき迷宮(Nameless Dungeon):高森の東部に位置する地底要塞で、“眠りの城”とも呼ばれます。真の名である“ナル・ケリムホアース”は忌むべきものとして口にされません。-4500~-4300DR頃におきた堕落したサン・エルフの国シルヴァネードと新生のエアイアラン王国による“七城戦争”におけるシルヴァネード勢の最終拠点でした。要塞にはミイラムニールなど様々なエルフ拠点への転移門が存在しました。戦で追い詰められたフェイリたちはこの地底要塞に封印され、周囲に見張りがつきました。ヘルゲート砦の勢力やヘビの勢力が封じられた力や魔物を求めて迷宮を徘徊し、互いに争っています。

⦿ローセン(Lothen of the Silver Spires):“銀の尖塔の街”ローセンは古代シルヴァネード国の学園都市の廃墟です。深い森の中に銀色の石で建てられた壮麗な尖塔が伸びています。この都市は“七城戦争”におけるシルヴァネード勢の敗北後、エアイアラン王国に組み込まれ、多くの種族が訪れる窓口として栄えました。しかし、882DRのヘルゲート砦の魔物によって滅ぼされました。その後はオーク部族など複数の勢力の根城となり、獣の神マラーの寺院が建てられました。またフェイリたちがここに潜入し、古代の秘法を捜索しています。

四幽霊の館(Hall of Four Ghosts):高森の西端に位置する廃墟です。元はカダラックというベルシマー王国時代のドワーフの伐採業の町の地上部分です。入り口となる館に近づくと、互いの死をもたらした4人の幽霊が現れます。遺跡には地下深くに続く地下道があり、トロールなどの多くの怪物が住んでいます。なかにはアンダーダーク繋がっているものもあります。

♠星山脈(Star Mounts):高森の中心に高くそびえる山脈で、雪に覆われた山峰が遠くから目に入ります。山脈の中央に深い谷間があり、周囲と隔絶した土地となっています。この山脈を水源としてユニコーン川とハートブラッド川は流れています。山頂では夏でも雪が降り、絶えず強風が吹き荒れています。多くの生物が斜面の洞窟に潜みますが、風を避けて乗るものもいます。静かな夜には山の一部が奇妙な光を放つこと、あまりの急峻さと地形の奇妙さから、この山脈は自然形成されたものでは無いという憶測もあります。

  • アンガロス峰:星山脈の最高峰で、古赤竜“星山脈の業火”イムヴェルナーロが巣穴を持っています。この竜は巣穴に転移門を所有しており、思わぬところに現れます。周辺のドワーフ王国を滅ぼした他、魔術で広範囲を観察し、他者を犠牲にするのを楽しみます。
  • 報復の巣:星山脈に住む鳥人間アーラコクラの集団です。多くの同族を古緑竜エラアクリマリクロス(通称エラアル)に殺され、報復を狙います。南斜面の“最後の巣”とロスト山脈を拠点とします。風の精霊界と繋がり、多くのドルイドや風の魔法の使い手を含みます。
  • 果て無き洞窟(Endless Cavern):南斜面に開く大きな洞穴で、ユニコーン川の水源の一つです。内部は星山脈の地下全体に複雑に広がり、アンダーダークに繋がっています。ここには竜やドラウ、火炎巨人など様々な怪物が潜んでいます。有名なものとして、宝物をかけた謎かけ勝負を好む緑竜“謎かけドラゴン”グリムノーシュや、古代ネザリルのリッチ“不死なるもの”オームヴォルがいます。後者は現代フェイルーンにおける魔法の衰退と先進性の欠如を憂いています。ネザリル精神の復興のため、アスカルホンやベレゴスト、バルダーズゲートなどの魔法学校の設立を後援しました。
  • ロスト山脈:星山脈から北に60kmほど離れた二つの孤立峰です。デサリン川の水源であり、ケンタウロスや多くの妖精が住んでいます。山脈の谷にある“記憶の泉”は過去を映し出し、踏みこんだものを見知らぬ地に迷い込ませます。

ナインの要塞(Stronghold of The Nine):ユニコーン川の岸辺にある洞窟群です。元々はドワーフの地下要塞でしたが、ナーガなどの怪物が住み着いていました。1330DR頃、魔術師レイラル・シルヴァーハンドが率いる“九者”と呼ばれる集団が探索を進めつつ基地とし、フェイルーン全土に渡る探索で得た秘宝をここに保管していました。“九者”はネザリルの秘宝“角の王冠”を得たことにより同士討ちで滅び、レイラルは“黒杖”ケルベンに救出、地下要塞は放棄されました。

♥ユニコーン川(Unicorn Run):星山脈の南側を水源とする川で高森を流れ、デリンビーア川に合流します。霧をまとった数多くの滝と緑豊かな川岸で知られており、ユニコーンや妖精の住処が現れることもあります。川の源流には“命の森”と呼ばれる自然の神々の聖地があります。

⦿ノルダハイリル(Nordahaeril):100人ほどの森エルフが住む比較的新しい集落で、カイリルカルンの一員です。一本の巨大オーク樹に築かれており、枝の上に家々が建てられて吊り橋で繋がれています。近くの崖からユニコーン川が“姉妹たち”と呼ばれる連続した滝で流れ落ちています。月夜にこの崖上に現れるユニコーンを目にすることは森の女神マイリーキ―の祝福とされます。

カース(Karse):星山脈の東、ハートブラッド川岸の切り立った台地にある廃墟です。周辺のダイアウッド森の樹々は黒く捻じれ、赤い土壌は腐敗した草に覆われています。森の中の空間は歪んで亡者が徘徊し、また血の雪や沸騰した雨、爆発する雹などの異常気象が発生します。
 -339DRにネザリル帝国の高位魔術師カーサスは、呪文“カーサスの化身”で秘術の神ミストリルに成り代わろうとしました。彼は束の間に神位を得たものの、耐えられずに膨張して死亡して、石化しました。このときミストリルの死によって魔法の“織り”が遮断され、新たな再生までの間にネザリル帝国の浮遊都市は墜落して滅びました。これは“カーサスの愚行”と語られています。
  “刹那の神” カーサスの身体はダイアウッド森に落下して赤い台地と化しました。その心臓は人ほどの大きさの輝く“カース石”となり、脈動と共に噴き出す液体は赤く変色してハートブラッド川を染めています。死後まもなくしてカーサスを崇拝するカルト団が神殿と都市を建てましたが、内紛で滅びて廃墟が残されました。883DR、アスカルホンの魔術師ウルグレスはデーモンへの対抗手段を求めてカース石に干渉し、結果的に廃墟に縛られるリッチと化して徘徊しています。

⦿レイセイルライソール(Reitheillaethor):ハートブラッド川岸にあるエルフの村です。中央に大理石の館と周辺の小屋が並びますが、住人の多くは樹々と一体化した高所の建物に暮らします。村のエルフたちは腕利きの狩人や漁師、職人で、周辺の人々交易します。近隣のトレントと友好関係を築き、また強力な巡視部隊と防衛力を持っています。“森の評議会”カイリルカルンを率いる“赤の貴婦人”モルグワイス・ナイトメドウが治めています。彼女はエアイライン王国の再興を目指して活動していますが、夢の実現には程遠いのが現状です。
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《西ハートランズ(Western Heartlands)》
 西ハートランズはソードコーストとコアミアやドラゴンコーストの間に広がる地域です。広大な草原の中に丘陵や底なし沼、湿原、森林が点在しており、そこには怪物が満ちています。かつて多くの帝国がこの地域を支配しようと試みて失敗し、その残骸の要塞廃墟が残されています。この地域は東西の交易の要であり、護衛として冒険者は歓迎されます。

♠グレイピーク山脈(Greypeak Mountains):険しく荒涼とした山脈です。山道は細い岩棚に過ぎず、雪と氷に覆われた峰を越えるのが困難なうえ、多くの恐ろしい獣や怪物が生息しています。山脈の窪地は湿原林となっています。その危険さにもかかわらず膨大な鉱物資源のためネザリル時代には坑道などもありましたが、今は小さな集落や魔法使いの塔があるのみです。ここには石巨人の集落が幾つか知られているほか、最高峰に巨人の父神アナムの神殿があります。山腹には闇の女神シャーを祀る“囁きの谷”や峡谷にビホルダー群居地ホワイトフェイスがあります。地下に広がる古代ドワーフ王国の坑道跡には灰色の屍竜ガラスマウが徘徊し、深部には地の原初巨神が封じられていると言われています。

♣サウスウッドの森(Southwood):デリンビーア川と荒涼高地の間に広がる、うす暗く不気味な雰囲気が漂う森林です。夜には幽霊狩人の群れが木々の間で幽霊イノシシ狩りをします。森の地下には古代ドワーフ王国アマリンダーの遺跡があり、そこを拠点にしたオーガ王がゴブリン部族を率いて周辺地域を侵略しました。オーガ王は討伐されたものの、彼を半神と崇めるゴブリン族が墓所を中心に王国の復活を企んでいます。

⦿ラウドウォーター(Loudwater):“洞窟の町”ともいわれる町で、デリンビーア渓谷とグレイフロー川の合流地点にあります。緩やかな川の港と石の防壁に囲まれた絵のように美しい庭園都市です。それぞれに異なる家が木々に溶け込みながら曲がりくねった道に並んでいます。街には多くの洞窟があり、それぞれ神聖な由来や陰惨な歴史を持っています。ここは古代ネザリル難民がエルフやドワーフと共に造り上げた活気のある町で、人間やエルフなど多くの種族が暮らします。1150DR~1315DRにかけて、カリムシャン軍とサーイ魔術師に占領されていましたが、マイリーキーの加護を受けた戦士の反乱より自由を取り戻しました。以降、様々な脅威をはね退けて発展してきました。この町はD&D4版におけるフォーゴトンレルム世界の冒険開始拠点として紹介されています。
  1483~85DRにはシルヴァーマーチ戦争や石巨人の襲撃で周辺は多くの被害を受けました。ラウドウォーターは防衛に成功したものの他の多くの町が滅び、難民が流入しています。難民の中にはロークの街を支配していたゼンタリムも潜んでおり、水面下での問題が発生しています。

  • 規模:小さな町(推定2000人ほど)、代表者: テルボア・ザレック上位領主
  • 酒と宿:本狂いの宿、宵の明星亭、緑の杯亭、漁師の友だち亭
  • 店と名所:飛び魚橋、領主の館、月出の市場、ガルワン骨董品店、アルモグの武具売場、イナリンの冒険装備店
  • 寺院など:朝の館、コアロン・ラレシアン寺院、シルヴァネス寺院、全信仰の祭壇、大霊廟
  • 洞窟:決闘の洞窟、傷心の洞窟、静かな花の洞窟、悲劇の洞窟(イルメイター神殿)
  • 近隣の滅びた町:ゼルブロス(西に100km)、オールバー(東に70km)、ローク(東に140km)

♥荒涼高地(High Moor): 周囲より高く岩がちな高原湿地帯です。見渡す限りに続く低木の茂みに、岩場が頭をのぞかせ、枯れ谷や沼地が潜んでいます。荒れ地には動物やトロールやオーク、ゴブリン族のほか多くの怪物たちが生息し、独自の生態系を形成しています。かつては広大な森林で古代エルフのマイエリター王国がありましたが、王冠戦争の魔法で死に絶え、呪われた地になったと伝えられます。今も未探索の城や墓所の遺跡が多く眠っています。北西部の岩棚にあるドワーフ遺跡の“ハンマー館”、ホブゴブリンとウォーグ部族の根城“ミシュカの巣”、残忍な妖精女王メイオリーナが出現させた氷の宮殿などが知られています。

ハークの迷宮(Dungeon of the Hark):ハーク川を崖上から見下ろすムーアエッジ村の廃墟の下に広がる地下要塞です。代々“ハーク”を名乗るワーラットを中心とした盗賊団の本拠地で、その奥はアンダーダークに繋がっています。盗賊団は様々な作戦で街道や河で襲撃し、迎撃隊を迷宮に誘い込んで始末してきました。町とオーク部族の火種を煽って戦争を起そうとしたこともあります。彼らの中にオーガやゴブリンのほか、ローパーやマインドフレイヤーなどの地底怪物が見かけられ、これらが背後についている可能性が疑われています。

♥ハイスター湖(Highstar Lake):多くの伝説や神秘が語られる鏡のように澄み切った湖です。花崗岩と大理石の盆地にあり、その水は北東のハーク川からデリンビーア渓谷へと流れます。湖には大ナマズやカエルほか様々な動植物が生息しており、アメジスト竜の生息も報告されています。一方でワイトや水生グールなどの亡者も潜んでいます。南西の湖面に数本の塔が建ち、これは古代マイエリタ―王国のものと噂されています。また深淵にはネザリル飛行船の遺跡があるという話や、これはリッチの住処、あるいは失われた神々の寺院だという伝説があります。湖畔では“湖の貴婦人”にまつわる神隠しや、妖精の血を引く赤子の話しが伝わります。

オロゴス(Orogoth):荒涼高地に建つ巨大な邸宅の複合体の廃墟で、地下にも施設と地下道が広がります。古代ネザリル帝国で竜支配と竜化の魔法を探求する貴族、オロゴス家の館でした。彼らは世界中から竜やその財宝、秘術を収集して栄えましたが、-2211DRに内乱で滅びました。90DRに大蛇丘陵の地下洞窟から潜入したユアンティがこの廃墟に眠る竜を目覚めさせました。それ以降、オロゴス家の末裔を名乗る黒竜の群れが廃墟に住み、周辺を支配しています。
 オロゴスの長は古代黒竜のドラコリッチ“古きもの”カラサノルゴス、知られているだけで古竜を含む7体以上の黒竜を率いています。オロゴス家は魔法の研究と収集を重視して探索に派遣し、特に竜とネザリル遺跡の保護を重視しています。その魔法の図書館は大陸で有数のものです。彼らはときに魔力を持つ者を一族に加える他、半竜なども戦力として従えています。ナジャラやドラゴン・カルトを筆頭に多くの組織と険悪ですが、それらと敵対する者とは一時的に協力することもあります。一方で南方のハルアーの魔術師との関係は良好です。

ナジャラ[国名](Najara):“荒涼高地”東部と“大蛇丘陵”から“シェリンバー沼”、“大長虫の森”を版図とする謎めいた蛇の国です。ダークナーガのジャラントが“蛇の王”としてナーガやユアンティ、リザードフォークからなるこの国を支配しています。以前から周囲に存在は認識されていましたが、1979DRに一方的に領土を宣言し、他国民へ街道以外の立ち入り禁止を宣言しました。周囲地域で最も強大で危険なのはナジャラだと警戒されていますが、今のところ動きはなく、周辺国とも交易、交渉もわずかなものです。この地は爬虫類の創造種族サールクの遺跡が眠っています。

♠大蛇丘陵(Serpent Hills):赤土と岩の切立った台地と峡谷がうねをなして続く丘陵地帯です。その荒れ地には低い低木がわずかに生え、岩陰や隙間に蛇や毒蟲が潜んでいます。丘陵の岩の隙間や洞穴が多く、その一部は丘陵の下に広がる “蛇の道”と呼ばれる地下道に繋がります。この複雑に入り組んだ地下道は大洞窟や地下室に繋がり、ナジャラの民によって警備されています。彼らは地上を歩く者をさほど気にしませんが、地下に踏み込んだ者は見逃しません。丘陵の深部はアンダーダークに繋がり、グリムロックの都市リーショフが存在します。

六者の墓(Crypt of the Six):大蛇丘陵の北部にある古代アノリーア王国の墓所です。アノーリア王国はネザリル帝国の崩壊後、その生き残りが作り上げた“失われた王国”のなかで最大の国です。シルヴァーマーチ~西ハートランズ周辺にもその遺跡が残ります。王国は400年ほど続きましたが、オークの襲撃で衰退し、最後はアノーラッチ砂漠に飲み込まれました。この未踏破の墓所には六人の上級顧問とその家族の墓であり、マミーや衛兵ゴーレムに守られています。墓所の一部が奈落に接続され、探索者はデーモンと戦う羽目になります。

スカナジャ(Ss'khanaja):大蛇丘陵の西部地下に広がるナジャラの地底首都です。螺旋階段が刻まれ、無数の側道が伸びる深い縦穴の奥底に存在します。中心部に“蛇王”ジャラントおよび高位ナーガと従者が住む宮殿があり、周囲をユアンティやリザードフォークが住んでいます。ジャラントは秘宝である王冠“マールスパイア・オブ・ナジャラ”を身に付けた強大なナーガであり、国民への絶対的な支配力を発揮しています。また始祖ターペンツィもアンデッドの姿で“ナジャラの守護者”となり、王宮の宝物庫を徘徊しています。

剣の迷宮(Dungeon of Swords):天然洞窟内の地割れから広がる地下迷宮で、古代アノーリア王国を統治したサードレスク王家の墓所です。剣の名手ソーシンベル王や娘の幼い女王シャダラが埋葬されていると伝わります。複雑な仕掛けと構造や魔法で守られ、侵入者はアンデッドに追い立てられて無数の剣で刻まれます。特に複数の転移門で迷宮内や他のアナーリア遺跡に転移させられることがあります。この迷宮を巡ってドラゴン・カルトとオゴロス家の抗争があり、最終的に墓所の奥に潜む深淵竜が彼らを追い払いました。

♥シェリンバー沼(Marsh of Chelimber):悪臭を放つ広大な沼地で、しばしば硫黄の蒸気たまりが噴出して、あばたを残します。蛇族にとっても不快な土地ですが、ナジャラに属するリザードフォークの諸部族が支配しています。この沼地は古代の魔法戦争で水の精霊が暴れて造られました。かつて人間の王国や吸血鬼の城、ゼンタリムらが支配していました。これらは全て滅びて亡者として沼を徘徊し、あるいはナジャラに使役されています。沼のなかにはいくつもの神殿や遺跡が沈み、ブレイやミノタウロスなどの怪物が潜んでいます。

スサーディスサン(Ss’thar’tiss’ssun):“泉の都”とも呼ばれるウロコある者の始原種族サルークの遺跡で、かつてのナジャラの首都でした。地下構造と地下道は広大で大長虫の森や灰色丘陵の南端にまで達し、トカゲ人の王国カルランやヘビ人間の商業都市“忌まわしき”スズラアスニーともつながります。DR90年代に古代エベンファー王国と“影繰り”の軍勢との争いで破壊され、結界に封じられました。1359DRにナジャラ魔術師の“螺旋結社”が結界を抜け、蛇王が都市再建を計画しました。廃都には蛇神の寺院や魔法の泉が存在し、亡者や魔法恐竜や刃蜘蛛などの蛇人間が創造した守護者に守られています。

♣大長虫の森(Forest of Wyrms):松やアカスギの巨木が生い茂り、鋭い茨の蔦が密に絡まっています。空気は冷たくて湿っぽく、しばしば霧に覆われます。森には緑竜や飛竜、丘巨人、ビーヒア、ヒドラ、巨大カブト虫など様々な怪物が潜んでいます。特にあらゆる種のヘビが群れ集まり、これらの蛇は異様に大きく、普通なら毒を持たない種の牙も毒を持ちます。古緑竜レリオネイトが蛇たちと独立してこの森を巣としています。森の西端に“蛇頭巾村”という廃村があり、その奥に蛇族の聖地“頭巾をかぶった蛇の祠”があります。

スロツィン(Thlohtzin):ナジャラの奴隷取引拠点で、奴隷を求める蛇たちの諸勢力とナジャラ周辺の奴隷商人たちが集います。かつては古いリッチの砦で、今はユアンティたちが支配しています。

⦿ボアレスキア橋(Boareskyr Bridge):消滅した古代王国の名を冠したこの橋は曲水川にかかる“通商道”の要衝です。1358DR、“災厄の時”に神々が地に墜ちたとき、シアリックが殺戮の神ベハルと戦って殺害しました。以来、この川のここから下流は汚染されています。黒い花崗岩でできた橋の両側にはシアリックとベハルの彫像があります。橋のたもとにはいつもキャラバンが留まりキャンプ地になっています。橋の周辺に現れるカルト団や奴隷商を警戒するため、エルターガルドが南岸に砦を構えています。

♠トリエルタ丘陵(Trielta Hills):牧歌的で美しい緩やかな丘陵地帯で、小さな農村や露天鉱床、幾つかの砦が散在します。ノームやハーフリングは集落を作っており、幾つかのオーク部族が砦を建てていますが、大規模な戦争には関わっていません。伝説的な遺跡や塔などはありませんが、危険な怪物は生息しており、大長虫の森から紛れ込んでくる竜や蛇たちは危険です。一時期、イリシッドや古代生物のフェアリムが丘陵で活動をしていたことがあります。

♣リーチング森(Reaching Woods):落葉樹が密集して色とりどりの葉を茂らせ、木々の間には静かな池が佇みます。平和と静寂に満ちた絵のように美しく若い森です。冬には多くの雪が降り、凍り付いたり吹雪が発生します。エルターガルドはこれを見せかけのものだと主張し、森に眠る古代神の祠とゴブリンやノールなどからなる人喰いカルト団を危険視、バリケードで封鎖しています。森の奥にはかつてエルフ都市のタリスがあり、今は廃墟となっています。古代ネザリルの遺産と思われる巨大な“歩く塔”が森の中をさ迷っています。

⦿ハードバックラー(Hardbuckler):防壁に囲まれたノームの要塞都市で、黄昏街道の旅の拠点として知られています。防壁には移動型の連射式バリスタがたくさん並び、襲撃者に矢を降らせます。街のなかは壁沿いと中央の大通りが目立ちます。石造りの小さな庭付きの家が建っており、通りを家畜が行き交います。それぞれの家には多層の地下室が整備され、地下道や昇降機で接続されています。フェイルーンにおけるアーティファイサーの起源であり、魔法や錬金術の品と精巧な仕掛けが販売されています。インチタウルン家がこれらの製品を保管や町の防衛魔法を提供しています。街に宿屋や酒場はありませんが、住民が旅人を宿泊させて各家庭で自家栽培キノコやイモ、チーズなどの料理をエールとワインと共にもてなします。街にはノームの転送網“霧の道”や、地下にはネザリルの富に繋がる転移門があると言われています。

  • 規模:小さな町(2000人ほど)、代表者:長老会議“隠された者たち”、イシンド長老やブンディフェザー長老など
  • 店と名所:パイプと象牙館(ゲームと賭博、酒)、インチタウルンの魔法倉庫群
  • 名家:アルスリン家、ボールドノーズ家、バンディフェザー家、エインダル家、フェルンダール家、フェロンド家、ゴルンシュ家、イシンド家、コッバー家、ウィンダス家

⦿アンガ・ブレッド(Anga Vled):チオンター川北岸の断崖に造られたノームの村です。隊商の補給拠点として、様々な食料や野菜を提供し、特にスパイスと薬草種が有名です。村の馬車職人は腕利きで、馬車の製造や修理、また予備の馬の提供を請け負います。周辺にはゴブリン族やトロールが徘徊していますが、これらに対抗するための防衛塔などが充実しています。
 村の50kmほど西にはラサンダ―の修道院“日出の尖塔”がありました。秘宝“夜明けの書”の発見で知られましたが、戦争で破壊されています。36kmほど東にフェイルーン紋章院の拠点“月出の塔”があります。塔の周辺は謎の呪いによって侵食されています。

エルターガルド[国名](Elturgard):正義の神トームを国教とする神権国です。首都エルタレルと参加都市の周辺を領地とする1430DR年代に成立した若い領土国家です。大観察官がパラディンからなる友垣騎士団を統率し、全フェイルーンに正義の審判をもたらすために活動しています。住民はトームの他にヘルムやティア、ラサンダーなどの秩序や善の神々を信仰し、騎士団は領土とそれ以上の広い土地に秩序を維持しています。エルターガルドには“固き信条”と呼ばれる規範があり、経典に保管されています。これはエルターガルドと人々への忠誠と守護、信条の尊守に加え、信仰の違いによる偏見をいさめます。エルターガルドの独善的な活動と融通の利かない法律が様々な問題を起していますが、他の都市国家はエルタレルの正義を怪物よりはましなものと容認しています。
含まれる居住地:首都エルタレル、スーバー、トリエル、スコーヌーベル、バーダスク

⦿スーバー(Soubar):ボアレスキア橋の南70kmほどにあるトレードウェイ大街道の宿場町です。防壁に囲まれ、周囲に農地が広がります。季節によって人口が大きく変動し、隊商の少ない冬場は武装野営地くらいに人が減り、盗賊やならず者であふれかえる無法地帯になりがちです。近年、圧政の神ベインの司祭が“黒の修道院”の再建に取り組み、これが町の振興や周辺の怪物の脅威からの守りに繋がっています。正義の神を信仰する国において相応しくないと苦言をする者がいますが、彼らは「我らの信条を思い出せ」と諭されます。

  • 規模:村か~小さな町(~1000人ほど)
  • 酒と宿:青いグリフィン亭、曲がりみち亭(町のベイン寺院跡にあり、“黒の修道院”に改築中)

⦿トリエル(Triel):トレードウェイ大街道と黄昏街道の交差点に位置する村です。丸太と岩で造られた柵で囲まれ、夜間は門が閉ざされます。村の農場の規模が小さく、食料の多くを輸入に頼っています。隊商が減る冬に備えて、柵の内側に貯蔵のための倉庫があります。ブリナ・ブライトソングやオレン・ベル・ダナーなど、幾人かの著名な吟遊詩人や賢者がこの村の出身です。

  • 規模:村(700人ほど)
  • 酒と宿:歌う風の宿

⦿エルタレル(Elturel):エルターガルドの首都である城塞都市で“聖都”の二つ名があります。上空には“友垣”あるいは“第二の太陽”と呼ばれる珠が輝き、24時間ずっと昼と同じ明るさで照らしています。闇の生物はこの都市を見ることすらできず、アンデッドは燃え尽きます。はるか昔はトロールやオーガの根城でしたが、人々がこれを倒して街を造りました。かつて1430DR年代に吸血鬼と亡者が街を侵食したときに、この“友垣”を得て亡者を一掃し、街は周辺地域へ安全を提供する正義の代名詞となりました。街を統治しているのは大観察官で、この国の法に3回違反すると地下の“審問官のダンジョン”に放逐されます。ここから更に地下に脱走する者を、再び目にすることはありません。
 街はチオンター川北岸の小高い丘に建ち、城壁が南の川岸以外を囲っています。高く尖塔のそびえる石造りの建物が並び、石畳の路地は狭くて曲がって急勾配です。中央の高台に水量の豊かな泉があり、この水が流れて街路を巡り、断崖は花壇の公園となっています。一方で港湾区は運輸と商業用の小屋や倉庫が無秩序に並び、悪臭を放ちます。騎士団の強力な騎馬部隊であるヘルライダー隊が街の防衛の主力です。この部隊はかつて街が悪魔に苦しめられたとき、助けてくれた天使と共に次元門に突入して街を守ったことから名づけられました。
 エルタレルは周辺に大農場を持つ農業の中心地であり、街道と河川貿易で多くの家畜と加工品を輸出します。特産チーズのエルトリアン・グレイは住民の誇りであり、偽物を許しません。街は常に照らされるているので新参者は寝付けないため、宿屋は窓に厚いカーテンを用意しています。近年、エルターガルドの法はさらに厳しくなり、汚い言葉遣いや不敬も警告を受けることがあります。日常的に口と態度の悪い隊商や川船団はエルタレルへの停泊を嫌がります。

  • 規模:大きな都市(1700人ほど)、代表者: 高位監督官ダヴィウス・クリーグ
  • 宿(※宿で酒を出すの禁止):黒のグリフィン亭、ドワーフ鍋の宿、ギャロウガーの宿、フォンチルの一角獣、船櫂と車輪の宿、シンブリルの館
  • 居酒屋:黒い枝角亭、輝く杯亭、曲がった兜亭(酒と煙草、喧嘩の店)
  • 店と名所: 審問官の迷宮、高位公館、エバーライト劇場、乙女橋通り、トームの剣橋、トームの腕橋、大墓所
  • 寺院など:ヘルムの盾館、大収穫館(チョーンティーア)、朝王の寺院(ラサンダー)、剣の振るい手(テンパス)

朝の王の砦(Fort Morninglord):チオンター川を見下ろす丘に建てられた聖騎士の砦でした。1776DRに一夜で守備隊の姿が消え、砦のあらゆる医師が黒焦げになって扉と窓が溶着されました。大監察官は砦の封鎖を命じ、石と煉瓦で入り口を封じました。騎士団が常駐して砦の状態と、何かを探ろうと近づく者を見張っています。

⦿スコーヌーベル(Scornubel):“キャラバンの都”とも呼ばれる交易都市です。大通りや港を中心に無秩序に建物が伸び、さらに隊商の馬車や天幕が広がります。建物の所有者が頻繁に入れ替わり、恒久的な名所がありません。家に住まず、隊商や屋外で干し草の寝床で暮らす住民が多くいます。エルターガルド商業の中心で多くの利益を発生させますが、トラブルの源でもあります。厄介ごとを抱えた多くの異邦人がこの街に逃げ込んで暮らし、盗賊ギルドが根を張り、多数の傭兵会社が拠点を持ちます。ドッペルゲンガーやラミアのような変身生物すら街で容認されるため、ときに怪物たちの会合場所に使われます。この街では怪物との模擬戦闘や、芸能や魔術を使う怪物芸が楽しまれています。時折、彼らが脱走して騒動を起こします。以前にはゴブリン族による襲撃被害が発生しましたが、エルターガルドに加入して騎士団に押し付けることで克服しました。

  • 規模:大きな都市(14000人ほど)、代表者:“古狐”レサジャン・アンバーマントル女侯爵、高等顧問、商人評議会
  • 酒と宿:遠き錨の宿、汚れた蹄亭、おてんばの母会館、荒れたユニコーン亭、旅人の休息亭、魚と煙の宿など
  • 店と名所:スコーヌーベル公館、赤盾の、聖騎士砦、アルカラス造船業、カエルス・タンバダル鍛冶店、ハイムーン交易所、風乗り-交易所、プレズミーア薬草店、山道会本部、他に貿易会社と護衛傭兵会社が多数
  • 寺院など:ラサンダー治癒院、神聖な金貨の館(ワキーン)

♣とがり牙の森(Wood of Sharp Teeth):沼地の多い豊かな土壌に下草が密生し、白樫や黒柳、トネリコなどの常緑樹がそびえ建つ密林です。森にはサティロスやドルイドなどの妖精が住み、獣人が徘徊しています。かつて存在したエルフ集落アスカヴァールや、人狼都市ヴェフラーの廃墟が森の中に残ります。現在、森の近くで人が住むのは木こりと薬草師の村ホーンブロウのみです。密林の中に地底に至る深い地割れと洞窟群と、深部にネザリル空中都市フィロックの残骸が発見されました。この遺跡の探索は困難を極め失敗しています。

⦿バーダスク(Berdusk):チオンター川の日没峡谷とウルドゥーン山道の交差点に位置し、“谷の宝石”の異名があります。街を囲む防壁も内側に立ち並ぶ建物も背が高く、急勾配の屋根を持ち、上下水道が整えられています。これらの建築は頻繁に建て替えと修理が行われています。街には腕利きの職人がたくさん住み、東西の交易に向かう商人で賑わいます。“一級市民”と呼ばれる貴族たちは街の職人や商会を応援して権力と名声を獲得しています。バーダスク民は取引が大好きで、交代で仕事をして自由時間で互いに売買を楽しみます。彼らは自画自賛に言葉を惜しまぬ人々で、エルターガルド加入に伴って自らの信心深さを喧伝しました。その実態にもとづいて、今では“清きことバーダスク神官のごとし”という言葉が広まるほどです。
 街はかつてエルフと人間の村で、オークとの戦いのために築いた砦でした。ビホルダー結社などとの戦いを克服するたびに大きく発展していきました。街の中心にある“日暮れ会館”はいくつもの建物と中庭が繋がった建物で、様々な組織が入居しています。西ハートランドにおけるハーパーの中心拠点がこの一角にありました。バーダスクで発刊されている“日暮れの書”様々な歌や詩、情報や辛辣な批評で有名です。

  • 規模:大きな都市(推定20000人ほど)、代表者:シルリア・ドラゴンブレスト女侯爵、一級市民の家長(20ほど)
  • 酒と宿:剣鳴りの玉座亭、華の大瓶亭、ハリーバック賭博場、オルディンの苫屋、銀剣の印亭
  • 店と名所:交易頭領会館、日暮れ会館、紋章院、紅の羽衣の館、水辺の鍛冶アルマンサー、オンドレアの良書店、サンダーウッド出撃基地、アンバーサイド市場
  • 寺院など:強き右手の準備院(ヘルム)、永遠の歌の塔(ミリル)、伝承の座(オグマ)、最奥部屋(デニーア、日暮れ会館内)
  • 通商道の先:バーダスクの東へ街道は伸び、“千の尖塔の街”イアリーエイボアやイースティングなどに繋がります。

〓 緑なす沃野(Greenfields):チオンター川とオーム―のあいだに広がる起伏のある広い草原です。かつて古代エルフ王国のありかでしたが、王冠戦争で呼ばれた竜に焼き払われて滅び、現在の姿となりました。その後もカリムシャンやオーム―などが支配地域を広げようとしたときなど、しばしば戦場となっています。西の岩山に“トロル殺し”のダーラグが建てた塔があります。このドワーフは仲間や蓄えた財宝と共に過ごすために塔を建て、次第に偏執狂に陥り天界を攻めるための飛行戦艦を建造したと言われます。
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《ソード海の島々(Sea of Swords)》
 ソードコーストの先に広がる大海で、多くの島が浮かびます。地図より南西の海域は“迷いの海(Tarackless Sea)”、遥か西の彼方には謎の大陸レヴォワールやマズティカ、アンクロームが存在しています。
 これらの海には様々な生き物が住んでおり、シー・エルフやサハギンの王国が点在します。深海にはクオトアやアボレスの住処があり、クラーケンが潜みます。また、多くの船乗りや海賊がこの海を第二の故郷として暮らしています。たいていは船ごとに独立して活動しますが、船団や海賊団をとして、大規模な活動をする者たちもいます。中でも最も広範囲に活動するのは、“クラーケン協会”です。彼らは海の女神アンバーリーの使徒であるクラーケン魔法使い、“未知なる深淵の王”スラークレテルを長とし、独自の海賊団を持つほか、様々なところに団員が潜んでいます。
 伝説の探検家バルダランはソード海の多くの島やアンクローム大陸までの航路を発見して巨万の富を得、その名を冠した街バルダーズゲートができました。彼は1000DR年代の半ば、二度目のアンクローム大陸の海路で姿を消し、その運命はいくつもの伝説で語り継がれています。

♥鯨の骨(Whalebones):コリン群島のさらに北に位置する大小さまざまな群島で、海岸にクジラの骨が見かけられます。好戦的な王たちが島々を支配し、しばしば小競り合いを繰り広げます。大きな島には嵐巨人が乗騎とするルフ鳥が生息しており、島民は食べ物や宝を貢物として捧げます。最も標高の高い島である“尾びれ島”には狂気の青銅竜タウトゾスの住処があります。この妄想狂の古龍は殺害の予言から逃れるために、自らの子を魔法改造の実験体にし、その成果を自らに移植し続けました。最終的に無数の肢をもつ肉塊のような姿と化したと伝えられます。一連の子供のうち一匹が“海岸のカギ爪”ラムマルントスです。

♥スカドーラック(Skadaurak):スカドーラック島はソード海に突き出た火山島です。強大な古赤竜“眠れる古龍”フーンダ―ルの住居であり、ダンジョン群です。彼がここに住み始めたころに多数の魔術師やドワーフ職人を雇って無数の洞穴を地下要塞に改造し、その後に皆殺しにしました。彼は餌の家畜として様々な異形や怪物を放し飼いにしています。フーンダールのお気に入りの獲物は彼を欺き出し抜こうとする者です。島に住み着いている海賊団がおり、人を雇って洞穴に住まわせることもあります。フンダールはしばしば長い眠りに就く一方で、ときに広い範囲を襲撃します。ミンターン島や周辺の船乗りは貢物の財宝を海岸に捧げて身の安全を買い、ときには家畜の下賜や海賊の始末などの見返りを得ました。海岸には財宝が放置されていることがありますが、これを竜が見張っているか否かは誰にもわかりません。

♥ミンターン(Mintarn):ソード海の真ん中にある広大な群島の一つで最も大きい島です。多数の尖塔がそびえる大きな街と設備の充実した港を備えています。海岸からそびえる山にはドワーフのアイアンスター氏族が住み、熟練の鍛冶と魔法の品の作製を誇ります。島のどこかに海の女神アンバーリーの寺院かつ秘密海賊基地の“女王の入江”があります。
 この美しい島は訪問者を問い詰めず、拒絶しません。海賊や逃亡者の避難地帯であり、対立勢力が和解の場を設ける中立地域です。ここでは様々な取引が行われます。島の酒場や祭りは素晴らしい料理とサービス、そして危険さで有名です。黄金ラガーと緑ワインやアーモンド・ブランデーが特産で、牡蠣と共に愛好されています。島は傭兵の出身地として有名で、数々の土地で戦っています。
 島を支配する“僭主”(彼ら自身がそう自称している)は5~6年おきに入れ替わます。彼らは島と自由の港を守ることを口実にし、当人の剣の腕前なども関わります。現在の女僭主ブルース・エンビューハンの下で島は大いに栄えました。ネヴァーウィンターのネバレンヴァー卿からの投資と傭兵契約で大金が流れ込んだのが理由です。しかし近年、“眠れる古龍”フーンダールが貢物の倍増を要求して大暴れし、ネヴァレンヴァー卿が傭兵契約の終えようとしています。島の今後には大きな困難が待ち受けています。

  • ミンターン周辺の島々:ウィンドストーム島、スカドーラック島、アマルガル島、ローンロック島、他5つほど
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《ムーンシェイ諸島(Moonshae Isles)》
 ムーンシェイは霧に包まれ、深い森に覆われた岩がちな群島で、小さい島まで含めると数百の島からなります。海岸は崖になって海からそびえ、ソード海の荒波を寄せ付けません。それぞれの島には南部を支配する人間のフフォーク族と北部をなわばりにするノースランダー族の二つの部族やその他の種族らが住んでいます。この島々には互いを支配すべく、暴動と戦争が蔓延しています。

♥コリン群島(Korinn Archiperago):ムーンシェイ諸島の最北端に位置する島々の連なりです。島々は丘陵と山岳がほとんどを占め、多くは不毛の荒野の一部ですが一部は深い針葉樹林があります。農地にできるのはごくわずかで、島民はヤギや羊などの家畜を飼います。島ごとに特産品が異なり、特定の人型種族がまとまって暮らす傾向があります。大きな島や港湾には職人が住み、高級品やサービスも提供しています。多くの小島に水中洞窟があり、それらのなかには忘れられた寺院などがあります。島には多くの海鳥や野生ヤギなどの動物の他、ハーピーやグリフィン、竜や飛竜が住みつき、海中をドラゴンタートルが徘徊しています。この海域のどこかにネザリル浮遊都市の遺跡が沈んでいると言われています。

  • カフテノール(Caftenor):群島の最南端に位置する町で豊かな漁場と豊富な資源を備えます。多くのハーフリングが暮らします。
  • ウェストヘイヴン(Westhaven):パンディラ島にある小さな港を持った村です。住人の大部分が悪党や危険人物であり、港は怪物の拠点として知られています。
  • コリン砦:群島の岩柱島のどこかにあるハーパーの拠点です。地下城塞は魔法と腕利きの衛兵に守られ、ハーパーが回収した貴重品や危険な秘宝が保管されています。映画HaTでは、エドガンらが秘宝を狙って潜入しました。

♥アラロン島(Alaron):最も大きな島の一つで、北部はノースランダー族のナーヘルム王国、南部はフフォーク族のカリディア王国が支配しています。地域で最も大きな都市カリディアを持つ豊かな王国です。スノーダウンがオームーに奪われ、フェイとの和平が破れたことでダーナル森の奥地が影の妖精境と化しつつあります。

⦿サンダースタッド((Sunderstaad):サンダー湖の北西、ソード海の面した小さな湾にある港町です。ナーヘルム王国の東端に位置します。酋長が街を統治し、交易が盛んで海賊が周辺海域を徘徊しています。

  • 店と名所:木鐘の宿、ベイングースの浅瀬亭、ハヴネフォージ造船所

♠フェアハイト連峰(Fairheight Range):アラロン島を南北に隔てる急峻な山脈で、北方のナーヘルム王国と南のカリディア王国の境界です。山脈は厳しい北風を喰い止め、南方を快適にしています。鉄鉱石や金・銀、銅が豊富に埋蔵されており、採掘が盛んです。山岳の高地にはトロールが徘徊し、山麓ではオークやゴブリンが襲撃隊を組んでいます。周辺の集落は民兵を組織してこれらに備えています。山脈にはドワーフのルークオース氏族が坑道を持ち、他のドワーフらからの支援を受けてオークや影妖精、影竜と戦っています。

⦿ケア・カリディア(Caer Callidyrr):フフォーク族の首都の港町で、デリッド・ケンドリック上王が統治しています。フフォーク族は南方のテシアに由来を持つ民族で浅黒い肌を持ち、農業と狩猟、製陶、鍛冶、荒波に耐える造船で知られています。“大地の母”を崇め、ドルイド達が人々を助けます。雪花石膏の壮麗な城が3つの丘に広がり、高い尖塔の並びが街を見渡しています。城下の市場を中心に街路が網前のように広がります。街は明るくて陽気で、吟遊詩人や音楽家が通りで演奏し、どこでも音楽が聞こえてきます。港からは埠頭と桟橋が延びて、多くの船が停泊しています。城の地下設備は、かつてドゥエルガルの洞窟網と繋がっていたことがあります。街の守備は“緋色の衛兵”が、城の守りと怪物との戦いはカリディア竜騎兵が担っています。

  • 店と名所:踊るイルカの宿、眠る見廻り亭、ムカデ通り、

⦿コブ(Cobh):街道や他の町から外れた孤立した入り江にある村です。南のトリアージ森には “月の泉”と呼ばれる魔法の泉の一つがあります。集会するドルイド達はこれらの泉は“大地の母”が地上を覗く窓だと言い伝えます。

⦿カイシス(Kythyss):南端にある小さな港町です。島が危険になったため、町や旅人を守るために独自に雇い入れた傭兵が目立つようになりました。このためかカリディアと関係が遠のいています。

♥スノーダウン島(Snowdown):南西の孤立した島で、“忘れられた島”の二つ名があります。温暖で穏やかな気候であり、なだらかな丘陵に幾つかの小さな湖と森があります。林道で繋がった集落が点在し、要塞化した領主の屋敷のまわりに農民たちの小屋が散らばります。オームーから来た傭兵と商家がこの島を支配し、彼らは更に支配権を広げるために策謀を進めています。オーム―の支配はフフォーク族やフェイたちと多くの衝突を起しています。

⦿ケア・ウィストハル(Caer Westphal):島の南側の入り江にある大きな港町で、スノーダウン島で最大の街です。フフォーク様式の低い家屋と円形の塔からなる建物とオーム―様式の四角く機能的な構造の建築が混在し、ケア・ウェストハル城が高台から街を見下ろしています。80年前のオーム―占領後から、オーム―の総督が街と島を支配しており、オーム―との交易を推し進めています。総督であるアーリザ・ダレッシン二世女侯爵は、先代の祖母とうり二つの姿をしており、城の奥深くと夜会から島を統治します。アーリザ候は美しく味方には礼儀正しく親切な一方で、敵対する臣民を容赦なく弾圧し、“血まみれのアーリザ”と呼ばれています。街にはオーム―人や南方民族の他、オーガや他では邪悪とされる人型生物が暮らしており、港には様々な勢力の海賊が船を浮かべています。

  • 店と名所: 歌う漁師亭、ケア・ウェストハル城

⦿ランドレイン(Llandrain):スノーダウン島の北東の入り江にある海辺の村です。周辺の海域は隠れたサンゴ礁と北方人の海賊団により危険です。近くのアンドヴァー高地の採掘に携わるオームーに雇用されたドワーフ傭兵が住む一方で、占領者への反抗を志すフフォーク族の抵抗組織(首領:鍛冶屋マイルズ・マドック)の中心地です。

⦿ブラノック(Brannoch):島の東部にある小さな町です。“マロレン・ソッズ”の沼地で隔てられて島の他の地域から孤立しています。

♥グィネス島(Gwynneth):{広域マップ外;南部}:この島にはフェイ創造種族の末裔を名乗るノーブル・エルフ種族が住んでいます。エルフの女大侯アルダルフがサリファル国を統治し、首都のカラダ―市と渓谷と森の全てに植物と幻獣、魔法を満たしています。上王デリッドは和平の手掛かりを求めていますが、彼女らは人間を歓迎しなくなっています。一方で女大候の息子であるアライセ候子は悪の妖精の被害を食い止めるために、様々なものの手を求めています。

♥マリー島(Moray):{広域マップ外;南西部}:南西に位置する島の山脈には無数の洞窟と古代の寺院が潜んでいます。島には黒血族と呼ばれるライカンスロープ集団が広がり、北部山脈の巨人や南部山地のオークらの脅威が徘徊しています。ディネガル村や港町ケア・マリーなどのフフォーク族は上王の支援を受けてをこれらの脅威と戦いながら生き延びています。

♥ノーランド島(Norland):{広域マップ外;西部}:岩だらけの西海岸と氷河に覆われたヨトゥンハマー山脈がそびえ、東部には肥沃な農地と漁場に恵まれています。好戦的なノースランダー族が主に住む島です。強力な嵐旗要塞(別名ロガルズハイム)を拠点としてオーマンから守り、またスノーダウンへ嬉々として襲撃します。近年、“嵐の乙女”なる女がアンバーリーの加護の下に大勢のノースランダー戦士を率いて周辺海域を荒らしまわりました。彼女は戦いの中で姿を消して行方不明となりました。ノースランダーの“知恵深き”ロールト老王は、この争いの損害と後継者の戦死の痛手に苦慮しています。

♥ノルハイム諸島(Norheim):{広域マップ外;北部} 砕けた地”とも呼ばれる、小さな島々の連なりです。かつては北方人たちのノルハイム王国が存在しました。不毛な岩山だらけの島であり、崖の海蝕洞は海底洞窟に繋がります。人々は隠れた入り江に住み、最も大きなヨトゥンスパイン島のみが農業を営めます。

♥オーマン島(Oman):{広域マップ外;中央部}:ムーンシェイ諸島中央の内海にある島です。一時期は多くの入植者がいましたが、キュクロプスとフォモールが姿を現して彼らを殺戮し、文明は途絶えました。今は“くろがね砦”などの廃墟だけがいくつか残っています。この島に足を踏み入れるのは愚かな自殺志願者のみです。
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サンプル拠点、【ネヴァーウィンター(Neverwinter)、1479~1485DR】
 ネヴァーウィンター:ソードコースト北部の大きな都市です。ホートナウ火山の影響で冬でも暖かいことが、名前の由来です。元は1500年以上前のエルフの町だったのですが、457DRごろのオークとの戦争で衰退し、人間を中心とした多民族都市としてして再興しました。150年ほど前(1320DRごろ)の英雄的な冒険者一行のリーダーであるネイシャ―・アラゴンダーの子孫が王として街を治めるようになり、この時期に大いに発展しました。
 しかし40年前(1451DR)の火山の噴火、地割れによる“大災厄”で街は殆ど壊滅し、王家も滅びました。魔物とアンデッドがうろつき回る廃墟の街となりましたが、地道に復興をする人々がいました。10年ほど前、ウォーターディープのネヴァレンヴァー卿が資金と私兵団を率いてやってきました。彼の投資により街の復興が進みつつあります。

 

ネヴァーウィンター:(大きな都市、人口:23000人) 
 主要種族:人間、ハーフエルフ、ドワーフ
 希少種族:ティーフリング、ドラゴンボーン、ハーフオーク、エルフなど
 議会による代表の選出: 代表:ダカルト・ネヴァレンヴァー守護卿

 

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ネヴァーウィンターの勢力:災害によって無法地帯と化し、復興中のこの街では、領主ネヴァレンヴァー卿も全体を把握しきっておらず、様々な独立勢力が根城を作っています。またフェイルーン中の勢力が秘密工作員を派遣しています。表向きの立場とは異なる裏の顔を持っていることがしばしばです。あとの説明に用いる人々の分類キーワードといっしょに簡単に説明します。

  • [一般]一般人など
  • [治安]兵士や衛兵など
  • [上流]貴族や上流階級
  • [信仰]神殿関係者
  • [秘術]魔術師と学者など
  • [商業]貿易や運輸、工業関係のギルドなど
  • [犯罪]犯罪組織
  • [結社]秘密結社一般、より具体的には以下の勢力(更に内部の分派)があります
    • [アラゴンダーの息子たち]30年前から復興活動を続けているアラゴンダー旧王家の信奉者たち
    • [ハーパー]圧政への抵抗を援助する秘密結社
    • [アシュマダイ]デヴィル信仰結社
    • [アボレス主権国]アボレスによる地上支配の尖兵で密やかな洗脳を得意とします
    • [ネザリル]フェイルーン中央の魔道国家ネザリルの密偵
    • [サーイ]東方の魔道国家サーイの密偵
    • [オーク]北方のオーク王国メニーアローズからの派遣部隊、
        その他にもいろいろ…。

ネヴァーウィンターの名所:以下にネヴァーウィンターの有名な場所と人物を列挙します。

  • ブラックレイク地区:この区域には“大災厄”の以前の古い頑丈な建物が荒れたまま残っています。区域の中央の公園には災厄のヘドロが積もった濁った池が広がっています。
    • 流木亭(マダム・ロザンヌ)[一般、上流、アラゴンダーの息子たち]:“大災厄”以前から営業している古く高級な宿屋兼酒場です。ロザンヌは災厄直後の人々を匿い、一時期は仮の市役所でもありました。落ち着いた店内には回収されたかつての街の遺物や骨董品が飾られています。
    • 座礁リヴァイアサン亭(ハラグ船長)[一般、犯罪、商業]:座礁した海賊船を改修した安い酒場兼宿屋です。荒くれや素性のしれないものも多くたむろっています。
    • ネヴァー城(―)[治安、結社]:かつてアラゴンダー王家が代々街を治めていた城でしたが、“大災厄”によって崩れ、旧王家は死に絶えました。現在は王家や英雄を含む大災厄の死者や、遺産を求めて争った者達、そのほかの怪物の群れが徘徊する危険な廃墟です。兵士たちが遠巻きに城を見張っています。
    • ヴェルガード屋敷(モルダイ・ヴェル卿)[上流、アシュマダイ]:“大災厄”以前から続く貴族の邸宅で、当主のモルダイはティーフリングです。洒落て闊達なこの人物は、商売への投資に熱心で、街の政治への大きな影響力があります。
    • 千の顔の家(女亭主セリス)[一般、上流、秘術、ハーパー]:女エルフが経営する洒落て良い酒の揃った酒場です。以前は服屋であり、色取り取りの服を着たマネキンが店内に飾られています。
  • 河岸地区:河の流れと河岸の兵士たちによって大裂溝の怪物たちから守られた地域です。大災厄で大きな被害を受け、廃屋が目立ちます。この区域はオーク達が占領地だと言い張っています。
    • 夜の欠片:街の上空に浮かぶ塔の廃墟です。この空の廃墟に侵入して生還したものはいません。
    • 倒れた塔(“片耳の”ヴァグドル料理長)[一般、犯罪、オーク]:魔術師の塔の廃墟であり、魔導師の古い幽霊が現れます。これを気にしない占拠したオーク達が毎日宴会が開いています。この塔は中立地帯であり、酒や食い物を持ち込めば誰でも宴会に参加できます。
    • 星衣の塔(ヴァンシ戦士長)[オーク、秘術、アボレス主権国]:かって魔術師ギルドの拠点だった廃墟で、怪奇現象で知られています。現在はオーク部隊が司令部として占拠しています。ヴァンシは恐るべき戦士であり、彼女に率いられた部隊は結果的に大裂溝の怪物から人々を守るのに役立っています。
  • 守護卿区
    • 月長石の仮面亭(女将リセット・チェルダー)[一般、治安、結社]:港の先に浮かぶ地片に建てられた宿屋で街を見下ろす絶景が売りです。様々な客層がいますが、最近は守護卿配下の傭兵たちがたむろして他の客と諍いを起しています。
    • ターマルーン商館(―)[商業、一般]:はるか離れた東方“復活アイビア”の都市、ターマルーンの出張所です。多くの商人や船乗り、異国人が出入りします。
    • 正義の館(ネヴァレンヴァー卿、ソマン・ガルト市長)[上流、治安、信仰、アボレス主権国]:かつてティア神の神殿でした。現在はネヴァレンヴァー卿の拠点として街の政治の中心となっています。近年の卿はより大きな成果を狙って、こまごまとした実務を元役人のガルト市長に任せています。
    • 翼のワイヴァーン橋[治安、商業]:河にかかる三つの橋には飛竜などの彫像が建ちます。たくさんの屋台や衛兵がいます。
    • 知識の家(“学匠”アトラヴァスト)[信仰、秘術、アシュマダイ]:半ば廃墟と化したオグマ寺院で、難民キャンプとなっています。唯一残った神官アトラヴァストは人前に姿を現さぬまま、キャンプは規模を拡大しています。
    • ネヴァーデス主要区画(―)[サーイ]:防壁に囲まれた墓場で、更に地下墓地が広がっています。ここに埋葬された死者はしばしばアンデッドと化し、閉鎖区画内を徘徊します。影の世界シャドウフェルのネヴァーウィンターに重なるところには影の街“エヴァーナイト”が存在し、ネヴァーデスにはそこへの扉の一つがあると言われています。
    • ネヴァーデス貧民区(―)[アラゴンダーの息子たち]:多くの難民が痛んだ家屋に暮らしています。衛兵たちはこの区域を把握しきれていません。
  • 防壁(サビーヌ将軍)[治安]:大裂溝から街にあふれ出る怪物を遮断するために瓦礫を固めて作られた壁です。警備と補修を続ける兵たちは、怪物と“荒廃化”の侵食に苦しめられています。
  • 大裂溝:“大災厄”のときにできた大きな地割れです。ここから湧き出した怪物や魔物が周辺の廃墟を徘徊し、周囲に溢れ出します。近づく者は体調悪化と怪物化などをもたらす“荒廃化”の危険があります。裂け目の先は地底世界や奈落、あるいは“大災厄”の原因との関わりが噂されています。
     

ネヴァーウィンター、1489DR:
 D&D5版の開始年である1489DRでは、町はどのようになっているでしょうか?おそらくは1487DRのネザリル滅亡と第二次大分割に関連してネザリル勢力が姿を消し、大裂溝の荒廃化も影響力を落としていると思われます。映画HaTによると、ネヴァレンヴァー卿は他勢力を抑えて権力維持し続けたものの、1490年代の後半に意識不明の重体に陥り、詐欺師フォージ・ウィリアムズが領主となっています。この頃には大裂溝は封じられ、ネヴァー城の危険は取り去られて領主の拠点となっているようです。

 

この記事は Open Game License に基づいています。これに該当するのは、地域情報や画像などです。