Z001700

Last-modified: 2009-10-02 (金) 23:52:06

     どらごにっく★あわー!
  ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~

初期情報
No.Z001700       担当:外川辛
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「これから定例会議を始めたいと思います」
 そう声を上げたのは、書類を手にした青年だった。真面目そうな印象を受けるその面立ちには、まだどこか少年のあどけなさが残っている。
「……でさー、襲ってくるソルジャーたちををこう、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ……って感じで~」
「スポンサーはやっぱ、うまいメシを提供してくれるとこがいいよな! 腹が減っては戦はできねぇし」
 そこそこの広さがある会議室を埋めているのは、年齢や服装もバラバラな男女だ。各々が身につけているトリガーさえなければ、一見どこかのサークルの集まりのように見えなくもない。
「……」
 自分の言葉を無視し、勝手に喋り続けるベオウルフたちに青年の表情が静かに、だが確かに引きつった。命知らずのドラゴンハンター集団、『紅き牙』の団長たる高波雅広[たかなみ・まさひろ]の毎日は、主にストレスとの戦いであった。
 絶大なるカリスマで喧嘩好きの素人集団を纏め上げ、最強ユニオンの一角とも目されるまでの強さを築き上げた初代団長、高波雅辰[たかなみ・まさたつ]が唐突にユニオンを去って以来、実弟である雅広は紅き牙の改革に心血を注いできた。以前よりもユニオン内の殺伐とした雰囲気は薄れ、若干ながら統率の取れた行動も可能になってきた。だが、依然として雅広の指示に従わない団員も多く、こうして会議を開けば本題に入れるまでに長い時間を要することも珍しくない。
「……おい、雅広」
 それまで、周囲の喧噪が聞こえないかのように日本刀の手入れをしていた金髪の男が顔を上げた。険しい表情になっている雅広の様子に男は、神妙な面持ちで口を開いた。
「あんま苛々してると、マジでそのうち禿げるぞ」
「……イェリさんまでっ!」
 憤慨した様子の雅広に、イェリと呼ばれた男は面倒そうに首を傾けた。刀を机に置くと、すぅと息を吸い込み。
「いい加減黙りやがれ、この脳筋共がッ! 団長様がお話だつってんだろ! てめぇらあんまりうるせぇと……切り落とすぞ」
 何を、とは言わずにイェリは流暢な日本語で怒鳴りつけると、鋭い眼光で周囲を見渡した。
 騒がしく喋り続けていたベオウルフたちが静まりかえったのを確かめると、再び気怠そうに雅広に視線を向ける。
「ありがと、イェリさん」
 隣の男にだけ聞こえるように呟き、雅広は小さく咳払いをして書類の内容を読み上げ始めた。
「現在、都内を中心に新種の疫病と思われる現象が発生しています。我々、紅き牙にも協力要請が来ており、隊員の派遣を……」
「だんちょー、しつもーん」
 説明を遮って、ブレザーの制服に身を包んだ少女が、勢いよく手を挙げた。
「病気とかならクリームヒルトの仕事でしょ? あたしたちが行って何やるの?」
「基本的に、調査や治療を行うのは碧の言うとおりクリームヒルト・ラボラトリーの人たちがメイン。周辺でドラゴンの活動が確認されているため、僕たちは彼らの調査活動がスムーズに行えるよう、護衛やドラゴンの掃討を行うよう依頼されているんだ」
「つまり、そのへんのドラゴンをぶっ飛ばせばいいのね」
 雅広の説明を至極乱暴な結論に結びつけて、碧と呼ばれた少女はうんうんと自分で頷いた。
「あぁ……まぁ……うん。碧はそう考えててくれればいいよ」
 どこか遠い目をしながら、雅広は書類をめくった。
「今回の件に関して、僕は本部でやらなければならない仕事があるため参加することができません。代わりに風見碧[かざみ・みどり]を現場隊長、イェリ・サルミ[-・-]をその補佐として任命します。この作戦に参加する隊員は、その指示に従うこと。なお、同様の依頼は他のユニオンにも出ていると思われます。現地では共闘するなり、臨機応変に対応してください」
「あたしが隊長? がんばるね!」
 にこにこと満面の笑みを浮かべる碧とは裏腹に、イェリは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて額を抑えている。その恨みがましい視線に気づかない振りをして、雅広は一連の説明を締めくくった。
「今回の会議は以上です、解散!」

 会議の終了後、団長室に戻った雅広を出迎えたのはいつも通りの光景だった。どこからか持ち込んだ大量のお菓子を消費している碧と、耳栓をしてソファに寝転がっているイェリ。雅広の机の隣では、ショートカットの少女が熱心にネイルアートを施している。言うなれば紅き牙の幹部クラスであるところの彼らは、平時はこうして団長室を占領していることが多かった。
「雅くんおつかれさま~」
 そう声を掛けながらも、彼女の視線は自分の爪に注がれたままだ。紅き牙の交渉関係を一手に引き受ける大崎寧音[おおさき・ねね]は、仕事中とそうでない時の落差が激しい。
 良くも悪くも個性的すぎる面々の行動にも慣れ、半ば諦めの境地に達している雅広は黙って自分の椅子に腰を下ろした。
「はい、どうぞ」
 コーヒーの香りに顔を上げれば、マグカップを手にした小柄な少年が微笑んでいた。
「ありがとう、ユージン[-]。君は本当にうちの良心だよ……」
 しみじみと呟く雅広を、ユージンはにこにこと眺めている。一月ほど前に碧が保護してきたこの少年は、見ようによっては少女にも見える中性的な容姿に加え、常識的で面倒見の良い性格から隊員たちに可愛がられていた。
「碧とイェリさんに話を聞いたんだけど、僕も一緒に行けないかなと思って……」
 意外な言葉に、雅広は首をかしげた。そもそもユージンはベオウルフではないうえに、どちらかといえば争いごとは嫌いな性格だ。その彼が、何故?
「……これでも一応、薬学の知識とかはあるし、多少のお手伝いぐらいならできると思うんだ。足を引っ張るようなことはしないから……」
「もしかして……妹さんのことも?」
 ややあって、ユージンは小さく頷いた。
 ドラゴン退治の依頼を受けていた碧が偶然ユージンを保護したとき、彼はドラゴンに襲われて酷い怪我を負った状態だった。話によれば、妹と共にドラゴンから逃げていたものの、途中で追いつかれ、その際妹とはぐれてしまったのだという。今になるまで、その行方は知れていない。
「大丈夫だよ、あたしがドラゴン全部狩り尽くせば安全だから」
 大量にあったお菓子を消費し終えた碧が、えへんとあまりボリュームの無い胸を張る。
「馬鹿が、部屋でランス振り回そうとするなっ……!」
 飛び起きたイェリが碧の暴挙を寸前で防ぎ、部屋が破壊を免れた事に雅広は溜息を何度目になるか分からない溜息をついた。
「わかったよ。でも、無茶はしちゃだめだ。これは団長命令だからな」
「……うん、ありがとう。約束するよ、必ず」
 そう言って、少年は再びにっこりと微笑んだ。

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「マスターより」
 こんにちは、お久しぶりですもしくは初めまして、外川辛です。
 今回は非常にストレートなシナリオです。小難しく考えず、頭のネジを少しゆるめてご参加いただければと思います。
 キーワードは『そんなことより、ハントしようぜ!』あたりでひとつ。基本は健全です、たぶん。
 
 注意点をひとつだけ。
 当シナリオでは、NPCと以前からの親しい友人、幼なじみだった、という設定(特別な間柄の設定)は不採用とさせていただきます(自称するのは自由です)。
 自由選択スキル「6301 紅き牙との繋がり」は、もちろん有効ですが、個人的な関係を深めたい場合は純粋にアクションで勝負してくださいませ。

 なお、紅き牙視点での初期情報になっていますが、所属ユニオンによる有利不利も特にありません。
 現場での話がメインになりますので、高波雅広および大崎寧音に関わりたい方は、その他の行動をお選びください。

 それでは、ゆっくりきゃっきゃうふふしていってね!

■関連行動選択肢
A011800 風見隊の一員としてドラゴン狩りに参加
(担当:外川辛/地域:117)
備考:風見碧らと協力して調査の障害になるドラゴンを狩ります。所属ユニオンによる参加制限はありません。

A011801 調査団に協力する
(担当:外川辛/地域:117)
備考:クリームヒルト・ラボラトリーを中心とする調査団に協力するための行動選択肢です。ドラゴン狩り以外の行動を取りたい場合はこちらで。

X018801 紅き牙のベオウルフのベオウルフとして行動する
(担当:???/地域:???)
備考:主に、ユニオンの構成員に対してアクションをかけたい場合に選択する行動選択肢です。地域名はアクションに応じて記入ください。
 既存のシナリオや、すでにある行動選択肢などの枠にとらわれないアクションに挑戦したい、上級者向けの行動選択肢です。
 すでに存在する行動選択肢で事足りる内容と判断されるアクションだった場合は、不採用になる場合がありますので、ご注意ください。
 アクションが不採用となった場合は、不採用アクション用のリアクションが送付されます。

X019900 その他の自由行動
(担当:???/地域:???)
備考:既存のシナリオや行動選択肢などの枠にとらわれないアクションに挑戦したい、超上級者向けの行動選択肢です。自分の意志で世界を、物語を作っていきたいというコアでディープなプレイヤーにお薦めです。
 ただしアクションが採用されなかった場合は一切描写されず、不採用アクション用のリアクションが送付されます。
 すでに存在する行動選択肢で事足りる内容と判断されるアクションをこの行動選択肢に送った場合は、それだけで不採用になります。
 また必ず行動する地域番号を記入ください。行動する地域によって、採用率は変わります。

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ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~』の公式?サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。
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個人としてゲームを楽しむための交流の範囲を越えない場合に限り、この「初期情報」の複製、サイトへの転載を許可します。著作権等の扱いについては、本サイトを参照ください。
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