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Last-modified: 2014-01-13 (月) 20:47:55

燃えろ!ラーメン一代記!

 

前編


深夜、店を閉めた後の流星軒のカウンター席でアイラはラーメンをすすっていた。
アイラ「ほう、腕を上げたなスカサハ」
スカサハ「まあね、あれだけ母さんに仕込まれりゃね」
ラクチェ「……つ、次は私のよ!」

ドンとラーメンのどんぶりをカウンターに置くラクチェ。
アイラ「…ラクチェ、ラーメンはもう少し丁寧に置け。接客に関しては、子供の頃から店を手伝ってる
お前より、バイトのロドルバンやラドネイの方が上手いくらいだぞ」
ラクチェ「ううっ、私は厨房やるからいいの!それより食べてみてよ!」

すぐに手をつけずに盛り付けを眺めるアイラ。わかめやナルトが雑然と浮かんでおり
はっきりいって汚い。シナチクの長さも不揃いだ。

アイラ「………どれ味の方は………」
試しに一口スープをすする。マズい。
アイラ「……」
ラクチェ「……ドキドキ」
こめかみを引くつかせるアイラ。それでも親心で何かいいところはないかと、我慢してラーメンを食べてみる。
アイラ「……ラクチェ」
ラクチェ「…何?」
アイラ「……何故、ラーメンにまな板の破片が入っている?」
ラクチェ「え”え”え”え”ぇぇぇぇえぇ!!!!」

割り箸を置き、立ち上がるアイラ。明らかに怒っている。


アイラ「お前はこのラーメンを作るとき味見をしたのか?」
ラクチェ「……い、一応」
アイラ「ほう、それでこの出来か…ラーメンの作り方は何年も口を酸っぱくして叩き込んだつもりだが、
私の教え方が甘すぎたようだな。具の切り方も知らんとは」
ラクチェ「あうあう…」
びびるラクチェ。

アイラ「基本的な事は教えてやれるが、そこから先の創意工夫は自分で開拓せねばならん。
スカサハのラーメンは私のコピーではない。未熟ではあるが具の選択もよく考えられていた」
スカサハは我関せずと後片付けをしている。ラクチェが哀れではあるが自業自得だ。

アイラ「これでは我が流星軒の厨房に立たせることはできん!私もお前を甘やかしすぎたようだ!」
ラクチェ「…そっそんな!」

アイラ「私も鬼になるしかあるまい!一月以内に私を納得させるラーメンを作れなければ、お前は勘当だ!」
ラクチェ「ええええええええええっ!!!!!!!」
スカサハ「そ…そんな無茶な」
その時、隅で見ていたホリンが見かねて割って入った。
ホリン「おい!アイラ!いくらなんでも勘当は言いすぎだろ!」
アイラ「……ギロリ」
ホリン「ビクッ……が、まあ獅子は我が子を千尋の谷に落とすっていうしな。ラクチェ、父さんは応援してるぞ」
一睨みでホリンを黙らすアイラ。貫禄が違う。ホリンの背中には入り婿の悲哀がただよっている。

ラクチェはアイラに連れられて流星軒の裏の倉庫に入った。心配したスカサハも一緒だ。
アイラ「こいつは私が店を構えるの相棒だ。こいつを貸してやる」
中にあったのは古ぼけた屋台である。
アイラ「今から一ヶ月間、お前はこいつを引いて修行するのだ!数日分の材料はやる。
だが、客が来なければ仕入れの資金すら入らん!客を呼べるラーメンを作れねば修行どころか自分のメシすら食えんわけだ」
ラクチェ「自分のメシすらって…まさか」
アイラ「うむ、修行中は家に帰ることは許さん、せめてもの情けにテントは貸してやる、
いいかスカサハ、お前も仏心を出してラクチェを助けたりしたら許さんぞ」
そう言われてアイラに逆らえる人間は流星軒にはいない。
青ざめたラクチェはその日のうちに、屋台を引いて紋章町に繰り出していった。

キーンコーンカーンコーン
ラクチェ「…終わった…行かなきゃ」
学校が終わり下校するラクチェ。剣道部に向かう様子すらない。
セリス「どうしたのかな?いったい…ラクチェが元気ないみたいだけど」
スカサハ「実はですねセリスさま…カクカクシカジカ…というわけなんです。
アイツ今はバーハラ通りあたりで商売してるから食べに行ってやって下さい」
直接屋台を手伝えばアイラに殺されかねないが、宣伝くらいならいいだろう。
スカサハはセリスに頼んだ。
セリス「ラクチェ可哀想だよ…わかったよ今夜家の皆で食べに行くよ!」

その日の夜。セリスはエリンシアに頼んで家族で外食に来た。仕事帰りのシグルドとはここで合流した。
バーハラ通りは人通りの多い通りで、仕事帰りのサラリーマン達が屋台でラーメンをすすったり、
赤提灯で一杯やってる姿をよく見かける。その片隅にラクチェの屋台はあった。
屋台の周りには机や椅子も出してあるが、見事にここだけ客がいない。

セリス「ラクチェ~~~!食べにきたよ~~~!」
ラクチェ「うわ~~~ん!ありがとうございますセリス様~~~!」
もはや涙目である。
ヘクトル「…ここまで客がいねぇってどういうラーメン出してんだ?なんか帰りたくなってきたぞ」
シグルド「まあまずは食べてみようじゃないか!私は塩ラーメン!」
アイク「チャーシューメン大盛りを頼む」
アルム「野菜ラーメンを2人で1ついいですか?」
シグルド「2人で2つ!1つのラーメンを2人ですするなんて兄さん許さんぞ!」
セリカ「ケチー」
それぞれに注文する。

ラクチェ「それでは…そりゃぁぁぁぁぁああ!流星剣!!!」
瞬く間に材料を切り裂いていくラクチェ、人間相手では素晴らしい切れ味の剣も、
食材相手だと勝手が違うようで、時折まな板や鍋の破片が飛び散る。

エリウッド「…大丈夫なのか?」
ロイ「……」
ラクチェ「へい!お待ち!」
全員の前にラーメンが置かれる。15人分のラーメンを一度に作ったためか盛り付けは壊滅的だ。


セリス「た……食べてみればきっとおいしいよ!」
マルス「食べるまでもない気がするけどね」
ラーメンをすする兄弟家の面々。その表情を見れば味の方は一目瞭然だ。

エイリーク「……こ…個性的なお味ですね……」
エリウッド「ううっ胃が胃がぁ…」
リン「ああっエリウッドは無理しなくていいから!ヘクトル!あんたエリウッドの分食べてあげなさい!」
ヘクトル「いらん!なんで俺が!」
ミカヤ「……うぐぇっ…欲しがりません勝つまでは!食べられるのは幸せな事なのよ!」

ラクチェ「………(´;ω;`)………」

マルス「…まあ、これでお金を稼げるわけはないね」
だが、一方で平気な顔をしている者もいる。
アイク「そうか?普通にいけるぞ?」ボリボリボリ
たまに混じっている何かの破片を平気で噛み砕いている。
リーフ「まあ、おいしくはないけどハラの足しには十分だね」
スープまで残さず飲み干す二人。

マルス「……まあ、あの二人は参考にならないね」
セリス「……お…美味しいよラクチェ……」
ラクチェ「……いいんです…脂汗かきながら慰めてくれなくても……」


そのころ流星軒ではラクチェが修行に出たことを知ったシャナンが喚いていた。
シャナン「な、なにぃぃぃぃぃぃ!!ラクチェが家出しただと!!!」
アイラ「微妙に違うぞ。修行に出たのだ」
シャナン「だが、当分家に戻らんのだろう!心配ではないか!!!」
アイラ「私がラクチェくらいの時には、お前を連れて屋台を引いていた。
私の娘ならばこれくらいなんとかする」
シャナン「し…しかしだな!年頃の娘がテント暮らしなど!変質者にでも襲われたらどうする!?」
アイラ「心配いらん、そんな輩は返り討ちだ」
(というかお前がラクチェのそばにいるほうが少し心配なんだが)

なおも騒ぐシャナン、その時店ののれんを2人の客がくぐった。
アイラ「らっしゃい!…なんだお前たちか」
パティ「シャナン様ー!遊びにきましたー!」
デイジー「えへへー今日もクールでステキ~~~!」
シャナンにじゃれつく2人
シャナン「こらよさないか2人とも、困ったヤツらだ」
アイラ「……」
表情には出していないが子供の頃からシャナンを知るアイラにはお見通しだ。
シャナンは鼻の下を伸ばしきっている。

その情けない姿を見て、アイラはスカサハとラクチェは真人間に育てねばと思うのだった。

続く

そのうち後編も投下する

中篇


シャナンは落ち着きなく部屋を行ったり来たりしている。ラクチェが心配でたまらないのだ。
昨日はパティやデイジーを連れて遊園地に行っていたのだが、
本来ならこの輪の中にラクチェもいた筈だと思うと、床を転げまわりたくなる。
シャナン「ううむ…アイラはやると言ったらやる…しかしわずか一月でラクチェのラーメンが
食えるレベルになるのは不可能…このままでは本当にラクチェが勘当されてしまう!」

しかし、シャナンも剣以外の事はさっぱりな人間である。ラーメンの作り方などわからない。
それに自分も流星軒の人間だ。ラクチェを助けたりしたらアイラの怒りが怖い。
結局シャナンに出来る事は友人達にラクチェの屋台で食べてやってくれと頼む事くらいだった。
ロイドやライナス、ジャファル、ディークにオグマは気前よく承知してくれたがエフラムには拒否された。
そのことを思い出すと腸が煮えくり返る。

エフラム「この間家族で食いに行ってみたがとても食えたもんじゃない。勘弁してくれ」
シャナン「な、なにぃぃぃぃぃ!!!貴様!愛くるしいラクチェが頑張っているというのに!
それでも少女を愛で、守る男といえるのか!」
エフラム「なにを言う!商売している以上、一人前のラーメン職人だ!マズいラーメンに金を出せるか!」
シャナン「ふん!貴様は10歳未満しか興味がないからな!ラクチェの良さが分からんとは哀れなヤツよ!」
エフラム「……貴様!その言葉同志といえど許せんぞ!」

普段は仲の良い二人なのだが、このときばかりは殴り合いである。
おかげでまだ体の節々が痛む。

アイラ「こらシャナン!もうすぐ店を開ける時間だ!早く手伝え!」
下の階からアイラの声が響く。今日は道場は休みだ。店を手伝わねばならない。
シャナンは痛む体を引きずって階段を下りていった。


ラクチェは公園のテントでラーメンをすすっていた。我ながらマズい。
ラクチェ「げっ!やっぱマズ…なんでスカサハは美味く作れるのに、私のはこんなんなっちゃうのかなぁ」
元々家事料理の類はさっぱり苦手だ。
(スカサハの方がいいお嫁さんになれるよねぇ)などと思うラクチェ。
とりあえず日課の素振りをこなすと、今日はどこで商売しようかと考える。
ラクチェ「今日は学校は休みだから、一日商売できるけど…んー、どうしよう?」
商売の基本は人の集まる所に行くことだ。綺麗な湖があって家族連れも集まるヴェルダン公園に行くことにした。

~ヴェルダン公園~

ラクチェ「さて、この辺でいいか」
適当な場所を決めるとテキパキと支度をするラクチェ。
ショバ代がどうとかからんできたガンドルフ達をブチのめし、準備は万端だ。
ラクチェ「問題は所見の客を何人とれるかよね。…リピーターは無理だし」
行楽地だけあって人が多く、それらをターゲットにしたテキ屋が何人も店を出している。
ラクチェ「げっ!思ってたより激戦地かも…ええい、負けるもんか!」

…2時間後…閑古鳥が鳴いていた。
ラクチェ「ううっやっぱり…これじゃお客さん集まらないよね…」
スープをすするラクチェ。マズい。
やはり根本的に作り方を考えないといけない。しかし流星剣しているとテンションが上がってしまい、
気がついたらマズいラーメンが出来ている。
ラクチェ「材料はまだあるけど…軍資金がヤバめになってきてる…まとまった収入がないとラーメン作れなくなる!」
頭をかきむしるラクチェ。そこに救いの手がやって来た。
ロイド「そこの少女、ネギみそラーメンを頼む」
ライナス「俺はスタミナラーメンだ!大盛りだぜ!」
ジャファル「……辛しラーメン……」
ディーク「コーンラーメンだ!チャーシュー多めにしてくれ!」
オグマ「わかめラーメンを頼む。タリス風味でよろしくな」
ラクチェ「らっしゃい!待っててね!すぐに作るから!」

…30分後…救いの手は去った。
「美味かったぞ」と青い顔をして、腹を抑えながら言ってくれても嬉しくない。
ラクチェ「ううっもう来てくれないだろうなぁ…
これじゃ私のラーメンのマズさを宣伝してまわってるようなもんじゃないのよーーー!」
その時新たな客が現れた!


ヨハン「おおラクチェ!探したぞ!」
ヨハルヴァ「水くさいじゃねえか!困ってんなら俺に言え!ラーメンくらい何杯でも食ってやるぜ!」
ラクチェ「……来たよウザいのが……」
ヨハン「ワハハハハハ!照れなくてもよいのだぞ!我が心の君よ!我が心は常にラクチェの元にあり!
おおラクチェ!その花のような微笑!麗しの黒髪!輝く瞳!その言の葉は私の耳を優しくくすぐる!
そのスリットより覗きし太ももの健康的な脚線美!君のすべてが私の心をかき乱す!
罪な君よ!ああ、どれだけの賛辞をもっても君の魅力を現すには足りない!
麗しの華のごとき新春の香りたつ流れ行く風にして我が愛の……」

ラクチェ「日本語しゃべれ!変態!」
ヨハルヴァ「そうだぞ変態!兄貴のキャラが濃すぎるおかげで俺の影が薄くなるだろうが!
男ってのはストレートなのが一番だ!ラクチェェェェエエエエ!!!子供創ろうぜぇぇぇええええ!!!!!」
ラクチェ「いい加減にさらせ!この変態兄弟がぁぁぁぁ!流星剣!月光剣!連続追撃必殺勇者の剣!!!
そうりゃぁぁぁあぁぁぁ!!!!!」
ヨハヨハ「ほげらっちょ!」

ドズル兄弟はお空のお星様となって吹き飛んでいった。
ラクチェ「もーやだー!うわ~~~んちくしょ~~~!!!」
その時となりの屋台から声がかけられた。
????「あ~あかんなぁ、ナンボ変態ゆうても、お客さんそないにしたら儲かるものも儲からへんで」
ラクチェ「ほえっ?」
????「さっきから見とったけどアンタの商売全然なってへんわ、隣で商売してるのも何かの縁や
ウチがちっとばかし手伝ったるさかいな」

隣でお好み焼きを焼いている少女は名をマリータといった。
マリータ「笑顔で愛想よく接客は基本中の基本やで!アンタせっかく器量よしなのに、変態コンビとは言え
お客に嫌な顔しとったらアカン!ウチが手本みしたる!」

そういうとマリータは早速近くを通りかかった男に声をかける。
マリータ「や、そこの道行くレイドリックのおっちゃん!今日もお髭がダンディーでんな~~~♪
絶対損はさせへんからお好み焼き買うってってぇな♪」
レイドリック「おおっワシのマイNO1黒髪美少女マリータちゃん!
きょうもその艶やかな黒髪がたまらんのう、グフフ!」
マリータ「も~~!ほめても何も出ぇへんで!ささ、美少女の焼いたお好み焼きは最高やで~~♪」
レイドリック「ほほぅ、それでは3人前ほどもらおうかのう、美少女お好み焼きハァハァ」
マリータ「まいど!またたのんまっせ~~♪」
お好み焼きを買って去るレイドリックに笑顔で手を振るマリータ。

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ラクチェ「す…凄い…あんな鳥肌立ちそうなキモイ親父に…私だったらぶった切るところなのに…」
マリータ「まぁ普段だったらあんなヤツ、流星月光連続必殺アーマーキラーでギタギタにしたるけどな。
商売は別や」
昼時も過ぎ、食べ物屋への客足はまばらになってきている。
マリータ「アンタ、テキ屋は慣れてへんやろ?ちょうど客も来ない時間帯やし、
うちがうまいヤツのとこ案内したるさかい、しっかり勉強しぃや」
正確にはテキ屋ではなくラーメン屋なのだが、せっかくだから乗ってみることにした。

マリータ「お、やってるな~~葉っぱの兄やん、景気はどないや?」
リーフ「やぁマリータ!まあボチボチかな」
そこにはリーフがゴザを広げて商売していた。
ラクチェ「リーフ?いったいなんの商売してるのよ?」
リーフ「あ!ラクチェも一緒なの?何か買わない?一つ100ゴールドでいいよ」

リーフのゴザの上には壊れた剣、壊れた槍、壊れた弓、壊れた斧、消えた魔道書、
壊れた杖が並んでいる。
ラクチェ「いらないわよ!そんなの!こんなもの売れるわけないでしょ!」
アーマーナイトA「その槍を3本くれ!」
リーフ「まいど~」
ラクチェ「な、なぜ!?」

マリータ「あいかわらず上手いわ葉っぱの兄やん」
ラクチェ「ど、どうなってるのよ!?」
リーフ「じゃあ教えてあげるけど、他の人にバラしちゃだめだよ」

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リーフ「聖戦ルールだとアイテムが壊れると、壊れたアイテムの名前になるから、それだけ見たら
修理するまで、元がなんだったかわからないでしょ?」
ラクチェ「それがどうしたっていうのよ」
リーフ「まあ、最後まで聞いてよ。修理すれば以外なレアアイテムが出ることもあるってわけさ。
もちろん修理代はかかるけど、非売品のレア武器はみんなほしがるからね」
マリータ「こいつゴミ捨て場をあさって壊れたアイテム拾ってきて売ってるんや、
大半は鉄の武器なんやが、マレにいいもん出るからみんな買いに来るねん」
リーフ「まあ、弱い武器がでても一つ100ゴールドなら損した気にはならないでしょ。
元手もかからない健康商売だし、修理屋にも喜ばれるしね」

ラクチェ「す…凄い…よく思いつくわね」
思わず感心してしまうラクチェ。リーフならどんな世の中もしぶとく渡っていきそうだ。

ラクチェ「ううっ私が甘かったわ、マズいラーメン出して友達に食べてもらっても、
一時しのぎにしかならないのね!師匠!御見それしました!これからも色々教えてください!」
マリータの手を握るラクチェ。
マリータ「し、師匠なんてよしてぇな!でも、ええで、教えたる!ウチはアンタが気に入ったさかい!」

なにかラーメン修行からズレていくラクチェ、だが本人はその事に気付いていない。
はたしてラクチェは勘当を免れることができるのだろうか……

続く

昔見た今は亡き某スレの影響なんだ…すまない…許してくれ、俺あのマリータ大好きなんだ
それと先に詫びておくべきだった。レイドリックファンのみんな、
レイドリックをキモい変態にしてしまってすまない。許してくれ…

後編

12

~流星軒~

シャナン「ぬお~~~ラクチェ~~~!もう一週間も顔を見ていないぞ!…ああ、心配だ…」
床を転げまわるシャナン。
アイラ「やかましい!いい大人がみっともないと思わんのか!」
(まったくどこでコイツの育て方を間違えたのか…)
シャナンを育ててた頃を思い出すアイラ。少なくともロリコンになるように育てた覚えはない。
しかし、シャナンがラクチェを心配するのも分からないではない。内心では自分も心配だ。
アイラ(…私も甘いな…)
その時パティとデイジーが店ののれんをくぐった。
パティ「シャナン様~~~遊びましょ~~~」
デイジー「やっほ~~~また来ちゃいました~~~♪」
シャナン「フッ仕方のないヤツらだ…さあ今日はどこに連れてってやろうか?」
一瞬前まで床を転げまわっていたのに、2人が来た瞬間に立ち上がってクールな顔を取り戻すシャナン。
アイラですら不覚にもその動きが見えなかった程だ。
パティはシャナンの右腕、デイジーは左腕にしがみつくと3人仲良く出かけていった。
アイラ「……一度シャナンの情けない姿を見せて、目を覚まさせてやった方があの2人のためかもしれんな…」

すでにシャナンについては諦めているアイラ。せめてパティとデイジーの将来は守ってやりたい。

13

ラクチェ「お、美味しい!」
マリータ「そやろ~♪」
マリータのお好み焼きを頬張るラクチェ。絶妙のソースがたまらない。
マリータ「たこ焼きいか焼き大判焼き、クレープにおでんなんかも作れるで!」
ラクチェ「私と年もそんなに変わらないのに…さすが師匠!」
(あれっ?私のほうが年上だっけ?)
マリータ「せやからその師匠はやめてぇな、マリータって呼んでほしいわ、
ウチもアンタの事ラクチェって呼ばしてもらうから」

ラクチェ「それじゃマリータ、どうやってこんなに美味しく作れるようになったの?」
マリータ「おとんに教えてもろたんよ、ウチ小さいころはおとんと一緒に旅しててな。
おとんはあちこちでテキ屋やってたねん、愛想はないけど腕は一流やったからどこ行っても評判やったで」
ラクチェ「……私も小さい頃から母さんにラーメンの作り方教わってるんだけど、全然美味しくできないよー」
マリータ「……まあ、料理はセンスゆうからなぁ」
ラクチェ「ガーン!!!私にはセンスないって事!?」
マリータ「人間向き不向きってもんがある、何も食い物扱うだけがテキ屋やないで、
来週の縁日でなんかやってみよか」

こうしてラクチェはマリータと来週の縁日に店を出す事になった。

14

それからの一週間はあっという間に過ぎていった。学校が終わるとマリータとの打ち合わせや準備、
夜は屋台を引いて商売である。もっとも客が来ないのである意味ヒマなのだが。

しかし、セリスとアイクは来てくれた。セリスは青い顔をしながらも頑張って食べてくれる。
なんとか美味しいラーメンを食べてもらおうと、ダシの取り方とか色々試してみたのだが、
やればやるほどドツボにはまってゆくような気がする。
一方アイクは「歯ごたえがあってたまらん」ボリボリボリ、
本当に美味いと思ってくれているようだ。

ドズル兄弟も数少ない常連客だ。こいつらを見てるとつい切りたくなるのだが、
マリータのアドバイスに従って我慢している。営業スマイルが引きつるのだけはどうしようもないが。
ヨハン「おお、これがラクチェの愛のラーメン!一切れのシナチク、スープの一滴にいたるまで、
ラクチェの私に対する愛が染み込んでいる!愛!それは至高の調味料!
ラクチェの愛が私の胃に染み渡ってゆくのが感じられる!ラクチェの愛が私の血肉となる!
もはや何人たりとも2人を引き裂くことは適わないのだ!!!」
ラクチェ「…ちょ、ちょっと!そんな大声で妙なポエム読まないでよ!道行く人がこっち見てるでしょ!?」
ヨハルヴァ「そうだキモイぞ!兄貴!!…しかしラクチェの初めての手料理だ!!鼻からだって
美味く食えるぜ!!!うぉおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
ラクチェ「雄叫ぶな!ホントに鼻から食うなーーーーー!!!!!!!!」

流星剣をかましたくなるのをぐっとこらえるラクチェ。しかし、ドズル兄弟は涙まで流しながらラーメンを
かきこんでいる。本当に幸せそうだ。ラクチェが作ったというだけで味覚がマヒしてるに違いない。
ドーパミンやエンドルフィンを脳内で大量分蜜しながら恍惚の表情でラーメンをおかわりするドズル兄弟。

ラクチェ「…変態といえどもお客はお客!おかわりお待ちどおさま!」

15

色々あって縁日当日、今日はミラ教団ノーヴァ寺院の祭事である。
マリータ「ほ~♪集まっとるな!今日はかき入れ時やで!」
マリータとラクチェは射的屋をやる事にした。景品もそろえて、準備は万全である。
ラクチェ「傷薬に扉の鍵に毒消し、ビラクのガチャポンフィギュア、この辺は下の段に置くのよね?」
マリータ「取られてもかめへん安物は下、客引き用の豪華商品は上や」
ラクチェ「上は魔女っ子ミカリンのフィギュア!?これ、今はもう作ってないヤツじゃ!」
マリータ「本人の手で製造中止になったらしいからな。レアもんやで♪」
ラクチェ「他にも新暗黒竜のソフトや、一昔前の人気俳優ペ・レアスのサイン入りブロマイド!
ペガサスのラジコンにアイクさんの古いバンダナまで!…5回で200ゴールドなのよ!
取られたら大赤字じゃない!」
マリータ「心配いらへんよ。コルク銃はいじってガス圧を弱めとるし、上の段には小さな窪みを作って
後ろからつっかえ棒しとる。絶対気づかれへんで」
ラクチェ「そ…それってずるじゃ…」
マリータ「甘いで!テキ屋の商売信用するなんてアホのやるこっちゃ!こういうのは場の雰囲気を楽しむのに
金出すんや!」
ラクチェ「…大人はそれでいいかもしれないけど、子供はどうするのよ?頑張れば取れると思って挑戦してくるわよ!」
マリータ「何事も経験やで。ウチが小学校2年生の時の運動会でな、テキ屋がくじ引きやってたんや。
30円の水飴買うたら1回引けるんやが、そこの1等賞がファイアーエムブレム外伝のソフトやった。
小学校低学年にしてみれば、とても小遣いでは手の出ないシロモノを手に入れるチャンスやと、
皆小遣いはたいて挑戦した。
でもな、ナンボ引いても1等賞は出んかった。今にして思えば初めからアタリくじは入れてなかったんや。
高学年の兄やん姉やん達が1回2回遊びで引いて、すぐ切り上げてたのはこの事を知ってたからや。
こういう経験を経て子供は大人になるんやで」
ラクチェ「そ…そういうものなんだ」

16

ラクチェ達の射的屋は商品の豪華さもあって初めから盛況である。
ユベロ「ゆみな~新暗黒竜のソフトが倒れないよ~」
ユミナ「男の子でしょ!根性でなんとかなさい!」
マリータ「惜しかったな~♪坊ちゃん穣ちゃんもっかい挑戦するか?5回で150ゴールドに負けたるで♪」
ユミナ「よしっ!もう一度挑戦よ!」
つっかえ棒の配置も絶妙で、コルク銃が当たると景品が揺れる。それを見るともう少しで倒せそうな錯覚に陥る。
ラクチェ(……い、いいのかなぁ?)
サザ「今月の生活費5000ゴールド出す!これで125回挑戦するぞ!」
マリータ「おおきに♪兄やんええ男やから130回にサービスしたるで♪」
サザ「そうかすまない!うぉぉぉぉぉミカリンは俺が倒す!」
ラクチェ(いやいや、何もサービスになってないよ、下の段の景品狙えば少しは取れるのに)
サナキ「おおっなんでアイクのバンダナがあるのじゃ?」
ケースに入っているアイクのバンダナに目を輝かせるサナキ様。
マリータ「蒼炎時代のアイクさんのや、今じゃ手に入らへんで!」
サナキ「よしっシグルーン財布を持て!挑戦するぞ!」
シグルーン「はいサナキ様」
ラクチェ「ねぇマリータ、あれって…」
マリータ「…ラクチェの屋台の常連客がアイクはんでよかったわ、ラクチェの友達いうて頼んだらアッサリくれたで」

  戸建  マンション  賃貸  不動産

17

景品欲しさに来る客も入れば、黒髪美少女2人組目当てで来る連中もいる。
男ども「黒髪浴衣美少女2人組萌え~~~ハァハァ」
マリータ「いらはい兄やん達!遊んでってや~~♪」
ラクチェ「…こ、このために浴衣を着て来いと!?」
マリータ「そや、祭りといえば浴衣やで!それにウチら美少女なんやから、そのアドバンテージを活かさんとな♪
ほれ、アンタ目当てのお客さんやで」
ヨハヨハ「ラクチェ~~~!」
ラクチェ「ああ、はいはい!あんた達、せっかく来たんだから遊んでってね!」
お金を払ってコルク銃を受け取ると早速ラクチェを撃つドズル兄弟。
ラクチェ「あたっ!なにすんのよ!」
ヨハン「おお!私の愛の弾丸がラクチェの胸を射止めた!祭りの夜に二人の愛は成就せり!」
ヨハルヴァ「俺の弾が先に当たったぞ!ラクチェは俺んだ!」
ラクチェ「私は景品じゃな~~~~~~い!このアホ兄弟が~~~!!!!!!」
マリータ「兄やん達、ラクチェは倒れてへんで、もっかい挑戦すればゲットできるかもな~~~!」
ヨハン「ふむ確かに」
ヨハルヴァ「ようし、もう一回だ!」
ラクチェ「……アホかー!!!!!」
剣を振り回すラクチェ。
マリータ「じょじょじょ冗談やがな!勘弁してぇな!」
ラクチェ「まったくもう!」
ヨハヨハ「我らは本気だぞ!」
ラクチェ「自重!」

18

マリータ「いや~~~今日は儲かったわ~~~♪」
ラクチェ「は~~~忙しかった~~~♪でもやっぱり商売するならお客さん一杯来たほうがたのし~~~♪」
ホクホク顔で後片付けをする2人。
マリータ「なぁラクチェはテント暮らしなんやろ?よければウチに泊まっていかへん?」
ラクチェ「え!いいの?そりゃ私には願ってもない事だけど」
マリータ「かまへんウチ今は一人暮らしやから遠慮はいらんで」
ラクチェ「え!一人暮らし?なんで?」
マリータ「おとんは旅暮らしやからな、ウチを学校通わすためにおかんに預けていったんや。
おかんはおとんの知り合いってだけで夫婦やないんやが、ウチはおかんって呼んでる。
そのおかんも時々記憶がどうとかブリがどうとかゆうて、弓もって旅に出るねん。
まぁ半年もすると剣もって帰って来るけどな。今は旅に出てるから一人暮らしや」
ラクチェ「……よくわからないけど、もの凄く複雑な家庭事情なのね……」
マリータ「まぁ一般的ではないなぁ、そういう訳やから遠慮はいらんで!」
ラクチェ「それじゃ遠慮なくお世話になるわ!なんだかテキ屋も楽しくなってきたし♪」

それからラクチェはマリータの家に居候すると、学校の合間にテキ屋として修行を積んでいる。
なにか忘れているような気がするが、忙しいと中々それを思い出す暇もない。

修行期間の終了まであと一週間である……

後編にするつもりが、上手くまとめられなかったなぁ…
次を最終章という形にします。すいません。

それとマリータの小学2年の時の話は、俺の実体験です。
あの外伝のソフト、手に入れた子いるんだろうか…

最終章

19

~兄弟家の居間~

アイクがぼんやりと窓から空を見ている。
アイク「………」
ヘクトル「…どうしたんだ兄貴?黄昏ちまって」
アイク「いやな、最近ラクチェのラーメンを食ってないんだ…」
ヘクトル「兄貴…まだアイツの所にラーメン食いにいってたのか…」
アイク「…?あのラーメンは美味いと思うが?」
ヘクトル「……まあ、いいけどよ……商売の場所変えたんじゃねえか?…あそこじゃ客来てなかっただろ?」
アイク「そうか……(´・ω・`)……」
しょんぼりするアイク。

ヘクトル「まぁ、もうすぐ修行期間終わって流星軒に帰るんだろ?そしたら行ってみりゃいいじゃねえか」
アイク「…!確かにそうだな!よし行ってくる!」
ヘクトル「今すぐ行くのか!?」
アイク「ラーメンの話をしていたら食いたくてたまらなくなった。あそこのラーメンは美味い」
ヘクトル「まぁ確かにな」
アイク「それにラクチェが帰ってきたら、アイラのラーメンとラクチェのラーメン、両方食えるわけだ!
ああ……楽しみだ」
元気になったアイクは嬉しそうに出かけていった。

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ラクチェは炎天下の中、アイスキャンデー売りに励んでいた。
ラクチェ「……あ…あづいぃぃぃぃぃ~~~!!!!!…ねえマリータ、ひとつ食べちゃダメ?」
マリータ「あかんがな!それは売りモンや!ガマンしぃや!」

今日は年に2回の紋章町最大のオタクの祭典、夏の巨大同人誌即売会である。
会場のそばには数万人が集結し、地平線まで埋め尽くしそうな巨大な列をなしている。
ティニー「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!! ボルテージ最☆高☆潮!!!!!
新刊のアーサー×セティ本準備よし!サークルチケットよし!釣銭よし!水分補給よし!
準備万端!死して屍拾う者無し!」
アーサー「毎回思うけど随分集まったモンだなぁ、俺はこのメモに書かれたサークルの新刊を買ってくればいいんだな?」
ティニー「お願いします兄様!私はブースを離れられませんから!それと私の新刊をお友達のサークルさんに
渡して来て下さい!」
アーサーとセティが絡み合っている表紙の同人誌を数冊渡すティニー。
アーサー「OK、周り終ったら俺が売り子に入るから、ティニーも会場を見てくるといいよ」
ティニー「ああ…兄様…なんてお優しい…」

ラクチェ「今、列の中に知り合いがいたような…気のせいね…
初めて来たけどすごい人数ね…コイツら他にやる事無いのかしら?」
マリータ「オタクを舐めたらアカンで!コイツら金も生活も全てオタク活動に注ぎこんどるさかいな!
おかげでウチらもこうして一儲けや!」
ラクチェ「……それはいいけどなんで私達は頭にネコミミをつけてるのかしら?」
マリータ「もちろん客引きのためや!会場外はコスプレ禁止やさかいな、
でも頭にネコミミのせるくらいならかまわんやろ」
オタクA「黒猫さん萌え~~~ハァハァ(*´д`*)」
マリータ「おおきに!兄やんアイスキャンデー買うってってぇな♪」
オタクA「ムハ━━━━━━!!!!!!買っちゃう!どんどん買っちゃう!!!」

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ラクチェ「ああ…ここまでしないといけないなんて…何か大切なものを失った気がするわ…」
ヨハン「おお、ラクチェ!君の麗しき姿の書物を求めて来てみれば、君自身に会えるとは
まさしくこれは愛の奇跡!」
ヨハルヴァ「ガハハハハハハ!兄貴は言い回しがまわりくどいぜ!!!
ラクチェのエロ同人誌を買いに来たんだろうが!!!」
ラクチェ「(#^ω^)これはさすがに斬っていいよね、流☆星☆剣!!!」
ヨハヨハ「ぐべぼば!」

????「こっちにも1つ頼む」
ラクチェ「はいは~~~い♪ありがとうございま~~~す♪」
満面の営業スマイルで振り返るラクチェ。そこにいたのは…
シャナン「ぬおっラクチェ!?」
ラクチェ「シャナン様!?なんでこんなところに?」
意外な相手に出会い焦るシャナン。
シャナン「そそそそそそそれはだな!ええと…」
(言えん!ラクチェ、パティ、デイジー、ニノ、アメリア、ユミナ、マリア、ミストのロリッ娘総合同人誌を
買いにきたなんて言えん!)
ラクチェ「そっか!きっとこの辺りに用事があったのに、この行列に巻き込まれたんですね!
シャナン様がオタクのはずないし」
シャナン「うむ!その通りだ!」
(……ラクチェが私を信頼しきっていて助かった……それにしても可愛い…ハァハァ)
マリータ「ありゃ、ラクチェの知り合いか?…って…シャナンはん?えらい久しぶりやなあ♪
アイスキャンデー3つやったね、おおきに!」
シャナン「?…あ、ああ…」(どこかで会ったかな?…でも、この娘もなかなか…ハァハァ)

ラクチェ「あれっ?マリータ、シャナン様と知り合いなの?」
マリータ「ウチに流星剣を教えてくれたんよ、技に心を乗せるゆうてな」
シャナン(……おかしい……まったく記憶にない…こんな好みの娘なら忘れるはずないんだが…)

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シャナン「ところでラクチェ、修行は上手くいっているか?期限まであと3日だったと思うが?」
固まるラクチェ。額から一筋の汗が流れる。
ラクチェ「YABEEEEEEE!!!!!!完全に忘れてたー!!!!!!!」
シャナン「ななななななんだとぉーーーーー!!!このままでは勘当されてしまうぞ!!!」
マリータ「ほえっ?なんやねん急に大声だして」
ラクチェ「実は…カクカクシカジカ・・・と言う訳なのよー!どーしよー!!!」
マリータ「ドアホ!!!なんでそんな大事な事忘れてんねん!!!ウチはてっきりアンタがテキ屋志望やと
思うとったがな!!!」
ラクチェ「わ~~~ん!だってぇマリータと商売するの楽しくなっちゃったんだも~~~ん!」
マリータ「/////…と、とにかく付け焼刃でも特訓や!3日間でなんとかするしかないで!!!」

大混乱に陥る3人。ラクチェはマリータを相手に3日間猛特訓することになった。

23

そして3日間はあっという間に過ぎ去った。
不眠不休でラーメンを作り続けたものの、わずか3日で上達できれば誰も苦労しない。
ラーメンの試食を続けたマリータは、寝込んでしまった。
ラクチェ「うう…ごめんマリータ…(´;ω;`) …」
マリータ「…気に…しなさんな…それよりおかんの所に行ってきぃや…努力賞で許してくれるかもわからんで…」

マリータの家を出て流星軒に向かうラクチェ、その足取りは重い。
ラクチェ「うう…期末テスト前の気分だ…」
つい先延ばししたくてゆっくり歩いてしまうが、そんなことしてもいつかは辿り着いてしまう。
ラクチェ「…た…ただいま…」
店ののれんをくぐるラクチェ。
アイラ「…来たか…」
アイラの周りにはシャナン、ホリン、スカサハ、バイトのロドルバンとラドネイも緊張した面持ちで待っていた。
とりあえず屋台を返すラクチェ。

アイラ「…では、早速お前のラーメンを食わせてもらおう」
このときラクチェは完全に開き直った。
ラクチェ「ええい!こうなりゃあたって砕けろ!!!!…これが私の流☆星☆剣!!!!!」
剣を振り回しながらラーメンを作るラクチェ。そのとき特訓中のマリータの言葉が浮かんでくる。
マリータ(ええか、流星剣のコツはな、技に心を乗せるやで!シャナンはんの受け売りやけどな)
その言葉を思い出すと、高いテンションのなかにもどこか研ぎ澄まされた自分が、
静かに周囲を見渡しているのが感じられる。
ラクチェ(斬る物は食材…鍋やまな板にあらず…技に心を乗せる…技に心を…)

24

かくしてラクチェのラーメンは完成した。
アイラ「……」
無言でラーメンを食べるアイラ。
ラクチェ「…ドキドキ」
アイラ「……一ヶ月修行してこんなものか……」
全員の表情が強張る。
シャナン「…し、しかしアイラ!まな板も鍋も無事だぞ!異物は入っていないはずだ!」
アイラ「当たり前だアホゥ!!!」

その時マリータが店に飛び込んできた!
マリータ「心配して来てみたけどやっぱりあかんかったか…ラクチェのおかん!
ラクチェがろくすっぽ修行できんかったんはウチが商売に付き合わせとったからなんや!勘弁したってや!」
ラクチェ「ま…まりーたぁ…」
アイラ「ふん、イザーク剣士に二言はない、そんな事は言い訳にならん」
マリータ「な、なんやて!?あんたラクチェのおかんやろが!どこの世界に自分の娘おっぽりだす親がおるねん!」
アイラ「ラーメン職人の師と弟子の間に親子の情など不要だ」

25

その時1人の大男が店に入ってきた。
アイク「ねぎみそチャーシューメン大盛りを頼む…ム、ラクチェ戻ってきたのか?よし!アンタのラーメンを食わせてくれ!」
ラクチェ「ア…アイクさん…」
アイラ「……お客さんだ…ラクチェ…作ってやれ」

ラクチェの作ったラーメンを美味そうにがっつくアイク。
その顔からは喜びがきらめきあふれている。
アイク「…美味いな。この所アンタのラーメンを食えなかったからな。寂しかったぞ」
ラクチェ「////…そんな…私のなんて…美味しくないですし」
アイク「俺にとっては美味い!」
きっぱりと言い放つアイク。清々しい笑顔だ。
アイク「美味かった。次はスタミナラーメンを頼む。アイラ、スカサハ、あんた達のラーメンも食いたい。
みそバターラーメンとキムチラーメンを作ってくれ。全部大盛りで頼む。それとギョーザと野菜炒めも食いたい」
アイラ「承知した、スカサハ、ラクチェ何をしている!お客さんをあまり待たせるな!」

ラクチェ「あ…あの…母さん…私、勘当なんじゃ」
アイラ「…1人でもお前のラーメンを望んでこの店に来てくれるお客さんがいるのだ。
お前を追い出す訳にはいくまい、これから厳しく鍛えてやるからな、覚悟しておけ!」
ラクチェ「…望む所よ!ぜっっっっっったい母さんに美味いって言わせてやるんだから!」
マリータ「よかったなぁラクチェ…ホントによかったわぁ」
ラクチェ「マリータ…この一月ホントにありがとう!縁日の時は呼んでね!またいっしょに商売しよ!」

26

こうしてラクチェはかろうじて勘当を免れ、アイラの元で修行に励んでいる。
まだ普通のお客さんに出すラーメンは作らせてもらえないが、アイク専用のシークレットメニューとして
時々店に来るアイクにラーメンを作っている。
この一ヶ月でマリータという友達もできた。色々大変だったが今となっては楽しい思い出だ。

少しずつでも上達し、いつか皆に美味しいといってもらえるラーメンを作れるようになるため、
今日もラクチェは修行に励んでいる。

終わり

追伸

シャナン「これでまたラクチェと一つ屋根の下で暮らせるハァハァ」
アイラ「貴様に娘は絶対やらんからな」

今度こそ終わり

……ちょっと長くしすぎたかもしれないなぁ……