ダンスオブシャドー
1
皆さんお久しぶりです。ジャンヌです。
え、お前は誰だ?
22-120をご覧ください。
できれば原作で私に会いに来てくれると嬉しいのですが、
ナンナさんと2択ですもんね…
で、でもほら!
ヤンキー風味のデルムッドさんより私の兄はイケメンですし!
ですからそのついでに…駄目ですかね?
なんてアピールしちゃいました。
ま、儚い希望を抱くよりも、一般人は一般人らしく慎ましく生きていきましょう。
さて、今日も私はリーフ様を観察してます。
面白いもので、これだけリーフ様のことを知ってる私でも
リーフ様のやらかすことは予想がつきません。
おや、河原で空き缶を拾っていますね。
鉄屑屋にでも売るつもりでしょう。こういう小銭稼ぎはよく知ってる人です。
ネサラさんと空き缶を取り合って醜い争いを繰り広げています。
勝てるわけないのに。
小銭とおねいさんのことが絡むとリーフ様はとたんに学習能力が無くなります。
そんなところも可愛いものです。
ちょうどネサラさんが滑翔を発動しました!
きます、これはきますね!
リーフ「アッー!コノヒトデナシー!」
ヒトデナシキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
えいカシャッ!
いい写真が取れました。私ほどリーフ様のコノヒトデナシー!に詳しい人間もいないでしょう。
まさしくコノヒトデナシの第一人者、ちょっと自慢しちゃいます、えっへん。
2
軒並み空き缶を奪われたリーフ様はションボリして家路につきます。
あの肩に漂う哀愁と貧乏くささがなんともいえない味がありますね。
一枚とっちゃえ。
しかしなんの成果も無かったわけではないようですよ?
河原に捨ててあったエロ本を拾ってましたから。
こっそり懐に入れてましたけど私はしっかり見ちゃいました。
さて、帰宅したリーフ様を撮影するため、私は兄弟さんちの庭に潜みます。
え、それは盗撮じゃないかって?
やだなぁそんな誤解はよしてくださいよ。
これは観察です。知的好奇心です。可愛いものを愛でる心です。
ハァハァの対象として相手を撮影するフィオーラさんみたいな盗撮魔といっしょにしちゃいやですよ。
しかし最近気づいたのですが、驚いたことに私の支援項目にリーフAが燦然と輝いてました。
どうしてでしょうかね?
一度も話したことないし、多分リーフ様は私の存在なんぞ知らないと思うんですけどね…
こうして近くに潜んでいたから支援が上がったのでしょうか?
謎です。
メタな話になりますがドルカスさんとヴァイダさんは一度も会えなかったにもかかわらず支援が上がりますし、
それと同じようなものでしょうか?
ま、リーフ様の支援欄はなにかバグッたような有様ですし、
アスベルさんなんか一度AになりながらBに下がったりわけのわからないカオス状態ですからね。
そういうこともあるのかも知れません。
すると私はあと2つかぁ…ま、ときおり兄ですら気づいてくれないほど存在感の無い私です。
彼氏がどうとか、そういった話とは無縁なんでしょうね。
そもそも残り枠じゃBまでしかいけませんしね。リーフ様?
やだなぁ四人娘の皆さんと張り合う自信なんて私にはありませんってば。
それに興味深い相手ですけど恋愛感情をもってるかどうかはよくわからないんですよね。
おっと、ちょっとだけセンチになっちゃいました。
どれ、リーフ様のボロいお部屋の穴を覗いて見ましょうかね。
多分拾ったエロ本を観察中のはず…
3
???「ねぇちょっと」
ジャンヌ「きゃあああっ!?」
ははは、背後から肩を叩かれましたっ!?
焦って振り向いたのですが誰もいません。
ジャンヌ「ど、どなたですか?」
アルム「いや目の前にいるんだけど…」
あ…あれ?
よーくよく目をこらしてみると勇者Aがいますね。
風景に蜃気楼みたいに溶けてて気付きませんでした。
年の頃は私と同じか、少し上程度でしょうか?
しかしこの存在感の無さ…透明人間かと思いました。私も人のことは言えませんが。
ジャンヌ「えーとどちらさまですか?…ここはカオスな兄弟さんちですからモブキャラにはデンジャラスですよ。
早く砦に戻って増援の兵士Aとして待機してたほうが…」
???「いや…僕、兄弟家の一人なんだけど……orz」
は?………こんな人いましたっけ?
リーフ様を観察してる間に他のご兄弟も見かけますけど確か…14人兄弟だった気が…
と、ともあれ驚きました。
まさかこの私に気付く人間がいるなんて…
アルム「僕は兄弟家のアルム、庭の菜園の世話をしてたら君を見かけたものだから誰かと思って声をかけたんだけど…」
ジャンヌ「あ、よく見ると固有の顔グラフィックと名前があるんですね…見落としてました」
アルム「……orz」
庭に菜園があるのは知ってましたけど、そういえば誰かが手入れしてるのを見たことはありませんでした…
この影の薄い人がやってたんですね…ともあれ自己紹介しましょうか。一応不法侵入の身の上ですし。
ジャンヌ「私はジャンヌ。リーフ様のクラスメイトです、一応。
もっとも学校でも気付いてもらえず、
出欠もあとで職員室に行って自分で印を書き足していたりしますがね」
アルム「あ、それ僕もだよ。危なく留年になるところだったね」
その瞬間、私たちには強い絆が生まれました。
4
ジャンヌ「へぇアルム君は野菜作りが趣味なんですか」
アルム「うん、バレンシア地区で土地を借りて畑をやってるんだ。いつかは自分の農園を持ちたいね」
私はアルム君の部屋へ上げてもらっておしゃべりに興じています。
思えば家族以外の人間と話すのってしばらくぶりな気がしますね。
なんだか新鮮です。
それに…考えてみれば男の子の部屋って初めてなような…
アルム君の部屋はあまり物がなく、がらんどぅとした印象です。
本人と同様個性が感じられません。聞けば作物を出荷して得られる収入はほとんど家計の足しにしているとか。
あまりおこづかいは残らないそうですし、あっても貯金してるとか。
堅実ですね。若者らしからぬ地味な用途ですが立派です。
部屋のハンガーには作業着がかかっていておよそシャレっ気というものが感じられません。
これでは目立たなくて当然です。ですが断言します。
この人は大通りを裸で走っても気付かれない人間です。
同類の私が言うんだから間違いありません。
(誤解のないよう言っておきますが例えばの話です。私はそんなことしてないので悪しからず)
おしゃれなどしても無駄なことなのです。
…私のリボンは女の子としてのせめてもの意地ですけどね。
アルム「そういえばジャンヌはどうして家の庭に?」
リーフ様を撮影してました…とか、言ったらあらぬ誤解を招きそうですね。
適当にぼかしておきますか。
ジャンヌ「趣味で動物の撮影をしてたんですけど、その生き物がこの家の敷地に入っちゃいましたんで…」
アルム「へぇどんな動物?」
ジャンヌ「決して死なない不死身の未確認生物です」
アルム「す、凄いね…そんな生き物がいるんだ…うちのリーフみたい…」
よし、嘘は言ってません。
しかしアルム君のお部屋のお茶は美味しいですね…なんでも茶畑から収穫したばかりだとか…
なんだか落ち着きます…
5
それから私たちはお互いの影の薄さについて語り合いました。
アルム君はかなり気にしてるみたいです。
私もたまに気にしちゃうからわからなくはないですね。
ここはポジティブな部分に気付かせてあげましょう。
アルム「…それでね、その人僕がいないほうに話かけるんだよ…」
ジャンヌ「あ、わかります。それ私もしょっちゅうですし…でも、影薄いのもうまく使えば快適ですよ。
ベルクローゼンが暴れたときとか、はぐれ飛竜が飛んできた時とか気付かれずに脱出できますし、
要領よく使えば…」
この町はデンジャラスですからねぇ…
アルム「まぁ…そうなんだけどね…でも、そういった時に少しでも皆の助けになりたいんだ。
この手のファルシオンも皆を守るための力だしね
ただやっぱりさ、褒めてほしいわけじゃないけどさ。少しでも気付いてもらえたら嬉しいかなって…」
なんと…
モブキャラ同然の存在感でありながら専用武器持ちですか……いくら影薄くても兄弟さんちの一人ですね。
そんな彼が少しうらやましいのかついからかうような口調になっちゃいます。
ジャンヌ「なに真面目になっちゃってるんですか。
私たちは脇役なんですから肩の力抜いていきましょう」
人間、器ってもんがあります。
脇役人生も悪くないもんです。…ですけど…こうしてアルム君の真剣な横顔を見てると…そんなのも悪くないもんです。
そんなのってどんなのだって?
ふふ、内緒です。
ただ、私は一つだけアルム君に言ってあげたくなっちゃいました。
ジャンヌ「それに…私が気付いていますよ?
同じ影の薄い者同士…ね」
アルム「あ…ありがとう…おうっおうぅぅ…(´;ω;`) 」
あ…あれっ!?
泣くことないじゃないですかっ!?
そんなに目立たないことが辛かったんでしょうかね…
慌てて私はアルム君の涙と鼻水をハンカチでぬぐってあげました。
落ち着くまで肩を抱いててあげますか…その…なんだか照れくさいですけどね…////
6
セリカ「アルムー…ごは…ん…よ…」
その時、扉が開きました。
おや、確かセリカさん…でしたっけ?
遠目に何度か見たことがあります。
ジャンヌ「あー…えっとセリカさんでしたっけ?」
なんでしょう…単にアルム君とはお友達になっただけのはずなのに…こう…体勢というか…タイミングというか…
なんか…えらいことになってる気が…
セリカ「だっ誰よその女はーーーーーッ」
アルム「ちょ…誤解…この娘は今、友達になったところで…」
あ…あれ…?
なんかセリカさん怒ってませんか?
確か私が前に見たセリカさんは宙に向かってイチャついてた人でした…
てっきり脳内彼氏と恋愛してる頭の痛い人だとばっかり思ってたんですけど……
あの相手はアルム君だったんですかね?
遠目で気付かなかったようです。
…あの激昂ぶりを見てると説得は無理のようです…
アルム君ごめんなさい、主力と違ってバルキリーやオームを使ってもらえない私たちモブに近い人間は命が惜しいんです。
私は声を殺すとさりげなくセリカさんの視界からフェードアウトしました。
あっさり私を見失ったセリカさんのライナロックが轟きます。
アルム君の断末魔を尻目に私は兄弟さんちを脱出したのでした。
さて…そんなこんなで一日が終わります。
自室で私はデジカメのデータをパソコンに落として整理してます。
今日はあんまりリーフ様の写真は取れませんでしたけど…。
一枚別のをゲットしました。
アルム君の部屋から脱出際に撮った一枚。
うーん…セリカさんのライナロックを食らうアルム君。
でも燃えてるアルム君ってのもなんだか可哀想ですし、今度頼んで一枚撮らせてもらおうかなぁ…
どうしてでしょうね?
リーフ様がコノヒトデナシーになるときは可愛いって気持ちになるのに…アルム君が燃えたのは可哀想って思っちゃいました…
…あの時の横顔をフレームに収められればよかったんですけど、ちょっと野暮ですよね。
その晩はなんだかそんな不思議な気持ちで夜を過ごしました…
終わり