幼女の旗の下に
149
3 自分の案を採用する やはり全員でセリノスに赴き、リュシオンに支持を訴えよう!
ロイド 「やはり仲間に無断で勝手な行動を取ったシャナンは連れ戻すべきで……っ!?」
オグマ 「エフラム?」
カナス 「と…党首……」
エフラムの顔を見た仲間たちは驚愕に瞳を見開いている。
そう…エフラムの頬を伝う物は熱い涙であった。
エフラム 「皆……俺たちは…俺たちは幼女のため…闘いぬく…その精神で集ったはずだ…
俺は間違っていた。他党への遠慮や合理性などで物を考えていた…」
ロイド 「だけどよ…」
エフラム 「俺たちは体当たりで幼女を守ることを皆に伝えていかねばならないはずだ…
シャナンはそれを身をもって示してくれた……俺はシャナンの気高い精神に感動している…」
オグマ 「行くか?」
エフラム 「ああ…行こう…誇り高い同志シャナンの行った道を追おう。
俺たちもシャナンに続き幼女を守る精神の精髄を発揮するのだ!
そうすればその真心は必ず白鷺族にも伝わるはずだ!」
一同 「おう!!!!!」
力強く雄たけびを上げた男たちはセリノスの森へと繰り出して行った。
150
セリノスの森の中にテントが張られている。
AKJの面々はしばらくここでキャンプを張って根気強くリュシオンを説得するつもりでいた。
だがそう簡単にはいかないもの。
リュシオンに門前払いを食ったラケシスたちは怒り心頭の面持ちだ。
ラケシス 「…会おうともしないなんて兄とは思えない無礼さね!
信じられないわ!」
クラリーネ「まったくここまで来て無駄足ではありませんか!
兄妹愛を理解しないなんてやはりラグズは野蛮人ですわ!半獣って呼ばれても仕方ありませんわ!」
プリシラ 「いいえ…全ての兄妹にはKINSHINがDNAレベルで刷り込まれているはずです…
リュシオンさんは可哀想な事にまだその本能に気付いていないんです…
天敵のSすら、神が定めたDNAに従って妹たちを愛するのが正しい姿なんです…」
クラリーネ「……将を射んとすればまずは馬から…ではありませんがリアーネさんを先に説得してみてはいかがでしょうか?」
ラケシス 「そうね…一日中集落の中にいるもんでもないでしょうし、チャンスを図って接触するわよ!」
クラリーネ「まったく…早く支持を取り付けてお屋敷に帰りたいものですわ。
この高貴なわたくしがテント生活なんて我慢できません!」
そうと決めたラケシス達は集落の様子を監視するためテントを出て行った。
セリノスの森の東部。広大な森の一角が切り広げられている。
その一部にはいくつかの建造物や倉庫が立ち並んでおり、軍馬や兵士が出入りしている。
大きくスペースを取った演習場では数名の魔道士が隊列を組んで仮想敵とした切り株に狙いを定めていた。
勲章付を付けた士官が号令をかける。
ジョフレ 「目標! 前方300メートル! 放て!」
印を切った魔道士達が一斉にメティオの魔法を唱える。
降り注ぐ隕石に切り株は木っ端微塵に砕け散った。
着弾率をソルジャーが手際よく確認する。
兵士A 「命中率89%!」
ジョフレ 「よし、訓練を続けろ! 今月中には100%を達成せよ!」
魔道士A 「はっ!」
ここは紋章町国防軍陸軍テリウス方面軍の演習場である。
駐屯するのはジョフレ少将率いる部隊であった。
訓練を部下に任せるとジョフレは指令塔に入る。
入り口で副官のケビンと行き会った。
ケビン 「将軍、探しておりました! ロンブローゾ司令官より入電がありましたぞ!」
ジョフレ 「はぁ…またか…それでなんと?」
ケビン 「はっ! 工兵を増派するので2ヶ月以内に演習場の敷地面積を1.7倍に拡張せよとのことであります!
完了次第、追加の訓練兵780名を送るとの事であります!」
ジョフレ 「まったく気の進まない仕事だな…また白鷺たちから抗議が来るぞ…」
ケビン 「では、返電で再考を求めますか?」
ジョフレ 「求めても聞かないだろうよ…これも任務だ、やむをえない…了解したと返事しておいてくれ」
ケビン 「はっ!」
勢いよく敬礼して通信室に向かうケビンを見送ると、ジョフレは深々とため息をついて執務室に入った。
151
セリノスに軍の演習場が建設されたのは1年前の事である。
元々はクリミア地方にあったのだが近隣住民より事故や騒音等の苦情が絶えず、
ヘッツェル内閣は移転を決定した。
移設先をテリウス方面の総司令ロンブローゾ大将と協議した結果、
広大な敷地面積を持ち、森林地帯での戦闘訓練も積めるセリノスが選ばれた。
一応は白鷺の集落から離れた地点を選んで建設されたのだが、ロライゼには国家命令という形で同意を得ずに建設を強行したのである。
元々元老院内閣はラグズへの差別意識が強く、ロンブローゾにしてもベグニオン系貴族の出身で元老党との繋がりが深い。
そしてこの嫌な任務のおはちが回ってきたのがジョフレであった。
ラグズ居住圏の片田舎に赴任したがる将軍などおらず、
貴族とはいってもクリミア系でベグニオン系に比べて権勢の弱いジョフレが押し付けられるような形で、
演習場の建設指揮と部隊の訓練を命じられたのである。
ジョフレにとっては非常に憂鬱な仕事であった。
連日白鷺からは矢のような抗議が来る。
先祖代々の森を切り開かれ、さらには森林内でも兵士や軍馬が分け入って危険な訓練をしているとあってはそれも当然だろうが…
だからといって抗議通りに森を出て行くわけにもいかない。ジョフレも仕事でやってることなのだ。
しかも最近では環境保護団体からも抗議がくるようになりジョフレの実家には大量に抗議の手紙が届き、窓ガラスまで割られたらしい。
さらにいえば私事ではあるが僻地勤務のため、エリンシアに会える機会も激減してしまった。
ジョフレ 「はぁ…私だって好きでやってるんじゃないのに…連中は私を人でなしだのエコの敵だのと…」
ほとんど日を空けずに文句を言いにくるリュシオンの応対のジョフレの仕事である。
応対した所で「上に伝える」としか返事できず、上からは「半獣の戯言をいちいち報告するな!」と文句を言われる。
兵士たちには森に入って訓練する時は環境と事故に配慮し、
また白鷺を見かけた時は訓練を中止して引き上げるよう厳命してあるが、
テリウス出身者の多いジョフレの部隊にはラグズ嫌いの人間が多く命令は徹底しなかった。
とある小隊では白鷺とトラブルになった上、兵士が相手を殴って怪我をさせる不祥事を起こしている。
その時はジョフレが出張ってリュシオンの元へ詫びに行ったのだが当然猛烈に文句を言われた。
そしてトラブルを起こした兵士を処罰すると、
今度は部下たちから「あの将軍はなんだって半獣なんぞに味方するんだ」と陰口を叩かれる。
ジョフレ 「…もうやだ…帰りたい…」
部下が見ていないところではデスクにつっぷして愚痴や泣き言を言う毎日である……
152
森の中でシャナンは迷子になっていた。
夜の森に踏み込めばそれも当然である。
一晩中うろつき回り、すっかり昼になってしまった。
シャナン 「すっかり日が昇ってしまったな…だが! 白鷺の幼女のためこれくらいではくじけんぞ!」
一睡もしていないにもかかわらず元気は衰えない。
幼女のために気力が充実してる証拠だ。
シャナン 「幼女…幼女…」
そんな事を呟きながら森を進んでいく。
幼女を捜し求めるあまり、獣のような聴覚を発揮していたシャナンの耳はその歌声を捉えた。
シャナン 「むっ…これは…なんという美声…まさに幼女に違いない!
今いくぞおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
猛烈な勢いで茂みをかき分けて突き進む!
そして森が開けた場所に出た。
大きな一本の木の下で、数人の幼女が一人の少女と歌を歌っている。
透き通るような白い肌に白い羽。
見目麗しい可憐な幼女達である。
ロライゼの娘リアーネが幼女達に歌を教えているのだ。
リアーネ 「~~~♪」
白鷺幼女達「~~♪~♪」
シャナン (ぬおおおおおおおおおおっ!?
こ…ここはパライソか? なんと美しい…素晴らしい幼女天使たちだ…
あの少女もなかなかいいな。私は少女も守備範囲だ)
ラクチェやパティに萌えていることからもわかるように、
シャナンの守備範囲は10代半ばくらいまでと広い方である。
…とりあえずどうしたものだろう。
向こうはまだこちらに気づいていないようだが…
いきなりベオクが声をかけては驚かせてしまうだろうか…だが写真は撮りたい。
シャナン (うーむ…何とか仲良くなって写真を撮らせてもらいたいが…どうする?)
続く
1 歌を歌う 彼女たちの歌に合わせて歌いながら登場しよう。これで警戒を解いてくれるだろう
2 遭難者を装う も…森で迷って死に掛けてるのだ…助けてくれ……そして幼女たちの献身的な介護…芽生える愛…
3 普通に声をかける 案外普通に挨拶すれば普通に返してくれるかもしれんな
4 勝手に写真を撮る 取り合えず撮影しよう。その後のことはその後考えよう
5 お菓子をあげる 獣牙の幼女たちの時はこれで上手くいったしな