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Last-modified: 2014-01-28 (火) 00:12:38

兄弟家の休日40

 

前回までのちょっと詳しいあらすじ!

長男シグルドが福引で南国旅行を当て、豪華客船に乗りこむ兄弟家一同
しかし、やはり彼らに平穏の二文字は似合わない
約1名の破壊活動の結果、船は沈没。遭難者となった彼らはある無人島へと流れ着く
脱出手段を探す彼らの前に現れたのは、マカロフの姿をした石像であった
苦労の末に史上最凶のニートを退けたアイク達だったが、
その先にあったものは無人島に似つかわしくない研究所であった
彼らは研究所の捜索を開始するも、気がつけば退路は断たれ、
目の前には見覚えのある騎士の色違い(笑)が現れたのであった

彼らの休日は続く・・・・・・

PS:ミカヤとセリスとエフラムは家で留守番してます
ミカヤは暑いのが苦手、エフラムは政党の準備、セリスは友人との約束があったとかなんとか(ry
(以下、本編)

突然目の前に現れた騎士
それは、あの漆黒の騎士に酷似していた
ただ一点、その鎧の色が血のような赤であることを除けば、だが

「・・・・・しっこく、さん?なんでこの島に・・・・?」
「いや、違う。こいつは漆黒の騎士ではない」
「確かに・・・・。鎧の色が違うからね。
 深紅の騎士とでも呼ぶべきなのかな」
「・・・・・そういう意味じゃない」

と、そんなやり取りをしている間にも騎士が無言で迫ってきている
そして剣の間合いまであと1、2mといった所で・・・・
初めてその口を開く
「・・・・・・・・
 ターゲット確認。
 侵入者4名・・・・・排除シマス」
放たれたのは、極めて無機質な機械音声
そしてそのまま剣を構え、じりじりと間合いを詰めてくる
それに対抗するかの如く、ヘクトルとアイクが前にでる

「よくわからねえが・・・・やるしかねえみてえだな。
 ロイ、リーフ、アルム。お前らは下がってろ」
「ぼ、僕たちだって戦えるよ!」
「あのアイク兄貴ですら飲まれかけてる相手でもか?
 ・・・・無理すんな。お前らは一端部屋の入口まで下がってろ。
 あとできたら、ドアの鍵を開けておいてくれ」
「・・・・・・・・・・・」
「で、でも・・・・・・」
反論したいのに、できない3人
何故ならば、ヘクトルのいうことはあまりに正しく、彼らはあまりにまだ幼かった
黙っている3人の中で、最初に口火を切ったのは・・・・・

「・・・・・・いこう。今の僕らじゃ、何の手助けにもならないよ」
「り、リーフ兄さん!?本気で言ってるの!?」
「こんなときに冗談が言える程、腐っちゃいないつもりだよ」

リーフは自分の役割を理解していた
自惚れる訳ではないが、自分は他の2人と違い、ここに残ってもそれなりに役には立つだろう
魔法が使えるし、桁外れの耐久力もあるのだから

しかしその場合、残った2人が危険に晒された場合対処ができない
言わば、リーフは年少組の護衛役であった
むろん、これはアイク達にとっても戦力低下の苦渋の決断である
リーフはそれが分かっていた
しかし同時に、知らなくても良いことまで知ってしまう自分に少し嫌気がさした
護衛役が必要ということは、アイク達はこの騎士を止め切る自信がないということだ
アイクがこれ程弱気になる所を、リーフは見たことがなかった
いつも1人でも物事をなんとかしてきた兄が・・・・・

でも、だからこそ・・・・・
「ほら、いくよ。
 今僕たちは・・・・足手まとい、なんだ・・・・」
少しでも、役に立たなければならない

「・・・・・・・・」

ロイ、アルムは無言でリーフに続く
それを見届けたヘクトルは、アイクと共に前方へと全ての意識を傾ける

「ヘクトル。・・・・俺がフロントに出る。お前は俺が突破された時のフォローを頼む」
アイクはそう声をかけると同時に、騎士に向けて突っ込んでいく!
むろん、このような単調な攻めはこの騎士には通用しないだろう
アイクもそれは承知の上だった
これは、弟達を逃がす為のデコイなのだから
その間にロイ達は部屋の入口へと避難を完了し、その前には門番とばかりにヘクトルが立つ

カキーン!

アイクの直線的な斬撃はいともたやすく止められた
即座にくる反撃をバックステップで避ける
そして剣を構えなおし、今度はじりじりと相手に近づいていく
先ほどとは違うと分かったのか、深紅の騎士も構えを正す

「さあ、いくぞ・・・・・
 ここから先は、通さんっ!!」

二つの影が、激突する
そして場面は、その少し後へと移る・・・・・

「ふぅ・・・・・なんとか出入り口は確保できたね」
「うん。意外と簡単に開いたね・・・・・」
「そりゃあ、中にいる人が開けられなかったら鍵の意味がないからね」

場面は変わって、ここは地下研究室の入口付近・・・・・
リーフ達3人は、アイク達が戦っている隙に部屋のロックを解除し、帰還ルートの確保に成功していた

「じゃあ、とりあえず・・・・ロイとアルムはマルス兄さん達を呼んできて。
 間に合うとは思えないけど、いざという時に杖を使えるのが僕1人だときついし、護衛も必要だ」
「え・・・・・。でも、僕たちも援護に」
「さっき、それはだめだって言われたよね。
 ・・・・・・っていっても、僕も今から援護にいくつもりだけどさ」
「じゃあ僕たちだって!」
「・・・・・別に、僕は止めないよ。
 それが本当に今時分ができる最善の行為だと思ってるならね」

「「・・・・・・・・・・」」

その一言で、2人の反論は止まる
結局理屈では、彼らも分かっているのだ
今自分達が言っても、何の役にも立たず、それどころか、足を引っ張りかねないということに
しかし、まだ若い彼らの感情は、理屈で止められるものではない
その理性と感情の狭間で、今まさに彼らは揺れている

「じゃあ、僕は行くよ。
 ・・・・・援護にいくにしても、どっちか1人は助けを呼びに行くのを忘れないでね」

「「・・・・・・・・・・」」

「・・・・・・・・・・僕は」
「・・・・・?」

カンッキィンッ
ガキィンッ!

「くっ、ふんっ、はぁっ!」
「・・・・・・・」
狭い室内に、剣戟の音が響き渡る
2つの影がぶつかり合ってはまた離れ、またぶつかることを繰り返す
アイクと、先ほどの深紅の鎧を着た騎士だ
両者の力量はほぼ互角に見える
ほぼというのは、若干アイクが押され気味だからである

外見は漆黒の騎士だが、中身は漆黒の騎士を2倍にしたような強さを相手になら、それも仕方がないのかもしれない
相手がエタルド、月光持ちでないことが唯一の救いとでもいうべきか

とはいえ、アイクの方も奥義が出せずにいた
この狭い室内では、天空を出すことができない
相手の武器はただの剣なのだから、本来なら離れて攻撃したい所だが、それもできない
いま最優先すべきなのは、この騎士に弟を追わせないこと、イコールアイクに注意をひきつけておくことだ
それと、もう1つ理由があった

アイクは薄々、ヘクトルではこの騎士を止められないと感じていた
だからこそ自分が、と思い焦って剣を振り、体力を消耗する
一方の深紅の騎士は最低限の動作で攻撃を回避し、的確に隙を突いてくる
中身が機械である以上、正確であるのは当然なのだが

(くそっ、
さっきから、間に入る余裕がねえ・・・・・!!
これじゃ足でまといなのは俺のほうじゃねーか!!)

「はぁ・・・・はぁ・・・・」
「・・・・・・・・・」ウィーーン

長い、長い斬撃の応酬
長らく均衡を保ち続けた両者だが、その長く続いた均衡が今、破られようとしていた

「くっ!!」
「・・・・・・・・」

アイクが、押され始めた
その直接の原因とは、疲労である

強者が集まる紋章町の中でもあまりに常人離れしているので忘れられがちだが、
アイクも肉体はただの人間である
いくら鍛えているとはいえ、体力、精神力共に限界がある

しかし、目の前の騎士は機械仕掛けの戦闘マシーンである
機械は、疲れはしない
ただ壊れるまで、淡々と仕事をこなすだけだ
その差が、徐々に現れ始めていた

形成が不利と判断したのか、アイクが勝負に出る

「ぬぅん!」

アイクはラグネルを力任せに振り回す!
当然、騎士は距離をとって楽々とこれをかわす
しかし、これこそがアイクの狙い
アイクはラグネルを構えなおし、飛びのいた深紅の騎士目掛けて再びラグネルを振るう
「はあああああっ!!!!」
ブォンッ!!

神剣ラグネルの能力の1つである衝撃波
確実に当てるこの瞬間のために、あえてこの能力を使わずにいたのだ
・・・もっとも先ほどまでは、使えなかったと言った方が正しいが

ヒュンッ
ゴシャアッ!!

解き放たれた衝撃波は、狙い違わず騎士の胴元を直撃した
まともに受けた衝撃で、そのまま部屋の奥まで吹き飛ぶ騎士

勝った
アイクもヘクトルもそう信じて疑わなかった
しかし、粉塵が晴れた後、そこにに立っていたのは・・・・・

何事もなく立ちあがっている深紅の騎士の姿だった

「嘘だろ!?アイク兄貴の全力をまともに喰らって・・・!!」
「無傷、だと・・・・・・・!?」

2人の顔に一瞬、絶望の2文字が浮かぶ

常に己を鍛え、精神肉体共に極め続けているアイクであるが、
ただ1つ不足していることがあった
それは、明らかに格上の敵との戦い
強くなりすぎたが故の、無意識の手加減
それが最近のアイクには不足していた
故に、アイクの鋼の意思に、亀裂が入ったのだ

ともかく、一瞬の絶望からアイクの体から一瞬力が抜けてしまった
当然この好機を相手が見逃すはずもなく・・・・

「・・・・・・・・・!!」ブンッ
「ぐおおおおっ!?」ガシャアンッ!!

先ほどのお返しとばかりに、壁まで吹き飛ばす
ヘクトルは兄が飛ばされるのを茫然と眺めることしかできない

気がつくと、目の前には・・・・・
ガシャン、ガシャン・・・
「・・・・・・・・・・・」
「くっ、くそっ!!兄貴の仇だ!!」
「よせ!逃げろヘクトル!!」

アイクの静止も、今のヘクトルには届かない
感情に任せて、愛斧ヴォルフバイルを振り下ろす!

「うおおりゃああああああああっ!!」

しかし、アイクが敵わない相手にヘクトルが敵うはずもない
数合打ち合うも、すぐに武器を弾き飛ばされてしまう
そのまま高々と剣を構え、狙うのはヘクトルの首・・・・・・

「あ、あ・・・・・・」
「くっ!やめろ!
 やるなら俺をやれ!!」
アイクは先ほどの衝撃がまだ抜けず、助けにいくことができない!
そして・・・・・・

ズバッ!

・・・・・・地面に、鮮血が飛び散る

アイク「・・・・・・・・!!」

ヘクトル(ああ・・・・・・痛みを、感じねぇ・・・・
     首斬られて死ぬってこんな感じなのか・・・・・・?
     いや・・・・・っていうか・・・・・・)
「俺・・・・・・生きてる!?」

ヘクトルが斬られるまさにその瞬間に、両者の間に割って入った男がいた
茶色い髪の、兄弟家一のタフネスを誇る男・・・・・
リーフの姿が、そこにはあった

斬られた自分のことなど気にも留めずに、リーフは騎士を見据えて言い放つ
自分のアイデンティティでもあるお馴染の、あの台詞を

「この・・・・・人でなし!!」

                               つづく