リムステラさんが暴走したようです
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あるモルフによる、前回までのあらすじっぽい何か。
「前回までのあらすじを伝えます。
……リムステラとエイリークによる貧乳同盟によって、続々と紋章町のバストサイズ平均値が低下。
そしてとうとう、2人の目的が達成されようとしている……
このデニングは再生回数1000を超えました。
もう再生できないので、新しいデニングに録音してくださいです。。。ガチャン、ツーツーツー……」
「これで、紋章町全土の同志達が……」
「ああ、救われる。
この、救済の光を浴びてな」
二人組の女性が、そんな会話をしている。
台詞だけを聞けば何処ぞの怪しい宗教のようだが、紋章町全土に無数の光粒子が降り注いでいるこの光景を見れば
二人の話が宗教どころか現実であることを信じざるを得ないだろう。
もっとも、この神秘的な光景を救済の光と言うには二人の表情は歪み過ぎていたのだが……
そのことにに彼女達が気付くことはなかった。
――リムステラさん(+α)が暴走したようです――
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一夜明けてここはお馴染兄弟家の居間である。
「朝ごはんですよー」
「お前の肉は俺の物。
俺の肉は俺の物だ」
どこかで聞いたことのある理論を振り回しながら、アイクが箸が霞む程の勢いで朝食を掻き込んでいく。
「アイク兄貴……それ何か間違ってるぜ」
「喋っている暇があったら喰え。全部無くなるぞ」
「シグルド兄さーん、TVの調子が悪くて良く聞こえないよー」
「こいつも歳だからなぁ……地デジ対応もしてないし、次のボーナスで買い替えようかな」
「今度の日曜に、グローメル電荷店に行って見てこようか」
昨晩の出来事は目撃者も多く、早速ニュースになっているようだ。
中央に置かれた旧式のテレビから、ニュースを読み上げるアーチャーの声が聞こえてきた。
残念なことに、それを聞いている者はここには皆無だったが。
「お早うございます!FETV、朝のニュースをお伝えします!
以前より世間を騒がせていた乳泥棒事件ですが、本日新たな展開を見せました」
「何と、紋章町の貧乳だった女の子ほぼ全員がバストアップされたらしいわ!
胸を盗まれた元々巨乳だった人達はそのままだったことから、ベルン署はこれを同一犯の犯行として見ているんだって」
「私とセーラさんもあまり体格に恵まれた方ではありませんが、見事この恩恵にあずかっております。
昨晩起こった謎の気象現象と関連があるのではないか、というのが専門家の見解です」
「私は別に貧層な体つきはしてないけど、貰えるものは貰っておく主義だからありがたく受け取るわ。
べ、別に犯人に感謝なんてしてないんだからねっ!」
「セーラさんがツンデレテンプレを言うなんて珍しい。明日の天気は槍でしょうか」
(セーラさん、報道する側が犯罪を助長するような台詞を言うのは……)
「「志村ー!逆逆ー!!」
「これでますますこのセーラちゃんにファンが増えるってわけね。
私って本当に罪作りな女……」
「今日は私も機嫌がいいのでつっこみませんよ。
さて、次のニュースですが……」
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昨晩、光の粒が降り注ぐという謎の現象が紋章町に発生し、翌朝から女性達の胸の大きさがほとんど均一になっていた。
この事件を機に、貧乳女性が大胆に異性に迫る現象があちこちで起こり出した。
「「「「リーフ(様)!」」」」
「
リーフが四人娘に追いかけられている、いつもの光景が繰り広げられていた。
ただし、いつもと違うのは四人の女の子達の体型だ。
その、ある一部分が一夜にして大きく成長していた。
「何で成長した私達をきちんと見てくださらないんですか!?」
「う、だって僕は、成熟ボディのおねいさんが……」
「今なら私達だってそれなりの体型はしてます!」
「ティニーはあんまり変わってないけどね」
「うう……私のアイデンティティが……」
「う、く……チクショー!」
言葉に詰まったのか、リーフはそれ以上反論せずに逃げ出した。
通った後に鼻血がポタポタ垂れているので、異常に追いかけやすそうな逃走劇であったが。
「あっ、逃げないでください!」
「放っておいてくれー!ただでさえ最近お姉さん達が貧乳化して辛い事が続いてるっていうのにー!」
「だから、かわりに私達が!」
「周りが聞いたら誤解されそうな表現はやめて!
というか今はまだ君達をそんな目で見れないよ……」
リーフは気が付いていない。
ある意味「自分は君達を意識してます」に等しい発言をしたことに。
幸い、走りながらなのでこの台詞は四人に聞こえなかったようだ。
「何ボソボソ喋ってるんですか!」
「アッー!コノヒトデナシー!」
……聞こえた方が良かったのかもしれない。
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その頃商店街で、珍しい組み合わせの二人が話しこんでいた。
「ふぅ……あ、エフラム兄さん」
「ロイか。どうした、何やら疲れている様だが」
「やっぱり見て分かる?
学校で皆にやたら遊びに誘われて……ちょっとね」
その言葉を聞いて、エフラムは驚いた。
先程までの自分とまったく同じだったからだ。
「ロイ、お前もか」
「ってことは、エフラム兄さんも?」
「ああ、最近大人しいと思ったらラーチェルの奴がな……」
「僕も……。スーとソフィーヤがあんなに喋るの初めて見たよ。
それに、リリーナも目のやり場に困るような服を着てくるし……」
どうやら二人は、話題の女性達の成長には気が付いていないようだ。
これは普段から女性の外見ではなく内面を見ている二人ならではの鈍感さであろう。
最もこのスレでは、もっぱら兄弟家の鈍感さが人々を傷つけているのだが……
「俺はただエイリークの行動について聞きたかっただけなのだがな。
親友のターナですら知らないと言っているし……」
「最近の姉さん、どこかおかしいもんね。真夜中に帰ってきたり、休みの日も一日中いなかったり……」
兄弟家の中でもエイリークの行動を心配しているのは主にこの二人だった。
他の男連中は気にかけない、母親役の姉達は「思春期だし色々あるのよ」とまともに取り合わず、妹達は「シスコン反対」としか言わない。
セリス?もちろん妹ですとも。
「携帯電話でずっと話している相手もいるな。しかも調べようとしても双子の兄である俺にすら見せてくれんとは……」
「いや、それは別に普通じゃないかな……」
「ここでお知らせです。
作者はエフ×ラー、葉×サラ説を取り入れていますが、あくまでこのネタ内での考え方です。
エイリークとラーチェルの絡みも大好きです。ラトナ様が見てるの作者様はマジで尊敬してます。
エフサラは言うまでもありません。毎度毎度、幼旗作者様、エフサラの人本当にお疲れ様です。
以上、作者からでした」
(セネリオさん……突然よく分からない事を言ってそのまま出て行った……何だったんだ)
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一方、不満組が少ないので目立たなかったが、この事件により弊害も生じていた
「まったく、誰の仕業か知らないけど、やってくれるじゃないか」
「ヴァイダさん……その、やっぱり女性なら気になりますよね。
胸が小さくなるなんて」
「ああ?何言ってんだい?胸なんざどうでもいいさ。
ただ体格が下がって攻撃速度が下がったのが腹ただしいだけだよ」
「そ、そうですか。
大丈夫です!その分、自分がフォローを(ry」
「まぁいいさ。これはこれで面白い。
普段使わない剣でも使ってみるかねぇ……」
そう言いながらヴァイダは、地下倉庫の方へと降りて行ってしまった。
「……ボディリングでも買おうかな」
頑張れヒース!
烈火期待値最強のドラゴンナイトの意地を見せてやれ!
CMだと殺されてるけどな!
また別の所では、いつもエフラムと行動している年少組の姿があった。
本来年齢的に問題の無い体格の幼女達は影響がないのだが、龍族は年齢の割に成長が遅い為引っ掛かってしまったようだ。
「えぐ、えぐ……」
「ほらミルラ、そんなに落ち込まないで……」
先程エフラムと何かあったのだろうか。
落ち込むミルラを慰めるアメリアの姿が、そこにはあった。
「エフラムお兄ちゃんに嫌われちゃいました……」
「そ、そんな訳ないじゃない」
「でも、私を凄い目で見てその後どこかに行っちゃったし……
やっぱりお兄ちゃんは小さい方が好きだったんだーーーー!!」
「だ、大丈夫だよ、きっと。
師匠は犯人を捕まえにいったんだよ!うん!」
「アメリアお姉ちゃんはいいよね……鎧で胸隠せるんだから(ボソッ」
「うっ……で、でもそんなに大きくないし」
「でも今の大きくなった私より、触り心地が良いです」
「ひゃわぁ!?い、いきなり触らないでよ!」
「なんか百合の香りがする!素敵!」
「「ヘザーさんは帰ってください」」
アンイケズゥ、ドラゴンブレス!チョッアッー!
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「ふふふ、皆さん喜ばれているようで何よりですね」
「ああ、私も他の9999体の私も頑張ったかいがあったというものだ」
二人には見えていないのだ。自分達の引き起こした行為による弊害など。
とはいえ、それは仕方がないことなのかもしれない。なにしろ、恩恵が弊害に比べ大き過ぎたのだから……。
「ところで、私達はどうして胸が大きくならないんでしょうか」
エイリークは真剣な面持ちで質問を繰り出した。
どうやら、自分だけ胸の大きさが変わらない事をずっと気にしていたようだ。
「楽しみは後に取っておく主義なのでな。
私とエイリークの分は今ここで注入しようと思う」
リムステラはそう言うと、目を閉じ集中し始めた……
彼女達周辺の空気が歪みだし、昨夜と同じ光景が再び繰り広げられていく。
「いよいよですね……感無量です」
「…………いくぞ」
そして、10分後……
「…………か」
「変わってません!ちっとも!
相変わらず断崖絶壁のままです!」ツルペターン
「まるで成長していない……これは一体……」
困惑する二人の元に、量産型リムステラの一人が転移して来た。
どうやら他のリムステラ達も胸が大きくならず、ネルガルにこの問題の原因を聞いてきたらしい。
話を聞くにつれて、もともと青白かったリムステラの顔色が更に青ざめていく。
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リムステラはもう一人の自分から全てを聞いた。
全てを聞き終わった後の彼女は、聞く前とはまるで別人のような憔悴ぶりだった。
(何てことだ……それでは私達は何のために……)
絶望に押しつぶされそうになる。
しかしまだ潰れる訳にはいかない。エイリークにきちんと説明するという仕事が残っている。
リムステラは重い口を開き、原因を静かに説明し始めた……
「言いにくいことだが……私達はどうやら胸部エーギルが馴染みにくい体質のようだ。
我々が人並みの胸を手に入れる為には……今まで奪ったエネルギーの殆ど全てが必要らしい」
「そんな……そんなことって!
じゃあこれまでの努力は……!
私達は所詮、無乳のままでいろということなのですか……」
地に伏し、エイリークは己の無力さを嘆いた。
こればかりはどうしようもないと諦めていた難病、そこに突如現れた治療法という名の希望。
しかしこれは、自分達には効かないという更なる絶望への布石でしかなかったのだ。
「うっ……くっ……」
「……泣くな、同士……」
リムステラはエイリークにハンカチを渡して起きあがらせる。
その表情には、一種の覚悟が見受けられた。
「……まだ道はある。真っ赤に血塗られた修羅の道だがな」
金色の瞳の中に、決意が光る。
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「はぁ……早く捕まえたいのはやまやまなんだけど、手掛かりは何もないんだよなぁ……」
そう言いながらベルン署の若手のホープ、ツァイスは本日何回目になるか分からないため息をついた。
今しがた所長直々に世間を騒がせている奇妙な窃盗事件を解決しろ、と全員がはっぱを掛けられたのだ。
犯人の特徴は黒いローブとフードのみ、高いレベルの魔術を使い、性別不明……胸部に関してコンプレックスの疑いありと、これだけだ。
「姉さん、犯人の目星ついてる?」
「……正直な所、分からないわね」
ツァイスは姉であり、上司であり、今回の被害者の一人でもある女性、ミレディに助言を求めた。
しかし女性でありながら中々優秀な警察官である彼女でも、まだ見通しは立っていないようだ。
「一応姉さんは被害者でもあるんだ。
犯人の顔とか思い出せないの?」
「んー、そうねぇ……」
うーん、という吹き出しが似合いそうなしかめっ面を数十秒間浮かべた後、結局答えは思い出せないの一言だけだった。
事件は着々と進行しているというのに、未だに何の手掛かりもない現状への苛立ちから、ツァイスはミレディに思わぬ言動を投げかけてしまった。
「というか、姉さんは犯人に対する怒りとか、そういうのは無いのか!?
よく私の胸を!必ず私の手で~、みたいな……」
「刑事ドラマの見過ぎよ。というか、私の真似下手ね。
私としては、服も選べるようになったし、ゲイルも「案外小さいのも悪くないな……」って昨日言ってくれたし……///」
……駄目だ、自分の世界に入ってしまった。姉は優秀な警官だが、のろけ話になると長い。
こうなるともう、止められるのは相手役のゲイルさんだけなのだが、生憎ゲイルさんは巡回にでてしまったばかりであと一時間は帰ってこない。
「でね、昨日の夜ゲイルったらもうすごいのよ!
普段そっけないのにあんなに大胆に……///」
「ね、姉さんここでそんな話は……」
(あ、同じ部屋の男性職員が前かがみで出て行った!
……ゲイルさん早く帰ってきてくれーー!!!!)
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ツァイスとしては、出来るだけ早く先輩が帰って来てくれることを祈るばかりであった。
正直、一人身にこの精神攻撃はきつ過ぎる。
そしてその祈りが天に通じたのか……
バッサ、バッサ……
表から聞き覚えのある飛龍の羽ばたく音が聞こえてきた。
どうやら奇跡的に、今話題になっていたゲイルが帰ってきたようだ。
もっとも本人は、自分のいない間にプライベートが丸裸にされていることなど知る由もあるまいが。
(よかった、これで姉さんも大人しくなる……)
「おい、大変なことになったぞ!」
「何、どうしたの?」
しかしツァイスの束の間の平和も、ゲイルが持ってきた新たな事件によって打ち砕かれることになるのだった。
「中央区の方で暴動が起きかけてる!」
「「!!!」」
先程まで緩みきっていた署内の雰囲気が、その一言で一瞬で引き締まる。
「例の事件との関連性は?」
「……ありありだ。
なんせ暴れているのは、本件で胸が大きくなった女性達なんだからな……」
エイリークとリムステラのバストアップは果たして成功するのか?
そして、何故暴動は起きたのか?
そもそも、何故こんな事件が起こったのか?
全ては、次回、次回までに必ずなんとかします……
前回、次回で終わりますと言いましたが、訂正します。すいません。
つづく