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Last-modified: 2014-02-01 (土) 11:43:19

エリウッド「さて、何を食べようかな・・・」
ロイ「何かあったっけ?」
勉強の間の一休み
いつもなら、机の上に何かしらが用意されているが、今日は何も無い
チャイムが鳴った
ロイが出ると、背がすらりと高く、エメラルドグリーンの長い髪が印象的な女性が立っている、何故だろうか、懐かしい感じがした
ロイ「どちらさまですか?」
?「あ、エリウッド君の友達のフィオーラって言います、エリウッド君は今いる?」
ロイ「あ、はい、ちょっと待て下さいね、にいさーん、お客様だよ」
エリウッド「はいはい、あ!フィオーラさん、どうしたの?」
フィオーラ「こんにちは、あの、お邪魔していいかしら」
エリウッド「どうぞ、今日は僕とロイだけなんだけどね、ところで、その荷物は?」
フィオーラ「開けてのお楽しみ、って事でいいかしら?」
3人がイスに座った所で、フィオーラが箱を開けた
ロイ「あっ!」
エリウッド「へぇ~、綺麗だね」
中には、細かく割られた氷がぎっしり詰まっていた
部屋の明かりを反射して、キラキラ輝いている
フィオーラ「えっと、これで、かき氷でもどうかなって思って
イリアでは、氷を食べる習慣なんて無いから、私も食べてみたいし」
エリウッド「いいね、丁度一休みしようと思っていた所だったんだ」
フィオーラ「そう、なら良かったわ、準備するから、ロイ君、手伝ってくれる?」
ロイ「はい!」

そして箱から取り出したのは、今でもあるのかどうかわからない、ペンギン型のかき氷メーカー
それを見たエリウッドが、思わず笑った
エリウッド「うちにもあったよ、それ。なぁ、ロイ?」
そう声を掛けてみるが、ロイは既に、ペンギンの上にあるレバーを回すのに夢中だ
フィオーラ「手段が目的になっちゃってるね」
柔らかく微笑みながら、エリウッドに話しかける
エリウッド「そ、そうだね」
少しドキッとした
誤魔化す様に、慌てて言葉を続ける
エリウッド「あのさ、シロップはあるのかい?うちには無いから、持ってきてないなら
僕が買ってくるよ」
フィオーラ「あ、勿論、ちゃんと買ってきたわ、いちごとメロンと抹茶、それと練乳に
小豆もね」
エリウッド「食べる習慣が無い割に、詳しいね」
フィオーラ「え?そうかしら、一応調べてきたし、それと私特製のシロップもあるわ」
エリウッド「へぇ~、どんなの?」
フィオーラ「秘密、で、いいかしら?」
エリウッド「わかった、お楽しみは後だね」

ロイ「出来たよ!早く食べよう!」
言われて振り返ると、器山盛りになっている
苦笑しつつ、ロイに言う
エリウッド「おいおい、これじゃ、シロップが掛けられないぞ」
ロイ「あ、そうか・・・」
フィオーラ「大丈夫よ、ねぇ、エリウッド君もロイ君も、少しだけでいいから
そのまま、食べてみてくれない?」
2人とも、素直に食べてみる
エリウッド「あ、おいしい・・・」
ロイ「本当だ、ちょっとだけ甘くて・・・」
フィオーラ「そうでしょう?私も知らなかったのだけど、イリアは、夏限定で氷の輸出をしていてね、その理由が、凄く氷の質が良いのは勿論の事、溶けにくいのに細工しやすくて、ほのかな甘さがあってね、涼むにも氷細工にも料理にも応用がきくからなんだって」
ロイ「そうなんだ・・・」
フィオーラ「さ、器を頂戴、シロップをかけてあげるから」
ロイ「うん、僕は・・・」
フィオーラ「いちご練乳でしょ?わかっているわ」
ロイ「え!凄いね!」
フィオーラ「ふふ、お姉さんに任せなさい、エリウッド君は抹茶あずきよね?」
エリウッド「まいったな、お見通しか」
フィオーラ「そうそう、お見通しよ」
笑いながら、盛り付けていく。

フィオーラ「さ、終わったわ、みんなで頂きましょう」
ロイ「あれ?フィオーラさんは?」
フィオーラ「うーん、私は、もう少し後でいいわ」
エリウッド「いいのかい?」
フィオーラ「はい」
ロイ「それじゃあ、いただきまーす!」
エリウッド「頂きます」
フィオーラ「はい、召し上がれ」
スプーンで、一口ずつすくって食べていく
冷たさと甘さを伴って少しずつ溶けていくかき氷
無条件でおいしいと思える
フィオーラ「おいしいですか?」
ロイ「うん!おいしいよ!」
フィオーラ「そう、良かったわ、エリウッド君は?」
エリウッド「ああ、おいしいよ、たまにはこういうのもいいものだと思う」
フィオーラ「こういうのって?」

フィオーラを見つめながら言う
エリウッド「こうやって、信頼できる人と過ごす時間が嬉しい、とそういう事さ」
フィオーラ「あ・・・」
微かに、フィオーラの頬が赤くなる
エリウッド「うん?何か変な事言ったかな?」
フィオーラ「い、いえ、全然、そんな事・・・」
エリウッド「・・・」
フィオーラ「・・・」
ロイ「・・・おかわりもらってもいい?」
フィオーラ「あ、はいはい、そうね、今度は何がいい?」
ロイ「う~ん、エリウッド兄さんと同じがいいな」
フィオーラ「わかったわ、ちょっと待ってね・・・はい、どうぞ」
ロイ「ありがとう」
フィオーラ「エリウッド君は?」
エリウッド「そうだな、君の秘密のシロップが食べてみたい」
フィオーラ「わかりました、じゃあ、私も貰いますね、2人が食べてるのみたら
私も食べたくなっちゃいました」

やがて出て来たのは、白一色のかき氷
エリウッド「シロップは?掛かっているのかい?」
フィオーラ「これからです」
小さい瓶を取り出し、天辺から少しずつ、無色のシロップをかけていく
フィオーラ「さぁ、どうぞ」
かすかに甘い匂いがする、一口食べて、エリウッドは驚いた
エリウッド「おいしい!」
フィオーラ「ほ、本当ですか?良かった!」
エリウッド「これは一体何なのかな?」
フィオーラ「花の蜜なんです」
エリウッド「花の蜜?」
フィオーラ「はい、実は、私も花の名前まではわかりません
でも、イリアの高地、極寒とも言われてる所でしか咲かない白い花
その花の蜜を集めたシロップなんです」
エリウッド「じゃあ、貴重な物なんだね?」
フィオーラ「はい」
エリウッド「いいのかな?僕やロイがそんな大切な物を頂いてしまって・・・」
フィオーラ「・・・もったいぶって食べないより、おいしく食べた方が良いと思います」
エリウッド「そうか、そうだね」
何となく黙ってしまう2人
時折お互いを見ては、無言で恥ずかしそうに笑いあう

ロイ(な、何この雰囲気!明らかに僕ここにいちゃいけないよね!?)
ロイ「えっと、エリウッド兄さん、僕、用事思い出したから出かけてくるね!」
言うが早いか、家の外へ飛び出していくロイ
エリウッド「あ、おい!」
フィオーラ「エリウッド君待って!」
無意識にエリウッドの手首を掴んでしまうフィオーラ
が、余りに力が強かったのか、単に止めるつもりが
逆に引き寄せてしまった、少し顔を近づけるだけで良い距離に・・・
エリウッド「フィオーラ」
フィオーラ「エリウッド君・・・」
ゆっくりと目を閉じるフィオーラ