ママチャリの系譜 第1章
フュンフ 「さて、前回は勇者の泉ウォーターバンクでの攻防戦だったが、
最下位に落ちたトラバントがルール無用のラフプレー(ロングアーチ)で先頭集団を攻撃!
先頭3チームが水没の危機に瀕するが、オイフェチームは自力で立て直し、
辛くも首位をキープしたものの、シグルド、エルトシャン両チームは
最下位グループに転落。当のトラバントは5位に浮上し、一行は大地のサーキット、
ナーガヒル山岳コースへと足を踏み入れるっ! それでは、レディ・ゴーッ!!」
26
ノイン 「現在首位をひた走るのは、緑山歌劇団長オイフェ選手&特攻団員ディムナ選手!
2位につけるのは鋼鉄の姉妹ダブル・エルダー、トップとの差は約4秒にまで縮まっております!
少し離れて3番手に乙女デスサイズのピンクを担当する死神乙女エスリン選手、
4位の白銀の豊穣神ナンナ選手が既に山岳ラリーコースを登坂中であります!」
エルフ 「ちなみに5位から最下位は殆ど集団ですわ」
ノイン 「このナーガヒル山岳ラリーコースは、
グランベル総合運動公園特設サーキットの中でも最難関ポイントの1つと言っても良いでしょう。
標高8844.43mの剣が峰がドライバーの気力と体力を奪う!」
エルフ 「どこまで登るんでしょうね?」
セーラ 「いや、登り過ぎでしょ、ソレ」
ドロシー 「そんな高い山、紋章町には存在しませんよ」
ノイン 「まずは折り返し地点となるナーガ神像給水ポイントまでの登りコース!
最高勾配37度を誇る心臓破りの坂! グラン歴650年代当時の37度は現在の370度!」
セーラ 「そんな訳ないでしょっ!!」
エルフ 「グランベル王国が成立して間もない頃ですわ」
ノイン 「誰が呼んだか知らないが、言われてみれば確かに山道! この山岳では、コースは自由。
始点、中間、終点の3チェックポイントさえ通ればOK、異次元だったらそれでNG」
エルフ 「ワープ、レスキュー、リワープは禁止されてますからね」
ナンナ 「お姉様、本当にやるんですか!?」
ラケシス 「当然よっ!! 何のためにわざわざ遠回りのルートを選んだと思ってるの?」
アルテナ 「この道で合ってるの?」
マナ 「は、はい、多分…でも、登って行けばちゃんと目的地に着くと思います!」
ノイン 「さあ、文字通り序盤の山場! 全てのマシンマン達が超難関の山岳コースに突入していきました!」
エルフ 「アルテナ選手とナンナ選手はそれぞれ違うルートを選択していますね。
他の7チームは我々が普段使うルートを登っていますわ」
キュアン 「…こうなった以上、トップとの差を詰めるしかないな」
エルト 「ああ、このマシンの力、とくと見せてやろう」
アレ
シ フ アリ
エル────────────→
ギュイーーーーーーン!!
ノイン 「おおっと! 登りに足がかかった所で、エルト機STEガンマ、最下位からスーパーダッシュ!
先程の鬱憤を晴らすかのような急進! まさしく鬱憤ハラスメントっ!!
前4台の選手達がブロックする間もなく、抜かれて行くっ!!」
アリオーン「何だとっ!」
トラバント「おのれ…しぶとい奴だ」
セーラ 「よし来た、よし来た!」
ノイン 「更には暫定3位の存在自体がセクシャルハラスメント気味の童顔な人妻をも抜きにかかるっ!!」
エスリン 「どういう意味よっ!?」
キュアン 「人の妻を悪く言うなっ!!」
ノイン 「ここに来て、水を得た魚の如き登坂力を見せる黒き獅子王STEガンマ!!
ピンクと白の処刑人、乙女デスサイズをオーバーテイクっ!!」
ディアドラ「抜かれてしまいましたね…」
エスリン 「あの2人やっぱ速いわ。私達はマイペースで行きましょう」
エルフ 「両輪駆動の実力、この山道でやはり一気に開花しましたわね」
ノイン 「2WDの本領発揮! 山岳コースに照準を合わせたカリカリチューニングだ、
密林大帝とヴァンパイア伯爵のコンビを暫定3位に押し上げるっ!!
そして、目の前には暫定1位の深緑のスケルツォ、緑山歌劇団号が見えているっ!!」
27
ラケシス 「(電話中)AKJ特殊工作部隊に告ぐ、『岩石の母』始動!!」
ナンナ (皆さん、ごめんなさい…)
シグルド 「エルト! まだ勝負は終わってないぞ!」
アレス 「兄さん! 俺達を忘れてもらったら困る!」
フィン 「キュアン様! リーフ様!」
トラバント「アリオーン! こいつらを逃がすな!!」
アリオーン「わかってます!」
ノイン 「さあさあ面白くなってきたぞっ! 最後尾集団がエルトシャン選手もかくやという追い上げで、
一気に坂を駆け上がるっ! 前方の乙女デスサイズを飲み込まんとする勢いだっ!!」
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
ディムナ 「えっ? ちょっと待ってよ。冗談でしょ?」
キュアン 「いや、冗談ではない。退避だ!」
エルト 「一体誰がこんな事を…いや、とにかく逃げるぞ!」
オイフェ 「皆さん、こっちです!」
ノイン 「あああーーっ!! 落石、落石だぁっ!!
マレハウトもビックリの落石トラップがトップ2チームに襲いかかるっ!!」
グローメル「ぬぅ、あれは『岩石の母』ではないか!? この私以外にも使い手がいたとはっ!!」
■■ ■■ ■エル・キュ・オ・ディ■■■ ■■ ■ ■=障害物
/岩\
←── | ^o^ | ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
\_/
■■ ■ ■ ■ ■■■ ■■ ■
ディムナ 「はぁ、はぁ…助かった」
オイフェ 「ギリギリセーフでしたね…」
キュアン 「すまない、オイフェ。礼を言う」
ノイン 「トップ集団、オイフェ選手の機転で辛くもトラップを回避!
しかし、落石は次なる集団に襲いかかるぞっ!!」
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
アリオーン「父上!!」
トラバント「違う! これはワシではないっ!!」
シグルド 「アルヴィス! お前の魔法でどうにかしてくれ!」
アルヴィス「フン、言われなくても!」つファイアー
シャルロー「僕も及ばずながらお手伝いします!」つファイアー
ドゴオォォォォォォン!! ……ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
シグルド 「ビクともしてないっ!! つーか、何でファイアーなんだ!!」
アルヴィス「仕方ないだろう。神器は禁止だし、殺したら失格だし、これしか持って来てないのだ」
リーフ 「そんな事言ってないで、早く逃げないと!」
アレス 「その必要はない!!(ガシッ!!)」
リーフ 「へっ?」
アレス 「秘技、リーフシールド!!(ブゥン!!)」
リーフ 「アーーッ!! コノヒトデナシー!!」
フィン 「リーフ様っ!?」
ドゴオォォォォォォン!! ガラガラガラガラ
ノイン 「リーフシールドヲ ソウビ シマス。アレス選手! 大岩に向かってリーフ選手を投擲!!
ブラザーアーチにも似た、命を顧みない大技で岩石の母をノックアウトぉっ!!
しかし、同時にリーフ選手もノックアウトだぁっ!! 裸マントの男、恐るべしっ!!」
エルフ 「シールドと言うよりランチャーですわね」
セーラ 「あんなの持ち出してくると、もう自転車レースじゃないわ」
ドロシー 「武器の持ち込みがOKの時点でまともなレースにならない事は予想してましたけど」
サラ 「リーフランチャー…クスクス、面白いおしおき方法ね。何とか実用化出来ないかしら?」
シグルド 「弟をあまり過激な事に使わないでくれ……」
28
ラケシス 「オーッホッホッホッホッ!! これでエルト兄様も少しは反省してくれたかしら?」
ナンナ 「ううう、エルトお兄様、リーフ様、アレス…ごめんなさい」
ノイン 「悪辣っ!! 何とも悪辣だぞ、AKJ会長ラケシス選手っ!!
トラバント選手に勝るとも劣らない秘策を用いて、物凄い勢いでレースをかき回しているっ!!」
ナンナ 「ああ……物凄い罪悪感…」
ノイン 「さあ、トップは間もなく折り返し地点、ナーガ神像が見えて参ります。
この近くにナーガ沢と呼ばれる綺麗な川がありますが、
これは地元を良く知る若者達のオアシス、かく言う私達も毎年1度ならず訪れる訳ですが」
エルフ 「その若者達によって、よく清掃がなされてまして、未だに綺麗な流れを保ってますわね」
セーラ 「へぇ、そんな場所があるなんて知らなかったわ」
ドロシー 「セーラさん、今度一緒に行ってみますか?」
ノイン 「給水ポイントにもなっております、ナーガ神像。水は飲んでも飲まれるな、
飲むと思うな思えば負けよ、どうせ負けなら飲まなきゃソンソンであります」
エルフ 「2Pはトントンですわね」
ノイン 「さあ、通常ルートを選択したチームが次々とリスタートを切って行く中、
大差をつけてナーガ神像給水ポイントに現れたのは、美と愛と戦いの女神ワルキューレだぁ!!
暫定4位から1位確定に! 特製ドリンクをゲットして、いざ、山岳下りコースへ!」
エルフ 「ここに到着するまでは、ルートがバラバラで順位が確定しませんからね」
ノイン 「そう、このナーガヒルオフロードコースは、ナーガ神像給水ポイントを通過さえすれば、
上り下りのルートは自由と設定されてありおりはべりマーガリン犬」
エルフ 「落ち着いて下さい?」
ノイン 「最短距離で傾斜が厳しいルート、回り道だが障害物の少ないルート、ルート24ターボなど、
戦略によって様々です。戦略いずくんぞ公国を名乗り独立戦争を!」
セーラ 「今更だけど、何をどうしたらこんな実況が出来るのよ?」
ノイン 「よって、順位を確定しにくい訳ですが、給水ポイントではその隠れたランキングが
つまびらかになりますっ! 妻グラーニェさんになりすますっ!」
グラーニェ「私になりすますとはっ!? さては、ラケシスさんですねっ?」
ノイン 「原作での息子さんから一言!」
アレス 「そんな事より、兄さん(エルトシャン)が時折、
俺になりすましてグラーニェさんと親子ごっこをしている事の方が気になる!」
グラーニェ「バレてますっ!!」
エルト 「/////」
シグルド 「何やってるんだ、お前は…」
キュアン 「私もエスリンを…」
エスリン 「キュアンを……に変装させて…」
シグルド 「お前達も何考えてるんだっ!?」
アルテナ 「やっと着いた…」
マナ 「はぁ~、良かった~」
ノイン 「2位は別ルートからのんびりと走ってきた紅と白の2人のエルダーだ! トップとは約8秒差!
怪我の功名か、マナ選手の残念な方向感覚が落石トラップから身を守った!!」
マナ 「あれっ? 私達、まだ2位だったんですか!?」
アルテナ 「そうみたいね、何かすごい音してたけど」
セーラ 「あの惨状を知らずにここまで辿り着いたみたいね」
ドロシー 「まさに幸運という他無いですね」
29
ノイン 「さあ、トップが折り返してから約23秒が経過して、ようやく落石の被害者達が
給水ポイントに現れました。集団のトップで通過したのはツインチェーンのSTEガンマ!
特製ドリンクをNowゲッタチャンス!! その背後、裸の妖精S・フェアリーズ、乙女デスサイズ、
緑山歌劇団、おねいさんハント号、青色申告、ダブルドラゴンが矢継ぎ早にやって来る団子状態だ!」
エルフ 「リーフ選手が後部座席でただの荷物となっていますね」
セーラ 「まだ復活してないのね、あの葉っぱは。それにしても、トップから随分離されたわね…」
ドロシー 「大丈夫です、まだ1周目ですから」
ノイン 「トラブルのせいか、ここに来て3位から最下位までの差が殆どなくなった!
そして、体力のアドバンテージが出にくい下りコースが待っている!!
最早全車同等、喧嘩上等仏痴義理!! ドリンクを空けて、熱き熱き次のステージへ!!
ドリンク提供は、カフェ・天馬ドール!! チョコハニトー(大)90G!!」
ディートバ「ミーシャ、たまにはウチに帰ってきな!」
エルフ 「協賛ありがとうございますわ」
トラバント「あのラケシスとか言う小娘、このワシが直々に叩き潰してやる!」
アリオーン「…わかりました、父上。ならば、振り落とされないようにして下さい、ここで行きます!」
トラバント「ん? うぉっ!」
←────アリ ギュイーーーーン!!
アレ フ
シャルロー「アリオーン様!?」
フィン 「速いっ!?」
ノイン 「おおっ、最下位のダブルドラゴン、下りに入って仕掛けてきたか、
走る収支決算報告書・青色申告号を並ぶ間もなくオーバーテイイイクッ!!
その勢いで、おねいさんハント号を射程圏に捉えます!!」
アレス 「アリオーンか、ここは通さんぞっ!!」
ノイン 「裸マント+股間に天狗のお面というリーフ選手ばりの大→変↑態↓アレス選手!
右へ左へ身体を揺らし、ブロックだぁっ!!」
アレス 「変態扱いするなっ! 裸マントは俺が選んだんじゃないっ!!」
セーラ 「あー、あの下、お面なんかつけてたんだ」
ドロシー 「誰の仕業でしょうね?」
アリオーン「ッ!!(バッ)」
ノイン 「おおっ、そして、バトルに気を取られたか、冷静沈着な二代目竜王・アリオーン選手、
真紅の双竜がウォッシュボード(デコボコ連続地帯)の路面にタイヤを取られ、跳ねたッ!!」
エルフ 「いえ、これは……」
アリオーン「奥義、八艘飛び(はっそうとび)!!」
ノイン 「跳ねたマシンが次のウォッシュボードの凸部分に跳ぶッ、跳ぶッ、跳ぶッ、跳ぶッ、更に飛ぶぅッ!!
源九郎義経のお株を奪う八艘飛び!!」
アレス 「なぁっ!?」
ノイン 「巧みにブロックを続けるおねいさんハント号を……上空から追い越したぁッ!!
ここはダブルドラゴンに軍配が上がった! この瞬間的なジャンプの判断はもはや神がかり的だッ!!
流石は飛兵!! 八艘飛びフラッシュパス炸裂ぅッ!!」
アリオーン「さらばだっ!」
アレス 「マジかよ…」
30
ノイン 「速いっ、速いぞ!! これは最速区間ラップが期待できそうです!
抜き去ったおねいさんハント号との差があっという間に開く!!
そして、眼前には緑山歌劇団号!! このスピードは鳥肌モノだァッ!!」
セーラ 「うそっ! トップに追いつくんじゃないの?」
ノイン 「これは駆け下りるなどというものではありませんっ!! まさに空中飛行!!
大空の王者、ダブルドラゴン! 右へ左へのイナズマ飛行だっ!!」
/\ /\
エル. / . \ . エス / . \ アリ ハッソウトビッ!!
\ . . / シ.\ . / \ . /
. \/ \/ オ \/
オイフェ 「と、飛んでる…」
エスリン 「えっ? えええーーっ!?」
ディアドラ「まあ、すごい方ですね」
シグルド 「Σ(゚Д゚)ガーン!! ディ、ディアドラ…」
エルト 「信じられん…」
キュアン 「嘘だろっ!?」
アリオーン「大空を駆けるドラゴンマスターの力、思い知ったかっ!」
トラバント「でかしたぞ、アリオーン!」
ノイン 「速い! そして美しい!! 緑山歌劇団を、乙女デスサイズを、スターダスト・フェアリーズを、
そしてっ、STEガンマを、続けざまにオーバーテイクだあああああああっ!!!」
セーラ 「…………」←見とれている
ドロシー 「これは…凄いですよ」
ラケシス 「何か後ろが盛り上がっているわね」
ノイン 「人知を越えたスーパープレイに、ソードマスター・ノイン、涙が出てきそうになりました!!
ありがとう、アリオーン選手!! さようなら、アリオーン選手!!」
アリオーン「死ぬ人みたいじゃないかっ!!」
ノイン 「だが、山岳コース下りも間もなく終わる! 八艘飛びの魔法が切れようとしています!
その前にアルテナ機ダブル・エルダーを捉えられるか!?」
エルフ 「20秒以上あった差が一気に縮まりましたね」
/\
アル / .\
ナ /
アリ
アリオーン「アルテナ、捉えたぞっ!」
マナ 「アルテナさん、お兄さんです! アリオーンさんが来ました!!」
アルテナ 「兄上が!? くっ、思った以上に速い!!」
ノイン 「逃げる姫君、追う竜神! お嬢さんお逃げなさいありがとうスタコラサッサーのえさほいさっさ、
お嬢の自転車だ、ほいさっさ!」
ナンナ 「もうあんな所まで来てるの!? あれだけ離れていたのに!!」
ラケシス 「いくら何でも速すぎよ!! どんな魔法を使ったのよ!?」
ノイン 「ドラゴンお嬢アルテナ選手のお嬢の自転車が、下りコースを抜けたッ!
八艘飛びの飛竜ダブルドラゴン、
アルテナ選手のお嬢様スーパーチャージャー(加速装置)の前に一歩及ばーず月刊都市伝説!」
アリオーン「アルテナ…やはり簡単には行かせてもらえんな」
トラバント「だが、お前なら容易く勝てるだろう」
アルテナ 「兄上に父上…流石に分が悪いか?」
マナ 「ア、アルテナさん、ここは一つ…」
ノイン 「おっと、ダブル・エルダーが減速、この先のヘアピンを考えての作戦でしょうか、
その横を赤い翼ダブルドラゴンがオーバーテイクっ! 最下位から一気に2位へと上り詰め、
トップとの差は約6秒! ほとんど差はないと言っても良いでしょう!!」
続く