ハダカのお付き合い
>>275に触発されて書いてみた
なんか色々とスマン出来になったが後悔はしていない
「あー、今日も疲れたな」
「帰りに薬局でSドリンク買おうぜー」
「明日もまた強面の連中に「あーあ、死んじまって馬鹿な奴だ」って言う仕事が始まるぜ……」
「僕と契約してシビリアンになってよ!」「仕事辞めろってことじゃねーか!」
とある平日の夕方、仕事を終えた紋章町住人達が次々と帰路に着いていく。
グレイル工務店の面子もこの流れに漏れることなく、殆ど全員が帰り支度を始めている。
「オスカー兄さん、今日の晩御飯は?」
「この間タニスさんに教えたのが残っていた筈だから、それを具にしてパスタにでもしようか」
「シノンさーん、今日飲みに行きませんか?良い店見つけたんスよ」
「本当だろうなぁ?こないだもそう言ってゾンビがマスターやってる店連れて行きやがったじゃねえか」
「大丈夫ですって、今日行く店は美人の女賢者さんがママやってますから!
それにこの間の店だって、飯は美味かったじゃないすか!!」
ワイワイガヤガヤ……
先程殆どと言ったのは、アイク含めた何名かは夜勤で工務店本社に寝泊まりするからだ。
仮眠をとったり夜食の準備をしている中、儚げな雰囲気の女性が筋骨隆々とした男性に話しかけてた。
皆も御存じの通り、腹ペコサンダーのイレースと、フラグジェノサイダーのアイクその人である。
「アイクさん、この間はありがとうございました」
「いや、俺も日頃世話になっている事だし気にするな。
道のど真ん中で大量の食糧に押しつぶされながら倒れているの見た時は流石にどうしたのかと思ったが……」
「あの時は、食糧がとっても安かったからつい買い過ぎてしまったんです。
途中までは良かったんですけどお腹がすいてしまって……」
「そ、そうか。あの量を一時的とはいえ運べたなんて、意外と力があるな」
「……アイクさんは、もっと御淑やかな女性の方が好きですか?」
不安げに質問するイレースからは、本気でその事について悩んでいる事が伺えた。
ここは正直に答えねば、そう思ったアイクは少し考えて自身の考えを口にした。
「いや、女性だろうと戦えるに越したことは無い。
戦う力は無いよりはあったほうがいいと思うぞ(戦士的な意味で」
「そうなんですか……分かりました、頑張ります(女性嗜好的な意味で」
「?……ああ、よく分からんが頑張れ」
微妙に食い違っている二人だが、別に害はないので問題は無いだろう。
食い違っていなくても、おそらくフラグブレ↑イク↓されてしまうのだろうが……
「それはともかく……何かお礼をさせていただけませんか?」
「そう言われてもな……まぁ、考えておこう」
これで会話は終わり、とばかりにイレースに背を向け歩き出す。
どうやら汗を洗い流すべく、風呂場に行くようだ。
「……ちゃーんす」
しかし彼は気付くことができなかった。先程まで話していた女性の目が妖しく輝いたことに……
「ふぅ……」
鋼の肉体を持つとは言え、アイクも人間である。
疲労も溜まるし、風呂でリラックスするという常人と同じ感覚もあるのだ。
浴槽に浸かっていて浮かぶのは、先程の会話のお礼についてだった。
(しかしイレースの件、どうするか……
訓練の相手でもしてもらうか?)
思いつきだが、良い考えのような気がしてきた。
魔道士相手は間合いが取りにくいので、いつやっても良い訓練になるのだ。
対戦を想定して、無意識のうちにイメージトレーニングを始めてしまう。
目の前に、イレースが立っているかのように錯覚する。
(浴場の入口に立ちながらこちらに視線を向けている。
それも、何故か裸で……裸で?)
「アイクさん、お背中を流しに……」
「……………」
時が、止まった。
「……………」
「……………」
普通の男なら思わず目を逸らしてしまう状況だが、なまじ精神力の強いことが裏目に出てしまった。
アイク本人の意思ではないが、結果的に同僚の裸体をまじまじと凝視してしまう。
「アイクさん……?そんなに見つめられると……///」
もともと白いイレースの肌だが、風呂場の熱気と愛しい男性の確かな視線を感じてうっすらと上気している。
わずかに汗ばんだ四肢と相まって、普段と違った魅力を彼女に与えていた。
この異様な状況の中、アイクが放った第一声は……
「まず、これだけ言わせてくれ」
「……はい」
「……頼むから、前位隠してくれ」
…………………
……………
………
風呂場で一組の男女が一定のリズムを刻みながら身体を動かしている。
女性の方は体力を使っているのか、息が少々荒い。
「んっ……この辺り、ですか……」
「ああ……いい感じだ」
ゴシゴシ……
※現在イレースは水着を着ています。
「……っふぅ、結構、力がいるものなんですね」
「日頃鍛えているのもあるのかもしれないな。
しかし、何でスポンジを使わないんだ?」
「直接手で洗った方がいいかなって思ったんですけど……駄目ですか?」
「いや、普段と違った感じで悪くない。
……それにしても、さっきも思ったが結構力あるんだな?」
「いえ……結構……一杯一杯です……っはぁ」
(よし……後は、身体に石鹸を付けて
「こうすれば一緒に洗えますね」
って言いながら身体を当てれば……)
そこまで考え、実行に移そうとしたその時、場違いな歌声が遠くから聞こえてきた。
いや、遠くからというのは語弊がある。何故なら歌声の持ち主がだんだんこちらに近づいてきているからだ。
「豆腐豆腐豆腐~♪豆腐ーを、食べーるとー♪」
「「………」」
ガラッ
「おいーっす、アイク!
って、なんじゃこrあばばばばばばばばばば!!!!」
「おい、今ボーレの声が」
「気のせいです」ゴシゴシ
「サンダー必殺の音もしたような」
「気 の せ い です」ゴシゴシゴシ5454ゴシゴシ
強引に誤魔化そうとするイレースだが、これで誤魔化せていると思っている時点で彼女もまともに思考ができていない。
無論そんな誤魔化しが効くはずもなく、アイクは声の方向に振りむいてしまう。
そこには、見るも無残な豆腐……もとい、同じく同僚であるボーレの変わり果てた姿があった。
全身黒こげになっており、まるで至近距離で雷魔法の直撃を喰らったかのようだ。
「いや、確かに……ボーレ!
どうした、誰にやられた!?」
「……大丈夫でしょうか(棒」
「わからん。
悪いが、杖で回復を頼めるか?」
「アイクさんの頼みなら……」
後にボーレは語る。
「あの時は死ぬかと思ったけどこの事をミスト達にうっかり話した時の方がやばかったね!」
と……
「結局、途中までしかできなかったな……」
騒動も収まった後、一人浴槽に浸かりながらそう独りごちる。
勢いもあったとは言え、今回はそれなりの覚悟を決めての行動だったのだが。
チャプン……
湯を掬って、気だるげに肩に掛ける仕草は、内面の落胆をわずかに滲ませていた。
「………♪」
しかし、このわずかな間で収穫もあった。
少し前までは疎ましく思っていた、この腕力。
女性らしくないと思って抱えていた、密かなコンプレックス。
それが今は意中の男性と触れあえる、好ましい物へと姿を変えていた。
普段人前では決して見せられないようなあられもない体勢をしながら、ただ一人想像にふける。
また今度、あのたくましい背中を流してあげよう。
それか、自分が洗ってもらうのもいいかもしれない。
やはり彼は、あの逞しい腕で、ちょっと痛い位の武骨さで私の扱うのだろうか。
それとも意外な繊細さで、私を驚かせるのか。
考えている内容が悪かったのか、それとも時間を掛け過ぎたのか……
過激な妄想をしつつ、勤務中なのにのぼせてしまうイレースであった。
「はふぅ……アイクさん、激しいです……あうっ」