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Last-modified: 2014-02-01 (土) 23:38:07

ネタ投下します。
ほんの少しBL描写・キスシーン有り。苦手な人はスルーして下さい。

 

セリス「ねえ、ユリウス。僕は好きだよ、ユリウスのこと……」
夕陽が教室を黄金に染め上げて、どこか幻想的な雰囲気の中、照れながらも目を逸らさずに、はっきりと想いを伝える女の子みたいな男の子。
セリス「だから、僕の全部を見てほしい」
震える指先で制服のボタンを外していく。男の子とは思えないような、白くて柔らかそうな肌が晒された。
ユリウス「……な、何で男なのに、その、ブラなんか着けてんだ?」
セリス「む、胸が膨らんできたからだよ。ミカヤ姉さんが着けなさいって……」
ユリウス「いや、だから男だろ、お前は?」
セリス「むぅ。だから、僕は女の子だって言ってんの。家の事情で男として育てられてきたけど、僕はちゃんとした女の子だよ。…………下も見る?」
ユリウス「ブバアアアアアッ!」
セリス「……ね?女の子でしょ?////」
……え? 嘘? 本当に女の子!?
ユリウス「……セリス」
セリス「はい」
ユリウス「結婚してくれ」
……いやいやいやいやっ!? 待て待て待て待てぇーっ!?
セリス「……嬉しい! ユリウス!」
セリス君がユリウス様に飛びつき、目を瞑って顔を上げた。ユリウス様はセリス君の頬に優しく手を添え、顔を近づけていく。
私はその行為を止めるべく走り出すが、いくら走ってもその距離は縮まらない。声を出そうと思っても、口が開くだけで何故か声が出ない。
やがて、二人の唇は……

AM7:30
イシュタル「いやあああああっ!?」
私は自分の悲鳴で目を覚ました。
いつもは夢を見てもすぐ忘れてしまうのに、どうしてイヤな夢は覚えているのかしら。しかも午後から竜王家に出向くというのに……orz。
今日は日曜日。当然学校は休みなので少し遅めの起床。まだ寝ているであろう姉妹を起こす必要はないのだが、
イシュタル「血の匂い……?」
ティニーの部屋から微かに匂った。
イシュタル「…………」
部屋の中には、床にうつ伏せになっているアーサーと、壁に立て掛けられた聖剣ティルフィング。
アーサーの衣服の一部分が切り裂かれていたが、ぱっと見、アーサーに怪我はない。
ティニーはリライブの杖を抱いて、ベッドで寝息を立てている。
そして、割れた窓。
何が起こったか、簡単に想像できた。
イシュタル「……後で返しに行かなきゃ」
これだけは言える。
この聖剣のおかげで、KINSINは阻止されたのだ。
AM11:00
兄弟家に到着。インターホンを押すと、エリンシアさんが出迎えてくれた。庭の方からは、金属が激しくぶつかり合う音が聞こえる。
エリンシア「まあ、わざわざ届けに。さあ、上がってくださいまし」
イシュタル「あ、いえ、お構いなく」
アニウエ、キョウコソハ! アニキ、イッポントラセテモラウゼ! フタリトモソノイキダ、コイ! ズガガガガッ!
エリンシア「ふふふ、いいんですよ、遠慮なんかしないで。それに、お客様をそのまま帰らせてしまっては、我が家の名折れですわ」
イシュタル「そういうことでしたら、お邪魔させていただきます」
ドウシタ、フタリトモ、ソノテイドカ! クッ、マダヤレル! コッカラガホンバンダゼ! ドガガガガガガガガッ!
エリンシア「はい、どうぞ」
イシュタル「それでは、失礼します」
兄弟家の敷地に足を踏み入れようとした、その時。
デヤアアアァァァーーーッ! ウオリャアアアァァァッーーーッ! ヌゥン! ダイッ!テンッ!クウッ!!
ドゴオオオオオォォォォォーーーーーン…………アッー! コノヒトデナシーッ! タテナオシタバカリナノニ、チョーサイコーッ!
目の前で家屋が倒壊し、瓦礫の山と化した。
イシュタル「…………」
エリンシア「……ミカヤ姉さま?」
ミカヤ「はいよ」
エリンシア「お客様をお任せしても?」
ミカヤ「ほい」つ【アミーテ】【ライブの杖】
エリンシア「アイクちゃん、エフラムちゃん、ヘクトルちゃん! お仕置きです! ぶっ飛ばして差し上げますわーっ!」
ミカヤ「ま、オープンカフェだと思って上がってって。エリンシアのことだから、意地でもお茶ぐらい出すわ」

PM12:00
お茶どころか、昼食をいただくことに。どんな状況でも、客をもてなすエリンシアさんはすごいと思う。
シグルド「久し振りだね、イシュタル。しかし、少し会わない間にどんどん美しくなっていくな」
イシュタル「い、いえ、そんなことは」
シグルド「ははは、謙遜することはないよ。私は事実を言っているまでだ」
リーフ「そうですよ、イシュタルさん。僕はその美貌を独り占めにしたいくらいです。ところで午後の予定は? 僕とデーt」
私を口説き始めたリーフ君の足元に魔方陣が現れて消えていった。
ミカヤ「あれ? リーフは?」
マルス「今、消えていったよ」
ミカヤ「そ。それじゃ、いただきましょうか」
エリンシア「おかわり、たくさんありますからね」
ロイ「(リーフ兄さんの扱いが何気にひどい……)どうしたの? エイリーク姉さん?」
エイリーク「い、いえ! 何でもありません! 決してイシュタルさんの胸が気になったわけでは……!」
セリス「イシュタルさんはすごいんだよ! 成績は常に学年トップで、生徒会の役員やってて、みんなから慕われてて、中等部の生徒からも人気があって」
エイリーク「そ、その上、胸までも……」
リン「ちょっと、エイリーク姉さん。お客さんの前で失礼よ」
エイリーク「で、でも」
リン「ホントに胸なんかあったって色々と邪魔なだけなんだから」
エイリーク「……リン、貴女は決して言ってはならないことを言いました……。雌雄を決する時がきたようです」
リン「いいけど、ご飯の後でね? エイリーク姉さんには悪いけど、私、負ける気ないから」
セリカ「…………(お祈り中)」
……胸、か。脳裏に焼き付いている、夢の中のあの光景。
セリス君の胸元に自然と目が行ってしまう。
本当に、男の子よね……?
ちなみに、家を倒壊させた三人は罰として昼食抜き。外へ食べに行ったらしい。
エリウッドさんは家が倒壊した直後、病院へ運ばれていった。
あと一人、誰かいたような……?
ちょっと思い出せない。

アルム「畜生ーーーーーーーーーーっ!」

PM1:00
イシュタル「ご馳走様でした」
エリンシア「お粗末様でした」
皿洗いを申し出たが、エリンシアさんにやんわりと断られたので、自分の食器だけ下げさせてもらった。
セリス「イシュタルさん、午後、空いてるかな?」
イシュタル「ごめんなさい。午後はユリア様にお呼ばれされているの」
セリス「偶然だね。僕もユリウスにお呼ばれされてるんだ」
……実は、偶然ではない。私がここに来ることになったのは偶然だけれど。
ユリア様がユリウス様をけしかけてセリス君を誘ったのだ。
確かに、年頃の女の子が「庭に温泉が湧いたので、一緒に入りませんか?」とは言いづらい。露骨に誘って断られたら、気まずくなってしまう。
そして私のメリットとして、ユリウス様と同じお湯に浸かり、親密度アップ。
ユリア様、あなたの計画は完璧です。
イシュタル「そう、偶然ね。だったら、一緒に行きましょ」
私はしれっとセリス君に笑顔で返した。
……それにしても、「庭に温泉が湧いたので」って。
チキとファ、ミルラが庭で遊んでいたら堀り当てたらしい。
一体、どんな遊びをしたのかしら?
PM2:30
竜王家に湧いた温泉は、お館から三十分程歩いた所にあった。温泉の横には簡単な脱衣場が設けられているだけで、屋根と壁は一切無い。
ユリア「義姉さま。今日は来ていただいて、ありがとうございます。そ、それにしても大胆な水着ですね」
イシュタル「私こそ、お役に立てて嬉しいです。ユリア様もかわいいですよ」
まさか秋も深まったこの時期に、水着を着ることになるとは思わなかった。
ユリア様の水着は首かけタイプのビキニで、色は薄い水色。胸元とウエストの縁にフリルが付いていて、とてもかわいらしい。
私の水着は肩紐のないタイプで、色は白。ウエストの両サイドはレースのリボンで、ちょうちょ結びにしている。
ちょっと背伸びして、いつもよりほんの少しだけ布面積が小さい水着を選んだ。
……だって今年の夏、ユリウス様の反応がイマイチだったんですもの……orz。
ユリウス「ん? セリス、何でお前がこっちで着替えてるんだ?」
セリス「何言ってんの、ユリウス? 当たり前でしょ?」
ユリウス「い、いや、セリスは……セリスだろう? あ、そうか。脱衣場が男・女しかないのか……」
セリス「??? 何言ってるか、さっぱりわからないよ。変なユリウス」
ユリウス「か、かかか、髪で胸を隠すな! つか、温泉なんだから髪上げろって! だ、だからって、ううう、うなじを見せるなぁっ!」
セリス「……ユリウス、大丈夫? 熱でもあるんじゃない?」
ユリウス「ててててて手をおでこに当てるなぁっ! だだだだだ断じて熱なんかないっ!」
脱衣場の仕切りは薄い板一枚で、二人の会話は丸聞こえだった。
アイカワラズ、タノシソウデスネ。イチャイチャシテイイノハ、ワタシダケデスヨ?
ユリア「…………」
ユリウス様は着々と新世界への扉を開いていってる。
なにがなんでも阻止しなければ。ユリア様の目も据わってきているし。
ユリア「……行きましょう、私たちの戦場へ」
イシュタル「はい」
私たちは決意を胸に脱衣場を後にした。

ユリア「どうですか、セリス様? その、似合ってますか?////」
セリス「わぁ、新しい水着買ったんだぁ。うん、似合ってる。フリルがかわいいね」
ユリア「ありがとうございますっ!////」
とりあえず、セリス君の胸が無いのを確認。女の子のわけがない。ほっと胸を撫で下ろす……が、この複雑な感情はなんだろうか。
イシュタル「ユリウス様、どうでしょうか?////」
ユリウス「……(イシュタルの水着がどんどん過激に……。他の男にイシュタルの肌を見られたくないんだけどな。はっきり言わないとだめか)」
イシュタル「……ユリウス様?」
ユリウス「似合ってる。けど、その水着は僕以外の男がいる時は着るな」
イシュタル「……はい」
夏に海へ遊びに行った時と同じような反応orz。あの時も,なぜか少し機嫌を損なっていたような……?
まさか、これ以上に過激な水着を望まれている……?////
でも、似合ってると言ってくれた。前向きに捉えよう。
ユリウス「けっこう足場が悪いから気を付けろよ。ほら、イシュタル」
ユリウス様は温泉に入ると、手を差し伸べてくれた。その手を取って湯に足をつける。
温泉の中は、加工されていない自然のままの岩や石が敷き詰められていて、少し歩きづらい。
セリス「ユリア、僕たちも入ろう」
ユリア「はい////」
セリス様がユリア様の手を取って温泉に入ろうとした時、
ユリア「あっ……!」
セリス「危ないっ!」
ユリウス「うわっ!?」
イシュタル「えっ!?」
ユリア様が足を滑らせてセリス君にダイブ、少し前を歩いていたユリウス様に倒れかかり、手を繋いでいた私も当然巻き込まれて、
どぼーーーーーん。

どういう体勢だったかはよく覚えていない。
一瞬の出来事だったが、確かに見た。
水中で、ユリウス様とセリス君の唇が触れ合うのを。
私の脳裏に、今朝の悪夢がフラッシュバックした。

セリス「ぷはっ! ユリア、大丈夫!? 怪我はない!?」
ユリア「……はい、大丈夫です。ごめんなさい、セリス様……」
セリス「ううん。ユリアに怪我がなければ、それでいいんだよ」
ユリア「セリス様……」
イシュタル「ユリウス様、お怪我は……!?」
ユリウス「せ、せりすの……くちびる……が……」
どこか虚ろな表情のユリウス様がそう呟いた。
い、いやあああああーーーーーーーーーーっ!?
その扉は開けちゃためえええええーーーーーーーーーーっ!!
私はすかさずユリウス様の唇を奪う。
イシュタル「ん……っ! 上書きですっ!」
ユリウス「……やわらかかっt」
くっ! もう一回っ!!
イシュタル「んむ…………………………っ!!」
長めのキスで、戻って来いと心に強く念じる。
イシュタル「……はぁっ」
ユリウス「……ん? 僕は一体……?」
……どうやら新世界への扉は閉じたらしい。ほっとした私は、今度は優しく、唇が触れるか触れないかくらいの短いキスをした。
ユリウス「お、おい。ユリアとセリスが見てるだろ////」
イシュタル「……こちらをを見ていません。大丈夫です////」
この後、ユリウス様とセリス君の間に私とユリア様が割って入って、二人を不用意に近付けさせないようにした。

PM7:00
フィーアにワープの杖で送ってもらって帰宅。我が家では晩御飯の用意がされていた。
ティニー「次の新刊、セリ×ユリは決定なんですけど、これだけでは今までの壁を越えられない気がして……」
アーサー「前にヒルダ伯母さまが言ってたカプは?」
ティニー「勿論、試しました。視野は広がったんですが……」
アーサー「ユリ×セリはどうだろう?」
ティニー「いいえ。ユリウス様のヘタレ受けは鉄板です。あれだけのヘタレ、そうはいません」
……色々と聞き捨てならない会話が繰り広げられているが、いつものことなので聞き流す。
レプトールお祖父さまがいれば、多少は控えるのだが……今日に限って休日出勤orz。
リンダ「あの、それでしたら、イシュタル姉さまの男体化はどうでしょう?」
イシュタル「んぶっ!?」
私はビーフシチューを吹き出しそうになった。さすがにそれは聞き流せない。
イシュタル「ちょっと、リンダ……!?」
ヒルダ「お黙り、イシュタル。同人にも恋愛にも、情けは無いんだよ」
ブルーム「…………ガタッ」
ヒルダ母さまの隣に座っていたブルーム父さまの顔がどんどん青ざめていく。昔、何かあったのだろうか。
エスニャ「うふふ、ティルテュ姉さま、デザートのリンゴです。はい、あ~ん」
ティルテュ「あ~ん☆」
イシュトー「……まぁ、何はともあれ俺はお前を応援するぞ、イシュタル。このままでは、我が家は悲惨すぎる」
アミッド「イシュタル姉さん、なんだかよくわからないけど、元気出してね?」
長兄と末弟に励まされて、なんとか心の均衡を保つ。
今日のビーフシチューは、いつものよりちょっとだけしょっぱかった。

おわり
おまけ

イシュタル「そういえば、三人はどんな遊びをしていたの?」
チキ「んっとね~、地竜ごっこー」
ファ「ごっこー」
チキ「化身して、お庭にドガガガッて潜るのー。お湯が出てきて、楽しかったねー」
ファ「ねー」
ミルラ「……でも、お庭を壊しちゃダメって、お祖父ちゃんたちに叱られてしまいました……」

今度こそおわり